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弘前にて、青荷温泉記

太宰治の故郷、五所川原。 2月のある日に、日経新聞を眺めていたら下に掲示するような面白い記事が出ていた。要は日ごろネットワーク付けの毎日から解放されるという空間を提供してくれる宿があるのだという。「デジタル断食」とでもいうのか。思えば、携帯などというものを皆が手にするようになってから、どこにフラフラしていようともすぐに追ってかけられるという事態になってしまった。これは仕事に限らずプライベートでも同じ、すなわち24時間365日、衛星(GPS)に追われる続ける現代人。しかし、この追及から解放を提供していくれる秘境がまだこのように存在していたいという知らせである。インターネットがつながらないならまだしも、ここは携帯の電波も届かないわけである。つまり、外界から連絡をする際は、この宿に電話をしてもらい、「おーい、○○さん!いますかあ!」という具合で呼び出してもわなければならいということ。ちなみに、ひねくれ者の諸君の中には、だったらあらかじめ映画をダウンロードしていけば良いではないか、と。まあ、そうかもしれないが、ここは電気も通らぬ秘境中の秘境、山小屋に来たようなものである。なので、十分にバッテリーを満タンにしていくくらいしか対策ができないだろう。部屋に貼るのは、おおよそ布団とストーブだけ。あかりはもちろん部屋に頼りなく灯る「ランプ」のみである。 新聞記事でデジタル断食の宿として紹介されていた。 さて、まずこの宿にどうやってたどり着けばよいのかということを知らせておきましょう。まず、場所は青森県の津軽地方にあります。太宰治の故郷として、もしくは、鉄道好きの方であれば「ストーブ電車」で知られる津軽鉄道の始発駅として知られる「五所川原駅」、は実はあまり関係ないのですが、ここから五能線、奥羽本線と上った弘前が旅の始まりになります。この弘前は「藩士の珈琲」でも知られるように、実は喫茶店とコーヒー文化が有名。(→詳しくはこちらの記事など参照)こうした歴史文化的な背景もあってか、弘前市内には城跡近くのレトロな文化財建築(その実は戦前弘前に拠点がった旧第八師団の長官舎であるとのこと)にスタバが入居してたりします。今回はこちらが気になってしまってスタバでいつものドリップを飲んでからその先へと進みます。この弘前には地方鉄道で「弘南鉄道」というのが運行されていて、ここからさらに内陸の黒石まで向かいます。いわゆるローカル鉄道というやつで、昔の東急の車両がリユースで使われています。二両編成で、乗客はほぼ学生。車内はみんなスマホに夢中の様子。いやはや、こうしたことは本当に都会も地方も同じになりました。地方だと学生は未だに赤本にかじりついているなんてのは偏見ですよ!って誰に対する叫び?!笑 ようや終着駅の黒石に到着。 黒石からはまだ先があります。ここからは路線バスで宿からの送迎バスが待つ虹の湖公園PAまで向かいます。天気が崩れていて外は強風、雪が降ってくるというのではなく、積もった雪が強風で下から舞い上がり視界は真っ白です。これがいわゆるホワイトアウトというやつなんでしょうか。昼間ですが対向車もライトを点灯するなど、とにかく何も見えません。しかし、やはり雪国の人はなれたもので、ハザードを点灯している車とかはまれ。特に混乱がある様子はありませんでした。ちなみに、東京を出る前は、「大雪暴風警報」なるものが発令されるという天気予報があり、かなり焦っていました。しかし、ここまでは問題なく飛行機も飛ぶし、電車も動く、バスも走る、雪国の生活とはこういうものなのかと実感しました。しかし、まだまだこれからなのです。山間の湖(虹の湖公園)の湖畔にあるパーキング施設で宿からの送迎車が迎えに来てくれることになっています。宿泊者は車でもこのパーキングに車を置いて、ここからは宿のマイクロバスに乗らなければなりません。そこまでのものか?と初めは思っていたいのですが、道の両端が除雪した雪の壁で塞がっており、車1台がようやく通れるようなスペースの、しかも山道を、しかもマイクロバス!で登っていきます。えっと、ひとつ間違えば崖から落ちるようなところです。これはかなりスリリングです。とにかく運転手に身を委ねて走ること20分くらい。ようやく、秘境の宿に到着しました。 路線バスと送迎バスが接続する虹の湖PA(施設は冬季閉鎖) 宿の建物は意外に大きかったです。どのくらいの人が収容可能か、おそらく100名くらいはいけるのではないか、そのくらいのサイズです。部屋数も20~30くらい、あるいはもっとあるように感じました。そのほか、離れのような建物も点在していました。そして、温泉は内風呂と外風呂、さらには露天風呂の合計で4か所。すべて、違った雰囲気なので、これらを一つ一つゆっくり回っているとそれだけで相当な時間がかかります。関西方面からの団体さんも一緒に来られていて、宿はかなりにぎわいがありました。皆さん、登山でもするかのうような恰好。電気もガスもないので、電気ストーブだけの暖でしたが、不思議と寒いとは感じませんでした。お湯に浸かってばかりいたからかもしれませんが。ただ、夜はやはり昏かった。電気の無い生活の何たるかが身をもって体験できます。食事も暗がりで食べるのでハッキリとはよく見えません。次第に目も慣れては来ますが、夕食後風呂に浸かった後はさすがに何にもすることがなく、布団を敷いて、そのまま寝ました。まだ夜の8時くらいだったかと思います。でも、不思議なもんで、旅路の疲れもあったと思うのですが、そのまま寝れました。普段の生活ではちょっと考えれらないですね。※因みに記事にもありますが、トイレは明かりがありました。一応、自家発電があるようで必要最小限の電力は使っているようです。あと、外も真っ暗で敷地内に小川のようなものも流れているのですが、危険!とか注意!とかそういうのは一切ありません。分かりきってることは自己責任で、ってことなんだと思いますが、こちらも非常になぜか新鮮に感じました。 ひたすら雪が降ったり止んだり、つららがすごい。 さて、完全な温泉日記になる前に、最後にスコッチウイスキーのネタを一つしておきます。こちらの宿に来る前にホワイトホースの小瓶を鞄に忍び込ませておいたのです。とりあえず、寝る前に雪見酒ならぬ、雪見ウイスキーでも興じようかと思っていたら、屋根の下に大きな氷柱を発見。そのうちの、ひとつを拝借して、天然のロックでホワイトホースをいただきました。少ししゃれたカップも持ってこればよかったのですが、そこは忘れていて仕方なく宿の湯飲みで代用しました。飲んでみての感想は、ううむ、実は特にありません。いくら天然のロックでも石油ストーブを前にして湯呑でのみもんじゃないですね、とうのが率直な感想でしょうか(笑)。 今夜はホワイトホースを天然ロックで! 今回はちょっと温泉の旅の日記のようなものになってしまいました。ウイスキーの楽しみ方というのはそれぞれにあって、飲む場所とか、飲むシチュエーションなんかもいろいろあって良いのかなとは思います。でも、自分の場合はやはりバーで一人チビチビとやるのが性に合っているなと改めて思いました。そうはいっても、こうした山の中の自然にあふれた中でウイスキーを味わうというのも、また違った味わいがあるというものです。今度は弘南鉄道みたいなローカル線の車内で電車に揺れながらの一杯というのもまたよいかもしれません。ではでは、失礼いたします。この宿に興味のある方はぜひ調べて実際に訪問いただければと思います。関西からでも、関東からでも、アクセスにはかなり時間を要しますが、行ってみる価値は十分にあるのかと思いました! 源泉かけながしのお湯で体の芯まで温まる

Ken’s Bar新宿店

バーボンが専門のウイスキー・バーというのはあまり無いのかなと思うのですが、その中でこのKen’s Barさんはバーボン愛好家の界隈で知られているということで以前から名前はうかがっておりました。本店は八丁堀の近くにある京橋店なのですが、その2号店が新宿のゴールデン街にあるということで、いつものようにフラっと訪問しました。実はちょくちょく界隈を通るので、気にはなっていたのですが空いている様子がなく、今回ライトがついていたのでもしや、ということで地下にある店舗の扉を開けたという次第なのです。こじんまりとしたお店には、カウンター席と後ろに小さなテーブル席という感じ、5人か6人も入れば満席というような感じでしょうか。でもカウンターとの距離感も近く、カジュアルでフレンドリーな場所といった雰囲気です。 バーカウンター後ろの棚 まずは一杯目を何にするかということで、とりあえずテネシーウイスキーの雄、ジャックをソーダ割で。バーボンは主に、ジムビームなどのケンタッキー・ウイスキーと、ジャックなどのテネシー・ウイスキーに分かれます。もちろんほかにも生産地はあるのですが、主にこの二つが日本では主流と思って間違いないです。その中でも、ジャックを除けば、ほとんどがケンタッキー・ウイスキーと考えて間違いないです。要はバーボンはケンタッキーと覚えておけば、最初は間違いないです。(別にテスト対策とかではないんですが笑)で、ケンタッキーとテネシーが分かれている理由ですが、これも簡単に言うと、テネシーはお酒をろ過してます。スコッチでいうところのチル(ろ過)、ノンチル(無濾過)と考えておけばよいのかなと思います。詳しい説明(「チャコール・メローイング製法」)もネットとか検索すれば出てきますが、読んだだけではなんともわからないのでここでは触れません。m(__)m さて、そもそもバーボンってなん?という話に戻ります。とりあえず、以下のような規定があります(https://tanoshiiosake.jp/4485から引用します)。まず(1)はいいですよね。ただし、先ほども述べたように、主な蒸留所の産地はほぼケンタッキー州になります。特にルイビル(Louisville)という町が有名です。ちなみにこのルイビルですが、ケンタッキーのフライドチキンやピザハット、タコベルなどのオーナー企業であるヤム・ブランズ社の本社があるなどケンタッキー州の最大都市です(ただし州都ではない)。次の(2)です。そう、実はトウモロコシが主原料なんですよね、でも細かくいうと確か比率に上限があって、コーンの割合が高くなるとそれは更に「コーンウイスキー」という分類になります。バーボンの中で、とりわけコーンの比率が高いものはコーンウイスキーだと思っておけば良いのかと思います。100%コーンのウイスキーもあるようですが、正直一度も飲んだことがないです。(3)はスコッチだと、蒸留液で94.8パーセント未満、瓶詰で40%以上、ということかと思うので、同じ感じです。(4)がかなり違います。「新品」のオーク樽というところがミソです。要するに樽をチャー(焦がす)した後のフレッシュな樽を使用するということで、スコッチに比べると熟成期間は短いものの、バーボン独特の甘みのあるスパイシーで輪郭のある風味が形成されるのかと思います。       「バーボンウイスキー」と名乗るためには、次の4つの条件を満たす必要があります。(1)アメリカ合衆国内で造られている(2)原料となるトウモロコシの比率が51%以上(3)アルコール度数は蒸溜時で80%以下、瓶詰め時で40%以上(4)中身を焦がした新品のオーク樽で2年以上熟成 さて、バーボン目当てで扉を開けたのですが、スコッチも割と充実しております。場所柄もあってか、そこまでバーボンに徹底しているワケではないとのことで、スコッチのほかにもジャパニーズなんかも置いてありました。いろんな方に楽しんでもらうというのが基本コンセプトのようです。スコッチの棚をざっと見渡していたのですが、表に見える数はそれほど多くはないものの、かなりレアと思しきものが並んでます。期間限定?でウェルカムドリンクなるのをやっているとのことで、自分はこちらを選びました。廃蒸留所シリーズ、「インペリアル」、ってドヒャ。初めてお目にかかりますよ、こんなの。普通のショット価格がいくらするのかは敢えて聞きませんでしたが、滅多におめにかかれるものでは無いと思ったのでありがたく頂きました。これともうひとつボトルがあったのですが、23年熟成の1995年モノをチョイスしました。割と最近にボトリングされたってことですが、まだどこかに原酒が相当残ってるんですかね。さらにエゲツナイものが出てきそうな感じです。お味は?というと、これがまたしっかりとしたモルト風味で23年の時を感じさせません。とても素晴らしいお酒です。インペリアルはハイランドにかつて存在した蒸留所ですが、1998年に閉鎖。ブレンド向け主体で運営していたようで、シングルモルトそのものが希少と思われます。その後ペルノリカールが買い取り、その跡地には新たな蒸留所「ダルムナック」(Dalmunach)が2015年に誕生。 ダルムナックのボトル(Chivas社サイトより) ジョージディッケルを飲み比べ テネシーウイスキー、ジョージディッケル さて、肝心のバーボンの話の戻ります。まさかのレアウイスキーを頂いた後ではありますが、とりあえず棚に並べてあった「ジョージディッケル」を頼んでみました。これもテネシーウイスキーなのですが、ジャックダニエルに比べえるとあまり世間的には知られてないような気がします。「12」とか「8」とかの数字があるのですが、これは熟成年数とは関係なく、スコッチ的な熟成年数は不明、いろんな樽のブレンドのようです。レシピは両方ともコーンが84%、ライ麦が8%、モルトが8%。違いは、白のラベルの№12がアルコール45度、黒の№8が40度、というところ以外はわかりませんでした。なのでエントリーレベルは№8で、より楽しみたい人は№12というような棲み分けでしょうか。色も、そんなに違いはなかったです。さて、これらは実はすべて後で調べたことなので、この記事を書いている時点でどっちかどうだったか忘れてしまいましたm(__)m。どちらもおいしかったです。ただ、片方がよりスパイシーな感じであったので、たぶんそれが№12の方かなと思います。もう片方は少しまろやかで飲みやすかったイメージです。 さて、今回はこれくらいにて切り上げました。カウンターに置いてあった山崎と響も気になったのですが、久々のバー巡りで明日も朝から仕事で早めに切り上げた次第です。もう少しじっくりと楽しみたかったのですが、またの機会の預けすることに。カウンターのマスターはとても気さくな方で、スコッチにもお詳しく非常に楽しかったです。やはり、どんなに良いお酒もアットホームで落ち着いた感じで飲めてナンボかと思うんですよね。落ち着かない肩ひじ張るような雰囲気だと、どうしても集中ができません。でもどういった雰囲気が合うかはまたこれも各人それぞれかと思うので、自分にあったバーで飲むというのが一番大切なことかなと思います。自分は基本的にはバーでしか飲まないのですが、これもやはり酔うために飲んでるのではなくて、やっぱりどういう酒がおいしかったとか感想を交換しながら飲むのが面白いからです。こうした感覚を共有できる方と一緒に楽しめるというのは最高です。来月からは4月、新たな年度の始まりとなります、そしてコロナでもう3年目になるでしょうか。まずは健康に気を付けて、お酒もしっかりと楽しめるように体調管理を怠らないようにしたいと思います。それでは、引き続きよろしくお願いいたします。

№502(ナンバーゴーマルニ)🍷

新興系の国産ワインがたくさんズラリと。 最近の週末に小田急線で世田谷の界隈を散策することが多くなって、ちょっと実は世田谷ブラブラにはまっている今日この頃です。この世田谷なんですが、東京23区で一番人口が多いそうなんですが(※)、とにかくデカいんですよね。とりあえず今回ふらふらしているのは小田急線の千歳船橋界隈です。この千歳船橋から少しのところにすごく洒落た、面白いワイン屋さんを発見しましたので、今回はちょっとウイスキーから話題はそれるんですが、そちらの話をしてみようかと思います。 ※調べてみたら90万人近くもあるそうですね。これってもう「区」とかのレベルじゃないですね。参考ですが二番目は練馬、三番目が大田、70万前後です、地方だと中核都市並ですかね。東京はすごいとこです。 さて、こちらのお店。初めは何のお店なのかよくわからなかったのですが、外観からなんとなく酒屋さんかなと思って入ってみたら、1階がワインショップで2階がイートインになっているようです。1階の調理スペースはオープンキッチンでその脇にはカウンターがあり、そこでワインの角打ちみたいなこともできるそうです。最初に訪問したときも思ったのですが、若いスタッフさんが多いですよね、しかも結構積極的にコミュニケーションをとってきます。まるでスタバみたい。でも元気が良くていいと思います。(ほんとはデレデレしてるだけですが笑)とにかく、自然派というかオーガニックなワインがメインのようです。ワールド系のものやら、国産のものも手広くしっかり厳選したものがおいている感じ。どこそこの有名どころというよりかは、生産者の顔が見えるようなクラフト系というのでしょうか、なにかこだわりが感じられるセレクションと思います。 ジョージア(グルジア)のオレンジワワイン。 お店の話を伺ってみると、どうも本店は表参道とかその辺りにあるようで、そこが501を名乗っているようです。ここが502(ゴーマルニ)で二番店という訳。なるほど、それでこんなにあか抜けて洒落た空間なのですね、と妙に納得。でも、そんなに敷居が高い感じもしなくて、アットホームな雰囲気です。スタッフの方もみなフレンドリーな感じ。うまく周囲と調和していてよいですよね、こういうお店が近くにあるというのは。さすが、世田谷です。 広島竹原のお酒だそうです。ネーミングが斬新ww すでに何度かこちらのお店でワインを購入させていただいたのですが、特筆すべきは国産ワインでしょうか。それもいわゆる甲州ワインとか長野の塩尻ワインだとかいう有名どころではなくて、地方のあまり(一般的にはm(__)m)名の知られていないような産地のものが主流のようです。試したのは岡山のdomaine tetta。これは他のワインショップでも見かけたことがあります。もう一つは広島の瀬戸内蒸留所。   両方ともオレンジワインで、さっぱりとした泡立ちのあるフレッシュなワインでした。とても飲みごごちがよく、アルコール度数も低めでグビグビと飲んでしまいました。安っぽいわけではなく、ブドウのおいしさが本当に伝わってくるというか、岡山や広島という瀬戸内の地域でこれほどまでに上質なワインができるとは正直信じられないほどの出来栄えでした。直近で購入したdomaine tettaは写真はないのですが、結構面白いです。なんとラベルが無くて、代わりに手紙が着いてあります。障がい者施設の方が育ててくれたブドウをもとにワインが作られたらしく、この手紙にワインの感想を書いてショップに持っていけば、それが生産者のもとに返信されるという仕組みなのだそうです。まだ返信の手紙は書けてないのですが、感謝の気持ちを書いて今度お店に持ち込みたいと思います。行くたびに必ずボトルを買ってしまうので、少し間を開けてから訪問できればなと思っています。またまだ試してはいないのですが、ワインの角打ちっていうのもぜひトライしてみたいですね!そういえば、経堂にも3号店ができたとかいう話で、隣の駅なので今度はそっちのお店にも顔出してみようかなと思っています! こちらはパンフレットカードみたいなの。 no.502さんのお店に関する記事は以下も参照ください。 ・【千歳船橋】『no.502』はテイクアウト&デリの楽園!自然派ワインと惣菜を飲めて買える超人気店 ・自然派ワイン角打ち「no.502」が千歳船橋にオープン。外苑前の「no.501」の2号店で、コロナ禍で住宅地立地に着目、サスティナブルな視点を意識した店づくりに注目 ・世田谷エリアに自然派ワインの角打ち酒屋「no.502」がオープン アクセス情報はこちら↓

モルトウイスキー年鑑(2022年版)

編集中ですm(__)m モルトウイスキーイヤーブック2022 2022年明けましてよろしくお願いいたします。さて、早速ですがこちらの本「モルトウイスキーイヤーブック2022」を新年挨拶代わりに購入しました。スコッチのトレンドリサーチには必携。毎年出ていて、実は10月くらいには発刊されているみたいです。年が新しくなったのでアマゾンで調べてたらすでに入手できる状態になっていたのでオーダー。即ゲットできました。 スコッチウイスキーに興味があって、まだ読んだことが無ければ一度は目を通してみると良いと思います。英語で書かれていてちょっと難解ですけれども、そこまで複雑な内容でもないのでだいたいの単語とトレンドが頭に入っていれば要点は消化できると思います。そうでなくてもこちらのホームページを読んでらっしゃる方であれば、より分かりやすいと思います。(自分は編集者の誰も知りませんが)このページで紹介していることととかでシンクロしてるところもいくつかありました。そうしたことも含めて新年の感動を先ず報告していきたいと思います。 おおまかにですが、まずはこのイヤーブックのメインライターの特集記事から始まります。各方面のトレンド記事のようなもので、昨年(2021年度版)はスコッチの新興蒸留所の動向や、アメリカン・シングルモルトの潮流、ウイスキーのテイスティング(味わい)の哲学などのトピックが並びました。 あ 2022年の最新版はざっと次のようなテーマです。(また詳細は別途じっくり読んだ後にでも紹介できればと思っています)。まずはIan Wisniewskiによる記事。注目したのは「チョコーレート・モルト」などと呼ばれる深煎りのモルト(チョコレートのような色味という意味合い)。スコッチのフレーバーは樽が決めるとよく言われますが、最近は樽以外の要素も注目されてきていると思います。その中で、ウイスキーの粗原料でもあるモルト(発芽大麦)を改めて見直そうという動きを追っています。深煎りのモルトを使うと何となく味わいも渋みとか増しそうなイメージがありますが、どうも逆なようですね。まだ一度も飲んだことがないので、まず一つ目の宿題になりそうです。 次はチャールズ・マクリーン氏とArthur Motleyによるスコッチウイスキーと租税に関する歴史的な話。こちらの話題は自分は疎いのでパッと読んだだけではさっぱり分かりませんでした。また読み直します。次はJoel Harrisonによるウイスキーの将来に関する話。ややマーケティング的な話かもしれません。現在ブームにもなりつつあるスコッチですが歴史的に見れば幾度かのアップダウンを経験してきました。そのたびに新たな蒸留所が出来て、衰退するとまた閉鎖して、の繰り返しをたどってきました。それが今後はどう推移していくのか、そのためにはどういうストックを準備しておかねばならないのか、こうした商品としてのウイスキーを考える最前線の様子を伝えているようです。私見になりますが、今日の蒸留所は量よりも質、もっといえば個性を純粋に追い求めているところが増えてきている気がします。というのは、やはり消費する側のレベルも上がってきてることを生産者側もよく理解している。きちんとしたモノづくりをすれば、かならずその商品を喜んでくれる人がいる、そういうウィンウィンの関係性(これはウイスキーに限ったことではないと思いますが)が形作られているように思います。m(__)m 特集ページ さて、いよいよやってきました。ここからがこのホームページでカバーしている内容とシンクロしてくる部分です。Neil Ridleyによる「コミュニティ・スピリット ~ローカリズムを読み解く」(原題は”Community Spirit – where localism is the key”)。表紙を飾るのは「ナクニアン蒸留所」でも紹介したアナベル・トーマス女史です。いやあ、やっぱりこの方が来たかという感じです。純粋にうれしいですね。というのは本家のスコッチ業界からすれば、やっぱりあまり面白くはないとも思うんです。バックグランドが違う新参者、女性、そして樽いうよりかはフィールドに帰る作り方。老舗で男性、そして高級稀少樽の長期熟成がチャンピオンのような伝統的スコッチの牙城とは全く対照的。正直評価されるのはもうちょっと時間がかかるのではないかと思っていました。この度量!素晴らしいですね。 そしてこの評価を得た伏線にNeil Ridleyはコロナ禍による行動抑制と地元主義(”Localism”=自らが住む地域を見直そうと言う視点・動き)を挙げています。もっと自分の身の回りを知ろうということです。つまりウイスキーの生産家において、(売れる商品を作る視点という事ではなく)例えば蒸留所の周りで採取できる原料を活用したり、またそれを通じで地元の産業や雇用に直接的または間接的に支えてたり、あるいは地元のコミュニティの活性化に貢献したりという活動に蒸留所が関わっていくことを意味します。これはいわゆる土地の味を表現するという意味の「テロワール」とはまた次元が異なる思想なのかなと思います。 そしてこれは本来は小さな家内工業の延長であったスコッチウイスキーの蒸留所がグローバル資本の傘下に次々と編入され(上位二社でグローバルシェアの半分くらいを占める)即行でグローバルブランドが展開される現状との対比でもあります。つまりファーストフードに対する、スローフードの哲学とでもいいましょうか。自然の流れに合わせてやりましょうよ、ということかなと思います。そのままの引用になりますが、「Grain to Glass」を標榜するイングランド・ケントのコッパーリベット蒸留所の創業者ステファン・ラッセル氏がうまくその想いを要約しています。まだ紹介できていなので、こちらも今年の目標にしたいと思います。 “In a globalized world, with global brands and multinationals, conglomerate brand owners have the ability to create instant international “success”. Often those products fade quickly and are repackaged or […]

【静岡】三島の大将(三島)

三島の大将のお店。場所は東海道線三島駅の南口を出てすぐの飲み屋街の一角。大将は伊豆の出身で、東京に出て修行し、この地に戻って10年くらいだそうです。夜の早めの時間帯に伺うと、御年92歳の大将のお母さまがカウンター奥の席にいらっしゃって静かな笑顔をこちらに向けてくれます。お食事とともに頼まれるのは、なんとウイスキー(確かブラックニッカ)のお湯割り!そうなのです。ウイスキーも適度に楽しめば長寿の秘訣となるのです! 店内カウンターの眺め さて、話が大きく脱線する前に、もう一度店内に戻りましょう。まずはカウンターを見てください。いろんな煮物料理が盛られた鉢がずらっと並びます。台所の雰囲気が好きな自分にはたまりません。お祖母ちゃん子だと言われて来ましたが、台所に生まれ育った気がします。学校の宿題とかも勉強机に座ってやるタイプではなくて、台所のテーブルが作業場でした。料理は食べるのも好きですが、その前段階が特に好きです。いわゆる「仕込み」ってやつでしょうか。料理の達人って、キャベツの千切りが高速とか魚を三枚におろせるとかテクニック的な面もあると思うのですが、自分は「仕込み」だと思っています。ジーっと火を見つながら時々火加減を調整したり、微妙な匙加減で絶妙の出汁を作ってたり。ここで既に出来上がっている訳で、包丁使い始める段階では既に勝負は終わっているワケです、自分からすると。(って何の話?!) 一押しの盛り合わせ 「仕込み」はその過程を見なくても、その産物を見れば想像もできるというものです。大将の店の和鉢に盛られた料理を見ながらその過程を想像するといつもワクワクします。何を食べるかは全て「お任せ」です。その時々の旬の魚や野菜を仕込んだ料理が勝手に手元に並んでいきます。皆さんもありますか?カウンターの席からメニューや黒板を見ずに「お任せで!」と頼める場所。これは本当に人生を生きていく上で一軒は必要です。もちろん、好みは人それぞれなので、各人で探さないといけません。自分はたまたまこちらのお店がその一軒だということだと思います。 お刺身 今回お邪魔したのは歳の暮れの最後の営業日。普段はあまり食べないのですが、大将がお刺身を用意してくれていました。とても美味しかったです。伊豆はワサビの産地なので、すりおろしのワサビも絶品です。お酒も久々に日本酒と合わせて頂きました。日本酒は悪酔いしてしまうので、あまり飲まないようにしているのですが、盆や暮れの時期は特別なのでありがたく頂きました。静岡といえば焼津の「磯自慢」とかが最近では有名かと思いますが、不覚にも何を飲んだのかメモ取るのを忘れていました。お店にいるときは料理を食べるのに夢中で、ブログ記事にまとめようとかも全く考えておらず、後に現像された写真を見て書くことを思いついた次第。常に準備はしておくものだと反省。 黒板メニュー 三島の繁華街はJRの駅から離れた「広小路」という場所が中心になるので、駅前の飲み屋街はとてもこじんまりしています。たぶん全部合わせても十数件程度かなと思います。北口側にはそもそも飲食店街が無いので、駅前は新幹線駅の割に閑散としているかと思います。それでも学生や若者、通勤客などで多少の人通りはある感じです。そういった意味では落ち着いて飲める雰囲気かと思います。大将のお店は何度か近辺を巡った後に偶然「発掘」しました。4、5年前くらいだったかと記憶しています。初めて入った時に、玄関手前側に立派な相撲取りの写真が掲げてあって、由来をお伺いすると大将の祖父だとのこと。撮られたのは大正時代だそうです。(因みにご出身は富山だそうです。お世話になった昔の上司も富山出身だったので何か縁を感じます。)昭和ノスタルジー的なお店の雰囲気と大将の人柄に惹かれ、近くに寄った際は尋ねるようにしています。次にお会いするときは今回の写真をお届けしようと思っています。別れ際に大将とお母様お二人の写真も撮らせていただきました。いつまでもお元気でいて欲しいと願うばかりです。 ありがとうございます! photos by @vikmakau

【京都】ラッケンブースLUCKENBOOTH(京都)

ラッケンブース(sakedori.com) 久しぶりに京都を巡りました。皆さんは京都に出向かれたことはあるでしょうか?京都は本当にすごいところです。バーを巡る目的以外でも、街の探索が好きです。趣味と言っても良いかもしれません。(因みに大学では歴史先行しました。日本史は苦手でセンターも受けてないのですが(汗)) 京都というのは地図なしでも迷子になりません。これは、例えば札幌の市街が碁盤目なので迷わないとか、いう意味ではないんです。(京都も中心はそうですがこちらは中国に由来しての碁盤目なんでしょうね) 要するに、どう歩いても京都から外れることが無いという意味においてです。京都は北と東に山があり、西は川(桂川)が流れていて、南はJRがあります。要は歩いていてこれらに突き当たれば、外れに来ていることが分かります。この範囲内はざっくり京都だと思います。 もちろん、祇園や河原町なんかの繁華街やら、金閣銀閣清水寺などの名所旧跡ばかりではありません。それでも、古都京都のすごみはぶらぶらすることによってじわじわと輪郭が現れるはずです。 シンプルに歴史の重みが違います。東京などにいると、この何とかは何十年の歴史がある、とかいうと「へぇー」、百年以上だとかいうと「ひょえー」となるかと思いますが、京都はそうなりません。スタートは明治維新以後は「若い」んです。歴史を何十年とかで数えるのではなく、何百年で数える、ここに京都のすごみがあります。そして、そうした歴史を積んだ寺社やお店などがゴロゴロしている。これが生きた歴史博物館、京都の正体です。(拙者は京都の者ではありませんがm(__)m) マルス津貫蒸留所のシングルモルト さて、夜が更けて、阪急の河原町駅から少し歩いてところにある先斗町(ぽんとちょう)に向かいました。とりあえず夜のお店探しはここが一番のお気に入りです。いわゆる「花街」のひとつです。祇園界隈は一見さんお断りの格式高いところが多くて、庶民にはハードル高く、駅にも近いこの界隈が便利。実際に「先斗町」という町があるわけではなく、鴨川沿いに走る小さな路地とその一帯が先斗町です。ウイスキーバーも結構沢山見かけます。 バー巡りにも自分なりに流儀が実はあって、もちろんお目当ての店があれば地図検索で調べていくのですが、そうでない場合は繁華街の外れやメインストリートから脇にでる小径を攻めます。繁華街のお店はだいたいどのジャンルもそうだと思うのですが、駅前とか中心は人の流れがあるので、忙しないことが多いです。外れや小径にポツンとあるのは、何かしらそこを目指すものがあってこそだと思うので、発掘する甲斐があります。 今回お邪魔したモルトバー「ラッケンブース」さんも、先斗町の繁華街の中に位置しますが、場所的にはちょっと小径にそれたところという感じでしょうか。1軒目のおでん屋さんで軽く飲んでからフラッと歩いて見つけました。まだ時間的にも早かったからか、お客さんは誰もいらっしゃらずゆっくりと楽しむことが出来ました。 店内はカウンターメインで5人か6人程度な感じでしょうか。とてもこじんまりとしたお店に見えました。カウンターを囲むようにして棚にはずらっとウイスキーボトルが並んでいます。若干カウンターにも溢れていました。面白そうなボトルもたくさんあって、正直何を頼もうか、かなり迷ってしまったのですが、とりあえずジャンルをジャパニーズに決めて、まずは津貫のシングルモルトから。 これは本坊酒造のマルス津貫蒸留所からリリースされた初のシングルモルト「THE FIRST」です。本坊酒造というのは鹿児島にはる芋焼酎のメーカ。焼酎メーカがなぜウイスキー造りに携わっているかと言うと、本坊酒造の元会長である本坊蔵吉氏が戦前に大阪帝大で学んでいた時に師事したのが、「国産ウイスキーの父」として知られる竹鶴政孝をスコットランドに送り出した元摂津酒造の岩井喜一郎氏。戦後に岩井は本坊酒造の常務として招聘され、山梨でウイスキー事業の立ち上げを指揮。その後、山梨蒸留所は現在の信州マルス蒸留所に移り、更に2016年には本坊酒造の本拠地である鹿児島の地に新たな蒸留所を開設。それが、マルス津貫蒸留所。(因みにwikipedia情報ですが、「マルス」というのは、本坊蒸留所の芋焼酎ブランド「宝星」から引いて「火星」(マルス)としたそとのこと。) そしてTHE FIRSTは津貫で造られた初のシングルモルトというワケです。ジャパニーズウイスキーと名を売って販売されていても、実際は海外の原酒を使っていたり、単純にボトリングだけしても実はOKなので、巷で数千円クラスと言うのはだいたいそういうパータンが多いのですが、こちらはいわゆる「ホンマモン」、正真正銘のジャパニーズウイスキーなのです。そして、ホンマモンは、間違いなく旨い!。合掌。 幻の軽井沢蒸留所 さて、次に頂いたのが軽井沢蒸留所、こちらは幻の蒸留所になります。どういうことかというと、蒸留所が既に閉鎖されてしまって、今は生産されていないのです。昨今クラフトウイスキーブームで少し想像がつかないのですが、ウイスキーは本場のスコットランドを含めて流行の波が結構あるようなのです。そして、その直近の底といわれるのが80年代~90年代。現在、サントリーの山崎や響の年代物が稀少であるのも、この時代の余波を受けています。つまり、当時の販売量が低迷したために、仕込む量が少なく、時代が遅れて人気が出始めると過去に熟成したストックが足りずに、限られた量を奪い合い価格高騰、品薄、そして品切れになると言う展開。山崎などはまだ蒸留所が稼働しているので、今後に期待するということもできますが、蒸留所が閉鎖されてしまったところは当時の熟成樽分しかこの世に存在しないという事になり、後の時代になって再評価されて注目を浴びれば偉いことになるのは容易に想像できるかと思います。つまり、田舎のばあちゃん家の押し入れからホコリかぶって出てきた箱から、お宝発見なんていうのも全然あり得る話なわけでして。。。 実はリアルにそんな話を信州松本のフラッと立ち寄ったバーでお伺いして、このボトルしかないんですけど、、と言われていた頂いたのが「軽井沢」を初めて知ったきっかけでした。後でそのバーがどこにあったのか記憶をたどってみたのですが、地図だけではどうしても想い出せず、また現地を訪問することがあれば再度訪ね歩きせねばとは思っています。 さて、この軽井沢のブランドですが、実は今、日本の実業家と元台湾カヴァランのマスターディスティラーが小諸で再興しようとしているそうです。(→台湾カヴァランとマスターディスティラーはこちらの記事を参照) さて、結構アレコレと話を進めてきました。毎度のことですが、何が本題だったのかも分からなくなってきましたが、マスターも気さくな方で久しぶりゆっくりと貴重なウイスキーを愉しむことができました。まだまだ他にもいろいろと試してみたいボトルなどもあったのですが、如何せんコロナ禍でほとんどのバーが営業休止をされたりで、本格ウイスキーから少し遠ざかっていたので、徐々にまた勉強含めて再開していければなと思っています。 お店の名前「ラッケンブース」はスコットランドのお守りのようですね。詳しい記事はsakedoriさんに掲載のお店のブログ記事より。後で知ったのですが、近くの有名バーwhisky&rumさんとオーナーさんが師弟関係で深い交友関係にあるとのことで、独自セレクトの限定ボトルをリリースしたりされているようです。全くの勉強不足でした。 BAR Luckenbooth 〒604-8017 京都市中京区先斗町通三条下ル材木町187-2 TEL075-251-0407

ジャズバー・USICEウィスカ(新宿)

初めてのモルトバーに    おススメの一軒。 JAZZを聴きながらの 落ち着いた大人の夜を♪ ようやく緊急事態が解除されて、徐々にお店も開いてきました。マスク着用は変わらずで、以前のにぎわいにはまだほど遠いような感じもしますが、何はともあれ世の中が 動き出してきた感じです。ウイスキーバーは特に夜型なので、どこもみな閉まっていたため、ホントに最近はめっきりと飲む機会がないままでした。このブログでも、最近は時事ネタみたいな話ばかりで、バー巡りがご無沙汰になってしまいました。またもや新宿ゴールデン街に「らしからぬ」(汗)大人の雰囲気のバーを発見したので今回ご紹介します。詳細は現地の地図(商店街案内)などで確かめて頂ければと思うのですが、いわゆるG1通りという一番手前側の通りにある、BARウィスカさんです。 ゴールデン街は、言わずと知れた飲み屋街ですが、昭和的というか古いノスタルジックな店が多いのが特徴。そんな中にあって、開業間もないこちらのバーは、シックで落ち着いた雰囲気。カウンターが数席程度とこじんまりというのはこの界隈で良くあるパターンですが、どことなくあか抜けてスッキリしているので、正直ゴールデン街にいることを忘れてしまいます。また、三丁目界隈にありそうないわゆる真っ暗なモルトバーとは違って、店内の照明もカジュアルバーのような明るさで、初めての方でも居心地よくウイスキーが楽しめるのかと思います。 久々なので、何を頼んでよいのか迷いました。とりあえずはボトルがスタイリッシュに新しくなったアラン(Arran)をロックでお願いしてみました。アランについては少し解説をしておきます。 アランはスコットランド北西のアラン島にある蒸留所で造られるウイスキーです。いわゆるアイランズ系というウイスキーで、アイランズ系のモルトはアイラ島に代表されるピートなアイラモルトを筆頭に、個性豊かな風味が特徴とされています。その中で、このアランは個人的には割に落ち着いた感じかなという印象ですが、コアなファンもいるようです。 ”25 years Isle of Arran Distilleries”” アラン蒸留所はアラン島の北部のロッホランザ(ロックランザ)という場所にあります。1995年に操業を開始、巨大資本が席巻する今日のウイスキー業界にありながら独立系資本による運営を続けています。小規模で交通の便も良くはないと思いますが、ビジターセンターには世界中から多くの観光客を集めることでも知られています。また、なんといっても注目なのはロッホランザの反対側、すなわち島の南端に出来たラッグ蒸留所でしょう。今回のボトルチェンジも、ラッグ蒸留所が出来た2019年のことでしたので、今後アランブランドとして二つの蒸留所のキャラ的な棲み分けを狙ってのことなのかもしれません。元のアランはフルーティでスパイシーな感じですが、新たに誕生したラッグはピートが特徴だと言われています。同様にアイランド系のジュラ(JURA)なんかも、華やかで草原のようなノンピートと、好対照にスモーキさが特徴の商品をうまく合わせているイメージがありますが、そういった感じになるのでしょうか。新しい蒸留所のシングルモルトが出回るのはまだもう少し時間がかかると思いますが、今後どのようなラインアップを出してくるのかが楽しみでもあります。 明るく落ち着いた店内 その他ウイスキーのラインアップですが、こちらも非常に丁寧です。以前、栃木の小山で訪問したカジュアルバー(bar as everyさん)を思い出しました。基本的なラインアップをしっかりと揃えています。メインはスコッチが多いですが、イチローズなどのジャパニーズやバーボ ン、ボトラーズも少し。後、恐らくこちらのお店の特徴は「オールドボトル」かもしれません。サントリーやニッカの特級時代のボトルがいくつか置かれていました。ウイスキーはアルコール度数が高いので適度な環境であれば長期間保存をしていても、品質が劣化することは無いと言われています。むしろ、ボトルの中でも更に化学反応が生じて微妙に風味に変化が生じて、それがまた評価を上げたりすることもあるようです。このあたりは、特級時代のウイスキーというのをそもそも知らない自分には正直分からないのですが、そもそも既に販売されているものは無いのでお金を出せば買えるというものではないという一品限りのアンティーク品になります。このため価格はpricelessになることもあるのですが、こちらで提供されているものはかなりリーズナブルな設定かと思いました。昔のオールドボトルの味わいにも興味がある方は、マスターにおススメなど聞いて(一応、お値段も確認してから)愉しんでみるのも良いかもしれません。今回の訪問では主にスコッチシングルモルトの通常ラインアップ品をいくつか頂きましたが、落ち着いた雰囲気の中でゆっくりと味わうことが出来ました。お店の中の席数が限られることもあり、曜日や時間帯によってはまた違う雰囲気なのかと思いますが、まだ開店して間もないというこで今後の展開も楽しみです。 bar usiceさん

宣言下の広島をドライに往く。

またまたやって来ました、広島の街。 緊急事態宣言が続く中での来訪となってしまい、残念ながらいつものバー巡りはできませんでしたが、休日も利用して時間を使いながら広島の魅力を改めて感じました。そのことについて、少し書いてみようと思います。 夕暮れの端と路面電車(市内) 今回は台風が接近中という生憎の天気の中ではありましたが、幸いにもあまり天候は荒れずに少し雨模様といった感じのなかで広島に到着しました。毎度来るたびに思うのですが、広島ではとにかく、「川」と「橋」、そして「路面電車」、この3点セットが最強な昭和ノスタルジーを呼び起こします。(といっても、自分の生まれたところには路面電車は随分前に姿を消していて、宮崎駿アニメのような世界の情景から思い浮かぶ程度ですが。)広島はとにかく川の街です。市内には、6本の川が流れており、遊歩道などもよく整備されていて、憩いの場としても活用されています。特に今回のような時期ですと、川辺のベンチに腰を掛けて談笑している人たちも結構見かけました。それも都会のような密と言う風では全くなくて、とても自然な形で適度に楽しんでいるように見えて、日が暮れた夜でも街路灯の灯りとかに照らされ、その非日常的な感じがとても優雅にさえ見えました。(と言いながら自分もコンビニでハイボールを買って真似をしてみました。サイコーでした。)東京などの都会だと川辺はどちらかというと街の交通の動き(ヒトとか車とか含む)から遮断されたりしていて、少し寂しいところがあるような気がします。また逆に田舎の方に行くと、そもそも誰もいなかったり、腰かけるベンチも無かったりとこれもまた寂しい。ところが、広島の場合はどちらかというと、そこに連続性のようなものがあって街の交通の動きともつながっているような感じで、とてもその辺が気持ちがよいのです、ベンチに腰掛けてもちょっとした離れ、もしくはテラス席にいるような感じでいられるのです。なので、ともて心地よい気分になれます。この川飲みは、今度来た時も、絶対やると思います。(広島来られるかにはおススメです!因みに自分は原爆ドーム前のベンチに陣取って寛ぎました。) 市内を流れる6本の川(https://tabetainjya.com/archives/koneta/post_6157/) さて、ウイスキーのバーは残念ながらどこも営業をされておりませんでしたが、広島の市内にはたくさんのモルトバーがあります。広島に来られた方なら特に説明は不要と思いますが、市内には「流川」(ながれかわ)という繁華街があり、広島駅から路面電車で10分程度のところ、自分は銀山(かなやま)町という駅で降りることが多いですが、次の胡(えびす)町や八丁堀にかけたくらいの南側に広がります。ここがいわゆる夜の街でもあり、東京でいうなら銀座と歌舞伎町を足し合わせたような感じかと思います。(自分は前回の訪問で「Bar Little Happiness」さんに訪問しました。)事態が落ち着けば、またゆっくりバー巡りをしたいなと思います。 瀬戸内航路から広島港(宇品)を振り返る さて、ウイスキーと広島について、改めておさらいしてみようと思います。トピックとしては主に恐らく二つかと思います。「竹鶴政孝」と「戸河内ウイスキー」。 まず、竹鶴政孝について。ニッカウヰスキーの創業者である竹鶴政孝の生まれ故郷が実は広島県にあります。(正直、自分は今回これを初めて知りました)場所は県中部の竹原という小さな町です。広島市内から車か電車だと海沿いに行けば2時間くらいはかかるかなと思います。どちらかというと空港よりなので、今回は帰りの道中で寄りました。 竹原という町。遡ると京都の下賀茂神社の荘園であったそうで、製塩業で随分繁栄したようです。そのせいか、街並みはとても奥ゆかしく「小京都」と言われるのも分かります。この町の中心部くらいに「竹鶴酒造」という酒造メーカーがあり、ここがまさに竹鶴政孝の生家だそうです。まるでタイムスリップをしたかのように当時の趣をそのまま残しています。建物の内部の見学はできませんでしたが、日本酒を販売しているコーナーがあり、館内の様子も少しだけのぞくことができました。 竹原の街並みと、竹鶴酒造。 竹鶴政孝はこの街で酒造と製塩業を営んでいた父・敬次郎の三男として1894年に生まれた。丁度この頃は、当時抜群のブランド力を誇った兵庫・灘の酒に負けないモノを作ろうと、様々な改良が広島の酒造業界で起こっていた。敬次郎もその中の主要メンバーで、努力の甲斐があり1907年の全国品評会で広島の酒は優秀な成績をおさめる。こうして西条に代表される広島のお酒は灘や伏見とも肩を並べ三大銘醸地の一つを占めるに至った。(wikipedia:「竹鶴政孝」参照)こうした父の背中を見て育った政孝は、大阪の高等学校(現在の大阪大学)で醸造を学んだ後、学校の先輩であった岩井喜一郎を頼り、洋酒のパイオニアであった摂津酒造に入社、その後のキャリアを歩んでいく。そのキャリアの原点ともいえるのが、なんとも今ではのどかな瀬戸内の小さな町。製塩業が動いていた当時はもう少し喧騒があったのかとも思いますが、時代の移り変わりとでもいうのでしょうか。それにしても、写真の通り街の風情は十分に往時を伝えていて、「町並み保存地区」の景観と佇まいは大変に保存状態が良いです。 https://www.sakuraodistillery.com/blended/ さて、最後に語らねばならぬのは、なんといっても広島が生んだウイスキー「桜尾」、そして「戸河内」です。元々、こちらのウイスキーというのは、厳密な意味でのジャパニーズウイスキーではなく、海外からウイスキーの原酒を輸入し、自社の貯蔵庫で熟成のみを担当するという、いわば酒屋さんの延長みたいな感じでした。(現時点で巷で見かけるのは、ほぼ全量がこちらのタイプのブレンドウイスキーかと思います。)その特色は、その風変りな貯蔵庫、中国山地の内陸に位置する廃線となったトンネルを利用してます。 そんな中で、ジャパニーズウイスキーのブームが到来。2017年12月には、宮島の近くにある廿日市に自前の蒸留所である「桜尾蒸留所」が稼働。今年の3月には会社の名称も従来の「中国醸造」から、同蒸留所の名前を冠した「サクラオブルワリーアンドディスティラリー」に変更、そして、ついに9月、3年の熟成期間を経て待望のシングルモルトがリリースされるに至りました。しかも、リリースされて間もないうちにアメリカのニューヨークで開催されたコンペ(*)において、最高金賞などの賞を受賞し、期待に見合う高い評価を早々に獲得しました。残念ながらまだ限定販売品のようで、数量もかなり限られているとのこと。実際に飲むことが出来る機会はもう少し先になってしまいそうですが、今後の展開が益々楽しみです。モルトはまだ輸入品だとういうことですが、これも将来的にはオール広島のテロワールで作っていくのでしょうか?広島には内陸には林野があり、瀬戸内の海もありますので、広島の地理や気候といった要素を凝縮したウイスキーにも期待をしたいところです。 *New York World Wine and Spirits Competition 2021:サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション(SWSC)より歴史は浅いものの同じくらいの権威があるコンペのようです。)   さてさて、今回は一滴のウイスキーも飲まず、川や酒蔵、ボトルなどを眺めるだけで、ここまで話を進めてきました。我ながらやればできるもんだと感心します(笑)。ところで、桜尾の前身である中国醸造という会社も面白い歴史があり、創業はなんと100年も前の1918年(大正7年)。つまり、広島での日本酒造りが全国的な知名度を得るくらいの時期に創業されました。そして、日本酒以外にも洋酒や焼酎、調味料(みりん)など多様なお酒造りを営んできたという変わり種。21世紀になり、自前の蒸留所を建造して今度はウイスキーやらジンやらを作ろうとしているワケ、いわゆるパイオニアです。広島の市内を流れるのどかな川辺に立っていると、あまりそうした実感も湧きませんが、20世紀初頭に灘や伏見に対抗して興った日本酒造りに始まり、今度はウイスキーへの挑戦と、何か沸々と漲るエネルギーのようなものを感じます。「地方創生」とかなんとかが言われますが、言われなくったってこうして新しい挑戦が地方からでも興っているんだなと思います。中国・四国地方はまだまだ訪れたことがないところが沢山あります。もっと色んな面白い発見ができればな~というこころで、筆を置きたいと思います。 宮島のスターバックスにて、夕日を眺めながら。 ここをクリックしてホームに戻る

韓国初のシングルモルト スリーソサエティー蒸留所

アジアにおけるウイスキーと言えば、知名度としては日本が誇るサントリーやニッカなどのジャパニーズウイスキーの他、最近では台湾のカヴァランや、生産量では実は世界ナンバーワンともいわれるインドのウイスキー、更にはアジア太平洋という意味では、オーストラリアやタスマニアでも名高いウイスキーが知られています。 そんな中で「韓国」においても最近になってようやく初めてのシングルモルトを目指す蒸留所が誕生しました。2020年6月に設立した「スリーソサエティ蒸留所」です。場所は首都ソウルの近郊にある南楊州(ナムヤンジュ)市というところにあります。ソウルから鉄道で1時間強くらいの距離にあり、最寄駅から少し離れた山の麓に位置します。蒸留所はおおよそ交通の便はどこも不便なところにあるのが一般的かと思うので、ソウルから一時間強であれば都会に近いとも言えるかもしれません。この地が選ばれた理由としては、一年を通して寒暖の差が激しいこと。これにより、スコッチウイスキーが樽の中で熟成するスピードが、寒冷地のスコットランドなどに比べて早くなります。すなわち、スコットランドでは10年以上の長い時間をかけて熟成をしますが、スリーソサエティ蒸留所では半分程度の期間で同じくらいの熟成効果を達成できるそうです。 創業者のブライアンとマスターディスティラーのアンドリュー(http://month.foodbank.co.kr/) さて、何ゆえに今に至って韓国初のウイスキー(もちろんスコッチウイスキー)の蒸留所が出来たのか、という話ですが、創立者のブライアン氏(도정한/ DO BRYAN HAN)は韓国系アメリカ人。元はマイクロソフトに勤務していたITエンジニアだったようです。アメリカの大学を出てから韓国に戻り放送局などでキャリアを積みながら最終的にはマイクロソフトに10年ほど勤務、将来的な展望も十分にある中で、敢えてその職を辞しバーを開店。自宅で自前のクラフトビールを作るくらいにビール好きで、当初はクラフトビールを事業に据え2014年にHand&Malt社を立ち上げました。機械化の進む業界の動きとは逆に手作り感を前面に出す戦略を取り見事に成功。同社は現在OBビールを運営するインベブ傘下のブランドになっています。 初めに手掛けたクラフトビール「ハンド&モルト」(https://www.handandmalt.com/beer/can) さてクラフトビール造りに成功したブライアン氏が次に目を付けたのが「ウイスキー」。当時韓国にはウイスキーを作る蒸留所がありませんでした。しかし、同国ではスコッチウイスキーを筆頭とするプレミアムウイスキーの人気は年々上昇、そこで思い立った疑問は、あの単純な文句です。「なぜに韓国で良いウイスキーを作る蒸留所が無いのか?」 ここまでの歩みは非常に面白く感じます。なぜなら他の国で新興の蒸留所を立ち上げてきた創業者たちの経歴や考え方と共通点が見られるからです。 まず第一に、ウイスキーについて素人である点。これは最近特にこのホームページでもカバーしてきた、北欧の蒸留所などとも共通しているように思えます。つまり、ウイスキーの愛好家ではあるけれども、お酒のビジネスには関わったことが無かったという点です。 次に創業者がIT関係出身であること。この点も興味深いです。スターワード蒸留所(オーストラリア)の創業者も同様でした。IT関係というとソフトの世界であり、ウイスキーはリアルなモノづくりの世界。一見して真逆ののようにも見えますが、新たな境地でチャレンジしようという心構えがあれば道は開けるのだなと思います。 最後の共通点としては当たり前の疑問「なぜ(我々の国には)蒸留所が無いのか?」をリアルに突き詰めていったということ。恐らく、ウイスキーが好きなら少なくとも一度は妄想することでは無いでしょうか?自分のカスクとか、自己流のブレンドとか、誰しも考えてしまう事なのではないかと思います。ですが、ブライアン氏を含めた創業者は、実に真摯にその疑問に向き合い、数々の挑戦(法律的な事柄や、土地の確保など、おおよそお酒造りとは全く関係のないことを含めて)を乗り越え実現してきた。これはとても素晴らしいことだと思います。 また、こうした風潮が地理的な分け隔てはあるにせよ、世界中で拡がりを見せているということも興味深い現象です。スコッチウイスキーのグローカル化とでも言えるのかもしれません。その実、この「スリーソサエティ」というものにはしっかりとした意味があります、これは創業者である部ライン氏の故郷であるアメリカ、そしてスコッチウイスキーの発祥の地であるスコットランド、それらを組み合わせて実現する作り手としての韓国(人)、この三つが融合したものをということだそうです。このコンセプトはブランドのロゴにも明確に表示されています。 スリーソサエティのロゴは三つの文化の融合を意味する。 スコットランドの要素については、スコッチの本場で長年に渡り現場を渡り歩いたエキスパート、アンドリュー・シャンド(Andrew Shand)氏をマスターディスティラーとして招聘しています。シャンド氏はグレンリベットの樽職人としてキャリアをスタートし、その後シーバス社傘下の蒸留所で経験を積んだ後、ニッカ傘下のベンネヴィス蒸留所でマスターディスティラーを努めました。その後、スペイサイド蒸留所に移り、同蒸留所が2011年に他社へ売却されたのを機に退職、ウイスキーコンサルタントとして独立します。スコッチのキャリアを活かしてバーボンの国アメリカのヴァージニア蒸留所やクーパーフォックス蒸留所で本格的なスコッチウイスキー蒸留所の立ち上げをサポート。そして、更なるチャレンジを求めてやってきたのが、まだウイスキーの蒸留所を持たない韓国というワケです。(因みに、韓国とのゆかりについてですが、シャンド氏の奥さんが韓国の方のようです) 最後に気になるのはこの韓国産のウイスキーがいつ飲めるのかということ。スコッチウイスキーは3年熟成が基本なので、計算上は2023年以降になります。ただし、韓国の法律では1年以上の熟成期間を経れば「ウイスキー」を名乗っても良いそうで、年内には早くも1年熟成の商品がリリースされる予定だそうです。 2021.12.22追記:2020年7月にアメリカンオークの樽に詰めて約1年半熟成した韓国産ウイスキーがついにリリースされたようです。その名も「Ki One」(기원:キウォン)。ネーミングの想いは「始まり」と「願い」だとのこと。(漢字の「起源」と「祈願」は両方とも韓国語ではキウォンと発音)フルーティでオーク感のある味わいだということですが、はてさてどこで出会えるのやら。。こちらは限定販売品。スリーソサエティーがターゲットとしている市場には日本も含まれているようなので、近いうちに流入してくるのかもしれません。バーとかよりは、韓国料理屋さんの方が早いかもしれないですね。 蒸留所内部。使用する蒸留器はフォーサイス社製。 レシピ的には1年熟成のモルトウイスキーと、クラフトビールを蒸留したホップ・ウイスキーを混ぜ合わせた後、韓国的な副材料で少し味付けをしたものらしく、いわゆる「フレーバード・ウイスキー」になるのでしょうか。ブライアン氏が語る「韓国らしさ」というのは、余韻が長く残るスパイシーさ。風味はライウイスキーや中国の香辛料のようなものではなく、山椒の実のような風合いをイメージ。それを実現するために発酵の工程を通常よりも長くとるなどの工夫がされています。 昨年6月に生産を開始してから、ニューメークをシェリーやバーボン樽、その他様々なオーク樽で熟成しており、熟成樽の数は既に1000本を超えるとか。その一部はプライベートカスクとして愛好家向けに販売もされ、瞬時に完売したそうです。ウイスキーは熟成期間中の味わいの変化を予測することはとても難しいので、作り手も買い手も冒険というか、ある種の「賭け」に近いところがあると思います。ましてや、新しい蒸留所が作るお酒となれば、全く予測不可能に近いのかと。 因みに「韓国らしさ」の観点でいうと、原料のモルト(発芽大麦)はどこから調達しているかということですが、これは海外から輸入をしているようです。もちろん韓国産の大麦を使ってモルティングできないかということもトライはしてみたようですが、うまくいかなかったようです。ただし、将来的には韓国産の大麦を使ったMADE IN KOREAのウイスキーを作ることを目標としているようで今後が楽しみです。 http://www.threesocieties.co.kr/eng/collection その中で、こうした人気を得ることができるのは、やはり将来への「期待値」なのでしょうか。ましてや、それが自分の国や地域で新しく誕生したものであれば、尚更だと思います。最後にですが、同蒸留所はモルトウイスキーのニューメークをベースにした「庭園」(JUNG ONE)というクラフトジンも生産をしており、こちらのほうは既にリリースされているようです。蒸留所を実際に訪問して見学ツアーに参加した方が、その内容を写真などと共に紹介しているブログ記事などもたくさんネット上に見つけることができます。 その中であるブログでは最後に、「アジアを見れば日本でも出来て、台湾でも出来て、インドでもできることが、韓国だってできないわけがない」という言葉がありました。 まさに、その通りだと思います。もちろん良いウイスキーを作るには、良質な材料や水源などが最低限必要ではありますけど、設備や機器は購入すれば良い、資金もクラウドで集めれば良い、土地や建屋は自分らで何とかする、こうした風に考えていけば、あとは情熱やヤル気さえあれば何だってできてしまうものだとつくづく思います。世界全体が豊かになっていく中で、プレミアムウイスキーの市場は今後も伸びていくことは間違いないと思います。 その中で、愛好家を初めとする消費者がウイスキーに「何を」求めるのか?何が「プレミアム」な価値を生む源泉となるのか?これは色々な考え方や要素が絡まってくるのではないかと思っています。もちろん樽や熟成期間、ブランドイメージなども当然ありますが、背後のストーリーやテロワール、環境への意識などこれまではあまり関心を持たれなかった部分も含めて、ウイスキーの価値創造の可能性は更に拡がっていくのでないかと感じます。 【参考にした記事】(韓国語)→google翻訳にコピペすればだいたい読めます。 韓国最初のシングルモルトウイスキーを夢見て 韓国最初のシングルモルトは2023年に登場? 韓国シングルモルトウイスキー蒸留所スリーソサエティ、ツアー話 失われた国産ウイスキーの華麗なる復活 追記:2021年9月21日付の韓国中央日報日本語版にスリーソサエティの記事が掲載されていました。→「韓国初のシングルモルトウイスキーの味」ちょっと辛口コメントですが、最初はどこもそうでしょうね。何とか乗り切って、まずは韓国のウイスキーファンの皆さんの期待に応えていって欲しいなと願います。

【岡山】Malt Bar Nishimoto(岡山)

スコッチウイスキー好きの皆様には朗報です。岡山にお越しの際は、先ずはこちらのお店Malt Bar NIshimoto(モルトバー・ニシモト)さんにお越しください。ど真ん中ストライクのお店となります。 今回訪問したのは岡山駅の繁華街の少し閑静な所にあるMalt Bar Nishimotoさん。訪問する前にはいつものようにgoogle mapで下調べをしてみたのですが、岡山ということは意外にも(といっては失礼なのですが!)たくさんのウイスキーバーがあるようで、正直かなり迷いました。久々の出張で夜も遅くにつく為落ち着いたところでゆっくり楽しめればという風に思っていたので、写真などのレビューを見ながらオーセンチックでクラシカルな雰囲気のこちらのお店に決めました。ビルの4階で、着いたのは夜も10時くらいだったかと思います。同じ階の並びとかにもバーとか入店されているようでしたが、時節柄か月曜日だったからか、想像したより静かな感じでした。 毎度同じことを語っているのですが、地方にくるとウイスキーがより楽しめます。やはり気持ちに余裕が持てるからだと思います。普段の色々な世話事などから解放されて、何と申しましょうか、宙ぶらりんになった感覚になれるので、コーヒー一杯飲むにもいつもより美味しく感じたりとか。些細な事柄ですが、どれだけ良くできたウイスキーでも、その味わいを感じるのはヒトなわけですから、これはピッチャーとキャッチャーと言いますか、投げ手がいくら良い球を投げても受け手がソワソワしてしっかりと捕球できなければ意味が無いわけで、気持ちの有り様というのはとても大切だと思っています。 とりあえずソーダ割から。お通しの器とか含めてオシャレな感じがステキです。 さて、早々に長々と脱線しましたが、モルトバー・ニシモトさんに戻ります。店は入ってカウンター席が逆L字にあり、恐らく2組か3組入ればかなり一杯かなという感じのコンパクトな店内。カテゴリー的にはシガーも置いてあってオーセンチックバーになるのかと思いますが、マスターの気さくな人柄からかそこまで肩ひじ張らないゆったりとした雰囲気。自分が訪問したときは丁度先客の方が出て行かれた後だったようで、ほぼ貸し切りのような感じでゆっくりと寛ぐことができました。棚を見て驚いたのですが、ボトラーズがズラリ。地方のバーだとやはりウイスキー好きだけに的を絞ると一般の方が楽しめないということで、他のリキュールやウイスキーでもオフィシャルモノを中心に並べるところが多いのかとは思います。(好きな方が来店されれば、それに応じて棚の済とか奥の方から引っ張ってくる感じ)ところが、ニシモトさんの場合は、完全に直球ど真ん中ということで、こういった演出をするお店は久々です。マスターから一杯目を聞かれたときも、正直唖然として声が出ず、とりあえず「ソーダ割りをお願いします。」としか反応できませんでした。準備されている間に、棚をよくよく観察。特にカウンターの真ん中に置かれているボトルが気になりました。 “The Blue Sky Label” by ウイスキー・ラバーズさん 「The Blue Sky Label」という風に書かれているのですが、全く聞いたことがありません。それが5本も並んでいるので、これは何だろうという事でお伺いすると、地元のウイスキー専門酒屋さんである「ウイスキー・ラバーズ」さんがプロデュースしたボトラーズ・ブランドのようです。モットーは「晴れの国、岡山からウイスキーを発信」。中身はそれぞれ違っていて、記憶の限りですが右からエルギン、マノックモア、ダルモア、右の二つは何だったか。よく見ると左から二つ目のボトルには瀬戸大橋が写っています。この中でマノックモアを頂いたのですが、最高でした。マノックモアというのは恐らくあまりオフィシャルでのリリースは少ないかと思うので、自分も特にこれといった印象が無かったのですが、洋ナシ感のようなフルーティさに溢れる味わいで、20年以上の超熟品ではあったのですが全く癖のない滑らかな味わいでした。酒屋さんやモルトバーのプライベートカスクとかは時々聞きますが、オリジナルのブランドを作って「地域おこし」に貢献するというのは粋な企画だと思いました。丁度タイミングが悪くお休みと重なってしまったためウイスキー・ラバーズさんには訪問はできませんでしたが、次回のお楽しみにしておこうと思います。ところで、少し話はそれますが、岡山のウイスキーのご当地ブランドといえば、何と言っても宮下酒造さんが作られているシングルモルト「岡山」が有名かと思います。クラフトビールの「独歩」やジンの生産でも知られており、市内近郊に蒸留所があります。市販されていないシェリー感満載の貴重なボトルがありまして、こちらも少し味見をさせて頂きました。 キルホーマン、マキヤベイとクリスマス限定品のカスクストレングス さて、中四国方面に来ると自分は必ずコレを飲みたくなります。キルホーマンです。自分は仕事の縁もあってこの地域にたびたび来るのですが、ホントに凄いバーがいくつかあります。こちらのブログでも記事を書いたのですが、以前高松のバーを訪問した時にキルホーマンのボトルがずらりと並べてあって、飲んだおいしさが忘れられず、なぜかこちらに来ると無性に飲みたくなってしまいます。(こちら方面にキルホーマンの貴重なボトルが置いてあるのは高松にあるシャムロックさんの影響が大きいのかなと。こうした地方の独自色というのも面白いです。残念ながらシャムロックさんにはまだ訪問できていなのですが。。)キルホーマンが位置するのはスコッチの聖地アイラ島。創業は2005年で、同島では124年ぶりにできた新しい蒸留所です。特徴的なピートの香りでファンも多いアイラ・ウイスキーですが、ビジネス的な観点からみるとほとんどの蒸留所は巨大資本の傘下で運営されているのが実態。その中でキルホーマンは独立資本による経営をしている真の地元企業になります。またピートや磯の香りがフォーカスされるアイラ島にありながら、キルホーマンは大麦の自家栽培にこだわるなど別な角度からアイラのテロワールを表現しようとしています。ピート系のウイスキーではあるのですが、バーボン熟成のインパクトが大きいのか、そこまでアイラ・ピートは感じません。どちらかというと原酒のモルト感のようなものを強く感じてしまいます。カスクストレングスの方は60度くらいの度数がありましたが、味の系統はピッタリくる感じで、より濃厚なマキヤベイといったところ。(そのままですみません汗) アードナムルッカンのシングルモルト 更なる発見はこのホームページでも記事を書いたアードナムルッカンのシングルモルト。自分は宅飲みとかボトル集めとかはせずに、(そんなお金も置き場or隠し場所もないですし)、もっぱらこうしたバーでしか飲まないのですが、そうするとなかなかこうした貴重なボトルに出会える機会は少ないのが実態。書いては見たけど、飲んだことはありません、というのがほとんどだったりします。訪問したバーのマスターのご興味や偶然、タイミングなどが重なって自分が飲みたかったボトルに出会えると言うのは非常にありがたく、嬉しいものです。アードナムルッカンの母体であるアデルフィ社はボトラーズが発祥で、クオリティ重視な印象。一番左が2020年9月リリースで、真ん中が2021年1月、一番右が最新のものらしくどっぷりシェリー熟成のものということです。今回は真ん中のシングルモルトを頂きました。思ったよりあっさりしているというか、もう少しパンチのある味を想像していたのですが、ボディも軽くて滑らか、飲みやすいです。ピートとノンピートのウイスキーをヴァッティングしているようですが、ピート感はほとんど感じませんでした。ハイランド系のピートなんでしょうか。余談ですが、アドナムルッカン蒸留所の設立に当たっては、「先輩」に当たるキルホーマン蒸留所のアンソニー・ウィルス氏らからもアドバイスを受けたそうで、コラボ商品の開発などで協力関係にあるそうです。(ウイスキーマガジン記事より)こうした助け合いの精神というのは、スコッチ業界の良き習慣かなと思います。こちらのバーでも、ウイスキーラバーズさんのような酒販業者や近隣地域のバーのマスターさんらとのお付き合いもあるようで、地域興しやスコッチウイスキーのプロモーションなどをお互いに支えないながら商売をされている姿がとても新鮮に映りました。本場のスコットランドでもウイスキー造りは過疎化の進む辺境の地の地域興しの側面があり、雇用機会を創出して若者の流出を止めたり、ツーリズム(観光業)を盛り上げたり、全体として地域の魅力を高めていこうという機運があるように思えます。中四国で言えば、松井酒造さんの倉吉だとか、桜尾さんの戸河内ウイスキーなどが広く知られていますが、海もあり山もある自然豊かなこの地域で更に独自のウイスキー文化のようなものが醸成されていけば面白いなと思いました。今度また来るのはいつになるか分かりませんが、次回はもう少し余裕をもって来たいですね。ウイスキー・ラバーズさんにもぜひ立ち寄ってみたいと思いました。 岡山駅から歩いて10分から15分くらいと言うとこでしょうか。土地感が無いと少し分かりづらいですが、西川緑道を頼りに歩くと見つけやすいと思いました。 宮下酒造さんのご当地のシングルモルトウイスキー「岡山」 ウイスキー専門販売店のウイスキー・ラバーズさん(訪問はかなわず)

北欧ウイスキーの新たな潮流

北欧のウイスキーが熱い。今、デンマークやスウェーデン、ノルウェー、フィンランドなどのスカンジナビア諸国、そしてアイスランドを加えた北欧5か国でのシングルモルトウイスキーの新たな蒸留所から本格的なウイスキーがリリースされ始めている。彼らの造るウイスキーはシングルモルトの本家であるスコッチウイスキーの伝統にリスペクトを払いつつも、それを自分らなりに解釈して、自らの住む土地のテロワールであったり、既存の作り方に縛られないイノベーティブなアイデアを元に作り出すウイスキーに特徴がある。まずは地元での愛好家を中心に国内での販売が中心ではあったが、ここにきてヨーロッパやアメリカさらには日本を含むアジアに販路を拡大し、ウイスキー業界に新たな風を起こそうとしている。 スコッチウイスキーの蒸留所造りにとりかかる彼らのアプローチは非常に興味深い。このホームページの中でも取り上げている二つの蒸留所を例にとりあげて紹介したい。まずはデンマークのスタウニング蒸留所。創業者は「ウイスキー業界とは縁もゆかりもなかった9人の愛好家たち」。また、スウェーデンのマックミラ蒸留所の場合は、「大学の同窓生」、こちらもウイスキー好きのグループの集まりというだけで、業界経験者と言う訳ではなかった。スコッチの本場でもウイスキー好きが高じて蒸留所造りを始めたというポート・オブ・リース蒸留所のような事例もあるが、まったくのド素人がウイスキーの蒸留所を一から始めて運営することが難しいのは想像に難くない。まずは既存のスコッチだけでも何百と言う蒸留所が存在するのに加えて、新興勢にとっての試練は「資金」。蒸留所を作るためのお金だけでなく、スコッチであれば最低3年は熟成期間が必要となり、生産を開始してもすぐには商品化できない(しかも、熟成を経て生まれる味がどのようなものになるかは神のみぞ知る!である)。余市や宮城狭で知られるニッカウヰスキーも名前の由来は「大日本果汁株式会社」というように設立当初はリンゴジュースを作っていた。現在でも新興蒸留所の多くはジンなどのスピリッツから販売を始めて少しでもキャッシュを作ろうという試みも見られる。資金面の問題をクリアしても、実際に作ったウイスキーが商売になるのかは未知の世界。長年の伝統と豊富な経験、更には大型資本による規模の拡大により益々競争が激しいウイスキー業界で新興勢が生き残っていくのは至難の業。新たなウイスキー造りを開始するに当たっては、ある程度の「経験」や「ノウハウ」を会得したベテランなどが創業チームに加わることも多い。その中で、スタウニング蒸留所やマックミラ蒸留所の創業メンバーに共通した勝算は北欧の「自然」であり固有の「テロワール」であった。 “その時に自然と、「なぜスウェーデンにはウイスキーを造る蒸留所が無いのか?」という疑問が起こった。確かに、その通りであった。自然豊かなスウェーデンには良質の水源もあるし、大麦もある、樽づくりに欠かせないオークの木もあるのだ。” ウイスキー造りに必要な材料は三つだけ。穀物(大麦)、水、酵母。穀物に関しては本場のスコットランドでも実はフランスなどの穀倉地から輸入することも多く、酵母に関してもウイスキー熟成に最適化したウイスキー酵母が用いられることが一般的で天然酵母などが用いられることもあるが生産効率などを考えると大量生産には向かないため、一部のクラフトウイスキーや少量生産のバッヂ向けを除いては主流ではない。こうして考えると、残るは「水」ということであるが、自然豊かな北欧の地において良質の水が得られることは疑いようのないことである。すなわち、ウイスキー生産に必要な要素は既に全て揃っているワケで、「なぜ北欧の地にウイスキーを造る蒸留所が無いのか?」という疑問に至るのは当然であった。彼らのその問いに答えることを目標として、まずはスコッチウイスキーの作り方を現地見学やテキストなどから学び、その上で「北欧らしさ」を加えて新たな付加価値を付けた商品提案をしている。 「北欧らしさ」というのは単に大麦などの穀物を現地調達することにとどまらない。その生産工程においても北欧らしいイノベーティブなアイディアに満ちている。スコッチの伝統とローカルな要素をブレンドした取り組みとしては、特に原料のモルティング・プロセスが面白い。発芽した麦芽を乾燥させるときに加熱をするのだが、アイラなどのスコッチでは、ピート(泥炭)が使われており特徴的な香りで知られている。この時に、ローカルなピートを使うだけでなく、例えばアイスランドのアイムヴァーク蒸留所では昔から燃料として使われている「羊の糞」を使用してあり、スウェーデンのマックミラ蒸留所では当地のジュニパーベリーを合わせて焚いたりして新たなフレーバーを探求している。原料についても、スコットランドやアイルランドなどの欧州は製法に違いがあるものの「モルトウイスキー」が主流であるが、ライ麦を原料とする「ライウイスキー」やモルトとライのブレンドウイスキーを作ったり、熟成樽も多様な材料の樽や産地のものを取り入れたりと、既存の製法の枠に囚われない自由なアプローチが特徴である。ライ麦ウイスキーでいえば、フィンランドのキュロ蒸留所が作る100%フィンランドライ麦を使用したライウイスキーが最近注目をされている。IWSC2020に金賞を受賞し、日本にも入荷されて始めている。このホームページではまだ取り上げてはいないが、ゆくゆくは調べてみたい。自由なアプローチという意味では、マックミラが最も面白い。ブレンドウイスキーのレシピ選定にAIを活用した入り、日本のお茶を使って樽をシーズニングしてみたりと、既存のウイスキー造りでは考えられなかったようなチャレンジングな商品が定期的にリリースされている。ウイスキー造りの歴史が始まったばかりの北欧では、伝統的なウイスキー造りの枠に固執することなく、新しいウイスキーの楽しみ方を積極的に開拓していこうとする姿がみられる。 リカーズ長谷川本店様にて ストックホルム蒸留所ブランネリ(ドライジン) 北欧は豊かな自然だけでなく、シンプルでイノベーティブなクリエイティビティの高さにおいて産業面では既にそのブランド価値を確立している。長い冬を自宅で過ごすことが多いためか、特に家具やインテリアなど良く知られているように思う。アラビアやイッタラ、マリメッコなど(全部フィンランドですが)は好きな方も多いのではないか。北欧諸国には自分も何度か足を運んだことがある。ヘルシンキなどの街を歩いていると、外見は西欧などの華やかさはなく地味なものが多いが、建物の中に入るとカラフルなインテリアなどになっていたりしてそのコントラストが非常に面白いと感じたい。そのデザインも、明るい色が多く使われていても「派手さ」というよりは、むしろ「温もり」のようなものが感じられた。残念ながら冬季には一度も訪問はしたことがないのだが、恐らくそうした時期に訪れればより一層その温もりが増すのかなと感じたものだ。こうした北欧らしさ(もちろん国によって違いはあるだろうけど)が根付く場所に生まれるウイスキーも、派手さは無くとも確かな個性のあるブランドを確立していくのではないかと思っている。また、北欧らしいイノベーティブな発想を活かして、クリエイティブな商品が今後も出てくることは間違いない。それは造り方だけではなく、商品の見せ方であったり、どのように楽しむか、ということにおいても新たな視点を提供しウイスキー全体の知名度と親近性を更に高めていくのではないか、そしてゆくゆくは「北欧ウイスキー」という地場を作り出しているのではないだろうか。スコッチウイスキーの楽しみ方をマスターしていく中で、機会があればぜひ北欧ウイスキーもご賞味いただきたい。 画像クリックでトップページに戻ります。

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