スコットランドの本島、最西端グレンベッグ(GLENBEG)に位置する蒸留所。オーナーはボトラーズのADELPHI社、2014年に操業開始。

2003年

アデルフィのの創業者、ジェイミー・ウォーカーはある日キース・ファルコナーと近所に住んでいたドナルド・ヒューストンの来訪を受けた。彼らはとんでもないウイスキーのウワサを聞きつけてジェイミーから「樽」を買うためにやってきたのだ。しかし、彼らはあまりにもそのウイスキーの美しさに惚れてしまい翌年の1月に、、
https://www.adelphidistillery.com/

会社ごと買っちゃいました!汗

そもそもアデルフィ社の由来とは?その歴史を遡ると1826年に創業したロッホ・カトリーヌ・アデルフィ蒸留所にいきつく。グラスゴーのクライド川沿い、ビクトリア橋の南側に位置していたこの蒸留所は当時のスコットランドでは最大規模の蒸留所であった。
LOCH KATRINE ADELPHI DISTILLERY
ジェイミーは当時経営に携わっていたアーチボルド・ウォーカーのひ孫にあたる。19世紀後半に繁栄を謳歌したものの、20世紀に入り蒸留所で大規模な事故が発生し、モルトウイスキーの生産から撤退。その後、しばらくはグレーンウイスキーの生産だけを続けたが、1932年に生産終了、1968年貯蔵庫も役目を終え、1971年に蒸留所は完全に取り壊される。
1993年、忘れ去られていたアデルフィの名前 が復活する。ジェイミー・ウォーカーがボトラーズとしてビジネスを立ち上げ、先代が運営していた蒸留所の名前を看板に掲げたのだ。
選び抜かれたカスクに特化し、クオリティーで魅了するそのウイスキーは愛好家の間から徐々にその名前を知られるようになった。
製造責任者のアレックス・ブルース氏
ファルコナー氏が2004年に買収した当時、商売の規模はとても小さかった。同年に加わった蒸留責任者のアレックス・ブルース氏が語るところによれば、その当時にあったのは「3つの樽と、200本程度のボトルのみ」という状態であった。その後、ビジネスを拡張し、商売も軌道に乗り始めていたが、それ故にある問題が生じていた。。。
クオリティのあるカスクを安定的に入手するにはどうすれば良いのか?

YOUが建てちゃいなよ!

と言われたかどうかは知りませんが、スコッチウイスキーのシングルモルトの人気が上昇し始めていました。良質なウイスキーの原酒を入手することはますます困難になることが予想されました。その当然の帰結として、同社は2007年頃から自前の蒸留所建設の計画を練り始めます。そして、2013年から建設に着手、2014年7月に操業をスタートします。それが、このアードナムルッカン蒸留所なのです。

アードナムルッカンは土地の名前で、アードナムルッカン半島というスコットランド西部の辺境にあり、その最南端の「グレンベッグ(GLENBEG)」というところに蒸留所は位置します。ここは、スコットランドでも、最も辺境の土地のひとつであり、また手つかずの自然がそのまま残っている景観美に溢れる場所としても知られています。

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アードナムルカンのシングルモルトリリースは既に始まっている。2020年9月にボトリングのファーストリリース(写真左)、そして2021年1月にボトリングしたセカンドリリース(写真右)だ。どちらも日本国内での入手はかなり困難な模様。両方ともピートとノンピートの原酒を半々でヴァッティングしており、バーボン樽(65%)とシェリー樽(35%)で熟成した蒸留所のコアスタイルに位置づけられる商品。(将来的にはヘビーピートや、ノンピートなども構想としてはあるようだが、限定販売になる見込みだそう)とりあえずは、どちらかでもお目にかかることがあれば、ぜひともテイストしてみたい!
蒸留所を買っちゃうなんて!と思った方、こちらにはサイクリング中に立ち寄ったボロボロの蒸留所が気に入って、お金を集めて買収し、復活させた話です↓