アメリカ禁酒法の1920年代をイメージした隠れ家的バーを21世紀の銀座1丁目に見つける。

BITTERS AND CLUB

銀ブラ。銀座をブラブラすることに間違いないですが、ウィキペディアで一応調べたらこの用語は「大正時代」からのようですね。そんなに古くからこの「銀座」というのは文句無しに都心の一等地としての座に君臨し続けて来たというワケでございまして、諸行無常も何もなく、銀座はおそらく永遠に銀座なのでしょう。その銀座でバー巡りというのは、恐れ多すぎて今までに一度も挑戦したことがなかったのですが、たまたまお日柄も良く八重洲から新橋に歩いていくついでにちょっと試しに1軒立ち寄ってみた次第です。タイトルにもあるようにアメリカの禁酒法時代、つまり日本の大正時代と同じくらいなわけですが、のキャバレーをイメージしたまさに大人の隠れ家的なバーを見つけてしまいました。

BITTER AND CLUBの入り口立て看板

毎度同じですが今回も全くただフラっと見つけただけなのですがお店の名前は「BITTERS END CLUBというところです。文芸バーとして有名なスター・バーのあるビルの2階です。銀座のビルは外観だけでは全く判断できないところがあって、至ってどこにでもあるような雑居ビル風でも中はすごく洗練されていることがあります。こちらも全くその例の通りでして、中はゴージャスな隠れ家的オーセンティックバー。大人のバーの模範解答のようなお店でした。お店の奥に小さなバーカウンターがあり、マネージャーと助手の方?の2名。もちろんバッチリと正装していました。お店の中を入ってすぐの真ん中あたりは暗くて良く分かりませんでしたがハイテーブルのカップル席がいくつか。そしてカウンターとは逆の奥の方にVIP向けのボックス席らしいものも見えました。要するにです。すべてがエレガントな設えで、ありとあらゆるシチュエーションに対応しているということなのです。お一人で来るもよし、ペアやカップルで来るもよし、もしくはグループでも対応できますよ、と。そして店の隅々にまで至る洗練されたオーラがどこに座っても迎えてくれるという仕組みです。さて、それでは一体何を頂けるのかしら?というワケなのですが、ここでもまた新たな発見がありました。

1920年代のキャバレーにタイムスリップ?!

いやあ、参りました。その前に、申し上げておきたいことがあるのですが、とにかくマネージャー殿の接客術と申しましょうか。久しぶりにこのような上品なバーに来るので異常に緊張していたのですが、とにかく聞き上手。やはり大人の男性の理想像というか、中年男子の目指すべき姿がそこにあります。余計なことは言わず、とにかくこちらに話をさせる。「させる」というのは恐縮なのですが、とにかく気づいたら自分がしゃべっているワケです。(というか、ただ自分がおしゃべりなだけなのか?!)これがまたうまい。時にこうしたバーはマスターの講義を延々と聴くようなことになったりすることもあるのですが(それはそれで勉強になるから面白くて良いのですけど)、こうした落ち着いた構えというのはエレガントな大人のバーに必須の要件ですね。とにかく、落ち着きが無かったりすると話をして誤魔化すなんてことは多々あるのですけど、やっぱり静寂というもの如何に美しく演出できるのかというのは接客の極意かなと思います。また、お隣にいらした女性の方もいるのですが、まったくこちらの様子に気を遣うことなくひたすら隣で何やら下準備らしきことに勤しんでおられて、これもまた美しき。ここで相槌を打つというのも確かに男としてはうれしいのですが、実は中の上くらいなのかなと。()

さて、そろそろ本題に入りましょう。最初にハイボールで軽く口を洗った後、何かちょっと特別なモノがないのかなあと思いながらマネージャーさんと話をしていたのですが、紅茶とアルコールのマリッジを開発しているとのことをお伺いして、アイリッシュコーヒーならぬ、アイリッシュティーを頼んでみました。要するに紅茶にリキュールを淹れるということなのですが、自分も以前にちょっとあるヒントを経てこの発想について興味を持ったのですが、実際問題「紅茶」に「リキュール」を淹れるというのがうまくマリアージュするのか?という問いがありました。それぞれに個性的なものを組み合わせると、1+1が2になるどころか、ゼロ、もしくはマイナスになってしまうこともあります。極上のトロと神戸牛はそれぞれに良いですが、それを合わせたら美味しさも倍になるかというと、そうはならないのと同じです。つまり、紅茶もリキュールも仮にそれぞれに良いものを選んだとして、それをうまく合わせてお互いの良さを引き出し、さらにプラスアルファを出すというのは相当な知見と技術が無いと難しいのではないか、と考えていました。そんなことをモヤモヤ頭の中で考えながら、でもとにかくメニューにあったので一つ頼んでみたのですが、簡単にいうととても美味しかったのです!紅茶はブレンドで、リキュールは確かラム?だったか、それにホイップクリームらしきものを入れて提供されたのですが、絶品でした!!

ちょっと何を撮っているのか分かりにくいですが、こちらがその絶品です

それぞれの主張が衝突することなく、うまく組み合わさって何か新たな次元を作り出しています。うまく言えませんが、味の系統としてはスターバックスのカフェモカとか、インドカレー屋で頂くような本格的なホットチャイとかに近いのですが、確かにリキュール感もします。

話をお伺いしているとコロナの影響もありお昼も営業されているようで、バーの雰囲気からすると深夜帯以降かなとも思える雰囲気でしたが、早めの時間帯がメインなようです。ゴージャスで洗練された風であるのは間違いないのですが、マネージャーの落ち着いた人柄などもあってか余計な緊張をすることなく純粋に楽しめました。さすがに銀座とあってか女性客も多く、海外からのお客さんもたまに見つけて来られるとのこと。都会の喧騒を忘れてちょっと優雅で贅沢な時間を楽しむには最適のバーだと思いました。値段もリーズナブルで、正確には分かりませんが、テーブルチャージとかは無く、ドリンク料金だけの明朗会計でした。また銀ブラをする機会が訪れたときには、その隣の2丁目界隈を狙ってみようかなと思います。それでは、また!

アメリカ禁酒法の1920年代をイメージした隠れ家的バーを21世紀の銀座1丁目に見つける。

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