名古屋・伏見でみつけた極上のバー
今回は久々の出張ということで名古屋方面に出てきました。名古屋駅に戻ってきたのが夜の7時を過ぎたところであったのですが、もう街の賑わいは相当なもので、前回来た時はいわゆる「禁酒」の期間であったので、正直こんなに店があったのか!という感じです。ゴーストタウンだっところとか、あちこちに灯りがともり、中から盛り上がっている声が聞こえてきます。やっぱり繁華街はこうでなくてはなりませんよね。さて、今回は帰るまでの時間で回れるところということで、伏見近辺をターゲットを見据えてフラフラしてみました。当初、目的とした名だたるバーとかも一応控えてはいたのですが、やはり自分の目で見て発見するということに醍醐味を感じていまして、こちらのバーの灯りにいざなわれ階段を下りていきました。
まず最初の一杯目は前々からきになっていたアメリカ・シカゴ発のクラフトウイスキー、コヴァル(KOVAL)。特に気になっていたのはライウイスキーなのですが、こちらで用意のあったのは東京の信濃屋さんぷろーデュースのモルト&ライ。一口飲んでですが、結構甘い。かなりバーボンウイスキーに近い感じです。お店においてあるボトルなんかを見ていても手ごろな価格帯なので、家に一本置いたりするのには良いかなと思っていたのですが本当においしいですね。
このコーヴァル蒸留所についてですが、日本にもブランドアンバサダーのような方もいたりするので詳しくはグーグル検索にお任せしたいと思うのですが、スコッチ本流とは別のアメリカン・スピリッツという感じかと思います。創業者はそれぞれ大学や大使館で勤務された経歴をもつご夫婦で、ユダヤ系の方と思います。旦那さんがオーストリアの方でご実家がお酒造りをしている(た)そうです。特徴は原料と製法に対するこだわり。原料は有機栽培のものを使用し、蒸留器も独自の設計デザインをもとにカスタムで用意。コーヴァルというのは(ユダヤ人の言語ともいわれる)イディッシュ語で「鍛冶屋」を意味し、転じて「開拓する」(forge ahead)などの意があるそうですが、これはまさにコーヴァル蒸留所の成り立ちと深く関係していて、2008年に同蒸留所ができる前の歴史(シカゴ)をたどると19世紀後半までさかのぼります。
さてと、なんですが、コーヴァルの次に何を飲もうかと裏の棚とかを暗がりに必死で目をこらしながら見ていたいのですが、一人で悩んでいても仕方がないのでおススメをリクエストしてみました。そしたら、なんとというか、やはりというか、出現したのがこちらのプライべートボトル。なんでもこちらのオーナーの方が台湾のボトラーズ「ウイスキーファインド(Whisky Find)」のオーディン・チョウさんと仲が良いらしく、コラボでリリースされたのがこちらのボトルだそうです。この素敵なラベルはチョウさんがご自身でデザインされたものだというのですが、素晴らしいですね。ウイスキーの味わいを絵でズバリ表現したもののようです。(話変わりますが、東京の恵比寿にバー・オーディンという超高級バーがあると聞いたことありますが、何か関係あるのでしょうかねえ。)
さて、ボトルの中身なのですが、右手に見えるのがポートシャーロットでバーボン樽熟成、最後に貴腐ワインでフィニッシュしているだったかだと思います。左はディーンストンのシェリー熟成。フルーティさが特徴ということでいただいたいのですが、原酒が良すぎるのか自分はとにかくモルト感のパンチ力に圧倒されました。どちらともです。特にポートシャーロットのほうは度数が63度くらいあり、もうここまでの度数でいくとフルーティとかどうのってレベルではないような気がしました。ピートも結構効いているし炎のかたまりだった印象ですm(__)m。なので、思わず申し上げたのですが、これは夜も浅い今の時間帯ではなく、日が回ったくらいでないと舌がついていかないです、と。やっぱり良いウイスキーは真夜中くらいでないといけませんよね。1軒目でいただくにはあまりにももったいなかったかもです。
最後にマスターと話しをしながら、〆にご用意いただいたのがこちら。目黒マッシュタンさんのプライベートボトルとのことです。アードモアの控えめのピート感はオフィシャルものとかでも結構好きなのですが、こちらも本当に上品な仕上がりです。ピートは爆発しているのも好きなのですが、慎ましいピートも色気があって良いですね。貴重なお酒をたくさんいただいて十二分に満足できました。また、最後になりますが、こちらのバーの接客術は今まで自分が通ったことのある中で、おそらく最も秀逸なものでした。マスターと、若手の男性が交代で、また絶妙のタイミングで対応して頂いたのですが、間の取り方というか会話の仕方とかサービスの仕方とか含めてすべてが完璧でした。なんというか、本当にストレスフリーで、初めての訪問だったのですがまるで何度も来ていたかのような感覚で、リラックスして味わうことができました。スコッチのモルトバーだとやはり準備してあるお酒も確かに重要なのですが、それを楽しむインテリアだったり、あとはやはりそれらをサービスする「ヒト」の部分でも印象は大きく変わってきます。やはり、良い空間と素晴らしいバーテンダーの人にサービスをしてもらえると安心して良いお酒を頼むことができるというもの。そういった意味でこちらのバーは「極上の」バーであると思いました。ありがとうございました!
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