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スコッチウイスキーのティスティンググラスと言えば、グレンケアンで決まりです。
毎度お決まりのことなのですが、ネタに困ったらウイスキーキャストのログから探してきます。今回はスコッチウイスキーのテイスティンググラスとして今では定番となっているグレンケアン(GlenCairn)・グラスと、その創業者とのインタビューについてです。→"The Ultimate Whisky Glass (April 9, 2023)"グレンケアンのグラスは今日のウイスキーバーでよく見かけるティスティンググラスの一種です。価格もお手頃で、ウイスキーを楽しむための機能的にも優れています。スコッチウイスキーを提供するようなバーであれば標準的なグラスかなと思いますが、今のように世界中のバーに知れ渡り始めたのは2000年初頭くらいだそうです。ごく普通にあるイメージがありましたが、ウイスキーををより良く味わうのためのテイスティング専用のグラスが一般的に出来上がったのは実はスコッチウイスキーの歴史で言うと非常に最近であったことに驚きを感じました。 グレンケアンはこんな感じ。スタンダード向け。 プロフェショナル向けのグラス ウイスキー用のテイスティンググラスというのは、今まで撮影してきた写真とかを見返していても本当にバラエティに富んでいるなと思います。バーなどお店のオーナーのこだわりにもよる部分がとても大きいと感じています。アンティークやクラシカルなコレクションの中から厳選されたグラスに注がれて提供されることも珍しくないですし、モルトバーなどで棚の奥の方から出てくるような貴重なウイスキーを頼んだなら、やっぱりそのクオリティにしっかりとマッチしたグラスで出てくるかと思います。中身もさることながら、グラスも見た目以上に機能的な意味でも重要だからかと思います。味わいだけでなく、お酒の色合いや香りなど五感をフルに使って楽しむモノだからかもしれません。普通のロックグラスとかと違ってティスティンググラスはボディがずんぐりしていて淵が小さくなっているタイプが多いです。これは当然のことながらウイスキーのアロマを凝縮してノージングに適した形状になっており、また中の液体の色も良く観察できるようになっています。ブレンダーグラスとかプロフェッショナル向けのものになると、蓋までついているものもあります。このほかにショットグラスとかもありますが、モルトウイスキーを堪能するならやはりテイスティンググラス、中でもグレンケアンが一番広く使われているのかなと思います。値段も一つで1,500円くらいといったところでしょうか、家のみとかでも十分に使えますし、蒸留所やバーが記念用としてオリジナルのロゴが入ったグラスもよく見かけます。 テイスティンググラスあれこれ(1) テイスティンググラスあれこれ(2) ウイスキーキャストでの話に戻ります。グレンケアン創業者・レイモンド・デヴィッドソン(Raymond Davidson)氏がゲストで呼ばれていました。スコットランド地方特有の英語のアクセントが強くてあまり細かくは聞き取れませんでした。とりあえず話の中身で理解できたことに、ネットで見つけた関連記事の内容などを加えながらご紹介します。まずはこの方はもともとはアメリカのエンジニアリング会社・ハネウェル(Honeywell)に勤めていたエンジニアだったそうです。その後、「クリスタル関係」(crystall business)の仕事に転じた時、産業向け用途に将来性があることを感じとったそうです。元々スコッチウイスキーが好きで、バーでウイスキーを飲むときも、当時一般的であったタンブラーグラスではなくワイングラスで注文をしていたそうです。そうした自身の経験の中で、ウイスキーを楽しむために適した標準的なグラスがあるべきだと思い、自らのデザインで今日のグレンケアングラスのプロトタイプ(原型)が出来上がったようです。しかし、スコッチ業界に伝手が無く、この時はそのままお蔵入りしてしまいます。その後、リチャード・パターソン氏(こちらのブログでも紹介はしていますが、スコッチ業界で非常に有名なマスターブレンダで、スコッチウイスキーの名誉アンバサダーといっても過言ではない方です。→ブログ記事)に出会ったことで、この時のプロトグラスと彼の理念にっスポットライトが当ります。リチャードはノージングの天才と言われるほど、アロマと香りにこだわることで知られていますが、彼も理想のテイスティンググラスを追い求めていました。そのグラスの理想像が、まさしくそのプロトタイプと同じ特徴だったといいます。その後、リチャードらスコッチウイスキーのマスターブレンダーらと意見を交わしながら今日あるグレンケアンのグラスが完成するに至りました。(→こちらの記事を参照) https://greatdrams.com/the-creation-of-the-glencairn-whisky-glass-part-one/より 折よくスコッチウイスキーのブームとも重なり瞬く間に世界中への広がりを見せます。今では二人の息子さんらに経営を引き継いでいますが、顧客のニーズを大切にする経営哲学と家族経営のアットホームさを守りながら、スコッチウイスキーとともに更にグローバルな展開を進めようとしています。今後の活躍に益々期待していきたいところです。こうした町工場的な感覚といいましょうか。オーナー経営的な要素、職人気質、お客さんのニーズを何よりも大切にする姿勢というのは、日本の町工場ともよく似ているなあと感じます。スコットランドと日本は本当に遠く離れた地ではあるのですが、同じ島国という特徴からなのか、距離的に遠いようでも感情的には何か近いものを感じざるえません。自分もいつか機会があえば行ってみたいなあと改めて思う次第です。