東急目黒線で目黒から三つ先の西小山の商店街にオレゴン州のワインを独自に扱っているお店があると聞いて駆けつけました。お店はオープンしてまだ1年も経っておらず、まだ店内も少し始められて間もない感じもありましたが、いわゆる立ち飲み系のお店でお酒の販売と併せて営業されているようでした。営業時間的には基本的には土日の夕方からの営業という風にお聞きしましたが、今後もアップデートがあると思うのでSNSなどお店のページ(→インスタページはこちら)から最新情報は確認されたほうが良いかと思います。それでは初めての訪問の記録を残しておきたいと思います。まずお伝えしておきたいのですが、本当におススメです。(もちろんサクラではないですヨm(__)m)オレゴンのワインとクラフトービールがメインなのですが、本当に美味しかったです。
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ところで、「オレゴン州」とは何か、というか、どこにあるのか、的な話から始めるべきだと思っています。自分はアメリカに何度か行ったことがあるのですが、それでもオレゴンと言われてもパッと思いつかないです。スミマセンm(__)m。日本に住んでいると馴染みがないというか、キャンピングとかDIYとかアウトドア系の趣味のある方ならご存じの方もいらっしゃるのかなと思いますが。。簡単にいうと、アメリカ西海岸の北寄りで、シアトルのあるワシントン州とカルフォルニアの間にある州です。西海岸といえば、上からワシントン州、オレゴン州、カルフォルニア州の三つなんですが、両隣の州がスター的存在感を放ちすぎて、あまり目立ってないといったところでしょうか。州都のあるポートランドは全米でも住みやすい都市として評価が高く、人口は60万人強。地方都市の部類にありますが、住民のコミュニティ意識が高く地産地消などローカルファーストが根付く街としても知られています。もちろん、こうした意識があってのことかと思いますが、お酒に関してもローカリズムを生かした小規模なマイクロブルワリーや、ウィラメット渓谷でのワイン造りが有名です。
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さて、前置きはこれくらいにしてテイスティングに入りたいと思います。なにせオレゴン州専門という珍しい響きで訪問しただけなので、まったくと言って良いほど知識の持ち合わせはありません。あばよくばバーボンなんかのウイスキーでもないかと棚を隅から隅まで見たのですが、残念ながらまだ?発見できませんでした(注:これについては後にアップデートがありましたので別に紹介しますm(__)m→→コチラ、記事の下の方の編集後記をご覧ください)。とりあえずは、ビールからいただきたいと思います。まずはジャケ買いというか、缶の外観だけで選びました。宇宙の絵をあしらった感じです。SUNRAYというのは「太陽光」?なんだかダイナミックなネーミングです。オレンジ色なんで、とりあえず柑橘系のフルーティさをイメージしてみましたが、これまたその通りというか、とてもフレッシュでフルーティさがはじけます。グラスもドイツ的なジョッキじゃなくて軽やかなグラスが用意されましたが、すばらしいマッチングです。また缶ビールとは思えないくらいの樽生感にびっくりしました。これは一杯目から贅沢です。
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さて、こちらのお店は店名にもある通りワインが本命。という訳で、ワインも頼んでみました。オレゴン州には内陸部にウィラメット渓谷というビールのホップやワインぶどうの生産で有名な場所があります。この土地は、気候的にフランスのブルゴーニュ地方にも似ているそうで、ぶどうの生育に適していることからオーガニック系のワイン造りが盛んなようです。アメリカンのワインというのはスーパーで売っているような値段も手ごろのカルフォルニアワインとかしか知らないのですが、このオレゴンワインというのは実は大変知名度もあるようで、オバマ大統領の時代に中国の国家主席を招いた晩餐会にも提供されたことで一躍脚光を浴びるようになったそうです。2015年の話ですが、ワイン初心者の私はまったく知りませんでした。そういえば伊勢志摩サミットの時に三重の地酒が注目を浴びましたが、あれと同じ感じなのでしょうか。通の間で元々知られているようなブランドが何かのイベントをきっかけにいきなり大化けするっているのは結構お酒界隈ではよくあることなのかなと思います。逆を言えば、どこもそれなりのクオリティを造ってらっしゃるんですよね。モノづくりですごいです。
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詳しい話はぜひこちらのお店に来ていただいて、オーナーから直接お伺いするのがよろしいかと思います。自分はあまりクラフトビールやナチュラルワインについては語るほどの知識も持ち合わせていないので、たぶんググったほうが早いかと思いますm(__)m。さて、その代わりというか、オレゴンのウイスキー事情については少し触れておかないといけませんよね。オレゴン州は先にも述べたように、クラフトビールやナチュラルワインの盛んな地。加えて意識高い系の住民や、DIYの土地柄がある。ここまでくればもう文脈的には一択でして、「クラフトウイスキー」です。それが、ウエストワード蒸留所になります。(ちなみに似た名前でお隣のワシントン州で有名なアメリカン・スコッチの蒸留所は「ウエストランド蒸留所」です。)
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ウエストワード蒸留所の特徴はアメリカン・シングルモルトウイスキーの第一人者であることを自任する、アメリカンスタイルのモルトウイスキーメーカーである点です。注意していほしいのは基本的にアメリカでウイスキーといえばトウモロコシ由来のバーボンウイスキーです。アメリカンなモルトウイスキーというのは、スコッチのように自家栽培の大麦を使い、醸造、蒸留、樽熟成をすべて自前で行う。つまり、アメリカンテロワール&メイド・イン・アメリカなモルトウイスキーであることです。スコッチに比べれば歴史はまだ浅いですが、原料のテロワールや発酵などの工程に関するこだわりは本家にまったく負けてはいません。クラフトビールなどで培った知見を活かし、今後どのような成長を遂げていくのかがとても楽しみです。ウエストワードでは国内でも入手ができるようですが、他にも多くの蒸留所が今後誕生することが予想されます。こちらのお店でもぜひともアメリカンウイスキーが紹介される日が来るのではないでしょうか。
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オレゴン州でもう一つ有名な蒸留所がクリアクリーク蒸留所。アメリカで初めてのシングルモルトをリリースしたことで知られる。創業者はスティーブ・マッカーシーで、オリジナルのモルトウイスキーはピートタイプのこちらのボトルのみ。2014年にフッドリバー蒸留所に吸収され、蒸留所も元のポートランドから更に内陸のフッドリバーに移設。(『モルトウイスキー年鑑2022年』より)
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ポートランドの「カスケード・ブルーイング」のクラフトビール。ホッピーなビールとは一線を画す「サワーエール」が特徴。こちらのはウイスキー樽で熟成した上に、レモンとオレンジ風味を添加しているとのこと。その名の通り、柑橘系の爽やかさのある軽やかな仕上がりのビール。
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こちらはワインで有名なご当地のグレープを使用し、オーク樽で熟成するなどした「タンニン」をしっかり感じるワインのようなビール。非常にうまく味が馴染んでいて、驚くほど飲みやすいです。
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もはや秀逸という言葉しか浮かびません。日本で一般的なピルスナースタイルのクラフトビールなのですが、樽生でもないただの缶ビールなのに、すべてが吹き飛ぶほどの爽快感。ここまでくると神懸っているとさえ思えてきます。一体全体この缶の中はどうなっているんだ!という極上のうまさ。これがビールなんですね!
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これはIPAスタイルの「ゲームオン」。昔のテレビゲームを思い起こさせる遊び心のあるパッケージです。以前に頂いた樽熟成のカスケードビールは柑橘系のリキュール感ある甘みが特徴でしたが、こちらは柑橘系のシトラス感がボディとしてあるのは似ているのですが、ホップが適度に効いていてそのままスッと軽やかに抜けていくような感じ。こちらもとても缶ビールと思えないようなインパクトがあります。この樽生のようなフレッシュさを輸入ビールで再現できるって本当にどうかしてます!!
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メインはオレゴンワインのお店なので、ワインも少し勉強させてもらいました。味わいはニューワールド系な感じですが、とっても美味しかったです!残念というか、ちょっと高めなんですね~。もっとオレゴンが盛り上がってくれば、安くなってくる予感です。
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