Month: November 2020

【新潟】Caf’e Bar K’s(直江津)

新潟県直江津市の駅近くにあるCafe Bar K’s(ケーズ)を訪問しました。カジュアル系のスタイルですが、カウンターでモルトウイスキーを一人で楽しむこともできるし、テーブル席もあるのでカップルやグループでも大丈夫です。店内は割と広く、肩ひじ張らない雰囲気。でも、モルトウイスキーのセレクションもオフィシャルを中心にきっちりとありました。 駅近のカジュアル系バー 「直江津」と聞いてパッと来る人は、たぶん地元の人か旅好きの人では無いでしょうか?今は北陸新幹線という大動脈が出来たためかつてのような面影はありませんが、この直江津というのは北陸本線と信越本線が交差する鉄道交通の要所でした。現在は、北陸本線は第三セクターに移管され、(群馬県高崎と新潟を結んだ)信越本線も新潟側はこの直江津が終着駅となり、長野方面は同様に第三セクターの運営となっています。 着いたときはどっぷり更けてた汗 今回この駅にフラッと立ち寄って街を探索してみましたが、とても重厚感のある歴史を感じある街の趣がありました。何と言っても名所は「五智国分寺」ではないでしょうか。「国分寺」というのは、いつしか学校の歴史の授業で習ったはずです。「奈良時代に聖武天皇が仏教による国家鎮護のために各地に建立した寺院」。その越後(新潟県)の国の国分寺がこの五智国分寺というワケです。 さて、こういった街の中ですが、駅から少し歩いた神社(八坂神社)の近くに歓楽街があり(なんと境内の敷地内にスナックが!)、その裏に今日お目当てのバーがありました。ちょうどお店が開くところでマスターが玄関で準備をされてました。ということで、連れられて建物の2階のお店に案内頂きました。 入ってすぐのカウンターの端っこに陣取り、ざっと棚に陳列してあるボトルを眺めます。そこで、ふと目が留まったのがコレ。JURAの基本ラインアップの中で、ライトピートが特徴のSUPERSTITION(迷信)だけがまだ飲んだことがありませんでした。少し口に含んでの印象は、心地よいピート感と甘さ、そしてジュラらしい穏やかな味わい。割と控えめにまとまっている感じですが、とても個性的な味です。 JURA SUPERSTITION PORT ASKAIG 次に頼んだのがこちら。アイラの新生「ポートアスケイグ」。こちらは少し由来を説明します。イギリスにELIXIR DISTILLERSという有名なウイスキー専門業者があります。経営するのはスキンダー&ラジ・シン兄弟というインド系英国人で、ロンドンなどにあるWHISKY EXCHANGEというウイスキー専門のリカーショップが良く知られています。(この屋号は元々兄弟の両親が経営していた酒屋さんの名前に由来)ウイスキーのネット商売で成功し、また希少性の高いウイスキーのコレクションにも定評があります。そしてELIXIR DISTILLERSがオリジナルでリリースしているボトルがこの「ポートアスケイグ」シリーズ、こちらはその16年です。中身は公開されてませんが、パッと飲んですごく分かりやすいアイラピートが!ネットみるとカリラかライフロイグのようですが、自分はライフロイグに1票でしょうか。 最後にグレンモーレンジ。アイラとアイランズのピートを続けたので、最後に口直しと想い選びました。グレンモーレンジは、「ハイランズ」ですが、味わい的には中性的な印象があります。頂いたのは「ネクタドール」、フランスの超甘口の貴腐ワイン「ソーテルヌワイン」樽で後熟したのが特徴。ですが、味わいはそこまで甘口というほどでもなく、程よくマイルドな味わい。グレンモーレンジは樽にこだわりがあることでも知られ、ボディの「滑らかさ」が特徴と言われます。ネクタドールも基本のベースは、マイルドで滑らかにまとまっている感じがしました。 開店直後で、こういった時節柄ということもあり、1時間強滞在しましたが、お客さんは自分一人だけでした。お話を伺っていると常連の方には「公務員」の方も多いらしく、そうした方がめっきり来られなくなったとのこと。改めてサラリーマンというのは気楽な身分だと痛感。地方のバーの良いところは、やっぱりラインアップがベーシック中心で、あとはオーナーの個性で趣向や「変わり種」が少し置いてあること。沢山ずらりとボトルが並んでいるのを見るのも壮観ではありますが、こじんまりとしたところで落ち着いてじっくりと何かテーマを決めて飲む、というのも十分に楽しめます。 最後にこちらのバーの所在をご紹介しておきます。JRの直江津駅を北口に出て歩いてすぐです。夜の8時から開いてました。マスターも気さくな方。他に従業員の方もいるようですが、自分が訪問したときは生憎不在でマスターお一人でした。店内も広めで、落ち着いた雰囲気で楽しめます。

【特派員投稿】蒸溜所ってどんなとこ?

ウイスキーを初めて飲んだのはじつはいろんな事がキッカケだったりするけれど ウイスキーの世界に完全に惹きこまれたのはあの時、白州の蒸溜所を訪れたからだとはっきり言える。 ちょうど今頃の秋晴れの日に穏やかな木漏れ日と鳥のさえずりがやけに印象的だった。あれから4年も経っていて自然と忘れている出来事も多いのに、どうしてかその日のことは忘れない。   本当に美味しいウイスキーだった。 だから、そんな私にとってウイスキーの蒸溜所を訪れることは凄く特別なことだけれどこれを読む皆さんにとっては、どうなのだろう。 酒造りは基本的に風土を重視するなどから蒸溜所の多くは自然の奥地にあり、わざわざそこへ足を運ぶほどではないかもしれない。その労力と移動のお金をかけるくらいなら近場のBarや宅飲みで….そう考える方もきっといると思う。 でも あなたがもし、今まで飲んだウイスキーやその他お酒の中で感動!と言わずとも「あれ?もしやこのお酒…」「何か美味しいかも」という覚えが少しでもあるのなら 蒸溜所に行くことは必ずその人生を豊かにする。 決して難しい知識なんて必要ない。“蒸溜所を訪れること”が馴染みあるお酒の味を何倍も美味しくさせる。 今回はこれについて話をしていこうと思う。 蒸溜所の魅力について・五感で楽しめる・貯蔵庫で眠る熟成樽・お酒で繋がる人との出会い・蒸溜所限定ウイスキー ・五感で楽しめる 今回この記事を書くにあたって、自身のTwitterでも”蒸溜所を訪れる醍醐味”について伺ったところその土地の「風土」だと言う意見も多かった。 蒸溜所に着いた瞬間の麦の香り。モルト(麦芽)は実際、一粒かじってみると口いっぱいに広がる香ばしさと少し甘い味。発酵槽で酵母がブクブク発酵する様子や蒸溜しているスチルによる室内の熱気。 お酒の知識だけならバーテンダーさんから話を聞くこともできるが、馴染みのお酒がどう生まれるのか、その過程をこの目で見るか否かではやはり全然違う。 できるだけ蒸溜所の様子を写真を通してお伝えしたいが、写真からでは絶対伝えきれない世界観がそこにはある。 ・貯蔵庫で眠る熟成樽 蒸溜所ツアーの終盤で最後の製造工程として案内されるのが貯蔵庫。ここは、本当に圧巻だ。静寂で仄暗い、湿った木や苔の香りがする空間で熟成の樽が何年、何十年と時を刻んでいる。 ただ目の目にするだけでも圧倒されるが貯蔵庫については、中でも強く印象に残っている出来事がある。 それは以前、スコットランドにあるグレンファークラスの蒸溜所を訪れた時にツアー中、貯蔵庫でウイスキーをサンプリングしている現場に偶然、立ち合ったことがあり その時にスタッフが、サンプリングしていた1974年のウイスキーを贅沢にも、私の掌に注いでくれたのだ。こんな風にウイスキーを直接、掌で掬うように飲むのは後にも先にも、この時だけだと思うが私にとってこの出来事は本当に特別だった。 また蒸溜所によっては貯蔵庫の樽からウイスキーを自ら瓶詰めし持ち帰りができたり、樽出しのウイスキーをそのままテイスティングをするツアーなどが開催されているのでおすすめ。 ・お酒で繋がる人との出会い 蒸溜所のスタッフや製造に携わる職人さんから直接、話を伺えるのも蒸溜所を訪れる魅力の1つである。 先ほど話したグレンファークラス蒸溜所での出来事は、スタッフさんにとってはちょっとした”ノリ”だったかもしれない。だがこんな突然のサプライズも、スタッフさんとのふれあいも正直言って本当に嬉しい。 以前、英語が全く自信のなかった私はスコットランドの蒸溜所スタッフの方に予め用意したスケッチブックを持って行き筆談でこんな質問したことがある。 “もし(あなたが作る)ウイスキーがあなたの特別なベストフレンドだったとしたらあなたは、知人にその親友を何と紹介するか?” 今でも、おかしな質問だったとは思う。 でも、ウイスキーの香りや味を表現するのはとても複雑で、代わりによく”人物”に例えられることが多いことから蒸溜所のスタッフだったらどう表現するか気になったのだ。 質問を受けたスタッフたちはニッコリ笑顔で「何だろうなぁ」と暫く悩んだあと「エレガントな感じかなぁ」「凄く信頼できて、暖かいイメージだね」とそれぞれスケッチブックにわかりやすく単語を書き出してくれた。 その瞬間、単なる蒸溜所の「職員」というより、その人達の素に触れられた気がして、ほんの少しだけどかけがえのない時間を過ごせたと思う。 さらに蒸溜所スタッフだけでなく、見学者として偶然同じツアーに参加していたのをキッカケに繋がる人もいる。率直に同じ趣味を共有できるのは嬉しい、日本でも、海外でも。ただ海外のほうが、言葉のハンデはあっても、ウイスキーの銘柄だけで何となく会話が成り立っちゃうあたりは楽しいかもしれない。 ・蒸溜所限定ウイスキー 最後に欠かせないのは、蒸溜所限定ボトル、そしてグッズだ。限定ボトルは、既に瓶詰めされているものもあれば樽から自分で瓶詰め(ハンドフィル)をして持ち帰れるものもある。 ハンドフィルの場合は、ラベルに自身のサイン、ボトルNo.も記入するため“世界でたった一つのボトル”になる。さらに一樽のウイスキーが無くなれば、また別の樽に変わるため、それを目当てに何度か訪れる人もいる。勿論全ての蒸溜所で手に入るわけではないのでこれに関する情報は行く前に要チェック。 また蒸溜所のロゴ入りのテイスティンググラス、ピンバッジ、スコットランドの場合だとウール地のマフラーやハンチング帽などのグッズもある。お酒は飲んでしまうと手に残らないが、こういうグッズで思い出を残すのもいいと思う。 最後に 本当に蒸溜所に行くのに専門的で難しい知識などはいらない。 知識は、お酒の味を探究するのに役は立つかもしれないけれどウイスキーは、言葉で表現するのにはなかなか複雑で…だからこそ惹かれるのかもしれないが蒸溜所にはその表現できない部分の魅力が詰まっているようにも思う。 そして蒸溜所を訪れた後は馴染みのお酒が何倍も美味しく感じられる。 誰にとっても必ず素晴らしいとは言えないかもしれないけれどこれに少しでも共感していただけたなら是非、蒸溜所にも足を運んでみてほしい。 今回、こちらには寄稿という形で記事を書かせていただきました。ウイスキー好きが高じて現在は、アイルランドに住んでおります。蒸溜所巡りは人生の楽しみになりました。いつかアイリッシュウイスキーもおすすめしたいなぁ。

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