「くればわかる」(新宿ゴールデン街)
今回は少し番外的な話になりますが、新宿ゴールデン街と、その中の素敵なお店「くればわかる」さんのことについて感謝の気持ちを込めて!書きたいと思います。 まず、新宿のゴールデン街について最初に説明をさせてください。ご存じの方も多いかと思いますが、新宿ゴールデン街は新宿歌舞伎町の一角にある木造長屋の飲み屋街。2000坪(サッカー場くらい)の大きさの区画に一説には280軒ものお店が密集した、ディープでノスタルジックな空間です。 また、場所柄もあるそうですがここの界隈は文芸・音楽・舞台関係の方が昔から多いそうで、「文壇バー」のようなところもあったりするそうです。サラリーマン生活をしている自分から見ると、普段は接することの無い方も多く、お酒目当てよりも色んな方の「話」を聴くのが楽しみで来ているという感じでしょうか。 そんな訳もあって、常に違う店を回り歩くと言うのが自分の信条なのですが、とっても印象に残ったお店もあって、ついつい足が戻ってしまったお店が数件だけあります。「くればわかる」さんもそのうちの一つです。 「くればわかる」なんてチャーミングな名前をどうやって考えられたのかはいつかお伺いしたいところですが、奄美ご出身の親子(母娘)さんが経営されています。同じ建屋の1階と2階にお店があり、現在は2階だけで営業をされています。お店は奄美のお酒や九州の焼酎、ウイスキーもスコッチがいくつか置いてあり良心的な価格設定です。 ゴールデン街のお店はどこも個性的なお店が多いです。それはお店の中に置いてあるお酒や料理であることももちろんありますが、特に自分が惹きつけられるのがお店の方とお客さんが作り出すその時々の雰囲気です。カウンターに立たれている方も日替わりだったりするお店も多く、お客さんも何店舗が界隈で梯子をされる方も多いので、お店の中の様子も凄くめまぐるしく変わります。ある時は結構盛り上がったりしたかと思えば、次にはガラッとゆったりした時間が流れたり、お客さんも(時には店の方も)入れ替わりがあるので見てるだけでも楽しいです。 また、基本は独りで来られる方が割合に多いので、見ず知らずの人同士の会話を楽しめるというのも自分は好きです。誰の紹介でもなく初対面の人と気軽に話をする機会というのがあまり無いので、一人でも気軽に呑めるという意味でもこの街が面白いなと思います。その上で、やはりお店の方の切り盛りというか采配というか、これは重要な要素だと思います。これも各店舗さんで様々で、どういったスタイルが一番良いと思うかは人それぞれだと思いますが、自分は「くればわかる」さんに一番「温もり」を感じました。また、こちらの母娘さんがとても素敵な方でで、掛け合いが見てていつも楽しいです。(あまりにもの居心地の良さに前回訪問時は完全に酔っぱらってしまいました。その節は大変に失礼をいたしました!) こういう表現が適切か分かりませんが、何となく小学校のときの「放課後の教室」的な空気感とでも言いましょうか。。 現在は時節柄、大変な時期ではあります。でも、こうした大変な時期だからこそ、お店とお客さん(特に常連さん)の関係、つまりお客さんに愉しんでもらいたいというお店側の気持ちと、また頑張っているお店を応援したいという常連の方の気持ち、この両者の「支え合い」の中で経済を回している。また、新米の客にも店側と常連さんの両方が迎えいれてくれるような独特の雰囲気。こうした空間は独りフラフラするのが好きな自分のような人間には最高の「癒し」の場でしかありません。 恐らくこの界隈を歩けば、確実にどこか、自分の居場所みたいなものを見つけることができると思います。それくらいに色んなスタイルと言うかバリエーションがあります。一時期は外国からの観光客が大挙して押し寄せたこともありましたが、今はやはり静か、逆に言えば落ち着いています。また、昔は不夜城のような場所で、早い時間に開けている店も少なかったですが、今はランチ営業などもされている店もあるようです。そういった意味で、この界隈での楽しみ方も多様化しているのかとも思います。今の状況が改善して新宿に立ち寄る機会があれば、ぜひゴールデン街に、そして「くればわかる」さんに、足を運んでみて欲しいと思います。必ず、くればわかります! ところで、奄美の黒糖焼酎について少しだけ最後に。(そもそも奄美ってどこ?って言う方は先にgoogle map で検索ください。簡単にいうと、九州と沖縄の間です。)奄美諸島というのは古くから「さとうきび」が名産らしく、糖分あるところにアルコールあり、と言うわけで黒糖と米麴を原料にしてできたのが黒糖焼酎、分類としては「本格焼酎」になりますが、あまり全国的な地名度は高くないような気がします。「泡盛」や「ラム酒」などとも比較されることがありますが、とにかく黒砂糖をそのまま使っているところが大きな違いかと思います。(ラム酒は廃蜜という「搾りかす」を使います)くればさんで取り扱っているのはその中でも奄美大島の町田酒造さんというところが作っている「里の曙」(通称:さとあけ)。黄色いボトルが特徴的です。1階のお店は今は残念ながら営業されていないのですが、棚が黄色いボトルで一杯だそうです。まさに「奄美愛」。ですが、味わいはというと、奄美と言うよりキリっと引き締まった感じです。この他にも、同酒造のラインアップにはウイスキーのようにオーク樽で熟成させたボトルもあるそうで、アメリカのスピリッツコンテストで賞を取るなど海外でも注目されているようです。最近は焼酎も色々な銘柄が出て来て楽しいですが、「黒糖焼酎」はなかなかお目にかかることが無いと思うので、何を飲もうか迷ったらまずは「さとあけ!」と頼んでみましょう!