まさに奇跡のバーと呼んでも良いかもしれないですね。ここは神戸・三宮の北口側から山側に少し歩いた繁華街にあるワインバー、ノラック(NOLAC)さん。昔の店名はカロンセギュールであったようでありますが、兎にも角にもスゴイ!の一言に尽きるワインバーです。まずはお店のローケーションを先に示しておきます。神戸が初めての方は恐らく迷うかもしれませんので、googlemapでチェックしてから行くのがベターです、実際こちらのお店に何度も場所が分からない、という電話がかかってくるのをカウンター越しに漏れ聞いたことがあります。お店のホームページにもある通りですが、三宮駅(因みに神戸の繁華街の中心にあるのが三宮です)から北側に伸びる北野坂を上がりラーメン屋さんが目印になります。そこを左手に曲がり、二つ目の小さな通りを右手に。少し入った手前側がお店です。背の高い扉が目に入るかと思います。入るのに少し勇気がいる店構えですが着いたらとにかく扉を押してみましょう。後のことは考えなくて大丈夫です!
記憶を頼りにですが、写真のワインは右から順にカルフォルニア産ピノノワール、オーストラリアのカベルネ、イタリアトスカーナのサンジョベーゼ、フランスボルドー、フランスブルゴーニュのピノノワール、最後がチリのワイン。全部赤です。印象に残ったのはトスカーナとチリですかね、複雑で個性的な風味が自分は好きなので。
さて、凄いすごいといって何がそんなに?という話をします。まず、インテリア含めたお店の雰囲気が最高に素敵です。自分はミニマリスト系が好みなんで、あまりワサワサ置いてあるのは好きではないのですが、ここは本当にシンプル。そして店の雰囲気を盛り立てるアイテムもまた上品で落ち着いています。何気に飾られてある器だとか絵画だとか、カウンターや棚の感じも含めてすべてです。マスターはフラワーアレンジメントもご自分で手掛けているそうです。とにかくここではすべての面で大人の教養が問われるなと感じます。でも、肩ひじ張る必要は全くないんです。マスターは本当に気さくでフレンドリーな方。ワインの知識は恐ろしいほどに豊富で、さらに謙虚で勉強熱心な感じです。いやはや、毎回来るたびに恐れ入ります。この店のインテリアだとか内部の空間の写真はいくらでも挙げられるのですが、敢えてここには貼り付けません。どうかご自分の目で確かめに行ってほしいと思うからです。その楽しみを奪わないためにも、なるべく文章だけでお伝えしていきます。
毎回こちらをお邪魔して自分が頼むのが写真のブラインドデースティングセットです。3種類で1セットのセット料金で頼めます。今回は2回挑戦をしてみました。結果は毎回そうなんですが、惨澹たるものだったのですが、初心者でも一つ一つを丁寧に解説をしてくださいます。割とフランスワインが多いのかなという印象はあります。あとオーセンティックなものが多いのかなと。(注:あくまで自分の印象ですm(__)m)それでもって価格が驚くほどリーズナブルなんです。これが本当に衝撃的です。自分は最初にこちらを訪問した時に店の雰囲気とかなどからして、相当ヤバいことになったとソワソワしてしまいました。座っただけでもう緊張してしまいまして、それでもカードOKということなんで、平然を必死に装っていくつかワインを頼んで、支払いのときに金額を見て驚きを隠せませんでした。どうしてなのかを実はマスターに伺ったことがあります。その理由としては、ワインのソムリエ資格に向けてなどワインの勉強をされている方のためであることをおっしゃられていました。ソムリエ資格にはテースティングの実技試験のようなものがあるらしく、そのために結構な量のワインを購入してティスティングの「実学」をしないといけないそうなんです。そうなると、やはり相当のお金がかかってしまうということで、ご自身でも苦労された経験からの価格体系なようです。これで納得してしまって良いものなのかどうか分からないのですが、とにかく高級ブティックのような空間に身を置きながら、一流のソムリエにアテンドしてもらい、ワインを楽しむという贅沢が、破格のお値段でできる、そういうワインバーであると理解してもらえれば良いのかなと思います。
さて、最後に最近はまっているジャパニーズワインの赤でおススメを頼んでみました。そしてお出ましになったのがこちらの、千曲川メルロー。味わいの系統としては、ボトルの感じもそうなんですが、フランスボルドーのような品のある正統派ワインの感じ。甘さがあるのですが、いわゆる昔ながらのジャパニーズワインにあるようなベリー的な安っぽい甘さのそれではなくて、本当に上品な感じがします。この「ソラリス」というブランドはキッコーマンが手掛けるワイン作りの会社「マンズワイン」のブランドで、設立はなんと1962年とのこと。日本のワイン造りのパイオニアだったのですね。醤油もワインも発酵が原理であることを考えれば、特に不思議なことでもないのかもしれません。キッコーマンは海外でのマーケティングに成功している日本企業の一つなので、国内外で今後も益々注目されていくのでしょう。最近は小規模な醸造所でもワインの製造免許が取りやすくなったようで、ジャパニーズのクラフトワインのボトルも酒屋さんなどで少しづつ見かけるようになりました。ワインといえば、フランスやイタリアが古くからの定番で、アメリカやオーストラリアなどのニューワールド系もすでにその知名度を確立しています。ジャパニーズはワインの世界の中でどのような位置づけなのかは分かりませんが、豊かな自然とそれを生かした古くからの酒造りの歴史は国内のいたるところにあるので、個性的なジャパニーズワインの誕生にも期待をしていきたいところです。
さて、そんなこんなで2時間くらいでしょうか。カウンターの奥の席に陣取ってずっとワインを楽しむというこの上ない贅沢なひと時を楽しませてもらいました。お店はカウンター数席とテーブル席が少しなので、何組かが来ると割とにぎやかになります。二組目くらいが来たタイミングでチェックをお願いしました。おしゃれなお店なので、若者のお客さんが多い印象は受けました。もしかしたらソムリエの勉強とかを考えての方もいるのかもですね。ワイン通の方にも、初めての方にもおススメしたい、港町神戸にふさわしい!素敵なワインバーでした。ありがとうございます。
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