グレンフィディックやグレンリベットに伍する超大規模の最新鋭蒸留所。年間アルコール生産量は1,000万リットル、DIAGEO社が4,000万ポンドの巨費を投じて2010年に建造。
蒸留所はその規模の大きさもさることながら、環境対応型の設備も特徴でカーボンニュートラルを目指している。その神髄は同じ敷地にあるローズアイル製麦工場との「熱交換」。ローズアイル製麦工場は、約3キロ北のバーグヘッド製麦(乾燥)工場とパイプでつながっており蒸留所の冷却工程で排出される高温の水は、モルト乾燥の「熱源」として使用され、熱源として使われた後は蒸留所に戻り「冷却」水としてリサイクルされる。それを繰り返すことで、水を媒介として熱エネルギーを繰り返し使い回す仕組みとなっている。同様の「循環」は他にも見られる。蒸留後の廃液(ポットエール)や固形廃棄物はバイオマス燃料として蒸留工程の熱源に利用したり、畑の栄養源として農家に供給され、農家はそれを肥料として大麦を育て、蒸留所に出荷するというサイクルである。また、グリーンテクノロジーの活用により二酸化炭素の排出量は他の同規模の蒸留所の15%程度。更に、コンピューターテクノロジーを駆使した工程制御により、蒸留所内で働く人間はったの10人という未来型の工場を実現。
上記の通りローズアイル(orロザイル?)蒸留所の原酒はDIAGEO社のブレンド用の供給がメインであり、シングルモルトでのリリースの情報は今のところない。ただし、少しだけローズアイルの味を感じることができるものが、この「COLLECTIVUM XXVIII」という、いわゆるヴァッティッドモルト(ピュアモルト)。これはDIAGEO社傘下の全てのモルト蒸留所(28所*)のモルトウイスキーをヴァッティングしたブレンドモルト。*”Auchroisk, Benrinnes, Blair Athol, Caol Ila, Cardhu, Clynelish, Cragganmore, Dailuaine, Dalwhinnie, Dufftown, Glendullan, Glen Elgin, Glenkinchie, Glenlossie, Glen Ord, Glen Spey, Inchgower, Knockando, Lagavulin, Linkwood, Mannochmore, Mortlach, Oban, Roseisle, Royal Lochnagar, Strathmill, Talisker and Teaninich.”