かなり久々にやってきました、目黒通りのオルニスさん。一時期カード式のワインディスペンサーを置かれていたことがあって、その時はかなり足繫く通い、普通では飲む機会も無いであろう高級ワインに照準を定めて15ccとかちょっぴり飲んだりしていました。今でも時々そのような試飲的なイベントなどを催したりしているようなことは、時々通りがかったりしたときに気づくこともあったのですが、お店の中に入ったのはおそらく5年ぶりくらいではないかと思います。ワインストックは昔と同じような感じでしたが、かなりカジュアルなインテリアに変わった印象です。
こうやってフラワーアレンジメントと合わせるのが今風なんでしょうか。最近はどこのワインショップでも見かける感じです。「酒屋」さんというとウイスキやジン、ウォッカ、焼酎などのヘビーリカーが主体なイメージですが、特に最近はワインを主体としたワインショップが増えているような気がします。どこのお店もそうですが、旧来の酒屋さんと違って、店内は明るく開放的なインテリア、角打ちもできてイベントスペース的なのもある。従来の酒屋さんが図書館だとすると、今風のこうしたワインショップは蔦屋書店みたいな感じとでも言いましょうか。初めての方でも楽しめるような親しみを持てるような雰囲気があります。当然のことながらスタッフさんも親切で(若い子も多い印象)、あまりお酒のことに詳しくなくても親切に一から教えてくれるところが増えてきています。「ワイン」はもともと食事とペアリングするのに必須なアイテムで、イタリアンやフレンチなどでは必ずついてきますので、このあたりがスコッチウイスキーなどのハードリカーと比べて「ハードルの低さ」という意味で大きく違うのかなと感じてしまいます。(もちろん、ウイスキーにもフードとのペアリングという概念はあるのですが、やはりそこまで知られていない印象です)
さていきなり目に着いたのが「ペットナット」(微発砲ワインの飲み放題?プラン。ワインショップで飲み放題とはかなり珍しいですね!(汗)。そもそも、ペットナットって何か分かっていなかったのですが、ちょっと軽く何か飲んでみようかと思って立ち寄ったところだったので、さっそくコレを注文しました。クーラーの中に良い感じに冷えたワインボトルがいくつかあって、それが時間内で飲み放題というシステムなようです。普通のワインと同じく、白、赤、オレンジ、ロゼ、といった定番のラインアップ。微発砲というだけあって、確かにちょっとバブリーですが、シャンパンほどではありません。飲み口はどれも軽く、少し複雑な余韻があるものもありましたらが軽い飲み口。甘いのもあったり、ちょっとドライ系のもありました。
後で調べたのですが、微発砲ワインというのは16世紀くらいの発泡ワイン造り初期の作り方を再現したもの。最近になってワインの本場フランスなどで注目を浴びて次第に広がって来ているようです。作り方の特徴としては、ワインを作る発酵段階でボトリングをすること。要するにボトル詰めをしてからもまだ発酵が続いている状態というわけで、これが微発泡の要因というワケです。ペットナットというのは、フランス語からの「ペティアン・ナチュレル」(自然発泡)から来ているようです。甘かったりドライだったりするのは、ボトルの中で発泡がまだ続ている状態なので、ボトル詰め初期であれば糖分がまだ残っており甘く、時間が経過すると中で発酵が進むためドライな風味になるということで、ナルホド!です。
このワインの特徴とおススメを3つ挙げたいと思います。ひとつは、もう分かり切っていることでありますが、女性向けなのかなと思いました。ワインボトルもオシャレで、中のワインも軽やかな色合い。こういうボトルが家の中にあるだけでも違うんじゃないでしょうか。軽やかな飲み口なので、お酒が苦手でも抵抗は少ないと思います。とくに熟成が若いものであれば、理屈的に度数も低く甘いジューシーな風味。ノンアル系のワインやカクテルなども流行っていますが、これはそうしたアルコールレスなドリンクの一種と捉えても良いかもしれません。二つ目ですが、エコロジーでしょう。これは古風なレシピというだけあって、完全な天然レシピです。グレープジュースにイーストが入っただけといっても過言ではありません。アルコールに分解される過程で発生する二酸化炭素が、ワインの状態を保つ役割を果たします。つまり、余計なモノは一切なく、純粋に自然の産物と働きだけで出来る液体だということです。しかも、面白いのは先に述べたように、ボトル詰めをしてからも発酵が進むため、時間の経過を楽しむことができるということ。微発砲ワインは2本以上のボトルを買うことが勧められますが、まさにこのためです。最後に挙げたいのは、シチュエーションです。度数も低く軽やかな飲み口なので、フードのペアリングもあまり深く考える必要は無いのかと思います。あまりこってりした肉系の料理などには軽すぎて合わないかもしれませんが、普通のワインと違って、純粋にペットナットのワインを主体にして軽いスナックで合わせたりすることも十分可能。また、深酒をすることもなければそこまで酔いが回るほどのものでないので、映画を見たり、読書したりしながらでも集中力を削ぐことなく楽しめそうです。
最後にですが、オルニスさんは通常のワインも充実したラインアップをもっています。アメリカ、南アフリカなどの新興系から、フランスやイタリアのワインまで広くカバーをしています。お手頃な価格のレンジもあり、小さいボトルも取り揃えたり、ヒップホップ的な缶詰めのワインなど。イメージ的にはカルフォルニアなどアメリカンワインにやや特色があるのかなという印象です。場所が少し不便で最寄りの駅でいうと、東急東横線の学芸大学でしょうか。恐らく駅からだと徒歩で15分くらいかかる気がします。もしくは目黒駅からバスでしょうか。このあたりは他にも若者向けなワインショップやカジュアルな角打ちの店なども多いので、たどり着くまでに別な誘惑にかられるかもしれませんが近辺に立ち寄る機会があればぜひとも訪れてほしいお店です。
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