Month: July 2020

【東京】お酒の美術館(中野)

本日は中野にお邪魔しました。 自分は都内に住んでいますが、あまり中央線沿線とは縁がなく、中野もたまに通ることはありますが、途中下車はしたことがありません。 そんなところに今回来たのは訳がありまして、、行きつけのバーのボーイ君が誕生日を迎えるということで、 どこかでささやかなお祝いでもしようかという話になり、先方の希望で中野が選ばれたいという経緯。 中野のほかには、上野も候補だったのですが、普段行くことが無いところという点で、中野をチョイス。 さて、その当の本人が、なかなか来ません!思ったより、恥ずかしがり屋さんのようです。とりあえず時間を潰します。しかし、この中野は面白いですね!まるで昭和にタイムスリップしたような感じです。 先日、広島を絶賛しましたが、この中野も結構いけます。どうしてなのでしょうか?コジンマリした店が、商店街の周辺にも密集しています。 待ち合わせの時間は15時くらいだったのですが、日曜ということもあってか結構の数の店が開けていて、またかなり混んでいます。 恐らく地元の方だとは思うのですが、老若男女が良いバランスで混ざっている感じ。とくに若い子が多い印象でしょうか。 さて、アレコレしていると到着したとの連絡を受け、駅前で再び合流して、どこか良さそうなバーの探索を開始。 そこで見つけたのが「お酒の美術館 中野店」。 15時オープンということで、ちょうど店を開けたばかり。我々が一番の先着だったようです。 席はどこかなと思って探していましたが、どうやら立ち飲み。店の棚を拝見する限り、ウイスキーとか蒸留酒系が中心の様。 すごいですね。飲み方にもよりますが、ウイスキーの立ち飲みは初めてです。 さてもうひとつの発見。店員さんがまた若い!聞くとまだ大学生(もちろん二十歳超えていますよ)。 良いですね。また、どうして?とお伺いしたところ、この店のオープニングに面接を受けたら、採用されたとの話。 いやはや、オーナーさんも度量のある方のようです。爽やかな青年でした。(ご本人の許可も得ての掲載。イケメンはマスク無しが映えますネ(笑)) 本人曰く、お酒も好きだけど、「人とのコミュニケーションが好き」だとのこと。可能性は無限ですので頑張ってください! さてさて、飲み物の話に移りたいと思います。 とその前にですが、このバーは「オールド」が売りのバーのようです。「オールド」というのは、廃番品のことで、現在は市販されていないものです。 では、なぜそのようなボトルがあるのか?理由は主に二つあると思います。そのボトルが市販された当時に買って、未開封のままでたまたま残っている。もしくは、コレクターの方がきちんとキープされていた。普通は買うと開けちゃうと思うのですが、開けずにちゃんとキープされるのがコレクター。というのは、将来性のあるボトルは、希少性が増して価値が上がります。 特にウイスキーはアルコール度数が高いため、腐敗しづらく、また保存熟成による味わいや香りの変化を逆に楽しめたりします。もちろん、保管状況によっては劣化もしてしまいます。 「オールド」の中でも昔の酒税法区分による「特級」などのラベルがついているものはかなり貴重です。1962年の酒税法改正(1989年に廃止)では、それまで「雑種類」であったウイスキーが、「ウイスキー類」として扱われるようになり、さらに原酒混和率により特級・一級・二級などの区分けができました。これにより「ウイスキー特級」には高額な税が課される反面、「高嶺の花」としてのブランド価値を確立しました。 当時の日本が行動経済成長期であったことと相まって、サラリーマンにとっての憧れとヤル気の源であったようです。 さて、今回こちらのお店で試したのは、スコッチブレンドのシリーズ。ラベルをよく見て頂けると分かると思いますが、下の方に「特級」とあります。なので、おそらく30年以上前に誰かが購入されたものと、こうして巡り合えたという事になります。 ボトルを簡単に紹介。左のBELL’S(ベル)はイギリスで最もポピュラーなブレンドスコッチです。ボトルの上の所に「afore ye go(船出の前に!)」とありますが、門出を祝う縁起の良いウイスキーとして、昔は出征する兵士に贈られたそうです。また、weddling bellとかけて、結婚式で供されたりもするそうです。おっと、そういえば今日はボーイ君の誕生日でしたね。ハッピーバースBELL‼ さて、真ん中はHAIG(ヘイグ)というこれも向こうでは有名なスコッチブレンドのようです。正直、こちらの方ではあまり見かけないような気がします。ただ、今回飲んだ3本の中では個人的にはこのHAIGが一番品の良い感じがして、良かったです。甘いシロップの様な感じというのは例えが変ですが、隣の二つがあっさり、すっきりの感じでしたので、特に印象的だったのかもしれません。最後に、J&B。つい最近までジム&ビームと思っていましたが、違いますよ。(笑)ジャステリーニ&ブルックス社のイニシャルでJ&Bです。特徴的なラベルで、割と見かける印象ですが、同社は1749年に設立、J&Bレアは1933年に登場。キーモルトはスペイサイド系が中心で、ライトな味わいです。 自分はもっぱらスコッチのシングルモルトしか飲まないため、見分を広めるためにと思ってスコッチブレンドを頼んでは見ましたが、どれもオールドボトル。現行品とはまた違う味わいだと思います。次回またどこかで機会があれば、現行のものがどうなっているのかも試してみたいと思います。 さて、主にカウンター席だけの立ち飲みバーですが、結構人が入ってきました。次のどこに行こうか、カウンターに立っていた写真の彼に相談したところ、一押しの店があるということで1件ご紹介頂きました。なんでもワサビ漬けのお酒が飲めるとか?!

【愛知】共栄窯(常滑)

人生を悔いなく生きるにはどうするか?その日その日を精一杯に生きる、とかありきたりの言い方がありますけれど、自分流に言わせてもらえればこういう事です。 「気になったことは、その場でやる」、これだけです。 でも、モヤモヤしたりウジウジしたりで先延ばしにしてしまうことが未だに多い。 若いうちはそれでも可愛らしいですが、歳を取るにつれて「次」っていうのが、日に日に重たくなって来ます。その「次」はいつくるのか?ホントにくるのか? 一回一回がすべてチャンスと思えば姿勢も変わってきます。もちろんすべてに気を張っていたのでは息苦しいんで、ある程度のメリハリも必要なのですが。。 さて、そういった意味で、自分はやっぱり出張とかで出かけた時に、何をするかというのは、とても重要です。仕事の次にです!もちろん。笑 さて前置きが長くなりました。 今回の訪問先は、自分にとって5年ぶりくらいの「再チャレンジ」になります。 再チャレンジとはどういう意味かというと、以前中部空港を利用するのに前泊でここ(愛知県常滑)に泊まったことがあるのです。その時はただ空港に近いというだけで選択しただけで、焼き物で有名だとか、このバーに存在とかは全く知りませんでした。 ただ、その時はこのお店の扉を開けることができなかったのです。当時はそこまでお酒にも詳しく無かったですし、外観が非常に特徴的で面白そうだとは思ったんですが、中が全く窺い知れず勇気が出ませんでした。 初めて来た土地で、夜遅くに、バーを訪問する。しかも独りで。冷静に考えれば結構ハードル高いのかなとも思います。 今では大分こういうのにも慣れてきて、緊張で扉を開く勇気が無いということは無くなりました。それでも、やっぱり扉を開ける一瞬は緊張します。注射に慣れても、チクッと刺すときは意識してしまう、そんな感じです。 さてこのバーの特色は何と言っても外観もさることながら、その中の空間にあります。 ここ愛知の常滑は焼き物の町で有名です。街の中を歩いてても感じは伝わって来ます。このバーも実は焼き物(しかも土管!です)を以前焼いてた窯だったのこと。内部の空間はカマボコ型をしていて、土管を焼いてただけありかなりデカイ。 カウンター席の他に、テーブル席もありますが、それでも広々しています。器とかを焼く「登り窯(のぼりがま)」とかは見たことあるのですが、とても人が中に入って寛げるような感じでは無かったですね。 それにしても誰のアイデアなんですかね?焼き物の窯をバーにしちゃおうなんて。本来の用途とは全く違いますが、再活用として初めてナイス・アイデア! さて、釜の中で何を飲もうか考えました。 とりあえずメニューから興奮を覚ますべくローランドのウイスキー・グレンキンチーをロックでまずは一杯。  ローランドはあまり飲む機会がありません。スコットランドの中心都市であるエジンバラを含む南部地域がローランドと呼ばれますが、この地域に現存する蒸溜所は非常に少ないです。 グレンキンチーと、オーヘントシャンがよく知られている蒸溜所ですが、他はほとんど見ることが無いかと思います。 さて、今回トライしたグレンキンチー12年。 ノージングはフローラルで軽く、味わいはハイランドとはまた違う柔らかな感じで、まろやかさがあります。都会的なタッチとでもいうのでしょうか。 マスターにお話を伺ったところでは、このバーはまだ始めてから7年ぐらいとのこと。窯自体は昭和前半くらいの作りなので、建物は古いですが店は非常にまだ若い。 土管を焼いてたというこの窯が現役で使用されていたのが、昭和46年迄ということなので、使われなくなってから半世紀近くの経つ計算。 しかし、店の中の感じはつい最近まで火を炊いていたのでは無いかと思うほど内壁が黒光りしています。 恐らく何かしらの復元なりメンテ工事をしたのだろ思われますが、平日夜の遅い時間にも関わらず店の中は終始バタバタの状態。 今回は経緯などをゆっくりお伺いすることが残念ながらできませんでした。 忙しく動くマスターが少し手を外された瞬間に、次の一杯を注文。ロイヤルロッホナガーです。これはメニューから見つけました。ジョニーウォーカー・ブルーラベルのキーモルトとして知られる銘柄です。 元々の名前はロッホナガー蒸溜所でしたが、英王室の夏の離宮が近くにあり、その縁でビクトリア女王が蒸溜所を訪問されたことから、ロイヤルの名前を冠するようになりました。1848年のことです。 ノージングはフローラルで柔らかな感じがありますが、味わいはハイランド系に特有なスッキリとした感じ。 二本続けて柔らかなウイスキーを飲んだので、最後に違う系統を頼みたくなりました。アイラ系でなにかシメをしようと思い手元のボトルを眺めながら決めたのがアードベック・ブラック。 結構よく見かけるのですが、飲んだことはありませんでした。LVMHのアードベッグ。そうです、LVMHは傘下にルイ・ヴィトンやディオールを持つフランスの大手企業体。超高級シャンペンとして知られる「ドンペリ(ドン・ペリニヨン)」のモエ・エ・シャンドン社も同じ傘下です。 そんな訳で、自分は普段あまりお世話になっていない(泣)仏高級ブランドのウイスキーということで、なぜか飲む前からソワソワします。敷居の高さを勝手に感じていたのかもしれません。(笑) ノージングはまさにアイラ系という感じで、口に含むとスモーキーさが全体に広がります。ラフロイグやラガブーリンのような癖のある感じではなく、割とスッキリしたスモーキーさです。 ラベルの後ろを見ると「ニュージーランドのピノノワールのワイン樽」を熟成に使用したと書いてありますが、正直私には分かりませんでした。とにかくスモーキーなパンチがあって、言われてみればベリー系の余韻もあるかなという感じです。 終電の都合のあり、もう少し窯の中でまったりしたかったのですが、最後はいそいそと荷物をまとめて店を出ました。最後までカウンター席は一杯でした。やっぱり皆さん常連の方のようで、このバーの雰囲気に惹かれて来られるようでした。 常滑を訪れることがあれば、焼き物見学の後にぜひともオススメします。フードメニューも充実していて、ウイスキー以外のドリンクも豊富にあり、テーブル席もありました。色んなシチュエーションに対応できそうです。

【広島】バー・リトルハピネスさん(広島)

広島が好きです。 理由、要りますかね?笑 敢えて言うなら、昭和の香りです。それも品の良い香りです。 自分は昭和の生まれですが、平成、令和となって、街に昭和の雰囲気がめっきり無くなった気がします。建物や街全体が新しくなることは良いことだとは思います。便利で快適になりますから。 でも少し寂しい気もします。ヨーロッパの都市の旧市街を散策してたりすると、やっぱり羨ましく感じてしまいます。 古くても良いものは輝きがあります。年を経ることで良さがでるものは確かに存在します。 日本で昭和っぽい街並みと聞いて連想するのは、時代遅れで古臭い感じでは無いでしょうか。 古びた建物に、シャッターの下りた商店街、廃墟と化したような街並み… そういう場所も沢山あると思います。地方に行くと街の中心にある商店街は閑古鳥が鳴いていることは少なくありません。 その中で広島は、その街並みが昭和っぽさの上に築かれながらも、「美しく」繁栄している、そんな気がします。 市内の川に架かる橋。結構沢山あります。どれも結構年季が入ってますけど、ヨーロッパの橋の様に品があります。 街中では新旧両スタイルの路面電車が仲よく走るのを見かけます。市民や観光客の交通手段として現役で活躍してます。 繁華街も昔の感じそのままに賑わいがありノスタルジックな感じがして素敵です。中には怪しげな店もチラホラありますけど、全体的に肩肘張った緊張感が無い。お寺の縁日の祭りの様な懐かしい感じがします。 日本の街は古いものを壊して新しく作り替える式が多い。その中で広島は、うまく昔のものを引き継ぎ活かしている、そんな気がします。贔屓しすぎですかね?!笑 結局長々と語ってしまいました。 そろそろ本題のウイスキーバーに話を移しましょうか。 今回お邪魔したのはリトルハピネスさん。 ウイスキーバーにしては可愛らしい名前、建物の一階にあったのでふらっと寄ってみました。 店内はスタイリッシュな感じで、結構きれいにボトルが並べられてます。 オフィシャルを中心にボトラーズも。 パッとみた感じ左がスペイサイド、真ん中がアイラで、右はジャパニーズやバーボン系 今日はスペイサイドが飲みたかったので左側に席をとりました。 さて一杯目は広島ということで、コレを頂きました。 広島・廿日市の中国醸造さんのウイスキー。戸河内TOGOUCHI。 ウッドフィニッシュで酒樽とビール樽が置いてあり、ビール(IPA)樽フィニッシュのものをロックでいただきました。 ビールのホップ感までは正直分かりませんでしたが、スッキリした味わいです。ソーダ割りとかでも美味しいかもしれません。 中国醸造さんは「桜尾」という国産のジンを作っており、こちらの方がよく知られているかとは思います。 2021年にはスコッチウイスキーの慣習に習い3年の熟成を経た待望のシングルモルトが発売されるようです。 広島といえば賀茂鶴を始めたした西条のお酒というイメージが強いですが、今後はウイスキー造りも楽しみです。 2杯目は何にしようかなーとメニューを眺めていました。 因みにここのメニューはウイスキーバーにしては珍しく、一つ一つのボトルが丁寧に紹介されています。 真っ暗でメニューすら置いてないとこもあるので、初めての方とかオススメですね。 ノッカンドゥーのナッティーさが気になりましたが生憎売り切れ。 そこで真ん中にドンとあったモートラック16年をストレートで注文。 結構特徴的なボトル。ここのロゴって、丸ビルのロゴに見えてしまいます。笑 さて味わいなんですが、ノージングはスペイサイドっぽい華やかな感じ。16年モノなので力もあります。 テイスティングはこちらのメニューのコメントにもありますが、フルボディでどっしりした感じ。主張感のあるボトルのスタイルと合ってます。アフターもしっかりとした余韻が残ります。重量系なスペイサイドって感じですね。 次に頼んだのはこちらのお店の特注ボトルでビンテージもの(簡単いうと熟成年数だけではなく、蒸留した年も明記されているボトルです)で、フェターケアン10年。 フェッターケアンはブレンドスコッチ・ホワイト&マッカイのキーモルトとして知られる東ハイランドの蒸溜所。淡い黄色してるので、バーボン樽熟成でしょうか、さっきのモートラックと比べても色が全然違います。 しかし何よりも驚いたのはこの香り。なんだろコレ?!柑橘系の皮のようなシトラスっぽい感じです。テイスティングはハイアンドに特徴的なスッキリでスパイシーな感じがあります。 スペイサイドも一応ハイランドの一部なんですが、やっぱり味の質が違いますね。個人的にはハイアンドの水は透明感があって、バーボンの特徴がより綺麗に出るような気がします。 ミックスナッツをポリポリしながらしばし広島の夜を楽しませてもらいました。翌朝に少し打ち合わせをして出発なので、広島滞在時間は実質12時間未満。 お店の方が色々とオススメのボトルを並べてくれて、どれも興味があったのですが明日から仕事ということもあり次回以降のお預けとなりました。 特に40%offになっていた「響21年」はかなり迷いました。 年に一度くらいしか来ることないので、本当に短い時間ではありましたが堪能させてもらいました。他にも市内にはいわゆるオーセンティックバーと言われる正統派のバー(いわゆる普通の人がイメージするような感じのくら〜いバー)が結構あるようで、また機会があれば回って見たいと思います。 【編集後記】 ところで、このバーに置かれていた一つ一つのボトルが紹介された「メニュー」。これを写真に撮り収めるのを忘れていたことに後で気づきました。少し迷った末、直接連絡してみたところ、ご親切にもそのメニュー、というかメニュー「帳」の写メを送っていただきましたので掲示いたします。ありがとうございます! ウイスキーは名前とかだけでは味のイメージがピンと来ないことが多いです。かといって、これがスペイサイドで、カスクがシェリーフィニッシュでと説明されたところで、どんな味か普通は想像つかないですよね。ですが、このメニュー帳には、初めての方にも分かりやすく丁寧にイラスト付きで説明がされていてとても良かったです。ウイスキーに興味を持ち始めた方で、こちらの方面にお住まいの方であれば、特にこのリトルハピネスさんをぜひ推したいですね!

BAR GOSSEにてII

先日訪問したバーで、敢えて置かれていなかったジャパニーズ・ウイスキー。 今回は5年ぶりくらいに再会する友人Y氏と訪問。 さて、今回はウイスキーを普段飲まれない人を連れてなので、「ウイスキー」の面白さを知ってもらうべく近くのコンビニでこんなものを調達。 言わずと知れたサントリーの「角瓶」。本当にどこでも手に入ると思います。数百円です。 ウイスキーは安いから美味しくない、という訳ではありません。 特に角瓶は1937年に発売されて以降、名実ともに日本で最も良く知られたウイスキーで、売上№1を誇ります。 ドライですっきりした後味から、ハイボールでも美味しく飲めます。 とはいえ、やはり熟成年数の若い樽をバッティング(混ぜ合わせて)して作られているので、熟成前の原酒の味に近いのかなと。要は、スピリッツのような感覚。 ウイスキーは原酒の出来も重要だと思いますが、やっぱり熟成による味の変化が一番の醍醐味。 なので、やっぱり個人的には物足りない感じ。 でも、とりあえず山に登るには登山口から、という訳で無理を言って「角瓶」からのスタートをお願いしました。 *ちなみに、コンビニで買ってきたウイスキーを飲ませてくれるワガママ聞いてくれたことに感謝!普通では考えられないです。どうか真似をしないでください。(笑) さて、角瓶をストレートで楽しみながら昔話に花を咲かせました。 個人的な話ですが、Y氏とは大学時代からの付き合いです。 外資や日系大手の海外駐在を経て、かなり最近、というか先月に勤めていた会社を退職。 「え、何するの?」と聞いたら「勉強」との答え。しかも学部、しかもアメリカ、しかもニューヨーク。 ??? すみません、まだ一杯目ですが頭がクラクラします。汗 なんでもコロナや子育てで、再度人生の意義について考えた結果、自分の本当にやりたい事がなにか、という問いに返ったそうです。 アメリカはまだ大変なので、しばらくは日本待機なようですが、時代の変化をつくづく感じます。 **** 「山崎」 「山崎12年」 「山崎18年」 日本の山崎は、世界のYAMAZAKIになりました。 ウイスキーの熟成年数の表記をエイジ・ステイトメントと言います。 その表記の無いものはNAS(ノン・エイジ・ステイトメント)、通常ノン・エイジと言います。 山崎12年、山崎18年とあるのは、それぞれ12年以上、18年以上、熟成した樽の原酒のみを使用しているという意味です。 山崎のエイジもの(熟成年数の表記があるボトル)は昔に比べて非常に入手が困難で、値段も高くなりました。 *ともっともらしく書きましたが、自分はそれらが入手容易であった時にはウイスキーに興味が無かったので、実感としては分かりません。 国内でも、ノンエイジはともかくとして、エイジものを頼むときは値段がいくらか頼む前に確認します。 やはり、希少価値で値段が高くなっているところがあるので、適正価格という枠が無い気がします。特に海外では、非常に高価な価格で販売されることもあるようです。 ウイスキーは熟成年数を経て完成品となります。 需要が突発的に上昇しても、熟成していた樽の分が無くなれば終わり。 限りあるストックに対して、それ以上の引き合いがくればどうなるかは明白ですよね。 タイムマシンで過去に遡って仕込み量を増やしておく様に指示ができれば良いのですが、 残念ながらそうはいきません。 在庫が減るほどに、希少価値が高まり、値段は上がります。 しかも、単純にラインを増やして作れば良いという話ではありません。 原酒を急いで作っても、そこから熟成に数年、数十年の歳月を要します。 山崎のエイジものが入手困難になっている理由はまさにここにあります。 当時は、これぐらい仕込んでおけば大丈夫だろう、と思っていたのが、実際は全然足りなかった。 しかし、この問題はウイスキー作りに必ずついて回る問題です。 今作るウイスキーの仕込み量は、10年後、20年後の需要を想定しながら計算しなという訳。 他にこんな商売は自分には思い当たりません。 自分がウイスキーに惹かれるのも、こうした「不確実性のロマン」があるからです。 さて、「山崎」も「角瓶」も同じサントリーの蒸留所で熟成したウイスキーを元に作られていますが、何が違うのでしょうか? 簡単に言うと、二つです。 ひとつは、「山崎」はサントリーの山崎蒸留所で蒸留し、熟成したモノのみを使用していますが、「角瓶」は他の蒸留所(白州蒸留所)由来のモノも混ぜ合わせています。 また、ウイスキーのタイプも違います。「山崎」はいわゆるシングルモルト。原料は大麦由来の麦芽(モルト)のみ。 しかし、「角瓶」はブレッド(ブレンデッド)ウイスキー。これは、モルト・ウイスキーと、グレーン・ウイスキー(トウモロコシや小麦など大麦由来の穀物を使用)の2種類のウイスキーを混ぜ合わせたものです。 これによってどのような違いが出てくるのか? これも簡単に言うと、シングルモルトは単一なのでより蒸留所の特徴が出る個性的な味に。ブレンドは様々なものをミックスしますので、どちらかというとバランスが取れた味になります。 また蒸留設備の違いから、モルト・ウイスキーの方がより複雑に、グレーン・ウイスキーはスピリッツに近い味わいになります。 そして、山崎蒸留所の大きな特徴としてひとつ挙げておきたいのは、熟成樽の豊富さです。 […]

【群馬】ショットバーキャップ(太田)

群馬県の太田を仕事の関係で訪問した。 太田といえば、自動車メーカSUBARUのお膝元。 静岡の浜松とかと同様に、日系のブラジル人が多く住むことでも知られる町です。 仕事の用事が終わって車を太田駅に返却したところで夕方の5時くらい。 さすがにバーが開店するにはちょっと早い時間帯。 しかし、ここまで来るのは滅多に無い。特急電車の待ち時間もある。 色々と言い訳を自分なりに作って駅前をフラフラしていると、駅近くの雑居ビル2階に見つけました。お目当てのウイスキー・バー。 扉の近くに行くと、マスターがバタバタと店を開ける準備をしていたところでした。 店内にもまだ日が差し込む夕暮れ時にカウンターに着席。さて、このお店ですが、 入店した瞬間からちょっとただならぬモノを感じていました。 なんというか直感です。やはりスゴイものって、理屈無しで伝わるものあります。 カウンターに座ってちょっとビックリ。薄暗くて良く見えませんでしたが、ボトルを逆さに宙吊りした状態で、ウイスキーの銘柄がずらりとカウンターの上と後ろに並んでいます。 ボトルを逆さにしているのには仕掛けがあります。 通常は、ボトルを毎回開けて、ワンショットをマスターが計量して、ウイスキー用のチューリップ型のグラスにつぎ込ます。 このボトル逆さタイプ(「ワンショットメジャー」とか言うようです)は、キャップの所にバルブが付けられていて、バルブをひねると、その下の計量カップにワンショット分が自動的につぎ込まれます。 要するに手間がかからないという訳。中にはボトルを逆さに吊るすように、ラベルも逆さに貼ったボトルまであるそうです。 海外では多いと聞きますが、個人的にはあまり国内で見かけたことは無いです。 さて、ズラリと並んだボトル。棚の奥はオフィシャルのスコッチ、カウンターの上に吊り下げられているのはバーボンと、きれいに並べ分けられています。 そして、カウンターの背面の壁には、いわゆるボトラーズのボトルがズラリ。 ちょっと興奮を抑えながら、とりあえずバーボンをロックで。 「バーボンがお好きなのですか?」と聞かれたのですが、これはあくまで準備運動。 本命(スコッチ・ストレート)の前に、最初に少し違う系統のお酒を敢えて頼むのが自分流。 生ビールやスコッチのソーダ割りを頼むことが多いのですが、今日は頭の上にズラッと並んでいるバーボンを選んでみました。 さて、何から頼もうかと頭の中で思案しつつ、マスターにお話しを伺いました。 なんでも、御年80歳で現役。30年以上もお店を続けられているとのこと。 サラリーマン時代にいつかは脱サラすると決めて、40代で少しずつウイスキーのことを勉強し始め、50代で独立されたとのこと。 近くには繁盛している時で、30軒以上も同じようなウイスキー・バーがあったそうですが、現時点で残っているのはココぐらいだとか。 周辺の前橋とか、足利とかからもお客さんが来るそうです。 店のスタイルはいたってシンプル。ウイスキーのみの提供。食べ物は一切無し。 そういえば、ナッツ系のお通しすらも無かったです。 長く続ける秘訣は何でしょうか?との問いかけに、 「軸をブレないこと」との答え。 そういえば、以前に横須賀のスナックで飲んでいた時に、隣のおじさんから同じようなことを言われたことがあります。 「飲んでも軸はブレんな!」、と。 他の廃業されたバーはお客さんからのリクエストで、食べ物とか色々と工夫をされたところもあったようです。 しかし、結局はお店の特徴があやふやになり、どこも上手くいかなかったとの話。 そんな話を伺いながら、何を頼むかを決めました。 ズバリ、「マスターのおすすめ」。 人任せに頼むのは久しぶりですが、ここまでの話の流れで、マスターの飲まれる銘柄が気になってしまいました。 そこで出てきたのが、「グレンドロナック」。 マスターはシェリー樽熟成が好みなようで、同じくシェリー樽熟成で有名なウイスキーのロールスロイスと呼ばれる「マッカラン」と似たような系統。 実は、この間ちょっと寄ったバーで「マッカラン12年」を飲んだばかりだったので、予習はバッチリでした。 香りは確かに、マッカランと同じ様な感じですが、味はかなり引き締まった感じ。 ネットのレビューを見るとフルーティで甘いとかありましたが、個人的にはテイスティングはナッティーでドライな感じがしました。 「どうですか?」とマスターに聞かれたのですが、うまく答えられませんでした。 自分はまだノージングやテイスティングの感覚には自信が無くて、30年以上もベテランのマスターに感想を述べるのは緊張しかありませんでした。 しどろもどろしている自分に、 「これと比べるともっと面白いですよ」 と、出てきたのが同じくグレンドロナックの18年。 熟成年数が長いだけでなく、熟成樽も違います。 12年モノはオロロソ・シェリーとペドロヒメネスのバッティングですが、18年はオロロソのみ。 オロロソとか、ペドロヒメネスというのはシェリー(酒精強化ワイン)の種類です。 産地はスペイン。簡単には、オロロソは辛口で、ペドロヒメネス(PXとも)は甘口。 18年は単一の樽熟成なので、シンプルかと思いきや、やはり熟成年数が高いので深みのある香りと味わい。色もかなり深いルビー色です。 こちらもやっぱり一味飲んだ後に、「どうですか?」と質問が。 […]

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