そういう訳でやってきました「バー恵(めぐみ)」さん。
先ほどの「美術館」から歩いて5分くらいでした。
先ほどの彼によると仕事が終わって店長さんとこちらのバーで飲まれることもあるようです。
店に入っての印象は昭和のノスタルジックな秘密基地という感じでしょうか。細長い店内にカウンター席が8席くらい。
うちらが入った時には先客の方が3名おられて、うちらが入店した時点で結構がっつりという感じでした。
店の中の移動もカウンターに座ってる人の協力なしには後ろの壁とのスペースがカツカツで通れない感じ。
そんなわけで、なんとなく居合わせた者同士親近感を感じてしまうお店です。
語り合いバーみたいな感じでしょうか。
気さくな女性のマスターさんが店を切り盛りされてます。
この辺に住まれてる方には憩いの場みたいな感じかと思います。現にお一人で来られてた方は常連さんのようでした。
さて、席についてから「初めてですか?」と先ほどの女性マスター。
先ほどの経緯をお伝えすると「ワサビは終わったんですよねー」とのこと。
「あの子(件の美術館の彼)まだ宣伝してるのね」と笑っておっしゃってました。
どうやら彼は宣伝部長のようですね。我々の前にもこうしてワサビ杯を求めて来たものがいるようです。(笑)
何を飲もうかなぁと思い棚をキョロキョロ。
オススメで頂いたのがコチラ。
小学館さんのデビルマンシリーズ。
中身はアードモアの10年。ラフロイグカスクとのことです。
飲んでみたんですが、第一印象は思いっ切りラフロイグですね。笑
アードモアは飲んだことがないんですが、10年熟成なのにラフロイグに染まってる感じがします。
もちろんオフィシャルのラフロイグの様にブアッと煙が出る感じではありません。カスク越しなんで、上品に香るラフロイグという感じ。
このくらいだとアイラ系苦手なヒトとかでもイケそうな感じですね。
さて、これは後付けの知識なのですが、アードモアを調べてみました。アードモアはブレンドのティチャーズのキーモルトとして知られているようですが、ズバリその特徴はピート。
しかし、いわゆるアイラのピートでは無くハイランドのピートです。このピートの特長はアイランズのような磯の香りではなく、炭っぽい香りだとのこと。
ということは、先ほどのアードモアはアイラモルトとハイランドモルトの競演だったという訳ですね。知識が無くて追いつきませんでしたが、次はアードモアもぜひ試してみたいと思いました。
さて、次に試したのがコレ。
この中野には実はとても有名なバーがありました。
現在は残念ながら閉店されていますが、駅南に方に「サウスパーク」と言われるウイスキー好きの聖地がありました。
自分も行きたかったのですが、残念ながらそのバーを初めて知った時には、すでに閉店報だったのです。
本当は「聖地巡礼」もしようかと思ったのですが、繁華街と反対方向であったので今回は結局断念。
しかしながら、幸運にもそのバーがボトリングされたボトルにこちらで巡る会えました。まさに恵さん。笑
ボトルにはサウスパーク5周年記念とあります。設立は2012年12月29日だったようです。
ボトラーはアスタモリス。輸入元はガイアフローとあります。
中身はグレントファース。2009年に蒸留された8年モノで、PXシェリー熟成。
ここからは後日談になりますが、実はこのボトルについての感想を後で書こうとしたのですが、どうしても思い出すことができませんでした。
記念ボトルのため、オフィシャルものとかと違ってネットで他の方の感想とかも「参照」することは不可能。
また適当なコトを書いて、親愛なる読者の方々を欺く訳にも参りません。
そんな訳で、もう一度飲みに恵さんを訪問してしまいました。汗
ここからはその時の感想です。
改めてですが、PXシェリーは香りから伝わってきます。
テイスティングですが、スペイサイドのグレンファークラスのような感じでしょうか。グレントファースそのものはあまりオフィシャルでは出回っていないので何とも言えませんが、結構シャープで余韻もキレがあるような気がしました。
どうですか?と恵さんから聞かれたにですが「難しいですね」汗、としか答えられませんでした。スミマセン!
因みにこの日のお通しが「鰻」で、意外にもウナギとウイスキーが合いました。より正確にはこのボトルのキレと鰻の脂がうまくマッチングした感じです。
さて、最後に余談になりますが実は再訪して経緯をお伝えした時に誤ってアスターモリスさんの別のボトルが出て来たんです。
コレです。
ボトルの記載を見たら5年もののアードモアになっていたので、え?と思って確認して発覚。
因みにこちらはサービスで頂かせてもらいました!ありがとうございます!誠に恐縮です。
こちらは先ほど飲んだモノに比べると味に柔らかさがあり、シェリーも感じます。5年という割には結構ボディが熟成しているように思いました。
アードモアといえば先ほどいただいたデビルマンのベースもアードモアで、ピートが特徴的であるコトを書きましたが、帰宅してから知ったため意識が及びませんでした。
いずれにせよアイラほどの個性的で主張するピート臭では無かったと思います。次回は意識してみようと思います。
因みにですが、こうした個人などが手配するオリジナルボトルというのは、基本的にはシングルカスク由来であるコトが多いように思います。いわゆる樽買いというものです。
樽は大きさにもよりますが普通のバレルですと180リットル、1/4のクォーターで110リットルくらいと言われます。
細かい算数の話になりますが、シングルバレルorシングルカスク(要は1つの樽)を1バッヂとした場合、
ウイスキー1瓶の容量が700ミリリットルなので
200本強のロットであればバレル。100本前後ならクォーターカスクかなあ、と想像ができます。
先ほど飲んだボトルをよく見ると、サウスパークォーターさんのは55/96とありますので、クォーターカスクの55本目。
サービスで頂いたMaltyama(モルトヤマ)さん、因みにこちらはオンラインのモルト酒屋のようです、のはハッキリ読めませんが135?/237とあるのでバレル由来であると思われます。
この辺りは購買力の差にもよるところが多いのかと思います。一般的に樽を一つ丸ごと買い付けるとなると数百万円の買い物になります。
こうした小さな情報が拾えるようになってくると、ウイスキーを味わう楽しさも増してくるのかと思います。
特にシングルカスクというのは、味の調整は一切なしのオンリーワン品のため、基本的には一度切りしか味わうことの出来ない貴重な味です。
オフィシャルで出されているものとは違った個性を発見することもあり、この辺りがウイスキーの味わいの複雑さを表現していると感じます。
普段は蒸溜所がリリースするオフィシャルボトル中心にしか飲まないのですが、成り行きでシングルカスクを堪能させてもらいました。同じ蒸溜所由来でも、こうした表現の違いが多様に演出されるというのは面白いです。ありがとうございました。
ところでこの中野。バー恵さんだけに限らず、繁華街全体的に何か昭和ノスタルジックを感じます、加えて何か香港の九龍チックさのようなものもブレンドしたとでも言うのでしょうか。
一見して都心の丸の内とか銀座に比べれば確かに「古い」です。けど別に悪いことではない。ヨーロッパでもガイドブック映えする街の魅力は、モダンで派手な高層ビル群より、旧市街の街並みですよね。
バーという店そのものの魅力もさることながら、それを抱擁する街並みと上手く溶け合うというのは味があって良いと思います。是非ともこちらに来られる時は、少し時間的に余裕を持って街中を散策してみることもオススメします。