kilkerran.scotより

キャンベルタウンにある蒸溜所。創業は1872年。1925年に創業停止後、80年近く休止していました。2000年にスプリングバンク蒸溜所のオーナーHedley Wright氏が蒸溜所を購入して、その翌年に操業を再開しました。モルトの調達や従業員など多くの部分でスプリングバンク蒸溜所に頼っているようです。特徴はヘビーピート(84ppm)のモルトを使用していることで、「キルケラン」のブランドで知られています。

主力はバーボン7割、シェリー3割をヴァッティングした12年。他に写真の8年(カスクストレングス)など。ヘビーピートのKilkerran Heavily Peatedのファーストバッチを2019年にリリースするなど、ピートにこだわったキャンベルタウンの蒸留所です。

蒸溜所の始まりは「兄弟ゲンカ」であったそうです。スプリングバンク蒸溜所のウィリアムとジョンは父から引き継いだ同蒸溜所を共同経営していましたが、「羊」のことでケンカをしてウィリアムがスプリングバンクを去る。そして隣に立てたのがこのグレンガイル蒸留所なのだとか。

キャンベルタウンがスコッチウイスキー造りの最盛期であった頃は双方ともに順風満帆(じゅんぷうまんぱん)でした。ところが1920年代の不況でグレンガイルは閉鎖。その後に所有者が次々と変わり迷走を続けました。最終的に2000年になり購入したのがウィリアム・ミッチェルの遠い「甥」にあたるHedley Wright氏になります。

同氏は閉鎖したアバディーンシャーのWyvis蒸溜所から蒸留器を、クレイゲラキ蒸溜所からはスピリッツセーフを取り寄せるなどして2004年の再稼働を成し遂げます。

同蒸溜所からリリースされるボトルは蒸溜所の名前ではなくKilkerranとなっているのは、すでにその名前がグレンスコシア蒸溜所のブレンドモルト用に使われていたためでした。因みにKilkerran とは当地の言語(ゲール語)で「キャンベルタウン」を意味するそうです。