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【栃木】bar as ever(小山)
今回の訪問先は栃木県の小山市。仕事帰りに足を伸ばしてみました。先日訪れた足利のバーのマスター曰く、この小山が今は栃木県の中では「熱い」(実質的に経済的にも工場誘致などに成功し、人口も増加傾向なようです)とのことで、勢いのある街に繰り出してみました。 ところが最初に目をつけていたお店の灯りが無く、もう1度Googleで調べ直して辿り着いたのが今回のお店、東口から少し歩いたところの「Bar as ever」さんです。 お店はまだ開業2年の若いお店、当然ながらマスターもお若い感じの方でした。インテリアもいわゆる「今風」にシックな感じでとても良い印象を持ちました。 お店はカウンター席の他にテーブル席も。夜中の3時まで営業されているそうで、お一人でもグループでも利用できそうな雰囲気です。 こちらのバーですが、いわゆるモルトバー的な品揃えではありません。ですが、シングルモルトの基本的なラインアップを小さな棚にコンパクトにまとめています。 そこまでニッチなものや掘り出し物できなくて類いは期待できませんが、ベーシックはバッチリ揃えてあるので、ウイスキー好きの方でも十分に楽しめるかと思いました。 こちらの店の特徴ですが、これはなんといっても店内の演出ではないでしょうか。ウイスキーバーというと狭苦しい店内にウイスキーのボトルが所狭しと並んでたりするお店もあります。 もちろんそうした店も秘密基地的な味があって楽しいのですが、やっぱりもう少し違った「余裕のある」楽しみ方があっても良いと思うにです。それがズバリこちらのバーです。 目玉は何と言っても「円盤」、すなわちレコードのミュージックです。 ウイスキーの楽しみ方というのは、その味わいだけには限りません。それを賞味する、場の雰囲気も大切だと思うんです。これだけでも味は全く異なった印象になると思います。 確かに真剣に全神経を研ぎ澄まし、ウイスキーの香りを嗅ぎ、口の中に含んではそれを転がすようにして味を楽しむのも醍醐味ではあります。 でも、時にはただ流れる時間に身をまかせながら心を無にして、ただそこにあるものを「楽しむ」というも有りかなと。そんな空間をこのバーは提供してくれます。 エアコンには温度調整のリモコンがありますが、このバーには音楽を流しながら時間の流れを調整できるような、そんなリモコンがありような気さえしました。 さて、そんな調子でノンビリと寛いでしまったので本日の写真はこの1枚だけ。最後に今日頂いたボトルを、敢えてレコードの棚を背景に写させてもらいました。 バーカウンターから 1杯目は「C.C(シー・シー)」。これを先ずはハイボールで。(これをシーシー・ソーダともいうようです)。因みにシー・シーは、シーシーレモンではありませんよ。(笑)もちろんウイスキーです。カナディアン・ウイスキーの筆頭、「カナディアン・クラブ」の頭文字の略称です。 カナディアン・ウイスキーはスコッチから見るとかなり変わったウイスキーです。グレーンウイスキー(大麦以外の穀物を原料としたウイスキー)の一種であるアメリカの「バーボン」に近いですが、それとも少し違います。 簡単に言うと、バーボンベースのウイスキーにライ麦主体のフレーバリング・ウイスキーを合わせた「ブレンド」が一般的です。 このカナディアン・クラブはハイラム・ウォーカーにより1858年、当時の主流であったスコッチやバーボンと一線を画す新たな風味を探求したウイスキーとして誕生しました。 その特徴はライ麦由来の香味がスパイスとしてほんのり効いた甘みのあるバーボン、と言った感じでしょうか。これはやはりスコッチウイスキーとはかなり違います。飲み口も良く、ソーダ割りでも十分に楽しめるキャラを持っています。ロックで飲めばもっとライ麦に香味が楽しめたのかもしれません。融通が効くウイスキーということで、初めての方にもオススメです。 マスターの話ですと、ソーダ割りだとそこまで主張しないウイスキーが好まれているようです。スコッチだとバランタイン、アイリッシュのジェムソンなんかも人気のようですね。 さて、次は本名のスコッチを頼みました。ハイランドの「トマーティン」。この蒸溜所は「松竹梅」のお酒で知られる日本の「宝酒造」と繋がりがあります。 1980年代、同社は当時経営難に陥っていたトマーティン蒸溜所に出資。日本勢で初の蒸溜所のオーナーとなりました。その後は日本向けの輸出に力を入れるなど、国内でのスコッチウイスキーの知名度を上げることに寄与してきました。(現在、宝酒造さんは撤退され、食品大手の国分さんが輸入代理元となっているようです。) このトマーティンの味は如何なるものか?実はトマーティンを飲むのはこれが初めてではないのですが、ハイランド系はなんとも表現がしづらいのです。恐らくものすごくクリアでシャープな味がベースにあって、樽由来の風味とかもそこまでインパクトがないものが多く、強いていうなればウイスキー本来の「穀物=大麦」感が表現されているからでしょうか。 この12年については他の方のレビューも拝見してはみたのですが、自分が一言で言うなら「モルト」の感じですかね。麦芽が発酵したときの香りとでもいうのでしょうか。それをテイスティングしたときのボディに強く感じました。 一応、悩んだときはほかと比べてみるのが一番と言うことで、トマーティンを取り出した棚の後列にあった「アバフェルディ12年」と最後に飲み比べ。 アバフェルディはよく見かけますが、自分は今回が初めて。ブレンドスコッチの「デュワーズ」のキーモルトとして有名。こちらは他にレビューと同様に甘い感じ。「豊潤な蜂蜜」とまで形容しているものも。とても飲みやすいです。「甘い」と言っても、バーボンの甘さとスコッチの甘さはちょっと違います。これは本当に飲んで体感していただく他ないのですが、例えるならバーボンはチョコレートのように舌に残る感じ、スコッチはどちらかと言うと「通り過ぎる」スッキリした感じです。 こんな感じでノンビリとゆっくり杯を重ねていたら、早や帰りの時間が近づいてきました。日帰り出張だとどうしようもありません。最後にマスターにちょっと質問をしてみました。…