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東欧のシングルモルト、ルーマニアより

東ヨーロッパ発のウイスキーでまず自分が思い出すのはこの「ハマーヘッド30年」というものです。確か、ウイスキーキャストのオンライン飲みでMCのマーク・ギレスピー氏がダルモアのリチャード・パターソン氏と、グレンモーレンジのビル・ラムズデン氏と対談している回があり、その時に各自が自分の飲んでいるウイスキーを紹介するときにでてきたのがこの「ハマーヘッド30年」で、それ以来、「東欧」と「ウイスキー」というとまずはコレが頭に来ます。恐らく、モルト好きの方でもこのボトルをご存じの方はいらっしゃらないのでしょうか。あまり詳細なことは記憶にないのですが、確かソビエトの崩壊(チェコでいうベルベット革命(1989年))とその後の混乱で倉庫に置き去りにされていたウイスキーの樽が、何かの拍子で発見されて革命30年を記念してリリースされたのがこのボトルでした。ソビエト時代にどのようにウイスキーが作ら得ていたのかはわかりませんが、大麦や樽などの材料は自前で調達できたものの「ピート」だけが入手できず、かなり苦労してスコットランドから調達をしていたのだとか。ハマーヘッドという名前は、ソ連国旗の「鎌と槌」に因んだ命名。こうした経緯があって本数限定のリリース品で、どんな味であったか気になるところですが、かなり高評価モノだったと記憶しています。

ハマーヘッド30年(https://www.glassrev.com/blog)

さて、今回また同じようにウイスキーキャストを聴いていて紹介されたのが「ルーマニア初のシングルモルト」でした。名前はカルパチアン・シングルモルトというようです。製造元はルーマニアで有数のリカー・メーカー「アレクサンドリオン・グループ」。ウイスキー事業を始める前から、ブランデーやウォッカなどの製造をしており東欧では有数の規模の事業者のようで、最近ではアメリカなどの海外向けのマーケティングにも注力をしているようです。ルーマニアといえば、ワインや高級ブランデーの他、「ツイカ」とか「ホリンカ」と呼ばれる果実由来の蒸留酒などで知られています。(と書いては見たもののまだ自分はどれも実際に飲んだことは無いですm(__)m)

Brâncoveanu vinars(https://alexandriongroup.com/)

今回どのような経緯からスコッチウイスキーへの挑戦を始めたのか等は分かりませんが、一応情報では4年半くらい寝かした樽のものを瓶詰してリリースしたとのことなので、逆算すると2018年くらいに樽詰めを開始したとして、なんやかんやで2015年とかそんなくらいからプロジェクトとしては着手していたということなのでしょうか。(ホームページを見ると2017年から操業をなっていました。)親会社であるアレクサンドリオン・グループの計画に沿って立ち上げられたようで、ブランドイメージもしっかりとしたものを感じます。それはやはり何といってもメイド・イン・ルーマニアの(スコッチ流)モルトウイスキーを世界に展開したいという野望なのかなという印象です。

シングルモルトのラインナップ(https://www.youtube.com/watch?v=xLL3-HX8DCc)
蒸留設備はグラッパの蒸留器を改造したものだとかhttps://www.diffordsguide.com/

原料となる大麦は穀倉地である東欧らしくすべて自前のものを使うようです。また、水源は東欧のアルプスとでもいうべきカルパチア山脈の良質な水を使うことができます。樽は自前のワイン樽やブランデー樽などの他にもバーボンやシェリー系などいろいろ取りそろえているようです。自前のオークがあるのかは分かりませんでした。ピートは自前が難しいようで、ベルギーから調達するとなっています。どのような味わいなのか楽しみです。初リリースとなるラインアップは基本はバーボン熟成で、その後にウッドフィニッシュなどをしているラインアップのようです。気候的にはスコットランドよりも温暖で、且つ寒暖の差もあるようで熟成スピードは速めのようです。

アラン・アンダーソン氏(https://carpathian-singlemalt.com/our-story)

スコッチ造りのスペシャリストとして招聘したのがアラン・アンダーソン氏。スコットランドやアイルランドの蒸留所を渡り歩いたエキスパートです。キャリアスタートはロッホローモンド蒸留所。スコットランド最古のリトルミル蒸留所の第二工場として稼働を始めたことで知られるハイランドに区分されるが位置的にはギリギリ。その後、ホワイト&マッカイでしばらく勤務した後、アイルランドのスレーン蒸留所の立ち上げや、モリソン家の新たな蒸留所であるアベラルギー蒸留所で製造現場の管理責任者を務めた後、アイルランド時代の知人の紹介でルーマニアでのシングルモルトウイスキー造りにチャレンジしているようです。

クリックでホームページにとびます。

更なる展開として計画が進行しているのが、アレクサンドリオン・グループによるアメリカのニューヨーク郊外での蒸留所新設計画。Gleneida Distilleryと呼ばれるそうで、ニューヨークのアッパーステート、パットナム群のカーメルに位置するとのこと。2018年くらいから建設計画が立ち上がっていたようであるが、実際のところこのプロジェクトがどのような進行状態であるかは確認ができませんでした。イメージとしては、この蒸留所でウォッカやジン、さらにはバーボンなどのウイスキーを作る計画のようですね。かなり壮大な計画です。現地の建築事務所とコラボして設計されたという蒸留所の外観はかなりモダン。シングルモルトウイスキーのお披露目式もアメリカの大使館で開催するなど、まずはアメリカ市場を攻めている感じでしょうか。今後の展開が楽しみです。

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