早速ですが、今日は珍しい来客がありました。
基本このブログはバーとウイスキーに焦点を当てることを目的としていますが、
あまりにもの珍事に、今回はゲストにもフォーカスをさせてもらいます。
なんと20代の女性、しかも美人さん。本ブログではこれを「三拍子揃う」といいます。笑
実のところ、こうしたウイスキー・バーに女性が来られること自体は珍しくはありません。
全員が美人じゃない?いえいえ、そういうことではないのです、皆さまお美しいです!
今回珍しいと大騒ぎしたのは、「ウイスキーが好きで、且、知識量も豊富で、しかも実際に行動されている」ところ。
行動している、というのは自分で蒸溜所を訪問したり、酒屋さんに行ったり、バー巡りしたりという意味です。
しかも、フレンドリーに取材許可までいただきました。もう感謝しかありません!
お名前は、「さくら」さんということです。さくら様、とお呼びしたいところですが、変なバーと混同するといけないので、とりあえず「さくらさん」で本ブログは通します。
さて、まずは一杯いきましょう。
とりあえず、取材に入る前にコレをハイボールで。そう、ホワイトホースです。キーモルトはラガブーリン。
個人的に好きな銘柄なので、先ずはテンションを上げていきたいところでしたが、いきなりシングルモルトをストレートというのも飛ばし過ぎ。
そういう訳で、まずはやさしめに軽く一杯ということでホワイトホースを、ハイボールで頼見ました。気持ちを落ち着かせます。
さて「ホワイトホース」について、少し補足しておきましょう。名前の通りボトルの中央に白馬が描かれています。
このブランドは1881年、ピーター・マッキーにより立ち上げられました。
ホワイトホースの名前は、マッキー氏の近所にあった酒場兼宿場 「白馬亭(The White Horse Cellar)」に由来します。
ラベルの白馬は、白馬亭の看板を描いたもので、1742年というのは白馬亭の創業年になります。
この「白馬亭」ですが、普通の宿ではなく、18世紀にスコットランドの独立を図った「ジャコバイトの反乱」の際の拠点。
単純に良さげな宿があるから、という理由ではなく、スコットランド人の誇りの源に肖(あやか)ったというところでしょうか。
また、キーモルトがラガヴーリンというのもちゃんと理由があります。
マッキー氏の叔父ローガン・マッキーは同蒸留所のオーナー!若かりし頃にウイスキー造りを学んだのがラガヴーリンだったというワケ。
(なんと贅沢な!)ローガン氏が亡くなってからは蒸溜所の経路も引き継ぎます。
さて、もう一度バーに戻ります。さくらさんのストーリーです。あれだけ騒いでホワイトホースに脱線しかかりました。
さて、私が興味があったのは、どうしてそんなに若くしてウイスキーに興味を持ってしまったの?ということです。
男性諸君でアルコール好きな人なら、ウイスキーは「男の酒」みたいな感じで入り口付近に連れていかれます。
同僚やお客さんとの飲み会、友達とのバカ騒ぎとかで、一度や二度はウイスキーのボトルに触れる機会はあるのでは無いでしょうか?
女性の方も当然にそういった席はあると思うのですが、そこでウイスキーなどの蒸留酒が出てくるケースは少ないのでは?と。偏見ですかね?
すみません、女子会とかお呼ばれしたことが無いので。もし違うよ!っていうことでしたらぜひ取材にいかせてください!交通費は払います。笑
さて、さくらさんの場合ですが、学生の頃にフランスのノルマンディー地方での体験がひとつのきっかけだったようです。
皆さんは「サイダー」をご存じでしょうか?日本でサイダーというと三ツ矢サイダーとかを想像されるかもしれませんが、
向こう(ヨーロッパ)でサイダーといえば、リンゴ酒です。フランス語ではシードルと発音します。
フランス北部のノルマンディー地方は、南仏のようにブドウが育ちにくいため、代わりにリンゴの栽培で有名。(日本の青森みたいなもんですかね)
そのリンゴを使って作る醸造酒が「サイダー」。さらに、それを蒸留したリンゴの蒸留酒を「カルヴァドス」と言います。リンゴのブランディーのようなものです。
ノルマンディを学生時代に旅された時に、このカルヴァドスに惹かれ、それをきっかけに蒸溜酒に興味を持ち、そしてウイスキーに至ったようです。
社会人になってからはバーなどで勤務された後、アイルランド(※)にワーキングホリデーを使って1年ほど滞在されたとのこと。
※アイルランドは言わずと知れたウイスキーの聖地として有名、ウイスキー発祥の地とも言われかつては(1920年より前)最大の生産量を誇りました。
その間に現地の蒸溜所やバーを巡られたそうです。因みに、ジャパニーズにも造詣が深く、山崎、白州、余市、宮城狭などすべて回られたそうです。すごい!汗
小生から見ると、もう完全に大先輩の域です。そういう訳で、次に大先輩の一杯をいただきました。それがコレ。
「美味しいウヰスキー」。マンマじゃないですか?!
それもそのはず。これもウイスキー好きの間では聖地とも言われるスコットランド・スペイサイドの有名なバー&ホテル「ハイランダーイン」のオリジナルボトル。
このホテルの支配人はなんと日本の方で、皆川さんという京都出身の方です。
中身は36年熟成のスペイサイド系ぶブレンドのようです。クレイゲラヒと小さく書いているのは、このハイランダーインがある村の名前です。
因みに同村にはクレイゲラヒ蒸留所があります。実はこの蒸留所は、先のマッキー氏と関係があり、ホワイトホースにブレンドする原酒確保のために1891年に設立されました。
ホワイトホースはブレンドなので、キーモルトのラガブーリンのほかに、クレイゲラヒを始めとしたスペイサイド系原酒がブレンドされています。
さて、「美味しいウヰスキー」。
飲んだ印象ですが、まずシェリー系かなと。それと、スパイシーですっきりした感じ。
原酒はスペイサイド系ということなのですが、テイストした後の直感はハイランドかなと思ってしまいました。
36年の熟成期間でしかもブレンドというと、かなり複雑な味わいを想像してしまいますが、なぜか若さを感じさせます。
玄人好みの一杯ということなのでしょうか。正直、ボトラーズのブレンドでこれほど熟成期間の長いものは、自分からは選ばない、というか選べないですね。予期せぬ出会いというのは貴重です!
さて、最後に私からの感謝の気持ちということで、大先輩に一杯おごろうかと思い勢いよくボーイ君に注文。
サントリーとニッカはすべて巡られたとのことなので、キリンさんの富士山麓なんかどうかなと。
と思って出てきたのが、コレ。ブレンドの18年。限定商品用です。
実はこれ、プレミアムウイスキーに類されるもので、値段聞いて普通にたじろいてしまいました。汗
結局、ハーフ&ハーフで1ショットということで、なんとか面目を保つことに成功。というか、保ってない?!笑
富士山麓は、初めて飲みます。初めて飲むのがプレミアムなんで、なんとも特徴が分かりませんが、しっかりしたボディのあるジャパニーズウイスキーという印象。世界的な賞も受賞されており、格調のある味です。
ジャパニーズでは、間違いなくサントリー、ニッカの3番手有力候補なのかなと思いました。
さて、とりあえず本日はこのあたりでお会計に。素晴らしいゲストの方とも巡り合えてとて大いに満足です。さくらさん、末尾ですみませんが、ありがとうございました!
バーでの人との出会いもウイスキーに似て奥深いものがあります。バー巡りが止められない所以です。また次回も新たな未知の出会いが楽しみです。