Month: June 2020

BAR GOSEEにて

今日は久々に行きつけのお店にお邪魔しました。 コロナ禍で大変ですが、こちらのバーは常連さんがメインで、だいたいは落ち着いた感じです。 やっぱり行きつけの店って大切にしたいですよね。とにかくご迷惑はおかけしたくないんで、比較的空いてる早めの時間帯によってみました。 ここのバーはコロナ前から何度か通っていて、ある程度どのような銘柄が置いてあるのかも、頭の中にあります。 要するに、今日飲みたいウイスキーについてある程度イメージを持ったうえで、店の門をくぐることができるということ。 今回、自分は、キャンベルタウンの「スプリングバンク」と初対面すると決めていました。 *** キャンベルタウンの「スプリングバンク」。 ウイスキーの好きな方なら、知らない方はいらっしゃらないと思います。 それくらい有名です。 スコットランドにおける蒸留所は、地域別におおよそ5つに分かれます。 まずはおおまかに、「ハイランド」(北部/田舎)と「ローランド」(南部/都会)。 「ハイランド」の中で、スペイ川流域を「スペイサイド」と言います。 このスペイサイド地区が最も蒸留所が密集する地域です。 また、スコットランドの周りにある島々で生産されるウイスキーを「アイランズ」といいます。 キャンベルタウンというのは、スコットランドのある島の西の外れに位置する都市です。 現在この地域で稼働している蒸留所はたったの3つ。 なぜ、たった3つの蒸留所しかないのに、別に区分けされるのか? それは、ここがかつては「世界のウイスキーの首都」と呼ばれるほどにウイスキーで繁栄していたからです。 日本でのウイスキーの創成期に活躍し、ニッカウヰスキーを起こした竹鶴正孝も、この地でウイスキー作りを学びました。 ところが、20世紀前半の大不況の影響で、30ヶ所以上もあった蒸留所は次々と閉鎖。 今世紀に至るまで生き延びたのが、今回取り上げるスプリングバンク蒸留所他、3つです。 残りの二つは、グレンガイル蒸留所とグレンスコシア蒸留所。 グレンガイルは「キルケラン」という銘柄を作っていますが、実は出資者がスプリングバンク。2000年にスプリングバンクを運営する会社が買収し、当時閉鎖されていた蒸留所を復活させました。 グレンスコシアはオーナーが頻繁に変わり、廃業と復活を繰り返しながら、何とか生き延びてきました。 *** さて、スプリングバンクに焦点を当てましょう。 ここまでの話で、スプリングバンク蒸留所が、スコットランドのキャンベルタウンにある蒸留所であるということは、お分かり頂けたかと思います。 また、キャンベルタウンの最盛期から今日まで、継続して安定的に運営しているという意味では、唯一の蒸留所と言って良いでしょう。 この苦難の歴史を力強く生きてきたスプリングバンク。 生き延びてきたには理由がもちろんあります。 ウイスキー愛好家から愛される確固としたポリシーを貫いてきたからです。 この蒸留所は、何百とあるスコットランド全体の蒸留所から見ても希少価値の高い特徴を持っています。 フロアモルティング、全工程の一貫生産、そして最古の家族経営。この3つを挙げます。 先ずは、全てのモルト(麦芽)がフロアモルティング。これはスコットランド唯一です。 フロアモルティングというのは、大麦を麦芽にする際の工程の一つですが、 大麦を床に敷き詰めて作業することから、こう呼ばれます。 昔は全ての蒸留所がフロアモルティングでしたが、人力による手作業のため大変。 1960年代にほとんどが機械化されてしまいました。 今でも部分的に行っている蒸留所はいくつかありますが、全てのモルトをフロアモルティングで生産しているのはスプリングバンクだけです。 スプリングバンクも1960年に一度はフロアモルティングを止めましたが、1992年に再開した経緯があります。 二つ目は、一貫生産。大麦の栽培からボトリングまでの全ての工程を自社で行います。 原料となるモルト(麦芽)や、ボトリングは専門業者に任せることが多い中で、 最初から最後まで全て自前で行うというのは珍しいです。 三つめは、家族経営で独立して運営してきてきた蒸留所としては最古であること。 設立は1828年で、現在のオーナーは創業者から数えて5代目になります。 このスプリングバンク蒸留所が製造するのは3つのブランドがあります。 まずは、蒸留所の名を冠した、「スプリングバンク」。 2回半蒸留という特色があります。 2回半というのは、最初の蒸留で得られたローワイン(初留液)の半分を再度蒸留させることからこう言われます。 そして、「ロングロウ」 こちらは一般的な2回蒸留ですが、モルトがピート焚きなので、ピートが強いです。 最後に、「ヘーゼルバーン」 アイリッシュ式の3回蒸留。ピートは使いません。因みに、竹鶴正孝が実習したのが、このヘーゼルバーン蒸留所です。 さて、まず試したのは「スプリングバンク12年」。 […]

【千葉】BAR ALBA(II)(千葉)

千葉方面に用事があり、その帰りに再び先日訪問した千葉駅西口のバーALBAさんを訪問しました。 店名の「ALBA」という名前であるが、オーナーに由来をお伺いしたところ現地の言葉で「スコットランド」という意味らしいです。因みに大昔(といっても6世紀くらい)にはスコットランドに住んでいたピクト人が建国したアルバ王国というのがあったそうです。日本でいうところの「大和(やまと)」とか、そういう感じなのでしょうか。 JAPANという名前も、もとを辿ればマルコポーロが指した黄金の国「ジパング」が由来というから、結構勝手なものですが。しかし、そんな勝手につけられた名前になぜか愛着を感じてしまうから面白いモノです。 さて、前回ここを来訪したときに頂いた格調高き王室御用達のブレンドスコッチ、「ロイヤルハウスホールド」。このウイスキーのストーリーを少し復習しておきたいと思います。 このウイスキーと英王室の関係は100年以上前に遡り、時は1897年。 「当時自社ブランドが英国下院の公式ウイスキーにもなっていたジェームズ・ブキャナン社が、英国王室によって皇太子(後のエドワード7世)専用のブレンデッド・スコッチウイスキーを造るよう、勅命を受けたことに由来」。 要は英王室のご用命で特別に作られたブレンドウイスキーになります。 繰り返しになりますがこのウイスキーが飲めるのは、イギリス以外では、日本だけなのです。 イギリスでさえ特別な場所に行かないと買えないそうなので、町の酒屋さんでも(値段はともかく)普通に買えて、家で飲めますというのは、素晴らしいことです。 なぜ日本で飲めるのか?という話ですが、昭和天皇が皇太子時代にイギリスを訪問された際、英王室からこのブレンドを授かり、特別な許可を経て日本でも楽しめるようになったからだそうです。 今回ALBAさんを再訪したのは、このロイヤルハウスホールドのキーモルトである「ダルウィニー」を飲むためでした。キーモルトというのは、ブレンドウイスキーにおいて味の中核を為すウイスキー原酒のことです。 そんな訳で、開口一番「ダルウィニー(15年)」を注文しました。 香りは確かにロイヤルハウスホールドと同じような感じもするかなあ、と思いましたがテイスティングしてみてちょっとビックリです。 丸みのある味を想像していましたが、シャープですっきりした感じです。あまりフルーティとか、まろやかとか、そういう感じではありません。 そこで、蒸留所について考えてみました。ダルウィニーはスコットランド北部にあり、いわゆるハイランズという分類に分けられます。 蒸留所はスコットランドの蒸留所の中でも最も高い場所にあり(とは言っても300mそこそこですが)、年間を通じた気温がイギリス国内で最も低い所として知られています。 ということは?味にどのような影響があるのでしょうか。 通常ウイスキーは貯蔵庫で熟成する際に、温度の変化により樽が膨張と収縮を繰り返し、中のウイスキーも「呼吸」をします。 気温がずっと低いということは、呼吸が静かでゆっくりと熟成することを意味します。 比較的温度の高い条件で熟成をしたりすると樽感が良く出る反面、味わいが結構丸みを帯びることがありますが、低温熟成というような感じのため蒸留した後のスピリッツの感じが生きているような気がしました。生半可な知識の中でただの想像に過ぎませんが、こうしたいろんなことを考えながら飲むのも楽しみの一つです。 ロイヤルハウスホールドには、モルトとグレーンの原酒が45種類も使用されています。 キーモルトのダルウィニーの静かな佇まいを下地として、様々なウイスキーの調和により独特な柔らかさが作り出されているのだと思います。 以上が、ロイヤルハウスホールドと、そのキーモルトであるダルウィニーをテイスティングした上での感想です。 お次は何を頼もうかということで、棚をチラチラ見ていると隅の方に面白そうな銘柄を発見。「ウルフバーン」とあります。モノクロのラベルに動物の絵が。ウルフ(狼)なのでしょうか。 ウルフバーン蒸留所が出来たのは今世紀。2012年12月に誕生しました。 場所はスコットランドの最北端、ケイスネス州にあります。 2013年から稼働を始めたこの蒸留所が、スコッチの規則である「熟成3年」の時を経て、出荷を始めたのが2016年。 従って、まだまだ熟成年度が若いボトルしか登場していません。 今回トライしたボトルもいわゆるノンエイジ、熟成年数の表記が無いものです。 テイスティングして、こちらも驚きです。 とても透き通るような感覚です。なんというか、本当に何も無い皿のような感じです。 先のダルウィニーもそうですが、いわゆるスコットランドの北部地域はハイランズと言われます。 スペイサイド地区がフルーティさ、芳醇さを特徴とするのに対して、ハイランズ系はウイスキーの純朴な味を極めているような感じがあります。 さて、この新設のウルフバーン蒸留所ですが、設立に至る経緯についても述べておきたいと思います。 先ず「ウルフバーン」という名前は、1821年~1877年の間、この地で約50年間創業した蒸留所の名前からとっています。 設立者はアンドリュー・トンプソン氏で、ウルフバーンのあるケイスネス州の出身。 これだけだと、どこか別の蒸留所で経験を積んだ後に故郷で操業したのだろう、と推測してしまいそうですが、前職はかなり異色の経歴の持ち主です。 なんと元軍人。英海軍に7年間勤務し、アフガニスタンやイラクなどにも派遣された経験があるようです。 その後は南アフリカに移住し、通信関係のビジネスを起業しバリバリのビジネスマンとして活動。 まるで、スーパーマンのような人です。 そんな彼ですが、休みも十分に取れず人間らしい生活ができない事に疑問を感じたとのこと。 また、さびれゆく故郷を目の当たりにしながら、考え始めました。 「この土地で事業を始めることで雇用を生み、地域の活性化に役立ちたい」。 そんな訳で、図書館でウイスキーの事を勉強しながら、事業で稼いだ資金を投じて、まるっきり一から作られたのがこの蒸留所です。 この蒸留所の製法的なこだわりも面白いです。 これだけビジネスをした彼なら、最新鋭の設備を導入した現代的な作り方をするかと思いきや、こだわったのはあくまで「昔のやり方」。 そうです、かつて19世紀に操業し、廃業してしまったあの当時の製法。 「デジタル時代だからこそ、徹底してアナログでいることが強みを持つ」という考え方です。 しかも、雇うのは円熟したベテランではなく、あくまでまだ成長過程の現役組。 若い蒸留所の活力を生かすためには、若い力が必要だと考えているようです。 ここまで蒸留所の設立の経緯を振り帰ってみました。他にもネットで探せばいろんな記事がありますが、詳しく知りたい方は など参考ください。 改めて、このウイスキーの透き通るような味を考えたときに、これは新たな始まりの味なのだと思いました。 ウイスキーが熟成を得て本来の旨さを持ち始めるには10年以上の歳月が必要です。 まだまだ若い蒸留所と、若い年数のボトルしかありませんが、今後蒸留所がどのような進化を遂げていくのか、ウイスキーの味がどのような深みを持っていくのか、非常に楽しみです。 […]

初めてのウイスキーバー 

初めてウイスキーバーに行かれようとしているあなたにお伝えしたいこと。 ものすごく羨ましいです! なんでもそうだと思いますが、初めて触れ合う、出会うときの感動というのは、一度きりの最高のものだと思います。 自分は海外旅行に初めて行って空港に降り立った時の新鮮で未知の世界に来た感触というのを忘れられません。アメリカの地方の空港だったのですが、「異世界」に来た興奮に満ち溢れていました。バーも初めてお伺いしたところは、知人の経営されていたところだったのですが、開店まもなく棚も半分くらいしか埋まっていませんでしたが、それでも初めてバーカウンターによじ登るようにして腰を据えたときは、ちょっと感動しました。何を飲んだかとか一切覚えてないのですが。汗 経験を積み重ねていくうちに、楽しみ方は増えますが、感動のボリュームという意味では、「初体験」に勝るものは無いと思いますネ。なので、とにかく行くだけでまずは儲けモンということです! 今は色々なものが溢れている時代なので、結構「感じる」ことに鈍くなってしまったりもしますが、ウイスキーバーというのは非日常感が感じられるエンターテイメントの一つかなと思ってます。 ただ、何もないところで、ひょっとウイスキーバーに行こうか、という風にはなかなか成らないのも事実。周りの人で好きな人がいたりすれば別かもしれませんが、ウイスキーバーにわざわざ行くというのは、よほど何か理由がないとお世話になる必要も無いのかもしれません。そこで、このページがあります。これをきっかけにしてください!ネタにしてください!気になったら、実際に行って見てください!どこ行けば良いか分からない?簡単です、ググれば良いんです。笑 自分が初めて「一人で」ウイスキーバーを訪問したのも30過ぎてからでした。自分はいきなりググった訳ではありませんよ。一応、それなりのストーリがありました。 取引先の方で、突然退職されてバー経営に転じられた方がいらっしゃいました。(ちなみに下戸!お酒が飲めない人)それが理由かは分かりませんが、ほどなくして店は閉店。しかし、バーの雰囲気を最初に覚えたのはその方のお店でした。もともと、ウイスキーやカクテルといったものには特に興味も無かったですし、周りで日本酒やワイン好きな方たちはいましたが、蒸留酒を飲んでる人は一人も知りませんでした。(おそらくこのページを見ている方は似たような境遇ではないかと推察します) なので、たぶんその方との出会いときっかけが無ければ、自分はこのホームページを作ってないと思います。密かに感謝申し上げます! さて、その方のお店に初めて訪れた時のこと。バーカウンターに背の高い椅子によじ登るように座って、お酒を飲む。正面には、キラキラひかる棚があって、ウイスキーなどのボトルがずらっと、、ではなく、棚半分くらいに並べられてました。(オープンしてから間もない頃だったので、棚一杯には埋まっていませんでした。残念なら、ついぞ埋まることはありませんでした。棚ギッシリだったと脚色しようかとも思いましたが、正直に書いておきます。スミマセン!笑) 一番、初めに飲んだのは、「メーカーズマーク」。バーボンです。スコッチではなく、アメリカンウイスイキーというやつです。どうやって飲んだのかは忘れました。味も。何も覚えてないです。ただ、赤い蝋のキャップが印象的だった、それだけです。しかし、その時の空気感だけはハッキリ覚えてます。初めてのバーってこんなもんだと思います。なので、あまり肩ひじ張る必要もないと思います。とりあえず行ってみて、頭真っ白になって、それからが始まりです!もしバーの席に無事にたどり着けましたら、次のページ「味わい方」へ進んでください。 因みに、「バー」の語源というのは、bar(横木)から来ているそうですね。バーはたいてい、バーカウンターという横長の一枚板が特徴的なお店が多いですが、これは昔、お酒を飲みに来た人が樽から勝手に飲まないように「仕切る」ための板に由来するようです。カウンターに座って、カウンターのテーブルを縦置きすれば、確かに柵のような仕切りになります。また、英語でbarというのは動詞で「遮る」という意味になります。 バーのカウンター立って給仕する人を「バーテンダー」と言いますが、これはbarをtend(管理・監督)する(-er)人という意味です。要は、お酒を飲みに来る呑兵衛さんの世話役ということですね。なので、どんなバーでも入店したらバーテンさんの指示に従いましょう。特に初めての店であれば、どこに座るべきかを含めてお店の方に身を委ねてしまった方が楽です。お店によってはメニューが出されないこともありますが、思い切って尋ねてみましょう。とにかく、お店のことを一番知っているのがバーテンダーの方でので、何でも聞かなきゃ損です! それでは、GOOD LUCK!

【千葉】BAR ALBA(千葉)

久々のバー巡りでお伺いしました。 場所は千葉駅の西口を降りて徒歩5分程度のところで、ノッポなペンシルビルの5階にありました。 店内はカウンター席と、奥にボックス型のソファー席のゆったりとした開放的なカジュアル・ダイニングバーに近い開放的な雰囲気。 スコッチウイスキーのボトルはカウンター後ろの棚の左側に並べられていて、着席後に気付いて後でわざわざ席の移動をお願いしてしまいました。 運ばれてきたメニューを見てグレンフィディックのティスティングセットがあり、熟成年数ごとに飲み比べる「縦飲み」?をしてみたかったので、早速オーダーしました。 グレンフィディックの12年、15年、18年の3つがハーフショットで、しかも解説付きと嬉しいオマケ付きです。 他にも、山崎とニッカの飲み比べ五大ウイスキーのセットなどオプションがありました。 12年はフルーティで飲み易く、評判通りの味。15年、18年は、熟成年数分だけ深みが増して、樽の違いからか味わいに奥行きが感じられました。 次に前々から気になっていた「ロイヤルハウスホールド」を思い切って注文。 英王室御用達の高級ブランドと呼ばれるブレンドウイスキーで、「ロイヤル」とつく銘柄はいくつか存在しますが、その最高峰に君臨するといわれています。日本の皇室との縁でイギリス以外では日本でしか飲むことができない「幻」?のボトルだそうです。 シングルモルトしかいつも飲まないので、味わいの柔らかさに驚きを感じてしまいました。ロイヤルな響きにウットリ、気品のあるテイストにご満悦です。 他にグレンファークラスのファミリーカスクも気になりましたが、ちょっと酔いも回ってきたので今日はここでクローズにしました。 マスターは気さくな方で、カウンター席隣に座っていた若い男性二人組はアイラモルトを楽しんでました。 店中の棚がボトルで埋め尽くられているようなバーもありますが、こちらのバーはウイスキー以外のセレクションもあり仕事帰りにフラッとでも、二軒目・三軒目に落ち着いて来るでも、いろんなシチュエーションに対応できそうです。 コロナ禍ということもあり、家呑み用にウイスキーの量り売り販売もされていました。お店のボトルからワンショット分くらいをミニボトルに小分けして販売するシステムのようです。 これは良いアイデアだと感じました。熟成年数の長いウイスキーはボトルで買うと値段が非常に高額になりやすいです。家に持ち帰ってゆっくり飲んでみたいという人の需要はもっとあるのではないでしょうか。

ウイスキーの味わい方

さて、バーの席について一息ついたところで、味わい方についてご説明します。 初めての方は、とりあえずまず一杯何も読まずに一口味わってから、読み進めてほしいです! その上で、飲み方、楽しみ方、味わい方、の3つを順にご紹介していきたいと思います。 まずは、「飲み方」。これはウイスキーを良く味わうという意味ではストレートが一番のお勧めではあります。これは健康にはあまりよろしくないと思いますし、正直20代の子がウイスキーにチャレンジされてるのみると、正直微笑ましい気持ち半分と、「おい、大丈夫か?」という気持ち半分です。自分も若いこといくときは絶対にこっちからは勧めません。が、たいてい逆にいつもこちら側がストレートを薦められる始末。笑 いや、笑っている場合ではないんですが、とにかく無理はしないでほしいです。でも、最初の一口だけとか、無理をしない範囲で「時の結晶」の原水を味わってほしい気持ちも抑えられません。だいたいウイスキーの度数は40度前後。チューハイやビールは数パーセント。お酒が15度、焼酎20度くらいなので、やはりかなり高いです。これは意識しておくべきだと思います。 飲み方は、水割りやソーダ割りという方法もありますが、割って飲むと本来の味はどうしても薄まってしまうように思います。もちろん、おいしいです。ですが、エイジモノとか言われる、熟成したウイスキーはやはりストレートで飲んでこそかなあ、と思ったり。いずれせよ、ウイスキーそのものも通常は加水されてますので、加水がダメということは決してありません。(加水全くなしの原酒は、カスクストレンクスと言います。度数で60°くらい。 ロックやトワイスアップ(ウイスキーと水を半々で割る)という方法もあるので、自分の体や健康を第一に考えた上で試して頂ければと思います。あと、ストレートで頼んでも、チェイサーというお口直しの水が出てきます。薬の服用ではありませんが、ちょっと飲んで、後で水を流し込んでみたいなやり方もあるかと思います。自分はだいたいこうやってお腹で「水割り」にしてます。笑 さて、次は「楽しみ方」です。これは3つあります。特に難しく考える必要はありませんが、だいたい次の3つの観点からウイスキーは評価されます。 一つ目は「ノージング」。要するにウイスキーの香りを楽しむことです。 二つ目は「テイスティング」。ウイスキーを口に含んだ時の味わいです。 三つ目は「フィニッシュ」。後味のこと、「余韻」というやつですね。 普通のお酒は香りとテイストの組み合わせかなと思うのですが、ウイスキーは他の蒸留酒と比べても、「熟成」に特徴があり、テイストが非常に繊細で複雑。長期熟成のエイジモノなどは、「余韻」の後追いが面白いです。 香りで「アッ!」、テイストで「えっ?!」、余韻で「おお!」となれば成功です。笑 とは言っても何か特別な仕掛けがある訳ではありません。これが本当に憎らしいところです。 基本的に原料も作られ方はほぼ全部同じです。ベースは同じなんですが微妙なニュアンスの違いで、様々な「表現」が出てきます。なので、やはり舌に多少の繊細さは求められるかもしれません。ただ、ウイスキーでなくても、日本酒やワインであっても基本は同じコトかと思うので、ある程度お酒の好きな方であれば、すぐに馴染んで頂けるのでないかと思います。 香りや味わいの表現方法として、「フルーティ」「フラワー」「スモーキー」(ピート)「樽(木材)」などがあり、さらに細かな指標でも表現されます。テイスティング・ウイール(tasting wheel)というのがあり、これらの感覚が有る方は、ものすごく良いと思います。 蒸留所には「マスター・ディスティラー」というスペシャリストが常駐し、味わいや風味が同じになるように厳格な管理がなされています。簡単に言いますが、これってたぶんものすごく難しいと思います。なので、自分は尊敬しかないです。また、バーの方や、ウイスキーの愛好家の方でも、実はプロ?っていうくらい凄い方が、結構普通におられます。たまにド田舎の、こんなところに誰がくるの?ってところで、ヤバいウイスキーの棚とか見つけたら、小躍りしたくなります。自分は、それが楽しみで毎日生きてます。笑 最後に「味わい方」についてです。 これは、これらのウイスキーの味わいがどのようにして来るのか、様々な風味の違いを作り方や、作られた背景など様々な要素を考えながら、味わうという楽しみです。最初にですが、自分はまだ勉強中です。結構エラソーなことを語ってきましたが、蒸留所って実は一つも回ったことが無いんです。なので、あくまで自分の理解している範囲であることをあらかじめ了解願います。 ウイスキーの味の個性を分ける要因を分解すると、大きくは「原料」と「製造工程」に分けられると思います。 まずは「原料」について。原料は、水、大麦、酵母、基本はこの3つだけです。 最初の「水」。 水質については、ほとんどが軟水を使用していますが、硬水を使う蒸留所もあります。因みに、軟水と硬水の違いを簡単に言うと、ミネラル分を多く含むのが硬水、少ないのが軟水。滝のように川が流れる島国は、基本的に水が濾過されるので軟水。ピュアな水質が特徴。日本も軟水です。 硬水はミネラルを多く含むもので、欧州とか大陸に多いです。コンビニで見かける「エビアン」などがそうですね。 水源は雪解け水であったり、地下からくみ上げた地下水であったり、川の水であったりとさまざまであるが、良質の水を使うことはウイスキーづくりにおいてとても重要とされています。後に述べる大麦やイースト(酵母)などの原料は他から運んでくることもできますが、「水」はどうしようもない。なので、蒸留所はだいたい良質な水源の近くに位置します。 次に「大麦」です。モルトの原料である大麦については、デンプンを多く含む「二条大麦」が使われています。ただし、麦の種類についてどこの銘柄が良いとかはあまり問われることは無いです。恐らく、銘柄の違いが味わいに与える影響があまり無いからであると思います。ですが、最近ウイスキーもテロワールを重視した考え方が、特にスコットランド以外の蒸留所などで注目をされていて、敢えて地場の大麦を使ったりするなど新たな試みもなされています。このようなウイスキーが、どのような味の変化をもたらすのか、非常に楽しみではあります。 最後に、「イースト」です。要するに「酵母菌」の違い。 ウイスキーはビールと同様に麦汁に酵母を加えて、アルコールと炭酸ガスに分解することで原酒が得られます。一般的にウイスキーにはディスティラーズ・イーストと呼ばれる高効率のイーストが使われるが、複数の酵母を混ぜ合わせて使用したりすることも。酵母の種類や組み合わせにより香味成分が変化、発酵の後半に発生する乳酸菌とともに微生物たちの働きがフレーバーに大きな影響を与えます。 製造工法については、三つとりあげてみます。「乾燥」、「蒸留」、「樽」についてです。 まずはモルトづくりの乾燥工程についてです。 昔は、フロアモルティングと言って、床にモルトを敷き、特殊なスコップで掘り返しながら人手を使って行っていました。また乾燥時にピートを焚くことで、ピートの香りがモルトに残るという効果が得られ、フレーバリングの特徴付けにもなりました。しかし、機械化が進んだ現在では、モルトを作る専門の業者に頼むことが一般的です。その中でも、ごく一部の蒸留所ではフロアモルティングを続けています。また、新たに稼働を始めたクラフト系の蒸留所では、昔ながらのフロアモルディングにもう一度価値を見出し、敢えてフロアモルティングを復活させる動きもあります。 次に蒸留工程です。 ウイスキーづくりの最も特色を為す工程は、恐らくポットスチルによる蒸留であると思います。この工程では、それぞれの蒸留所が大小様々な形状をしたオリジナルのスチル(蒸留器)を使用してスピリッツを作り出しています。当然のことながら、スチルの形状により、得られるスピリッツの特色も異なってきます。 最後に、熟成時に使用する樽です。 スコッチウイスキーにおいて最もよく使われる樽は、オーク材の樽です。由来は二つあり、一つはアメリカで作られるバーボンウイスキーで使われた樽。二つ目は、スペインなどでシェリー(※)用に使われた樽、この二つです。※酒精強化ワイン。要はアルコール度数を高めたワイン。 熟成期間中もずっと同じ樽に寝かせることもあれば、最後の数か月程度を別の樽に移し替えて樽の風味で味わいを調整する「ウッドフィニッシュ」も広く用いられています。また別々の樽で熟成したものを合わせる「マリッジ」という方法もあります。「ウッドフィニッシュ」や「マリッジ」の情報はボトルにも明記されていることが多いです。 以上が、ウイスキーを味わう際に知っておきたい、作られた現場レベルの基本的な情報かと思います。しかし、これだけでは終わらないところがウイスキーの奥深さです。ここから先は私では到底解説が務まりません。ただし、バーに行けば、必ず触れるコトではあると思うので、ほんの少し触りだけ話をさせていただきます。 それは、そのウイスキーがいつ、誰によって作られたのか?ということ。 何をバカな?というかもしれません。ところが、これが一番ヤヤコシイのです。 普通、お酒というのは、お酒を造っている会社が工場を運営して、販売するものとおもいます。それは間違いではありません。そのように蒸留所が直販する、言い方を変えれば蒸留所独自のブランドで販売されているウイスキーのボトルを、「オフィシャル」といいます。 しかし、ウイスキーは、蒸留したばかりの原酒を蒸留所から樽で買い付けて、独自のレシピで熟成させ、オリジナルブランドで販売するもう一つの流れが存在します。こうした業者を「ボトラーズ」といいます。有名なところでは、ゴードン&マクファイル社(GM)や、シグナトリー社などが知られています。中には、自ら蒸留所の運営に携わるところもあります。 彼らはウイスキーのプロを自負し、蒸留所が直販するウイスキー以上に価値のあるボトルを仕上げてくることも少なくありません。 次に「いつ」かについて。これも少し説明が必要と思います。ウイスキーは蒸留酒なので、特に賞味期限がある訳ではありません、きちんとボトリングされたものは半永久で保存可能とされています。このことが、「アンティーク」品という、希少価値の高いボトルを生み出します。要するに、過去に発売されて、現在は入手不可のモノ。この中には、例えば現在は閉鎖された蒸留所のボトルも含まれますし、個人宅に偶然眠っていた「お宝もの」も含まれます。経緯は色々ですが、複製不可という意味で、値段の検討がつかないこともあります。正直、初めての方には、まったくお勧めはしません。笑 さて、まとめてです。 ウイスキーを初めての方は、まずは「オフィシャル」の若い年数のものからはじめることをお勧めします。次に、熟成年数の長いもの、もしくはウッドフィニッシュなどで味わいに変化を付けたものをトライし、風味の違いを感じてほしいです。それを他の地域の蒸留所などでもいくつか飲み比べをしていけば、次第に個性や特徴が把握できるようになるかと思います。(ちなみに自分は今この辺のレベルです) 各蒸留所の特徴や、おおよその価格帯を理解したうえで、次は「ボトラーズ」に挑戦するのもよいかもしれません。さらに興味が増して、加えて懐にも余裕があれば、「アンティーク」品も視野に入ってくるのかと思います。昨今は、本場スコットランドだけに限らず世界的にクラフトディスティラリーというウイスキー界のスタートアップ的な蒸留所も次々と立ち上がってきています。ウイスキーの楽しみ方は、ますます広がりを見せていることを最後に付言しておきます。 さて、最後にですが、ウイスキーの味わい方の流儀についてその道のスペシャリストに学ぶページがこちらです!>>「リチャードパターソンに会おう!」

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