人生を悔いなく生きるにはどうするか?その日その日を精一杯に生きる、とかありきたりの言い方がありますけれど、自分流に言わせてもらえればこういう事です。
「気になったことは、その場でやる」、これだけです。
でも、モヤモヤしたりウジウジしたりで先延ばしにしてしまうことが未だに多い。
若いうちはそれでも可愛らしいですが、歳を取るにつれて「次」っていうのが、日に日に重たくなって来ます。その「次」はいつくるのか?ホントにくるのか?
一回一回がすべてチャンスと思えば姿勢も変わってきます。もちろんすべてに気を張っていたのでは息苦しいんで、ある程度のメリハリも必要なのですが。。
さて、そういった意味で、自分はやっぱり出張とかで出かけた時に、何をするかというのは、とても重要です。仕事の次にです!もちろん。笑
さて前置きが長くなりました。
今回の訪問先は、自分にとって5年ぶりくらいの「再チャレンジ」になります。
再チャレンジとはどういう意味かというと、以前中部空港を利用するのに前泊でここ(愛知県常滑)に泊まったことがあるのです。その時はただ空港に近いというだけで選択しただけで、焼き物で有名だとか、このバーに存在とかは全く知りませんでした。
ただ、その時はこのお店の扉を開けることができなかったのです。当時はそこまでお酒にも詳しく無かったですし、外観が非常に特徴的で面白そうだとは思ったんですが、中が全く窺い知れず勇気が出ませんでした。
初めて来た土地で、夜遅くに、バーを訪問する。しかも独りで。冷静に考えれば結構ハードル高いのかなとも思います。
今では大分こういうのにも慣れてきて、緊張で扉を開く勇気が無いということは無くなりました。それでも、やっぱり扉を開ける一瞬は緊張します。注射に慣れても、チクッと刺すときは意識してしまう、そんな感じです。
さてこのバーの特色は何と言っても外観もさることながら、その中の空間にあります。
ここ愛知の常滑は焼き物の町で有名です。街の中を歩いてても感じは伝わって来ます。このバーも実は焼き物(しかも土管!です)を以前焼いてた窯だったのこと。内部の空間はカマボコ型をしていて、土管を焼いてただけありかなりデカイ。
カウンター席の他に、テーブル席もありますが、それでも広々しています。器とかを焼く「登り窯(のぼりがま)」とかは見たことあるのですが、とても人が中に入って寛げるような感じでは無かったですね。
それにしても誰のアイデアなんですかね?焼き物の窯をバーにしちゃおうなんて。本来の用途とは全く違いますが、再活用として初めてナイス・アイデア!
さて、釜の中で何を飲もうか考えました。
とりあえずメニューから興奮を覚ますべくローランドのウイスキー・グレンキンチーをロックでまずは一杯。
ローランドはあまり飲む機会がありません。スコットランドの中心都市であるエジンバラを含む南部地域がローランドと呼ばれますが、この地域に現存する蒸溜所は非常に少ないです。
グレンキンチーと、オーヘントシャンがよく知られている蒸溜所ですが、他はほとんど見ることが無いかと思います。
さて、今回トライしたグレンキンチー12年。
ノージングはフローラルで軽く、味わいはハイランドとはまた違う柔らかな感じで、まろやかさがあります。都会的なタッチとでもいうのでしょうか。
マスターにお話を伺ったところでは、このバーはまだ始めてから7年ぐらいとのこと。窯自体は昭和前半くらいの作りなので、建物は古いですが店は非常にまだ若い。
土管を焼いてたというこの窯が現役で使用されていたのが、昭和46年迄ということなので、使われなくなってから半世紀近くの経つ計算。
しかし、店の中の感じはつい最近まで火を炊いていたのでは無いかと思うほど内壁が黒光りしています。
恐らく何かしらの復元なりメンテ工事をしたのだろ思われますが、平日夜の遅い時間にも関わらず店の中は終始バタバタの状態。
今回は経緯などをゆっくりお伺いすることが残念ながらできませんでした。
忙しく動くマスターが少し手を外された瞬間に、次の一杯を注文。ロイヤルロッホナガーです。これはメニューから見つけました。ジョニーウォーカー・ブルーラベルのキーモルトとして知られる銘柄です。
元々の名前はロッホナガー蒸溜所でしたが、英王室の夏の離宮が近くにあり、その縁でビクトリア女王が蒸溜所を訪問されたことから、ロイヤルの名前を冠するようになりました。1848年のことです。
ノージングはフローラルで柔らかな感じがありますが、味わいはハイランド系に特有なスッキリとした感じ。
二本続けて柔らかなウイスキーを飲んだので、最後に違う系統を頼みたくなりました。アイラ系でなにかシメをしようと思い手元のボトルを眺めながら決めたのがアードベック・ブラック。
結構よく見かけるのですが、飲んだことはありませんでした。LVMHのアードベッグ。そうです、LVMHは傘下にルイ・ヴィトンやディオールを持つフランスの大手企業体。超高級シャンペンとして知られる「ドンペリ(ドン・ペリニヨン)」のモエ・エ・シャンドン社も同じ傘下です。
そんな訳で、自分は普段あまりお世話になっていない(泣)仏高級ブランドのウイスキーということで、なぜか飲む前からソワソワします。敷居の高さを勝手に感じていたのかもしれません。(笑)
ノージングはまさにアイラ系という感じで、口に含むとスモーキーさが全体に広がります。ラフロイグやラガブーリンのような癖のある感じではなく、割とスッキリしたスモーキーさです。
ラベルの後ろを見ると「ニュージーランドのピノノワールのワイン樽」を熟成に使用したと書いてありますが、正直私には分かりませんでした。とにかくスモーキーなパンチがあって、言われてみればベリー系の余韻もあるかなという感じです。
終電の都合のあり、もう少し窯の中でまったりしたかったのですが、最後はいそいそと荷物をまとめて店を出ました。最後までカウンター席は一杯でした。やっぱり皆さん常連の方のようで、このバーの雰囲気に惹かれて来られるようでした。
常滑を訪れることがあれば、焼き物見学の後にぜひともオススメします。フードメニューも充実していて、ウイスキー以外のドリンクも豊富にあり、テーブル席もありました。色んなシチュエーションに対応できそうです。