こんにちは、海外特派員のだってらんです。
今回はあえて記事のタイトルを
「 ” た ま に は ” アイリッシュウイスキーでも…」としたが
“アイリッシュウイスキー”
と聞いて皆さんは正直、何を思い浮かべるだろうか?
特に日本では、天下のスコッチに埋もれているイメージでアイリッシュウイスキーはその銘柄すらあまり耳にすることが少ない。
正直私も、一昨年初めてアイルランドへ渡航するまでは
“アイリッシュって何ぞや?”という状態だった。
しかしこの1年と約半年…
異国で生活を送るのは初めてで、失敗の連続だったけれど
ウイスキーと向き合っている間は、
いつだってその瞬間を豊かなものにしてくれたし、
このお酒があったから、いろんな人と繋がることができた。
すっかりアイリッシュウイスキーの虜なのである。
そこで今回は、アイリッシュウイスキーの魅力についてお伝えしようと思う。
衰退の歴史からいざ復活へ。
諸説あるが、ウイスキーの起源はアイルランドだったとされている。
北アイルランドにある”ブッシュミルズ“は世界最古の蒸溜所として有名だ。
アイリッシュウイスキーは19世期頃までウイスキー市場の主流だった。
その状況が大きく一変したのが1919年。
主要な輸出先であったアメリカで禁酒法が施行され、
程なくしてアイルランド国内ではイギリスからの独立をめぐる内戦が起こる。
結果、その報復でイギリスの市場からアイリッシュウイスキーは締め出され、衰退の一途を辿ることとなる。
国内に2000ヶ所程あった蒸溜所の殆どが閉鎖に追い込まれていく一方で、
「マッサン」の名で知られる竹鶴政孝氏がウイスキーの製造を学びに日本からスコットランドを訪れたのが1918年だった。
これは、タラレバの話だが
もしアイルランドにこんな不運がなければ今ごろ
アイルランドは、歴史ある蒸溜所で犇き合っていたかもしれない。
そして竹鶴さんの訪問先は
もしかするとスコットランドではなくアイルランドで
そしたらジャパニーズウイスキーは、今とは違うものになっていたかもしれない。
歴史に翻弄され、多くを失ったアイリッシュウイスキーだったが、
現在は世界に引けをとらないくらいの急成長を見せている。
こちらは、首都ダブリンに蒸溜所を持つティーリングの写真。
ボトルには、シンボルとして、不死鳥が描かれている。
“先祖のウイスキーを再び同じ場所で復活させる“
ティーリング蒸溜所は、その一心で125年ぶりにダブリンで誕生した新蒸溜所だ。
昨今、世界中でウイスキーブームが巻き起こり、日本でも多くの新蒸留所が出来ているが、
アイリッシュの場合は、単なる新規のビジネスチャンスとはまた違う、
プライドを懸けたものであることが伺える。
アイリッシュってどんなウイスキー?
ではそのアイリッシュウイスキーは実際、どんな特徴があるのか。
はっきりどんな味なのかを説明するのだとしたら、これはかなり難しい。
仮に同じブランドでも、蒸溜時期や大麦品種、熟成期間、熟成樽の種類など
ウイスキーはありとあらゆる条件によって味が全く異なってくる。
簡単に説明するならば
大麦から作られるモルトウイスキーは、下の写真のような蒸溜器を使って蒸溜されるわけだが
スコッチやジャパニーズウイスキーは通常、蒸溜回数が2回。
これに対し、アイリッシュウイスキーは基本3回蒸溜される。
これにより雑味が削られ、軽やかな味わいになることから
色々複雑な味が際立つスコッチよりも
アイリッシュのほうが飲み口が軽く、誰でも親しみやすいお酒だと思う。
未だにウイスキーやアルコール度数の強いお酒に慣れていない方にこそ、まず飲んでみてほしいお酒だ。
代表的なアイリッシュウイスキーの銘柄について紹介するならまず、
スーパーなどでも手軽に手に入るジェムソン。
ハイボール(ソーダ割)にしても、ストレートでも美味しい。
アイルランドではこれを、お湯割りにしてクローブと呼ばれるスパイスとスライスレモン、お好みで砂糖を加えた”ホットウイスキー“がよく飲まれていた。
次に
ワンランク上のウイスキーとしておすすめしておきたいのが”レッドブレスト“
色々種類はあるが、まずはレッドブレスト12年だ。
アイルランド特有の”シングルポットスチルウイスキー“と呼ばれる伝統的な製法でできたウイスキーである。
この独自の製法について、
詳しく説明するだけでもまた一つ記事ができてしまうので、それはまた別の機会に。
何よりここで紹介したいのは、その味だ。
率直に、本当に美味しい。
いつ、いかなる時に飲んでも最高に美味しい。
シェリー樽を使った熟成により、ドライフルーツと複雑なアロマの香り。
蒸溜所のスタッフはこれを、”クリスマスケーキ”と表現していたが
はてさて、それはクリームたっぷりのケーキなのか、チョコレートでデコレーションされたものなのか…..ご想像にお任せする。
最後は、
他のウイスキーにはないアイリッシュの変わり種を紹介しようと思う。
これもジェムソンと同じ蒸溜所のものだが、これはチェスナット(栗の木)の樽で熟成されたウイスキー。
実際、ほのかに焼き栗のような香りも感じられる。
昨今は、バーボンやシェリーといった一般的な樽だけでなく、
ワインやビール、日本のミズナラオークの樽など、
様々な種類の樽で熟成されることが多くなってきている。
これは、ウイスキーの新たな可能性を期待させるものだが、このチェスナット樽を使った熟成も珍しい。
ちなみに上のボトル写真
“メソッド&マッドネス“は、ジェムソンを製造するミドルトン蒸溜所からリリースされた新ブランドなのだが、
残念ながら日本ではまだ流通していない。
なんだ、じゃあ飲めっこないじゃないか。
と言われそうだが、
日本国内のBarなら海外のコネクションを通じてこれを置いてるお店も少なからずある。
先ほど紹介したティーリングもチェスナットで熟成したボトルを出しているので
もし、Barで見かける機会があったら是非、試してみてほしい。
最後に
長々とアイリッシュウイスキーを紹介してきたが、いかがであっただろうか。
いかんせん写真と文章だけで伝えるのは難しい。
そもそもアイルランドという国自体、
日本では知名度が低く、知らない者も多いだろう。
そこで先日、現地アイルランドでもニュースで紹介された内容で
とても興味深い日本人たちがいたので紹介をしておく。
みなさん、「ファミリーマート アイルランド・ダブリン支店」をお聴きくださってありがとうございましたあああ!
— 実は21日にコモゴモ展出る大谷舞⚜@Dé Domhnaigh (@maiohtanifiddle) 2020年3月6日
「この曲調タイタニックみたい!」というたくさんの声を受けて、今日は実際にタイタニックで使われたアイリッシュの伝統曲をお届けしますっ pic.twitter.com/FSukLlG6Mj
彼らは、日本人だけで結成されたアイリッシュバンド
“Dé Domhnaigh(ジェドゥーナ)“で
アイルランド記事では
“私たちがアイリッシュであることを誇りに思えるバンド”と称えている。
アイリッシュパブでは、音楽の生演奏を聴きながらお酒を楽しめる。
彼らの頼もしく軽快な音楽は、そんな現地の様子だけでなく、
そこに住む人々やそこで作られるお酒、ウイスキーについて
想像を掻き立てるものだと思う。
今夜は、そんなアイリッシュのお酒や音楽と共に、遠い異国の旅気分を楽しんでみてはいかがだろうか。
最後に1つ…
「アイリッシュウイスキーや現地の暮らしについて少しでも興味を持っていただけたら…」
そんな思いで私も新しくブログサイトを開設しました!こちらにリンク先がございますので、もしご興味がある方はぜひ!
➡︎➡︎➡︎ウイスキーとアイルランド🥃