ラッグ蒸留所

アラン第二蒸留所、LAGG蒸留所。その正体はヘビーモンスター?!待望のお目見えは、2022年予定!!

1993年にアラン島に開業したアラン蒸留所、その第二の蒸留所がこのラッグLAGG蒸留所。2017年から蒸留所建設を始め、2019年より稼働している。したがって、ウイスキーのオフィシャルボトルがリリースされるのは2022年ということになる。また、ラッグ蒸留所の稼働により、島に二つ目の蒸留所が出来たため、元アランはロックランザLOCHRANZAに改名。ロックランザが島の北側にあるのに対して、ラッグは島の南側に位置する。因みに、スコッチウイスキーはハイランドやローランドという地理的な区分けをするが、このハイランドとローランドの分水嶺(昔は産地で酒税が異なった)がアラン島の真ん中を走っているそうで、ロックランザはハイランド、そしてラッグはローランドを名乗っている。*一般的にはスコットランド西部の島々で作られるウイスキーは「アイランズ」というくくりにされることが多い。

↑アラン島とラッグ蒸留所の位置関係。

ラッグ蒸留所の誕生により、旧アランで作られていたピート系タイプ(マクリムーアMachrie Moor)は全てラッグに移管。ラッグではフェノール値50ppmのヘビーピートが主体となる。このピートは将来的には島のピートを使う計画もあるようだが、現時点ではハイランド東部のセント・ファーガスなどから調達したピートなどを使用。ピートによりヴァリエーションも計画しており、「ピートの産地別」による商品化も計画しているそうだ。この他、ウイスキー以外にもリンゴの木を植林して、将来的にアップル酒(サイダーやブランデー)を作る計画もあるとか。今後の展開がかなり楽しみなラッグ蒸留所であるが、製造責任者はGRAHAM OMAND(グラハム・オマンド)氏という若き技師。叔父はウイスキー界の大ベテランであるJAMES MACTAGGART(ジェームズ・マックタガート)氏というから納得だ。

オマンドの育ちはアイラ島。子供のころに、母親が旅館を経営しており、その時に世界中からウイスキーの聖地として知られる同島を訪れるウイスキー愛好家のPASSIONに心を打たれてウイスキーに興味を持つようになったのだという。大学ではバイオテクノロジーを専攻したが、折門の不況で希望した職が見当たらず、一時期はアイラ島で働いていたそうだ。そんなときにアラン蒸留所に勤務していた叔父のマックタガートから連絡を受け、同蒸留所で勤務を始めたのがウイスキー業界への第一歩であった。スチルマンなどの現場仕事を経験した後に任されたのが、アラン第二蒸留所ともいうべきラッグの製造監督。蒸留所の建設は、地元の農家がラッグ周辺の土地を売りに出していたところを、貯蔵庫建設用に買い取ったことに始まる。その土地がかなり広い敷地であったのと、当地で19世紀の一時期(1825-37)に稼働をしていた旧ラッグ蒸留所に近かったこともあり、蒸留所の建設を考え始めたそうだ。元々アラン島というのは、ウイスキーの密造で有名な島であった。大麦の栽培に適していたのと、本土から離れているので酒税取り締まりを避けやすかったというのが主な理由。その他、海を隔ててはいるものの、本土沿岸から船でアクセスが比較的容易であったことも要因。当時、アラン島から本土に運び出されるウイスキーは”ARRAN WATER”と呼ばれていたそうだ。その後、ウイスキーブームが去り島で蒸留所は姿を消した。そんな時代が100年以上続いた後に、1993年アラン(現ロックランザ)蒸留所が誕生、今やスコットランドでも有数のウイスキー巡礼のメッカとなっている。そして、その勢いを受けてアラン島に2つめの蒸留所が稼働。アラン島は再びウイスキーの生産によって更に輝きを増している。

Scroll to top