Month: June 2022

太田のモルトバー

さて、群馬の太田でショットバーといえばこちらのお店しかないでしょう。以前にもこちらの記事でご紹介はしてありますが、またまたTOBUのりょうもう号にのって炎天下の灼熱地獄の中をやってきました。夜の6時を過ぎてもまるで屋外サウナ状態。もうろうとしながらたどり着きました。 年紀を感じるバーカウンターとオールドボトルが並ぶ棚 この光景をまた拝める日がやってくるとは感激です。前回に来た時は来店時間が早すぎて、空いておらず、何度かすれ違いを重ねていました。マスターもご高齢だったので、もしや、ということも頭をよぎったのですがビルのお店の看板のところに「従業員募集」の張り紙があったので、おや!とは思いつつまずはお店が閉まっていなかったことに一つ安心。でも従業員を張り紙で募集するようなカジュアル系の雰囲気でも無かったので、もしや誰か別の人にでも譲り渡してしまったのだろうか、お店のあの感じがガラリと変わっているんじゃないか、みたいな心配もしながらビル2階への階段を上っていきました。 圧巻の眺め! ドーン!。ああ、この懐かしい感じ。とりあえず中は今までと同じであったことに二度目の安心。しかし、お店の奥から声をかけてくれたシルエット感でマスターではないと分かりました。いったい誰なんだろう?と思いつつ、いろんな可能性があるのでズバリは聞かないで(探偵番組の見過ぎか!?汗)、とりあえずメニュー表みながらエビスビールとナッツを石原裕次郎のように頼みました。(って、コラ!w)ちびちびやりながら、その男性の方が「ここははじめてですか?」と声をかけてくれました。「いや、実は来たことがあるんですよねえ」と言ってどういう言葉を繋ごうかと考えていた時に、その男性の方のお顔がどことなく、以前のマスターと雰囲気が似ていたので思い切って切り出してみました。「以前のマスターとはどういうご関係なんですか?」。ちょっと間をおいて、「息子です(笑)」と笑顔とともに答えが返ってきました。思わず、へえーと声をあげてしまいました。確かにどことなく面影を感じましたが、まさか息子さんだとは。いやはや、嬉しいですよね、親子でこんな素敵なお店をバトンタッチできるとは!。なんだか一瞬に打ち解けた感じになってしまい、階段を上がりながらいろんな心配をしていたことを伝えました。モルトバー巡りはこちらで紹介している通り全国あちらこちらを周遊はしていますが、このタイプのモルトバーは本当にココだけということも。横須賀のどぶ板通りとか、都内のアイリッシュパブみたいなところでもたまにこうやってボトルをひっくり返して、バルブひねって出す方式のを見かけたことはありますが、それはあくまでお店側が簡易的なサービスでやっている感じで主だった定番品がいくつかあるという感じ。ここまでズラリというのはこちらのお店でしか見たことは無いです。(もしほかにもあるよ!みたいな情報があればぜひとも教えてほしいです。m(__)m) コッツウォルズのシングルモルト さて、こうしたわけで落ち着いたところで、シングルモルトを頼みました。こちらはスコッチのオフィシャル系ならかなりいろいろとそろってはいるのですが、カウンターにあったコッツウォルズが目に留まりました。コッツウォルズ蒸留所はスコッチの新興系で少し変わり種なところです。フレイバー豊かなクラフトジンも手掛けていて、ジンは結構いろんなところで見かけますが、ウイスキーをお目にかかるのは初めてでした。調べてみたら今ではアマゾンとかでも普通に入手できるようになっているようですね。ただし、ボトル1本1万円くらいするので、そこそこな値段です。こちらのお店に並んでいたのは、STRカスクのファウンダーズリザーブと、ピートカスクの2点。STRカスクは故ジム・スワン博士が開発されたウイスキーの早期熟成を可能にする特殊な処理の樽で、若い熟成年数の多い新興蒸留所などで広く使われています。かなりスパイシーな仕上がりかなと思いました。まだ若いんでしょうね。恐らく3年か4年の熟成年数なのかなと思いました。ピートのほうはピートで炊いたのではなく、ピートカスクで熟成をしたようです。どこのモルトかは分かりませんが、アイラ系というよりはもっとコケっぽさを感じたので、スコットランド本土のピートでしょうか。ピート感が落ち着いた感じですが、こちらも若さを感じます。どちらもまだリリースしたてといったところで、これからもっと熟成を重ねていけば深みのある感じもでてくるのでないかと思いました。今後のリリースも楽しみです。 バーボンをロックでいただきました。 スコッチを飲みながら、逆さボトルからもいくつか注文をしました。カウンターの上にはバーボン系がずらりと並んでいるのですが、その中からバッファローズトレースとミクターズをそれぞれロックでいただきました。主にはスコッチが充実しているのですが、バーボンの方もかなりの品ぞろえです。従業員募集とはありましたが、新人さんがこのウイスキーをすべて覚えるのはかなり大変かもですね。いずれにせよ、うまく世代交代ができて、さらに新しい人を雇う方向に向いているというのはありがたい話です。津々浦々周りましたけれど、やはり地方の老舗バーはマスターが高齢で、後継ぎ以上に商売も難しくなっているところを時々目にしてきました。やはりここ2,3年で行動パターンが変わってしまって、家飲みとかも普及したこともありますし、夜にまったりバーで飲むという行動形態をとる人が少なくなっていることがあるのかもしれません。自分もあちらこちら巡りはしますが、なかなか同じ人種に会うこともなく。やはりどこも常連さんに支えられてどうにか持ちこたえているという店も多くあるのかなという印象です。でもモルトバーは特別な場所だと思います。「バー」(英語でbarは「柵」や「遮断する」という意味もある)とは良く言ったもので、貴重なお酒が並ぶ棚をカウンターを介して管理しているわけで、バーのマスターはサービスを提供しつつもその実は「管理人」というか「番人」のような性質があります。なので、もちろんのことながら棚にあるお酒をきちんと理解している方でないと務まらないことではあるし、また店を訪ねる人の要望に的確に応えていくということも求められるわけです。これは簡単なことではないですよね。なので、今回こちらの素敵なお店が親から子へとバトンタッチができたということは本当に素晴らしいことだと思います。夜も深くなり始めると、ひとりまたひとりと定連さんらしきお客様が入ってこられました。帰りの電車の時間もあったので、名残惜しさもありましたがお店を後にしました。今度はなんとか泊りでも期待ですね。近くにホテルもあるんですがこのご時世ですし、まだ飲んで泊まるというのはちょっと難しいかなと。また機会があればお伺いしたいと思います! また伺います!!

【品川】クエンチ・ワインQUENCH WINE(西小山)

東急目黒線で目黒から三つ先の西小山の商店街にオレゴン州のワインを独自に扱っているお店があると聞いて駆けつけました。お店はオープンしてまだ1年も経っておらず、まだ店内も少し始められて間もない感じもありましたが、いわゆる立ち飲み系のお店でお酒の販売と併せて営業されているようでした。営業時間的には基本的には土日の夕方からの営業という風にお聞きしましたが、今後もアップデートがあると思うのでSNSなどお店のページ(→インスタページはこちら)から最新情報は確認されたほうが良いかと思います。それでは初めての訪問の記録を残しておきたいと思います。まずお伝えしておきたいのですが、本当におススメです。(もちろんサクラではないですヨm(__)m)オレゴンのワインとクラフトービールがメインなのですが、本当に美味しかったです。 ところで、「オレゴン州」とは何か、というか、どこにあるのか、的な話から始めるべきだと思っています。自分はアメリカに何度か行ったことがあるのですが、それでもオレゴンと言われてもパッと思いつかないです。スミマセンm(__)m。日本に住んでいると馴染みがないというか、キャンピングとかDIYとかアウトドア系の趣味のある方ならご存じの方もいらっしゃるのかなと思いますが。。簡単にいうと、アメリカ西海岸の北寄りで、シアトルのあるワシントン州とカルフォルニアの間にある州です。西海岸といえば、上からワシントン州、オレゴン州、カルフォルニア州の三つなんですが、両隣の州がスター的存在感を放ちすぎて、あまり目立ってないといったところでしょうか。州都のあるポートランドは全米でも住みやすい都市として評価が高く、人口は60万人強。地方都市の部類にありますが、住民のコミュニティ意識が高く地産地消などローカルファーストが根付く街としても知られています。もちろん、こうした意識があってのことかと思いますが、お酒に関してもローカリズムを生かした小規模なマイクロブルワリーや、ウィラメット渓谷でのワイン造りが有名です。 オレゴン州のクラフトビール さて、前置きはこれくらいにしてテイスティングに入りたいと思います。なにせオレゴン州専門という珍しい響きで訪問しただけなので、まったくと言って良いほど知識の持ち合わせはありません。あばよくばバーボンなんかのウイスキーでもないかと棚を隅から隅まで見たのですが、残念ながらまだ?発見できませんでした(注:これについては後にアップデートがありましたので別に紹介しますm(__)m→→コチラ、記事の下の方の編集後記をご覧ください)。とりあえずは、ビールからいただきたいと思います。まずはジャケ買いというか、缶の外観だけで選びました。宇宙の絵をあしらった感じです。SUNRAYというのは「太陽光」?なんだかダイナミックなネーミングです。オレンジ色なんで、とりあえず柑橘系のフルーティさをイメージしてみましたが、これまたその通りというか、とてもフレッシュでフルーティさがはじけます。グラスもドイツ的なジョッキじゃなくて軽やかなグラスが用意されましたが、すばらしいマッチングです。また缶ビールとは思えないくらいの樽生感にびっくりしました。これは一杯目から贅沢です。 さて、こちらのお店は店名にもある通りワインが本命。という訳で、ワインも頼んでみました。オレゴン州には内陸部にウィラメット渓谷というビールのホップやワインぶどうの生産で有名な場所があります。この土地は、気候的にフランスのブルゴーニュ地方にも似ているそうで、ぶどうの生育に適していることからオーガニック系のワイン造りが盛んなようです。アメリカンのワインというのはスーパーで売っているような値段も手ごろのカルフォルニアワインとかしか知らないのですが、このオレゴンワインというのは実は大変知名度もあるようで、オバマ大統領の時代に中国の国家主席を招いた晩餐会にも提供されたことで一躍脚光を浴びるようになったそうです。2015年の話ですが、ワイン初心者の私はまったく知りませんでした。そういえば伊勢志摩サミットの時に三重の地酒が注目を浴びましたが、あれと同じ感じなのでしょうか。通の間で元々知られているようなブランドが何かのイベントをきっかけにいきなり大化けするっているのは結構お酒界隈ではよくあることなのかなと思います。逆を言えば、どこもそれなりのクオリティを造ってらっしゃるんですよね。モノづくりですごいです。 オレゴン、ピノノワール オレゴン、ピノノワール 詳しい話はぜひこちらのお店に来ていただいて、オーナーから直接お伺いするのがよろしいかと思います。自分はあまりクラフトビールやナチュラルワインについては語るほどの知識も持ち合わせていないので、たぶんググったほうが早いかと思いますm(__)m。さて、その代わりというか、オレゴンのウイスキー事情については少し触れておかないといけませんよね。オレゴン州は先にも述べたように、クラフトビールやナチュラルワインの盛んな地。加えて意識高い系の住民や、DIYの土地柄がある。ここまでくればもう文脈的には一択でして、「クラフトウイスキー」です。それが、ウエストワード蒸留所になります。(ちなみに似た名前でお隣のワシントン州で有名なアメリカン・スコッチの蒸留所は「ウエストランド蒸留所」です。) https://westwardwhiskey.com/ ウエストワード蒸留所の特徴はアメリカン・シングルモルトウイスキーの第一人者であることを自任する、アメリカンスタイルのモルトウイスキーメーカーである点です。注意していほしいのは基本的にアメリカでウイスキーといえばトウモロコシ由来のバーボンウイスキーです。アメリカンなモルトウイスキーというのは、スコッチのように自家栽培の大麦を使い、醸造、蒸留、樽熟成をすべて自前で行う。つまり、アメリカンテロワール&メイド・イン・アメリカなモルトウイスキーであることです。スコッチに比べれば歴史はまだ浅いですが、原料のテロワールや発酵などの工程に関するこだわりは本家にまったく負けてはいません。クラフトビールなどで培った知見を活かし、今後どのような成長を遂げていくのかがとても楽しみです。ウエストワードでは国内でも入手ができるようですが、他にも多くの蒸留所が今後誕生することが予想されます。こちらのお店でもぜひともアメリカンウイスキーが紹介される日が来るのではないでしょうか。 https://www.hrdspirits.com/mccarthys-oregon-single-malt オレゴン州でもう一つ有名な蒸留所がクリアクリーク蒸留所。アメリカで初めてのシングルモルトをリリースしたことで知られる。創業者はスティーブ・マッカーシーで、オリジナルのモルトウイスキーはピートタイプのこちらのボトルのみ。2014年にフッドリバー蒸留所に吸収され、蒸留所も元のポートランドから更に内陸のフッドリバーに移設。(『モルトウイスキー年鑑2022年』より) ポートランドの「カスケード・ブルーイング」のクラフトビール。ホッピーなビールとは一線を画す「サワーエール」が特徴。こちらのはウイスキー樽で熟成した上に、レモンとオレンジ風味を添加しているとのこと。その名の通り、柑橘系の爽やかさのある軽やかな仕上がりのビール。 こちらはワインで有名なご当地のグレープを使用し、オーク樽で熟成するなどした「タンニン」をしっかり感じるワインのようなビール。非常にうまく味が馴染んでいて、驚くほど飲みやすいです。 もはや秀逸という言葉しか浮かびません。日本で一般的なピルスナースタイルのクラフトビールなのですが、樽生でもないただの缶ビールなのに、すべてが吹き飛ぶほどの爽快感。ここまでくると神懸っているとさえ思えてきます。一体全体この缶の中はどうなっているんだ!という極上のうまさ。これがビールなんですね! これはIPAスタイルの「ゲームオン」。昔のテレビゲームを思い起こさせる遊び心のあるパッケージです。以前に頂いた樽熟成のカスケードビールは柑橘系のリキュール感ある甘みが特徴でしたが、こちらは柑橘系のシトラス感がボディとしてあるのは似ているのですが、ホップが適度に効いていてそのままスッと軽やかに抜けていくような感じ。こちらもとても缶ビールと思えないようなインパクトがあります。この樽生のようなフレッシュさを輸入ビールで再現できるって本当にどうかしてます!! カベルネ・フラン メインはオレゴンワインのお店なので、ワインも少し勉強させてもらいました。味わいはニューワールド系な感じですが、とっても美味しかったです!残念というか、ちょっと高めなんですね~。もっとオレゴンが盛り上がってくれば、安くなってくる予感です。 渋谷の神宮前にあるPDX TAPROOM Level Beerについて調べていたら、渋谷の神宮前にもオレゴン州のクラフトビールを楽しむことができるバーがあるようです。今度行ってみよう。 と言って、実際に訪問したのがこちらです。↓↓↓ これぞアメリカン・クラフト!!

東欧のシングルモルト、ルーマニアより

東ヨーロッパ発のウイスキーでまず自分が思い出すのはこの「ハマーヘッド30年」というものです。確か、ウイスキーキャストのオンライン飲みでMCのマーク・ギレスピー氏がダルモアのリチャード・パターソン氏と、グレンモーレンジのビル・ラムズデン氏と対談している回があり、その時に各自が自分の飲んでいるウイスキーを紹介するときにでてきたのがこの「ハマーヘッド30年」で、それ以来、「東欧」と「ウイスキー」というとまずはコレが頭に来ます。恐らく、モルト好きの方でもこのボトルをご存じの方はいらっしゃらないのでしょうか。あまり詳細なことは記憶にないのですが、確かソビエトの崩壊(チェコでいうベルベット革命(1989年))とその後の混乱で倉庫に置き去りにされていたウイスキーの樽が、何かの拍子で発見されて革命30年を記念してリリースされたのがこのボトルでした。ソビエト時代にどのようにウイスキーが作ら得ていたのかはわかりませんが、大麦や樽などの材料は自前で調達できたものの「ピート」だけが入手できず、かなり苦労してスコットランドから調達をしていたのだとか。ハマーヘッドという名前は、ソ連国旗の「鎌と槌」に因んだ命名。こうした経緯があって本数限定のリリース品で、どんな味であったか気になるところですが、かなり高評価モノだったと記憶しています。 ハマーヘッド30年(https://www.glassrev.com/blog) さて、今回また同じようにウイスキーキャストを聴いていて紹介されたのが「ルーマニア初のシングルモルト」でした。名前はカルパチアン・シングルモルトというようです。製造元はルーマニアで有数のリカー・メーカー「アレクサンドリオン・グループ」。ウイスキー事業を始める前から、ブランデーやウォッカなどの製造をしており東欧では有数の規模の事業者のようで、最近ではアメリカなどの海外向けのマーケティングにも注力をしているようです。ルーマニアといえば、ワインや高級ブランデーの他、「ツイカ」とか「ホリンカ」と呼ばれる果実由来の蒸留酒などで知られています。(と書いては見たもののまだ自分はどれも実際に飲んだことは無いですm(__)m) Brâncoveanu vinars(https://alexandriongroup.com/) 今回どのような経緯からスコッチウイスキーへの挑戦を始めたのか等は分かりませんが、一応情報では4年半くらい寝かした樽のものを瓶詰してリリースしたとのことなので、逆算すると2018年くらいに樽詰めを開始したとして、なんやかんやで2015年とかそんなくらいからプロジェクトとしては着手していたということなのでしょうか。(ホームページを見ると2017年から操業をなっていました。)親会社であるアレクサンドリオン・グループの計画に沿って立ち上げられたようで、ブランドイメージもしっかりとしたものを感じます。それはやはり何といってもメイド・イン・ルーマニアの(スコッチ流)モルトウイスキーを世界に展開したいという野望なのかなという印象です。 シングルモルトのラインナップ(https://www.youtube.com/watch?v=xLL3-HX8DCc) 蒸留設備はグラッパの蒸留器を改造したものだとかhttps://www.diffordsguide.com/ 原料となる大麦は穀倉地である東欧らしくすべて自前のものを使うようです。また、水源は東欧のアルプスとでもいうべきカルパチア山脈の良質な水を使うことができます。樽は自前のワイン樽やブランデー樽などの他にもバーボンやシェリー系などいろいろ取りそろえているようです。自前のオークがあるのかは分かりませんでした。ピートは自前が難しいようで、ベルギーから調達するとなっています。どのような味わいなのか楽しみです。初リリースとなるラインアップは基本はバーボン熟成で、その後にウッドフィニッシュなどをしているラインアップのようです。気候的にはスコットランドよりも温暖で、且つ寒暖の差もあるようで熟成スピードは速めのようです。 アラン・アンダーソン氏(https://carpathian-singlemalt.com/our-story) スコッチ造りのスペシャリストとして招聘したのがアラン・アンダーソン氏。スコットランドやアイルランドの蒸留所を渡り歩いたエキスパートです。キャリアスタートはロッホローモンド蒸留所。スコットランド最古のリトルミル蒸留所の第二工場として稼働を始めたことで知られるハイランドに区分されるが位置的にはギリギリ。その後、ホワイト&マッカイでしばらく勤務した後、アイルランドのスレーン蒸留所の立ち上げや、モリソン家の新たな蒸留所であるアベラルギー蒸留所で製造現場の管理責任者を務めた後、アイルランド時代の知人の紹介でルーマニアでのシングルモルトウイスキー造りにチャレンジしているようです。 クリックでホームページにとびます。 更なる展開として計画が進行しているのが、アレクサンドリオン・グループによるアメリカのニューヨーク郊外での蒸留所新設計画。Gleneida Distilleryと呼ばれるそうで、ニューヨークのアッパーステート、パットナム群のカーメルに位置するとのこと。2018年くらいから建設計画が立ち上がっていたようであるが、実際のところこのプロジェクトがどのような進行状態であるかは確認ができませんでした。イメージとしては、この蒸留所でウォッカやジン、さらにはバーボンなどのウイスキーを作る計画のようですね。かなり壮大な計画です。現地の建築事務所とコラボして設計されたという蒸留所の外観はかなりモダン。シングルモルトウイスキーのお披露目式もアメリカの大使館で開催するなど、まずはアメリカ市場を攻めている感じでしょうか。今後の展開が楽しみです。

【名古屋】バーンズBar Barns(伏見)

名古屋・伏見でみつけた極上のバー 今回は久々の出張ということで名古屋方面に出てきました。名古屋駅に戻ってきたのが夜の7時を過ぎたところであったのですが、もう街の賑わいは相当なもので、前回来た時はいわゆる「禁酒」の期間であったので、正直こんなに店があったのか!という感じです。ゴーストタウンだっところとか、あちこちに灯りがともり、中から盛り上がっている声が聞こえてきます。やっぱり繁華街はこうでなくてはなりませんよね。さて、今回は帰るまでの時間で回れるところということで、伏見近辺をターゲットを見据えてフラフラしてみました。当初、目的とした名だたるバーとかも一応控えてはいたのですが、やはり自分の目で見て発見するということに醍醐味を感じていまして、こちらのバーの灯りにいざなわれ階段を下りていきました。 まず最初の一杯目は前々からきになっていたアメリカ・シカゴ発のクラフトウイスキー、コヴァル(KOVAL)。特に気になっていたのはライウイスキーなのですが、こちらで用意のあったのは東京の信濃屋さんぷろーデュースのモルト&ライ。一口飲んでですが、結構甘い。かなりバーボンウイスキーに近い感じです。お店においてあるボトルなんかを見ていても手ごろな価格帯なので、家に一本置いたりするのには良いかなと思っていたのですが本当においしいですね。 コーヴァルのモルト&ライ このコーヴァル蒸留所についてですが、日本にもブランドアンバサダーのような方もいたりするので詳しくはグーグル検索にお任せしたいと思うのですが、スコッチ本流とは別のアメリカン・スピリッツという感じかと思います。創業者はそれぞれ大学や大使館で勤務された経歴をもつご夫婦で、ユダヤ系の方と思います。旦那さんがオーストリアの方でご実家がお酒造りをしている(た)そうです。特徴は原料と製法に対するこだわり。原料は有機栽培のものを使用し、蒸留器も独自の設計デザインをもとにカスタムで用意。コーヴァルというのは(ユダヤ人の言語ともいわれる)イディッシュ語で「鍛冶屋」を意味し、転じて「開拓する」(forge ahead)などの意があるそうですが、これはまさにコーヴァル蒸留所の成り立ちと深く関係していて、2008年に同蒸留所ができる前の歴史(シカゴ)をたどると19世紀後半までさかのぼります。 バンクを背景に上品なナッツ スイスのチーズと、ベリーにクラッカー さてと、なんですが、コーヴァルの次に何を飲もうかと裏の棚とかを暗がりに必死で目をこらしながら見ていたいのですが、一人で悩んでいても仕方がないのでおススメをリクエストしてみました。そしたら、なんとというか、やはりというか、出現したのがこちらのプライべートボトル。なんでもこちらのオーナーの方が台湾のボトラーズ「ウイスキーファインド(Whisky Find)」のオーディン・チョウさんと仲が良いらしく、コラボでリリースされたのがこちらのボトルだそうです。この素敵なラベルはチョウさんがご自身でデザインされたものだというのですが、素晴らしいですね。ウイスキーの味わいを絵でズバリ表現したもののようです。(話変わりますが、東京の恵比寿にバー・オーディンという超高級バーがあると聞いたことありますが、何か関係あるのでしょうかねえ。) さて、ボトルの中身なのですが、右手に見えるのがポートシャーロットでバーボン樽熟成、最後に貴腐ワインでフィニッシュしているだったかだと思います。左はディーンストンのシェリー熟成。フルーティさが特徴ということでいただいたいのですが、原酒が良すぎるのか自分はとにかくモルト感のパンチ力に圧倒されました。どちらともです。特にポートシャーロットのほうは度数が63度くらいあり、もうここまでの度数でいくとフルーティとかどうのってレベルではないような気がしました。ピートも結構効いているし炎のかたまりだった印象ですm(__)m。なので、思わず申し上げたのですが、これは夜も浅い今の時間帯ではなく、日が回ったくらいでないと舌がついていかないです、と。やっぱり良いウイスキーは真夜中くらいでないといけませんよね。1軒目でいただくにはあまりにももったいなかったかもです。 最後にマスターと話しをしながら、〆にご用意いただいたのがこちら。目黒マッシュタンさんのプライベートボトルとのことです。アードモアの控えめのピート感はオフィシャルものとかでも結構好きなのですが、こちらも本当に上品な仕上がりです。ピートは爆発しているのも好きなのですが、慎ましいピートも色気があって良いですね。貴重なお酒をたくさんいただいて十二分に満足できました。また、最後になりますが、こちらのバーの接客術は今まで自分が通ったことのある中で、おそらく最も秀逸なものでした。マスターと、若手の男性が交代で、また絶妙のタイミングで対応して頂いたのですが、間の取り方というか会話の仕方とかサービスの仕方とか含めてすべてが完璧でした。なんというか、本当にストレスフリーで、初めての訪問だったのですがまるで何度も来ていたかのような感覚で、リラックスして味わうことができました。スコッチのモルトバーだとやはり準備してあるお酒も確かに重要なのですが、それを楽しむインテリアだったり、あとはやはりそれらをサービスする「ヒト」の部分でも印象は大きく変わってきます。やはり、良い空間と素晴らしいバーテンダーの人にサービスをしてもらえると安心して良いお酒を頼むことができるというもの。そういった意味でこちらのバーは「極上の」バーであると思いました。ありがとうございました!

恵比寿のミュージックバー

東京の恵比寿界隈は芸能関係やら音楽関係の人が飲みに行くことでも知られていてとにかく、おしゃれな街の雰囲気とその中でもとにかくクオリティの高いミュージックを聴きながら、お酒が飲める大人のバーが散在しています。これらはいわゆるタウン系の雑誌などでもレビューされているので特にこれが良いとかあれが良いとかはないのですが、やはり恵比寿界隈というのは街の雰囲気が少し他と違うなというのはあります。なんとうか、少し奥ゆかしい大人の街という雰囲気なんです。なので、女性の前で格好つけたい男性諸君にとってはここら辺のバーの一つや二つを開拓しておいて、いざというデートのときのためにさらりとこの界隈の店を案内できるとしたら、それはさぞかし得点が上がるのでないかと予想されます。笑 ただ、どのバーが良いのかというのはここでも紹介はできません。やはり何でもそうかと思うのでのですが、個々の個性もあるので一様にどの人にもこれが良いというのはあまり無いかなと思います。あとその時のタイミングとかによってもバーとかの雰囲気は大分違ったりするものかと思います。これは本当に運の要素も大きいです。異常に盛り上がっていたかと思えば、波が引いたように静まりかえることもある。どのタイミングでどういうお客さんがいるときにその店に出くわすかは、これは本当に分からないわけで良い思いをしても、そうでなくでも、これは一期一会だと見切るしかないかなと思います。一応、そういう断りをした上で、恵比寿のミュージックバーのいくつかを語りたいと思います。 簡単に言うと、有名どころだと、東口のTRACKかMARTHAか、みたいなことを聞いていました。そこで、今回はとりあえず渋谷寄りのTRACKのほうを訪れてみました。恵比寿から歩いて結構すぐで、東口からだとほんの数分だと思います。路面店ではありますが、繁華街ではないのでどちらかというと隠れ家的な雰囲気。たぶん、普通に歩いていると見過ごしてしまうかもしれません。通りに「BAR」という灯りがともっている程度です。とにかく、東京ではこういう感じのバーが大当たりなことが多いんですよね。 確か雑誌でも紹介をされていたので、ある程度店内の感じとかは分かっていたのですが、やはり本物は違いますね。店内は割と広い空間になっていていバーカウンターと後ろにはテーブル席がいくつかあります。レコードとお酒のボトルがずらりとあって、中央のカウンター内のテーブルにはきれいに並べられたグラスが置いてありました。カウンターの中は男性が三名いるのですが、皆さん音楽関係という感じです。音楽のほうはあまり深くは良くわかりませんが、音響というか普通のプレーヤーでないなということぐらいはわかります。凄く良い音色です。お酒のほうも結構しっかりしていて、ウイスキーからラムとかジン、テキーラにコニャックと一通りそろえている感じで、特に文句のつけようもありません。自分はとりあえずカウンターに座って、軽くアメリカンのライウイスキーと、コニャックをチョイスして、音楽を聴きながら恵比寿の夜を楽しんでみました。ただ、なんとなくこちらのバーは結構有名店なのか、少し敷居が高い感じはしました。写真とかも少し取りずらかったので文章だけです。というわけで、今回少しおすすめしたいのは西口のこらちの店です。 恵比寿西口を少し歩いたところにある雑居ビルの3階。中は開放的な雰囲気で、開店間もない時間帯であったこともあり、店内はまだ明るいくらいでした。でも雰囲気はこの通りバッチリでしっかりとしたミュージックバーという感じ。店内はさきほどのトラックさんと比べればかなり小さめですが、それでもとにかく広々と感じる余裕があり、席数は少な目ですがゆっくりと落ち着いて音楽とお酒を楽しむことができます。 この隣には昭和の黒電話がありました。(現役だそうです) オーナーさんはアメリカ東海岸に留学とかもされたことがあるようで、落ち着いてはいますがフレンドリーでした。恵比寿のこういったバーは結構敷居が高いんで緊張しますよねー、的なことを思わず口走ってしまいましたが、まだお店の中には自分ひとりだったこともあってマイペースを取り戻して落ち着いた感じで楽しめました。ドリンクはスコッチウイスキーとラムが中心のようでした。スコッチは普段から飲むので、ここは敢えてラムを頼んでみました。特にスコッチのボトラーでも知られるイタリアのサマローリ(SAMAROLI)のラムが気になってしまいました。ラムはあまり飲まないんですが、サマローリがラムもプロデュースしていたとは知りませんでした。実のところサマローリのスコッチ自体も一度か二度くらいしか飲んだことがないんですけど、特徴的なラベルはラムも同じなんですね。パッと見なんのお酒なんだか分からないくらいです。 サマローリとケイデンヘッドのラム酒 もう一つ試したのはこれまたスコッチの名門ボトラーズ、ケイデンヘッドのプロデュースしたカリビアンラム。グリーンラベルというシリーズでカリブ海のいろいろな島の味わいを楽しめるというもの。お店にあったこのボトルは「トリニダード」の18年。スコッチでは珍しくない年数かもしれませんが、ラムで18年というのは相当貴重な感じがします。円熟味のあるトロピカルな味わいに酔いしれます。ラムはそれほど詳しくは無いのですが、さらっと出てきたにしてはちょっとスゴすぎやしませんかね。(汗)まさに音楽と酒にどっぶりつかるにうってつけです。無事に帰ってこれるのでしょうか。笑 スコッチのボトルもこの通りずらりと。 「B-10」(ビーテン)さんのお店の場所ですが、JR山手線であれば西口広場を出て中目黒・代官山方面に向かい、恵比寿南の交差点を斜め左に行く小道を行けばすぐです。ビルの三階にあります。

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