青荷温泉ランプの宿

弘前にて、青荷温泉記

太宰治の故郷、五所川原。 2月のある日に、日経新聞を眺めていたら下に掲示するような面白い記事が出ていた。要は日ごろネットワーク付けの毎日から解放されるという空間を提供してくれる宿があるのだという。「デジタル断食」とでもいうのか。思えば、携帯などというものを皆が手にするようになってから、どこにフラフラしていようともすぐに追ってかけられるという事態になってしまった。これは仕事に限らずプライベートでも同じ、すなわち24時間365日、衛星(GPS)に追われる続ける現代人。しかし、この追及から解放を提供していくれる秘境がまだこのように存在していたいという知らせである。インターネットがつながらないならまだしも、ここは携帯の電波も届かないわけである。つまり、外界から連絡をする際は、この宿に電話をしてもらい、「おーい、○○さん!いますかあ!」という具合で呼び出してもわなければならいということ。ちなみに、ひねくれ者の諸君の中には、だったらあらかじめ映画をダウンロードしていけば良いではないか、と。まあ、そうかもしれないが、ここは電気も通らぬ秘境中の秘境、山小屋に来たようなものである。なので、十分にバッテリーを満タンにしていくくらいしか対策ができないだろう。部屋に貼るのは、おおよそ布団とストーブだけ。あかりはもちろん部屋に頼りなく灯る「ランプ」のみである。 新聞記事でデジタル断食の宿として紹介されていた。 さて、まずこの宿にどうやってたどり着けばよいのかということを知らせておきましょう。まず、場所は青森県の津軽地方にあります。太宰治の故郷として、もしくは、鉄道好きの方であれば「ストーブ電車」で知られる津軽鉄道の始発駅として知られる「五所川原駅」、は実はあまり関係ないのですが、ここから五能線、奥羽本線と上った弘前が旅の始まりになります。この弘前は「藩士の珈琲」でも知られるように、実は喫茶店とコーヒー文化が有名。(→詳しくはこちらの記事など参照)こうした歴史文化的な背景もあってか、弘前市内には城跡近くのレトロな文化財建築(その実は戦前弘前に拠点がった旧第八師団の長官舎であるとのこと)にスタバが入居してたりします。今回はこちらが気になってしまってスタバでいつものドリップを飲んでからその先へと進みます。この弘前には地方鉄道で「弘南鉄道」というのが運行されていて、ここからさらに内陸の黒石まで向かいます。いわゆるローカル鉄道というやつで、昔の東急の車両がリユースで使われています。二両編成で、乗客はほぼ学生。車内はみんなスマホに夢中の様子。いやはや、こうしたことは本当に都会も地方も同じになりました。地方だと学生は未だに赤本にかじりついているなんてのは偏見ですよ!って誰に対する叫び?!笑 ようや終着駅の黒石に到着。 黒石からはまだ先があります。ここからは路線バスで宿からの送迎バスが待つ虹の湖公園PAまで向かいます。天気が崩れていて外は強風、雪が降ってくるというのではなく、積もった雪が強風で下から舞い上がり視界は真っ白です。これがいわゆるホワイトアウトというやつなんでしょうか。昼間ですが対向車もライトを点灯するなど、とにかく何も見えません。しかし、やはり雪国の人はなれたもので、ハザードを点灯している車とかはまれ。特に混乱がある様子はありませんでした。ちなみに、東京を出る前は、「大雪暴風警報」なるものが発令されるという天気予報があり、かなり焦っていました。しかし、ここまでは問題なく飛行機も飛ぶし、電車も動く、バスも走る、雪国の生活とはこういうものなのかと実感しました。しかし、まだまだこれからなのです。山間の湖(虹の湖公園)の湖畔にあるパーキング施設で宿からの送迎車が迎えに来てくれることになっています。宿泊者は車でもこのパーキングに車を置いて、ここからは宿のマイクロバスに乗らなければなりません。そこまでのものか?と初めは思っていたいのですが、道の両端が除雪した雪の壁で塞がっており、車1台がようやく通れるようなスペースの、しかも山道を、しかもマイクロバス!で登っていきます。えっと、ひとつ間違えば崖から落ちるようなところです。これはかなりスリリングです。とにかく運転手に身を委ねて走ること20分くらい。ようやく、秘境の宿に到着しました。 路線バスと送迎バスが接続する虹の湖PA(施設は冬季閉鎖) 宿の建物は意外に大きかったです。どのくらいの人が収容可能か、おそらく100名くらいはいけるのではないか、そのくらいのサイズです。部屋数も20~30くらい、あるいはもっとあるように感じました。そのほか、離れのような建物も点在していました。そして、温泉は内風呂と外風呂、さらには露天風呂の合計で4か所。すべて、違った雰囲気なので、これらを一つ一つゆっくり回っているとそれだけで相当な時間がかかります。関西方面からの団体さんも一緒に来られていて、宿はかなりにぎわいがありました。皆さん、登山でもするかのうような恰好。電気もガスもないので、電気ストーブだけの暖でしたが、不思議と寒いとは感じませんでした。お湯に浸かってばかりいたからかもしれませんが。ただ、夜はやはり昏かった。電気の無い生活の何たるかが身をもって体験できます。食事も暗がりで食べるのでハッキリとはよく見えません。次第に目も慣れては来ますが、夕食後風呂に浸かった後はさすがに何にもすることがなく、布団を敷いて、そのまま寝ました。まだ夜の8時くらいだったかと思います。でも、不思議なもんで、旅路の疲れもあったと思うのですが、そのまま寝れました。普段の生活ではちょっと考えれらないですね。※因みに記事にもありますが、トイレは明かりがありました。一応、自家発電があるようで必要最小限の電力は使っているようです。あと、外も真っ暗で敷地内に小川のようなものも流れているのですが、危険!とか注意!とかそういうのは一切ありません。分かりきってることは自己責任で、ってことなんだと思いますが、こちらも非常になぜか新鮮に感じました。 ひたすら雪が降ったり止んだり、つららがすごい。 さて、完全な温泉日記になる前に、最後にスコッチウイスキーのネタを一つしておきます。こちらの宿に来る前にホワイトホースの小瓶を鞄に忍び込ませておいたのです。とりあえず、寝る前に雪見酒ならぬ、雪見ウイスキーでも興じようかと思っていたら、屋根の下に大きな氷柱を発見。そのうちの、ひとつを拝借して、天然のロックでホワイトホースをいただきました。少ししゃれたカップも持ってこればよかったのですが、そこは忘れていて仕方なく宿の湯飲みで代用しました。飲んでみての感想は、ううむ、実は特にありません。いくら天然のロックでも石油ストーブを前にして湯呑でのみもんじゃないですね、とうのが率直な感想でしょうか(笑)。 今夜はホワイトホースを天然ロックで! 今回はちょっと温泉の旅の日記のようなものになってしまいました。ウイスキーの楽しみ方というのはそれぞれにあって、飲む場所とか、飲むシチュエーションなんかもいろいろあって良いのかなとは思います。でも、自分の場合はやはりバーで一人チビチビとやるのが性に合っているなと改めて思いました。そうはいっても、こうした山の中の自然にあふれた中でウイスキーを味わうというのも、また違った味わいがあるというものです。今度は弘南鉄道みたいなローカル線の車内で電車に揺れながらの一杯というのもまたよいかもしれません。ではでは、失礼いたします。この宿に興味のある方はぜひ調べて実際に訪問いただければと思います。関西からでも、関東からでも、アクセスにはかなり時間を要しますが、行ってみる価値は十分にあるのかと思いました! 源泉かけながしのお湯で体の芯まで温まる

Ken’s Bar新宿店

バーボンが専門のウイスキー・バーというのはあまり無いのかなと思うのですが、その中でこのKen's Barさんはバーボン愛好家の界隈で知られているということで以前から名前はうかがっておりました。本店は八丁堀の近くにある京橋店なのですが、その2号店が新宿のゴールデン街にあるということで、いつものようにフラっと訪問しました。実はちょくちょく界隈を通るので、気にはなっていたのですが空いている様子がなく、今回ライトがついていたのでもしや、ということで地下にある店舗の扉を開けたという次第なのです。こじんまりとしたお店には、カウンター席と後ろに小さなテーブル席という感じ、5人か6人も入れば満席というような感じでしょうか。でもカウンターとの距離感も近く、カジュアルでフレンドリーな場所といった雰囲気です。 バーカウンター後ろの棚 まずは一杯目を何にするかということで、とりあえずテネシーウイスキーの雄、ジャックをソーダ割で。バーボンは主に、ジムビームなどのケンタッキー・ウイスキーと、ジャックなどのテネシー・ウイスキーに分かれます。もちろんほかにも生産地はあるのですが、主にこの二つが日本では主流と思って間違いないです。その中でも、ジャックを除けば、ほとんどがケンタッキー・ウイスキーと考えて間違いないです。要はバーボンはケンタッキーと覚えておけば、最初は間違いないです。(別にテスト対策とかではないんですが笑)で、ケンタッキーとテネシーが分かれている理由ですが、これも簡単に言うと、テネシーはお酒をろ過してます。スコッチでいうところのチル(ろ過)、ノンチル(無濾過)と考えておけばよいのかなと思います。詳しい説明(「チャコール・メローイング製法」)もネットとか検索すれば出てきますが、読んだだけではなんともわからないのでここでは触れません。m(__)m さて、そもそもバーボンってなん?という話に戻ります。とりあえず、以下のような規定があります(https://tanoshiiosake.jp/4485から引用します)。まず(1)はいいですよね。ただし、先ほども述べたように、主な蒸留所の産地はほぼケンタッキー州になります。特にルイビル(Louisville)という町が有名です。ちなみにこのルイビルですが、ケンタッキーのフライドチキンやピザハット、タコベルなどのオーナー企業であるヤム・ブランズ社の本社があるなどケンタッキー州の最大都市です(ただし州都ではない)。次の(2)です。そう、実はトウモロコシが主原料なんですよね、でも細かくいうと確か比率に上限があって、コーンの割合が高くなるとそれは更に「コーンウイスキー」という分類になります。バーボンの中で、とりわけコーンの比率が高いものはコーンウイスキーだと思っておけば良いのかと思います。100%コーンのウイスキーもあるようですが、正直一度も飲んだことがないです。(3)はスコッチだと、蒸留液で94.8パーセント未満、瓶詰で40%以上、ということかと思うので、同じ感じです。(4)がかなり違います。「新品」のオーク樽というところがミソです。要するに樽をチャー(焦がす)した後のフレッシュな樽を使用するということで、スコッチに比べると熟成期間は短いものの、バーボン独特の甘みのあるスパイシーで輪郭のある風味が形成されるのかと思います。   「バーボンウイスキー」と名乗るためには、次の4つの条件を満たす必要があります。(1)アメリカ合衆国内で造られている(2)原料となるトウモロコシの比率が51%以上(3)アルコール度数は蒸溜時で80%以下、瓶詰め時で40%以上(4)中身を焦がした新品のオーク樽で2年以上熟成 さて、バーボン目当てで扉を開けたのですが、スコッチも割と充実しております。場所柄もあってか、そこまでバーボンに徹底しているワケではないとのことで、スコッチのほかにもジャパニーズなんかも置いてありました。いろんな方に楽しんでもらうというのが基本コンセプトのようです。スコッチの棚をざっと見渡していたのですが、表に見える数はそれほど多くはないものの、かなりレアと思しきものが並んでます。期間限定?でウェルカムドリンクなるのをやっているとのことで、自分はこちらを選びました。廃蒸留所シリーズ、「インペリアル」、ってドヒャ。初めてお目にかかりますよ、こんなの。普通のショット価格がいくらするのかは敢えて聞きませんでしたが、滅多におめにかかれるものでは無いと思ったのでありがたく頂きました。これともうひとつボトルがあったのですが、23年熟成の1995年モノをチョイスしました。割と最近にボトリングされたってことですが、まだどこかに原酒が相当残ってるんですかね。さらにエゲツナイものが出てきそうな感じです。お味は?というと、これがまたしっかりとしたモルト風味で23年の時を感じさせません。とても素晴らしいお酒です。インペリアルはハイランドにかつて存在した蒸留所ですが、1998年に閉鎖。ブレンド向け主体で運営していたようで、シングルモルトそのものが希少と思われます。その後ペルノリカールが買い取り、その跡地には新たな蒸留所「ダルムナック」(Dalmunach)が2015年に誕生。 ダルムナックのボトル(Chivas社サイトより) ジョージディッケルを飲み比べ テネシーウイスキー、ジョージディッケル さて、肝心のバーボンの話の戻ります。まさかのレアウイスキーを頂いた後ではありますが、とりあえず棚に並べてあった「ジョージディッケル」を頼んでみました。これもテネシーウイスキーなのですが、ジャックダニエルに比べえるとあまり世間的には知られてないような気がします。「12」とか「8」とかの数字があるのですが、これは熟成年数とは関係なく、スコッチ的な熟成年数は不明、いろんな樽のブレンドのようです。レシピは両方ともコーンが84%、ライ麦が8%、モルトが8%。違いは、白のラベルの№12がアルコール45度、黒の№8が40度、というところ以外はわかりませんでした。なのでエントリーレベルは№8で、より楽しみたい人は№12というような棲み分けでしょうか。色も、そんなに違いはなかったです。さて、これらは実はすべて後で調べたことなので、この記事を書いている時点でどっちかどうだったか忘れてしまいましたm(__)m。どちらもおいしかったです。ただ、片方がよりスパイシーな感じであったので、たぶんそれが№12の方かなと思います。もう片方は少しまろやかで飲みやすかったイメージです。 さて、今回はこれくらいにて切り上げました。カウンターに置いてあった山崎と響も気になったのですが、久々のバー巡りで明日も朝から仕事で早めに切り上げた次第です。もう少しじっくりと楽しみたかったのですが、またの機会の預けすることに。カウンターのマスターはとても気さくな方で、スコッチにもお詳しく非常に楽しかったです。やはり、どんなに良いお酒もアットホームで落ち着いた感じで飲めてナンボかと思うんですよね。落ち着かない肩ひじ張るような雰囲気だと、どうしても集中ができません。でもどういった雰囲気が合うかはまたこれも各人それぞれかと思うので、自分にあったバーで飲むというのが一番大切なことかなと思います。自分は基本的にはバーでしか飲まないのですが、これもやはり酔うために飲んでるのではなくて、やっぱりどういう酒がおいしかったとか感想を交換しながら飲むのが面白いからです。こうした感覚を共有できる方と一緒に楽しめるというのは最高です。来月からは4月、新たな年度の始まりとなります、そしてコロナでもう3年目になるでしょうか。まずは健康に気を付けて、お酒もしっかりと楽しめるように体調管理を怠らないようにしたいと思います。それでは、引き続きよろしくお願いいたします。

№502(ナンバーゴーマルニ)🍷

新興系の国産ワインがたくさんズラリと。 最近の週末に小田急線で世田谷の界隈を散策することが多くなって、ちょっと実は世田谷ブラブラにはまっている今日この頃です。この世田谷なんですが、東京23区で一番人口が多いそうなんですが(※)、とにかくデカいんですよね。とりあえず今回ふらふらしているのは小田急線の千歳船橋界隈です。この千歳船橋から少しのところにすごく洒落た、面白いワイン屋さんを発見しましたので、今回はちょっとウイスキーから話題はそれるんですが、そちらの話をしてみようかと思います。※調べてみたら90万人近くもあるそうですね。これってもう「区」とかのレベルじゃないですね。参考ですが二番目は練馬、三番目が大田、70万前後です、地方だと中核都市並ですかね。東京はすごいとこです。さて、こちらのお店。初めは何のお店なのかよくわからなかったのですが、外観からなんとなく酒屋さんかなと思って入ってみたら、1階がワインショップで2階がイートインになっているようです。1階の調理スペースはオープンキッチンでその脇にはカウンターがあり、そこでワインの角打ちみたいなこともできるそうです。最初に訪問したときも思ったのですが、若いスタッフさんが多いですよね、しかも結構積極的にコミュニケーションをとってきます。まるでスタバみたい。でも元気が良くていいと思います。(ほんとはデレデレしてるだけですが笑)とにかく、自然派というかオーガニックなワインがメインのようです。ワールド系のものやら、国産のものも手広くしっかり厳選したものがおいている感じ。どこそこの有名どころというよりかは、生産者の顔が見えるようなクラフト系というのでしょうか、なにかこだわりが感じられるセレクションと思います。 ジョージア(グルジア)のオレンジワワイン。 お店の話を伺ってみると、どうも本店は表参道とかその辺りにあるようで、そこが501を名乗っているようです。ここが502(ゴーマルニ)で二番店という訳。なるほど、それでこんなにあか抜けて洒落た空間なのですね、と妙に納得。でも、そんなに敷居が高い感じもしなくて、アットホームな雰囲気です。スタッフの方もみなフレンドリーな感じ。うまく周囲と調和していてよいですよね、こういうお店が近くにあるというのは。さすが、世田谷です。 広島竹原のお酒だそうです。ネーミングが斬新ww すでに何度かこちらのお店でワインを購入させていただいたのですが、特筆すべきは国産ワインでしょうか。それもいわゆる甲州ワインとか長野の塩尻ワインだとかいう有名どころではなくて、地方のあまり(一般的にはm(__)m)名の知られていないような産地のものが主流のようです。試したのは岡山のdomaine tetta。これは他のワインショップでも見かけたことがあります。もう一つは広島の瀬戸内蒸留所。 両方ともオレンジワインで、さっぱりとした泡立ちのあるフレッシュなワインでした。とても飲みごごちがよく、アルコール度数も低めでグビグビと飲んでしまいました。安っぽいわけではなく、ブドウのおいしさが本当に伝わってくるというか、岡山や広島という瀬戸内の地域でこれほどまでに上質なワインができるとは正直信じられないほどの出来栄えでした。直近で購入したdomaine tettaは写真はないのですが、結構面白いです。なんとラベルが無くて、代わりに手紙が着いてあります。障がい者施設の方が育ててくれたブドウをもとにワインが作られたらしく、この手紙にワインの感想を書いてショップに持っていけば、それが生産者のもとに返信されるという仕組みなのだそうです。まだ返信の手紙は書けてないのですが、感謝の気持ちを書いて今度お店に持ち込みたいと思います。行くたびに必ずボトルを買ってしまうので、少し間を開けてから訪問できればなと思っています。またまだ試してはいないのですが、ワインの角打ちっていうのもぜひトライしてみたいですね!そういえば、経堂にも3号店ができたとかいう話で、隣の駅なので今度はそっちのお店にも顔出してみようかなと思っています! こちらはパンフレットカードみたいなの。 no.502さんのお店に関する記事は以下も参照ください。・【千歳船橋】『no.502』はテイクアウト&デリの楽園!自然派ワインと惣菜を飲めて買える超人気店・自然派ワイン角打ち「no.502」が千歳船橋にオープン。外苑前の「no.501」の2号店で、コロナ禍で住宅地立地に着目、サスティナブルな視点を意識した店づくりに注目・世田谷エリアに自然派ワインの角打ち酒屋「no.502」がオープンアクセス情報はこちら↓

モルトウイスキー年鑑(2022年版)

編集中ですm(__)m モルトウイスキーイヤーブック2022 2022年明けましてよろしくお願いいたします。さて、早速ですがこちらの本「モルトウイスキーイヤーブック2022」を新年挨拶代わりに購入しました。スコッチのトレンドリサーチには必携。毎年出ていて、実は10月くらいには発刊されているみたいです。年が新しくなったのでアマゾンで調べてたらすでに入手できる状態になっていたのでオーダー。即ゲットできました。 スコッチウイスキーに興味があって、まだ読んだことが無ければ一度は目を通してみると良いと思います。英語で書かれていてちょっと難解ですけれども、そこまで複雑な内容でもないのでだいたいの単語とトレンドが頭に入っていれば要点は消化できると思います。そうでなくてもこちらのホームページを読んでらっしゃる方であれば、より分かりやすいと思います。(自分は編集者の誰も知りませんが)このページで紹介していることととかでシンクロしてるところもいくつかありました。そうしたことも含めて新年の感動を先ず報告していきたいと思います。 おおまかにですが、まずはこのイヤーブックのメインライターの特集記事から始まります。各方面のトレンド記事のようなもので、昨年(2021年度版)はスコッチの新興蒸留所の動向や、アメリカン・シングルモルトの潮流、ウイスキーのテイスティング(味わい)の哲学などのトピックが並びました。 あ 2022年の最新版はざっと次のようなテーマです。(また詳細は別途じっくり読んだ後にでも紹介できればと思っています)。まずはIan Wisniewskiによる記事。注目したのは「チョコーレート・モルト」などと呼ばれる深煎りのモルト(チョコレートのような色味という意味合い)。スコッチのフレーバーは樽が決めるとよく言われますが、最近は樽以外の要素も注目されてきていると思います。その中で、ウイスキーの粗原料でもあるモルト(発芽大麦)を改めて見直そうという動きを追っています。深煎りのモルトを使うと何となく味わいも渋みとか増しそうなイメージがありますが、どうも逆なようですね。まだ一度も飲んだことがないので、まず一つ目の宿題になりそうです。 次はチャールズ・マクリーン氏とArthur Motleyによるスコッチウイスキーと租税に関する歴史的な話。こちらの話題は自分は疎いのでパッと読んだだけではさっぱり分かりませんでした。また読み直します。次はJoel Harrisonによるウイスキーの将来に関する話。ややマーケティング的な話かもしれません。現在ブームにもなりつつあるスコッチですが歴史的に見れば幾度かのアップダウンを経験してきました。そのたびに新たな蒸留所が出来て、衰退するとまた閉鎖して、の繰り返しをたどってきました。それが今後はどう推移していくのか、そのためにはどういうストックを準備しておかねばならないのか、こうした商品としてのウイスキーを考える最前線の様子を伝えているようです。私見になりますが、今日の蒸留所は量よりも質、もっといえば個性を純粋に追い求めているところが増えてきている気がします。というのは、やはり消費する側のレベルも上がってきてることを生産者側もよく理解している。きちんとしたモノづくりをすれば、かならずその商品を喜んでくれる人がいる、そういうウィンウィンの関係性(これはウイスキーに限ったことではないと思いますが)が形作られているように思います。m(__)m 特集ページ さて、いよいよやってきました。ここからがこのホームページでカバーしている内容とシンクロしてくる部分です。Neil Ridleyによる「コミュニティ・スピリット ~ローカリズムを読み解く」(原題は”Community Spirit - where localism is the key")。表紙を飾るのは「ナクニアン蒸留所」でも紹介したアナベル・トーマス女史です。いやあ、やっぱりこの方が来たかという感じです。純粋にうれしいですね。というのは本家のスコッチ業界からすれば、やっぱりあまり面白くはないとも思うんです。バックグランドが違う新参者、女性、そして樽いうよりかはフィールドに帰る作り方。老舗で男性、そして高級稀少樽の長期熟成がチャンピオンのような伝統的スコッチの牙城とは全く対照的。正直評価されるのはもうちょっと時間がかかるのではないかと思っていました。この度量!素晴らしいですね。 そしてこの評価を得た伏線にNeil Ridleyはコロナ禍による行動抑制と地元主義(”Localism”=自らが住む地域を見直そうと言う視点・動き)を挙げています。もっと自分の身の回りを知ろうということです。つまりウイスキーの生産家において、(売れる商品を作る視点という事ではなく)例えば蒸留所の周りで採取できる原料を活用したり、またそれを通じで地元の産業や雇用に直接的または間接的に支えてたり、あるいは地元のコミュニティの活性化に貢献したりという活動に蒸留所が関わっていくことを意味します。これはいわゆる土地の味を表現するという意味の「テロワール」とはまた次元が異なる思想なのかなと思います。 そしてこれは本来は小さな家内工業の延長であったスコッチウイスキーの蒸留所がグローバル資本の傘下に次々と編入され(上位二社でグローバルシェアの半分くらいを占める)即行でグローバルブランドが展開される現状との対比でもあります。つまりファーストフードに対する、スローフードの哲学とでもいいましょうか。自然の流れに合わせてやりましょうよ、ということかなと思います。そのままの引用になりますが、「Grain to Glass」を標榜するイングランド・ケントのコッパーリベット蒸留所の創業者ステファン・ラッセル氏がうまくその想いを要約しています。まだ紹介できていなので、こちらも今年の目標にしたいと思います。 "In a globalized world,…

【静岡】三島の大将(三島)

三島の大将のお店。場所は東海道線三島駅の南口を出てすぐの飲み屋街の一角。大将は伊豆の出身で、東京に出て修行し、この地に戻って10年くらいだそうです。夜の早めの時間帯に伺うと、御年92歳の大将のお母さまがカウンター奥の席にいらっしゃって静かな笑顔をこちらに向けてくれます。お食事とともに頼まれるのは、なんとウイスキー(確かブラックニッカ)のお湯割り!そうなのです。ウイスキーも適度に楽しめば長寿の秘訣となるのです! 店内カウンターの眺め さて、話が大きく脱線する前に、もう一度店内に戻りましょう。まずはカウンターを見てください。いろんな煮物料理が盛られた鉢がずらっと並びます。台所の雰囲気が好きな自分にはたまりません。お祖母ちゃん子だと言われて来ましたが、台所に生まれ育った気がします。学校の宿題とかも勉強机に座ってやるタイプではなくて、台所のテーブルが作業場でした。料理は食べるのも好きですが、その前段階が特に好きです。いわゆる「仕込み」ってやつでしょうか。料理の達人って、キャベツの千切りが高速とか魚を三枚におろせるとかテクニック的な面もあると思うのですが、自分は「仕込み」だと思っています。ジーっと火を見つながら時々火加減を調整したり、微妙な匙加減で絶妙の出汁を作ってたり。ここで既に出来上がっている訳で、包丁使い始める段階では既に勝負は終わっているワケです、自分からすると。(って何の話?!) 一押しの盛り合わせ 「仕込み」はその過程を見なくても、その産物を見れば想像もできるというものです。大将の店の和鉢に盛られた料理を見ながらその過程を想像するといつもワクワクします。何を食べるかは全て「お任せ」です。その時々の旬の魚や野菜を仕込んだ料理が勝手に手元に並んでいきます。皆さんもありますか?カウンターの席からメニューや黒板を見ずに「お任せで!」と頼める場所。これは本当に人生を生きていく上で一軒は必要です。もちろん、好みは人それぞれなので、各人で探さないといけません。自分はたまたまこちらのお店がその一軒だということだと思います。 お刺身 今回お邪魔したのは歳の暮れの最後の営業日。普段はあまり食べないのですが、大将がお刺身を用意してくれていました。とても美味しかったです。伊豆はワサビの産地なので、すりおろしのワサビも絶品です。お酒も久々に日本酒と合わせて頂きました。日本酒は悪酔いしてしまうので、あまり飲まないようにしているのですが、盆や暮れの時期は特別なのでありがたく頂きました。静岡といえば焼津の「磯自慢」とかが最近では有名かと思いますが、不覚にも何を飲んだのかメモ取るのを忘れていました。お店にいるときは料理を食べるのに夢中で、ブログ記事にまとめようとかも全く考えておらず、後に現像された写真を見て書くことを思いついた次第。常に準備はしておくものだと反省。 黒板メニュー 三島の繁華街はJRの駅から離れた「広小路」という場所が中心になるので、駅前の飲み屋街はとてもこじんまりしています。たぶん全部合わせても十数件程度かなと思います。北口側にはそもそも飲食店街が無いので、駅前は新幹線駅の割に閑散としているかと思います。それでも学生や若者、通勤客などで多少の人通りはある感じです。そういった意味では落ち着いて飲める雰囲気かと思います。大将のお店は何度か近辺を巡った後に偶然「発掘」しました。4、5年前くらいだったかと記憶しています。初めて入った時に、玄関手前側に立派な相撲取りの写真が掲げてあって、由来をお伺いすると大将の祖父だとのこと。撮られたのは大正時代だそうです。(因みにご出身は富山だそうです。お世話になった昔の上司も富山出身だったので何か縁を感じます。)昭和ノスタルジー的なお店の雰囲気と大将の人柄に惹かれ、近くに寄った際は尋ねるようにしています。次にお会いするときは今回の写真をお届けしようと思っています。別れ際に大将とお母様お二人の写真も撮らせていただきました。いつまでもお元気でいて欲しいと願うばかりです。 ありがとうございます! photos by @vikmakau