Month: August 2020

【栃木】bar as ever(小山)

今回の訪問先は栃木県の小山市。仕事帰りに足を伸ばしてみました。先日訪れた足利のバーのマスター曰く、この小山が今は栃木県の中では「熱い」(実質的に経済的にも工場誘致などに成功し、人口も増加傾向なようです)とのことで、勢いのある街に繰り出してみました。 ところが最初に目をつけていたお店の灯りが無く、もう1度Googleで調べ直して辿り着いたのが今回のお店、東口から少し歩いたところの「Bar as ever」さんです。 お店はまだ開業2年の若いお店、当然ながらマスターもお若い感じの方でした。インテリアもいわゆる「今風」にシックな感じでとても良い印象を持ちました。 お店はカウンター席の他にテーブル席も。夜中の3時まで営業されているそうで、お一人でもグループでも利用できそうな雰囲気です。 こちらのバーですが、いわゆるモルトバー的な品揃えではありません。ですが、シングルモルトの基本的なラインアップを小さな棚にコンパクトにまとめています。 そこまでニッチなものや掘り出し物できなくて類いは期待できませんが、ベーシックはバッチリ揃えてあるので、ウイスキー好きの方でも十分に楽しめるかと思いました。 こちらの店の特徴ですが、これはなんといっても店内の演出ではないでしょうか。ウイスキーバーというと狭苦しい店内にウイスキーのボトルが所狭しと並んでたりするお店もあります。 もちろんそうした店も秘密基地的な味があって楽しいのですが、やっぱりもう少し違った「余裕のある」楽しみ方があっても良いと思うにです。それがズバリこちらのバーです。 目玉は何と言っても「円盤」、すなわちレコードのミュージックです。 ウイスキーの楽しみ方というのは、その味わいだけには限りません。それを賞味する、場の雰囲気も大切だと思うんです。これだけでも味は全く異なった印象になると思います。 確かに真剣に全神経を研ぎ澄まし、ウイスキーの香りを嗅ぎ、口の中に含んではそれを転がすようにして味を楽しむのも醍醐味ではあります。 でも、時にはただ流れる時間に身をまかせながら心を無にして、ただそこにあるものを「楽しむ」というも有りかなと。そんな空間をこのバーは提供してくれます。 エアコンには温度調整のリモコンがありますが、このバーには音楽を流しながら時間の流れを調整できるような、そんなリモコンがありような気さえしました。 さて、そんな調子でノンビリと寛いでしまったので本日の写真はこの1枚だけ。最後に今日頂いたボトルを、敢えてレコードの棚を背景に写させてもらいました。 1杯目は「C.C(シー・シー)」。これを先ずはハイボールで。(これをシーシー・ソーダともいうようです)。因みにシー・シーは、シーシーレモンではありませんよ。(笑)もちろんウイスキーです。カナディアン・ウイスキーの筆頭、「カナディアン・クラブ」の頭文字の略称です。 カナディアン・ウイスキーはスコッチから見るとかなり変わったウイスキーです。グレーンウイスキー(大麦以外の穀物を原料としたウイスキー)の一種であるアメリカの「バーボン」に近いですが、それとも少し違います。 簡単に言うと、バーボンベースのウイスキーにライ麦主体のフレーバリング・ウイスキーを合わせた「ブレンド」が一般的です。 このカナディアン・クラブはハイラム・ウォーカーにより1858年、当時の主流であったスコッチやバーボンと一線を画す新たな風味を探求したウイスキーとして誕生しました。 その特徴はライ麦由来の香味がスパイスとしてほんのり効いた甘みのあるバーボン、と言った感じでしょうか。これはやはりスコッチウイスキーとはかなり違います。飲み口も良く、ソーダ割りでも十分に楽しめるキャラを持っています。ロックで飲めばもっとライ麦に香味が楽しめたのかもしれません。融通が効くウイスキーということで、初めての方にもオススメです。 マスターの話ですと、ソーダ割りだとそこまで主張しないウイスキーが好まれているようです。スコッチだとバランタイン、アイリッシュのジェムソンなんかも人気のようですね。 さて、次は本名のスコッチを頼みました。ハイランドの「トマーティン」。この蒸溜所は「松竹梅」のお酒で知られる日本の「宝酒造」と繋がりがあります。 1980年代、同社は当時経営難に陥っていたトマーティン蒸溜所に出資。日本勢で初の蒸溜所のオーナーとなりました。その後は日本向けの輸出に力を入れるなど、国内でのスコッチウイスキーの知名度を上げることに寄与してきました。(現在、宝酒造さんは撤退され、食品大手の国分さんが輸入代理元となっているようです。) このトマーティンの味は如何なるものか?実はトマーティンを飲むのはこれが初めてではないのですが、ハイランド系はなんとも表現がしづらいのです。恐らくものすごくクリアでシャープな味がベースにあって、樽由来の風味とかもそこまでインパクトがないものが多く、強いていうなればウイスキー本来の「穀物=大麦」感が表現されているからでしょうか。 この12年については他の方のレビューも拝見してはみたのですが、自分が一言で言うなら「モルト」の感じですかね。麦芽が発酵したときの香りとでもいうのでしょうか。それをテイスティングしたときのボディに強く感じました。 一応、悩んだときはほかと比べてみるのが一番と言うことで、トマーティンを取り出した棚の後列にあった「アバフェルディ12年」と最後に飲み比べ。 アバフェルディはよく見かけますが、自分は今回が初めて。ブレンドスコッチの「デュワーズ」のキーモルトとして有名。こちらは他にレビューと同様に甘い感じ。「豊潤な蜂蜜」とまで形容しているものも。とても飲みやすいです。「甘い」と言っても、バーボンの甘さとスコッチの甘さはちょっと違います。これは本当に飲んで体感していただく他ないのですが、例えるならバーボンはチョコレートのように舌に残る感じ、スコッチはどちらかと言うと「通り過ぎる」スッキリした感じです。 こんな感じでノンビリとゆっくり杯を重ねていたら、早や帰りの時間が近づいてきました。日帰り出張だとどうしようもありません。最後にマスターにちょっと質問をしてみました。 「こちらのバーで人気のウイスキーって何でしょうか?」 割とチョイス的には分かりやすい品揃えだったので気になりました。やはり飲みやすいブレンドスコッチのバランタイン、マスターのオススメでアイリッシュのジェムソン、あとはアイラ系が好きな方だとラフロイグといったところのようです。 さすがにストレートで飲まれる方は、あまりいらっしゃらない感じでしたが、最近は若い方でも少しづつ関心は増えてきているとのこと。 こういったバーでの経験というのは、ウイスキーの初めての方には大切なのかなあと思いました。食事もできて、ワインやカクテルもある。そして、棚にはシングルモルトのウイスキーもちょっと置いてある。ウイスキーのシングルモルトへの扉がちょっと奥の方に顔を覗かしてる感じとでも言いましょうか。 こうしたときに、どういった言葉があれば、「よし、今日はちょっとシングルモルトをストレートで」となるんでしょうかね。何か特別なお祝い事とかが背中を押してくれたりするのかもしれません。 いずれにせよウイスキーを楽しむバーというのは、心安らぐ空間であると思います。そうした自分にとっての心地よいバーというものを見つける。これが何よりもウイスキーの、そして今シングルモルトを楽しむための第一歩かなと、思いました。今日は素晴らしい音楽とともに心地よい時間が過ごせました。ありがとうございます!

【東京】the TRAD(上野)

本日は久々に東京の北の玄関口とも言われる上野に来ました。 ところで、「上野」というのは、皆さんはどういう印象を持たれているでしょうか? 浅草の玄関口であったり、動物園であったり、アメ横であったりと色々な顔のある町かなと思います。自分にとっての上野というのは鉄道(JR)の「ターミナル駅」(終着駅)という印象が未だに強いです。 とは言っても鉄道好きか、ある年齢層より上の方でないと、もうピンと来ないかもしれませんので簡単に説明します。 昔、(こんな表現をすること自体、時の流れを感じてしまいますが)、上野駅というのは東北方面に発着する、恐らくすべての列車の起点(=終点)となる駅でした。 現在はといと、新幹線は東京が始発になり上野は途中駅、在来線も東海道線との直通運転。このため、「上野行き」という列車は非常に稀になりました。 でも一昔前は、東北・上越の新幹線は上野が始発駅でしたし、在来線の普通電車も上野が始発でした。 また、今はもう無くなってしまいしてしまいましたが、昭和の時代は、上野発の夜行寝台列車「ブルートレイン」が全盛期で。夜になると多い時には数分置きに東北方面へ長距離列車が旅立っていきました。 なので、今でいうところの「飛行場」のような感じで、上野駅というのは大きな荷物を抱えた人たちが集まる、旅情感満載の「駅」というイメージが自分の中にはまだあります。 もちろん、今でも時々地下ホームに降り立つと、往時の雰囲気を感じることがありますが、在来線が直通運転になり、ブルートレインも廃止されてからは、「旅情」を感じることは少なくなってしまいました。 でも上野の街から活気が失われた訳ではありません。駅の周辺の名所は、今まで通り活況があります。特に駅の西側にある上野公園は博物館や美術館がたくさんあり、緑も多く、駅前の雑踏から解放されます。 近くを散策してみましたが、古い様式の独特な建物が多いことに改めて気づかされました。さながら、建築博物館のようでもあります。近くには東京学芸大学や、東大もあります。国立の大学は敷地が大きくキャンパスの中を散策するのも楽しいのですが、残念ながら今は「関係者以外入門禁止」の貼り紙が。 さて用事を済ませたところで、帰り際にどうしても一杯飲みたいものがありました。上野・湯島にあるオーセンチック・バーTRADさんのアイリッシュ・コーヒーです。 先日読んだ村上春樹の『もしも僕らのことばがウイスキーで会ったなら』という本。 スコットランド・アイラモルトのことについては前回述べましたが、隣のアイルランドにも訪問されています。アイルランドといえば、アイリッシュ・ウイスキー。 これは世界5大ウイスキーのひとつに数えられるばかりではなく、ウイスキー発祥の地としても知られています。かつては世界最大のウイスキー生産国でもありました。 それではアイリッシュ・ウイスキーとは何か? スコッチと何が違うのか? 原料が大麦であったり、単式蒸留器を使ったりと、基本はスコットランドのシングルモルト・ウイスキーとほぼ同じですが、一部の工程が違います。 簡単に言うと、スコッチは蒸留工程、つまり発酵してできたお酒(醪)を加熱してスピリッツにする作業、が2回ですが、アイリッシュは3回行います。(細かく言うとスコッチでも3回行っているところもあります。) また、通常のモルトウイスキーとは別に、「シングルポットスチル」という未発芽の麦芽を使ったアイルランド独自のウイスキーもあります。 このような違いによって生み出されるウイスキーの特徴は、どんなものか?ということですが、自分は当初は少し飲みにくいウイスキーなのかなという感じがありました。昔からの伝統にこだわる少し古臭いイメージしかなかったのです。 今回こちらのバーでそのアイリッシュ・ウイスキーの銘柄をいくつか飲ませて頂きました。飲んで驚いたことですが、「まろやか」であるということです。正直びっくりしました。 この驚きを例えて言うなら、お昼のランチにお店を探していて、なんとなく外見から頑固おやじが切り盛りをしている定食屋に仕方なく入ってみたら、意外にフレンドリーな対応に好感を持ってしまったときの感じ、とでも申しましょうか。(笑) 隣で同じようにアイリッシュを飲まれていた方がうまいことをおっしゃいました。 「日本酒みたい」。 いや、全くその通りだ!と思いました。これは日本酒です! (でも日本酒は有りません、アイリッシュ・ウイスキーです。度数も40度超えています。) でも日本酒のようなまろやかさが確かにあります。それはあの「獺祭」の様な、透き通る感じではなく、「灘の酒」のような辛口というものでもなく、例えるなら、地方の田舎の町を訪問したときに偶然出会うようなまったりとした「地酒」のような感じです。 香りの芳醇さ、フルーティさでいえば、スコッチのスペイサイド系の感じも確かにあります。 それこそグレンフィディックやマッカランの12年くらいのと似たような感じです。 ただし、スペイサイドはテイストに少しパンチがあり、キリっとした感じが有るのですが、 このアイリッシュはテイストしても、舌にまろやかさを残したまま、スーッと終わります。 これは旨い!ということで、いくつか言われるままに、頼んでしまいました。 どれも味の系統はよく似ています。何かスコッチのシングルモルトのように、あるものは塩辛く、また別のものはピートでというような主張するよう個性がある味というわけでもありません。 角が取れて丸い感じです。(後で知りましたが、基本的にはアイリッシュはピートを使わないようです。このことも、アイリッシュのまろやかさの特徴を裏付けていると思います) 手にしていた村上春樹の本を少しパラパラとめくりながら、アイリッシュの特徴とは何か、を考えていた時に、面白い表現を見つけました。 アイルランドの「風土」ついて書かれた部分ですが、そっくりそのままアイリッシュ・ウイスキーの特徴とも重なると思いました。 アイルランドの美しさが僕らに差し出すのは、感動や感嘆よりは、むしろ癒しとか鎮静に近いものである。口を開くまでに少し時間がかかるけれど、いったん話し出すと、穏やかな口ぶりでとても面白い話をしてくれる人が世間にはいるが、アイルランドはちょっとそれに似ている。(p76) アイリッシュの味というのは、この描写がピッタリと合う気がしました。自らガンガンと個性を主張してくるようなタイプでは無いけれど、ひとたび口に含めば、何かものすごい安心感に包まれるような感じがする。そのようなウイスキーです。 スコッチだと、いつもボトル毎の解説をしていますが、今回は少し悩んで止めました。あまりあれこれ説明するよりも、これはただじっくり飲むに適していると思ったからです。 スコッチは個性豊かな銘柄が群雄割拠しますが、このアイルランドはそういった喧噪から離れて予定調和的に、うまくやっている、そんな感じさえしました。どこか余裕がある。そして、その「余裕」がアイリッシュの魅力なのかもしれません。 そんなことを考えながら、最後に締めのアイリッシュ・コーヒーをオーダーしました。 これはアイリッシュ・ウイスキーをベースにしてホットコーヒーと砂糖、クリームを混ぜ合わせたカクテルです。マスターによると、こちらのベースは北アイルランドの「ブッシュミルズ」を使っているとのことでした。 (因みに、このブッシュミルズ蒸留所と、「ジェイムソン」の銘柄でも知られる南部の「ミドルトン蒸留所の二つがアイルランドの蒸留所の中でも長く安定的に操業を続けている蒸留所になります。) あまりの飲み口の良さについつい杯を重ねて、少しほろ酔い気分になったところで出てきたアイリッシュ・コーヒー。クリーミーな甘さとコーヒーの苦みが絶妙なバランスで、少しウトウトしかけていたところに、ほんわかと目が覚めました。とにかく、アイリッシュは刺激とは無縁で、心地が良いです。 このブログでも、常に何か面白い味わいを求めるために、色々なスコッチを飲んできました、いうなれば「探求心」。ですが、このアイリッシュを飲んで感じたのは「癒し」。冒険につかれた旅人を癒すかのようなアイリッシュの「まろやかさ」に、ホンワカした気持ちになったところで帰路につきました。

村上春樹さんの『もし僕らのことばがウイスキーであったなら』を読んで、

村上春樹さんの『もし僕らのことばがウイスキーであったなら』という本があります。『ノルウェイの森』や『海辺のカフカ』など(古くてスミマセン)大作が色々とありますあ、こちらの紀行文はあまり知られていないのかなと思います。平易な言葉の連続で、本当に種も仕掛けも無いのに、読み進めていくうちに完全に虜になっている。不思議な本です。 この小さな旅行記もまさにその氏の魔法的な性質を十分に宿したものだと思いました。答えは本当に単純なのです。氏は冒頭でこう宣言しています。「ささやかな本ではあるけれど、読んだ後で(もし仮にあなたが一滴もアルコールが飲めなかったとしても)、ああ、そうだな、一人でどこか遠くに行って、その土地のおいしいウイスキーを飲んでみたいな、という気持ちになって頂けたとしたら、筆者としてはすごく嬉しい」 はい、当にそういう気持ちになりました。読み終わった後に、居ても立ってもいられないような、すぐにでも飛行機で旅立ちたいような。それぐらいに、自分の心をズバン、ズバン、と打ち抜くものが、この文章には詰まっていました。 この本ではスコットランドとアイルランドが紹介されていますが、こちらのホームページはスコッチウイスキーを一応メインに据えているので、スコットランドの部分だけを切り出して少し紹介できればと思います。 スコットランドの部分に関してですが、内容は全てアイラ島での話です。アイラ島というのは、スコットランドの西側にある島々の中のひとつの島で、ウイスキーの生産地として古くから有名です。 この島のウイスキーはモルトを乾燥するときに使う泥炭(ピート)の香りが特徴的で、スコッチファンの間でも、好みが分かれるところかと思います。個人的にはクセのある味わいというのが好きなのタイプなので、自分は最初から抵抗がありませんでした。むしろ、その特徴に惹かれて好きになったくらいです。 まずは次の箇所。これはアイラ島の最初の紹介の場面です。アイラ島は辺鄙な場所にあり、天候も厳しく、観光名所と呼ばれるものはほとんどない。それにも関わらず、この島を訪れる人がいる、とした上で次のように続けます。 「暖炉によい香りのする泥炭(ピート)をくべ、小さな音でヴィヴァルディのテープをかける。上等なウイスキーとグラスをひとつテーブルの上に載せ、電話の線を抜いてしまう。文字を追うのに疲れると、ときおり本を閉じで膝に置き、顔を上げて、暗い窓の外の、波や雨や風の音に耳を澄ませる。」(pp. 22-23) まさに「英国人的な」余暇の過ごし方なのかと思うとともに、このようにしてウイスキーを楽しむものなのかと強く胸打たれました。 アイラ島のシングルモルトは、それぞれが個性の塊。アイラのシングルモルトといえば、「有難い教祖様のご託宣のようなもの」との表現には、思わず微笑みがこぼれました。もともとはブレンドウイスキーを作るときの隠し味的な要素ととして使われており、原酒そのものを楽しむというのは島の中だけのことであったようです。それが昨今のウイスキーブームなどによりその個性的な味わいが評価され一躍有名に。今では世界中からウイスキーファンが「巡礼」に訪れるようになっています。 小さな島の中で、各蒸留所がそれぞれの個性を維持し続けるとはどういうことなのか?そのことを次のように説明しています。 「それぞれが自分の依って立つべき場所を選びとり、死守している。それぞれの蒸留所には、それぞれのレシピがある。レシピとは要するに生き方である。何を取り、何を捨てるかという価値基準のようなものである。何かを捨てないものには、何も取れない」(pp. 38-39) 後半では、ボウモア蒸留所を訪れた際のことが書かれています。当時の蒸留所のマネージャーであったジム・マッキュアンとの対話が印象的です。ジムは樽職人の仕事から始めたそうですが、樽熟成の様子を次のように語ります。 「アイラでは樽が呼吸をするんだ。倉庫は海辺にあるから、雨期には樽はどんどん潮風を吸い込んでいく。そして乾期(6~8月)になると、今度はウイスキーがそいつを内側からぐいぐいと押し返す。その繰り返しの中で、アイラ独特の自然なアロマが生まれていく。」(p.42) アイラウイスキーの特徴ともいえるのが「磯の香」。 この島は一年を通して風が強いため、島の至る所にその匂いがしみ込んでいるそうです。それを「海藻香」と島の人は呼ぶそうです。泥炭(ピート)も、その土地の特徴によって香りが異なりますが、アイラモルトはこの磯の香りがのったピート感が特徴的(※)。この独特な香りは初めて飲まれる方には、少し驚かれるものかもしれません。 ※厳密にはアイラ島の蒸留所すべてがピートっぽいわけでなく、ピートを焚かない蒸留所もあります。 しかし、あなたがアイラ党(アイラが好きになるか)かどうか、このようにユーモアある表現で説明されています。 「一くち飲んだらあなたは、これはいったいなんだ?、とあるいは驚かれるかもしれない。でも二くち目には、うん、ちょっと変わってるけど、悪くないじゃないかと思われるかもしれない。もしそうだとしたら、あなたは、かなりの確率で断言できることだけれど、三くち目にはきっと、アイラ・シングルモルトのファンになってしまうだろう。僕もまさにそのとおりの手順を踏んだ」(p.46) アイラのウイスキーの特徴は、「土地の香り」を明確に感じることができるシングル・モルトだという点です。具体的にそれは、磯の香をたっぷり含んだ泥炭(ピート)の香りであると、言い換えることもしれません。しかし、アイラの中にある蒸留所は、その同一条件でも、さらにそれぞれに個性があります。それは恐らく各蒸留所の微妙なレシピの違いであり、その伝統を純朴に今に至るまで守ってきた結果であると思います。 アイラウイスキーの特別な味の正体は何なのか?。最後にもう一度ボウモアのジムに問いかけます。ジムはその味を決める上で、島の水やピート、上質な大麦などの要因が間違いなくあるとしたうえで、次のように答えます。 「いちばん大事なのはね、ムラカミさん、いちばん最後にくるのは、人間なんだ。ここに住んで、ここに暮らしている俺たちが、このウイスキーの味を造っているんだよ。(中略)それがいちばん大事なことなんだ。だからどうか、日本に帰ってそう書いてくれ。俺たちはこの小さな島でとてもいいウイスキーを造ってるって」(p.65)

【栃木】BAR×BAR×BAR WATARASE(足利)

今日の訪問先を語るにあたってまずお見せしたいのはコレです。 ものすごく素敵な景色ですよね?! でも北海道とかじゃありません、完全に関東圏内です。場所は栃木県の足利市です。 雑居ビルの5階だったかと思います。店の看板すらありませんでした。オーナーのこだわりのようで、敢えて出してないとのこと。意外性という意味では憎らしいほどの演出です。 ビルを上がるエレベーターも昔の旧式のもので、ゆっくり、ゆっくりと上がっていきます。 因みに上昇中にも外が窓を通して見えるようになってました。恐らくこのビルとエレベーターができた時は、最新式だったのだと思います。 この感じ。もうこのブログをいくつか読んでらっしゃる方にはお分かりかもしれませんが、私の大好きなノスタルジック昭和です。 そもそも、この足利という街自体が少し昭和ノスタルジーの遺跡のような感じです。このバーの開店まで少し時間があったので街中を散策していた時に撮ったのがこちらの写真。 ただの廃虚じゃないかって?いや、私にはこのくらいが丁度良い感じです。笑 廃墟マニアという訳では無いのですが、その毛は多少あるものと自覚はしています。時間の中に溶け込みながら往時を少し偲ばせるような佇まいがとても惹かれます。 なんですかね。ものすごく安心してしまうんです。こうして時の流れるままに身を委ねられる建物が存在する、そのような街はある程度の「器の持ち主」であると思います。 それもそのはず、この足利というのは平安時代から存続したと言われる学府「足利学校」を擁した地。当時は関東の最高学府であったそうです。もちろん江戸とか東京とかのずっと前の話です。 明治以後も一時は栃木県の中で、県都のある宇都宮に次ぐ2番目の人口を誇りましたが、時代の流れとともに周辺地域の開発(郊外型ショッピングモールなど)により繁華街が廃れてしまい、現在は閑散ととした状況。デパートも複数あったようですが、今では見る影も有りません。しかし、街の各所に点在する寺社仏閣の多さは目を見張るものがあり、その価値は全く色褪せていないように感じました。 さて街の観光案内はこれくらいにしておきますそろそろお店の扉を開けましょうか。 因みに玄関にも看板はありませんでした。一瞬本当に営業してないのかと思いましたが、消毒用のスプレーが置いてあり、なんとなくコレは店の方針だろうと解釈してインターホンを鳴らしました。 少し間を置いてから扉が開かれました。店に通されたら第一印象。え、ここは何処?! インテリアが凄すきます。さっきの街の感じと全く噛み合ってません。笑 都心の繁華街にある隠れバーに、どこでもドアで通された感じです。 そう考えて今までのことを逆戻しして、もう一度再生してみました。普通の街、どちかというと寂れた繁華街、そしてたどり着いた雑居ビルの一階、看板もない、とりあえずオンボロにエレベーターで上に、またもや何の挨拶もないただのドア、その横にアルコールひとつが暇そうに置かれている。 全ての期待を裏切り、不安感がクライマックスに到達したところで開けられた魔法の世界。洗練された内装、垢抜けたバーカウンター、綺麗に並べられたボトル、そして窓から見える優雅な景色!渡良瀬川が静かに流れ、視界を遮るものは何もありません。 いやいや、これは反則でしょう!こんなところで!あ、失礼しました。地方都市を、そして足利市を見下している訳では無いのです。お許しください。全く心の準備ができていなかったもので!汗 正直申し上げてこのようなバーに出会えたことは全くの「想定外」であったことは告白します。潔く。 さて、想定外ばかりが続きます。こちらのバーマスターがまさにその張本人です。なんとバーテンダーの大会で優秀な成績を収めただけでなく、コーヒーのバリスタの大会でも好成績を収められたとのこと。 因みにバーテンダーとは、バーでカクテルなどのお酒を作る人のこと。よく金属の水筒のようなものをシェイクして、シャカシャカ音を立てている格好良い感じの人がいますよね。 バリスタとはお酒ではなく、こちらはコーヒーのスペシャリストになります。エスプレッソマシンの使い手のような感じです。 片方だけでも難しいと思うのですが、両方とは凄すぎます。しかも店の内装とかも全て自己流アレンジだとのこと。何でもできるスーパーマン・タイプですね。恐れ入りました! さて、恐れ入ってばかりでも始まらないので、飲み物を頼みます。ここはどうやらジンをベースにしたカクテルが看板商品の様子。 とりあえず一杯目はマスターお任せのカスタムアレンジのカクテルを注文。こちらの味の好みなどを伝えれば、それに合ったカクテルをオリジナルに即興アレンジしてくれると言うもの。 出てきたのは柑橘系のパンチが効いたスッキリした感じ。しかもアイラモルトが好きなことをお伝えしていたのですが、ブルイックラディのほのかなスモーキさとピートが後を追いかけるようにやってきます。 この反則的な上手さ。これでイエロカード2枚目です! ところでジンについて簡単におさらいです。既に知ってるよ!という方は飛ばし目で読んで頂ければと思います。全く知らない方はいないと思いますが、一応簡単に。 ジンはウイスキーと同じ蒸留酒です。原料も色々ですが、基本はボタニカル系です。その中でもジュニパーベリーと呼ばれる針葉樹からとれる実が原料として使われます。ジンという名前も、このジュニパーベリーから来ているそうです。 正直ジンそのものはボタニカルでスパイシー。ベリーとはいえ甘みはほとんどありません。しかし、逆にこれを下地とすることでカクテルには扱いやすく、カクテルベースとしてよく使われます。 また原料の配合に変化をつけることで、様々な味の表現をすることが可能になります。これらはクラフトジンとして昨今人気が出てきています。ウイスキーの新しい蒸溜所でも、3年熟成を待つ間の当座しのぎとしてジンを作ることがあります。以上簡単な説明です。 さて、そのクラフトジンも、いくつか試させてもらいました。一言で言うなら「飲める香水」ですね。ウイスキーと違ってものすごくハッキリとした香りと表現です。 ウイスキーがクレヨンや油絵具で描く絵だとすると、クラフトジンは蛍光色のマーカーで描くカラーポスターのような感じ。微妙なニュアンスというより、結構クリアな味が伝わってきます。また熟成が基本無いので、余韻が下に残るような複雑性はありません。かなりはっきりとした主張です。 さて、ここでついに本日3つ目のイエロカードに「気付きました」。この夜景です。 はい、もう退場ですね!笑 このバーの魅力を色々とお伝えしてきましたが、こちらに関してはご自分の目で見て、肌で感じて、体感していただくことを是非オススメしたいと思います。 なかなか用事があって行く機会というのは少ないかもしれませんが、マスターによると来客の半分以上は地元以外の方だそうです。 でも良く分かります!このバーは、わざわざ来るバーでしょうね。それだけの価値はあるように感じました。店内もゆったりとした空間と落ち着いたインテリアで長居をしても全く疲れません。飛行機のファーストクラスに座っているようです。(因みに私は一度も乗ったことは有りません。でも乗ってる方の姿は何度も見たことがあるもので例えとして理解ください笑) 帰りはマスターがエレベーターホールまで見送っていただきました。そして改めて看板も何も無い雑居ビルの一階に降り立ち、振り返った時、この素敵な演出の全てに笑みがこぼれ落ちました。

BAR GOSSEにてIII

早速ですが、今日は珍しい来客がありました。 基本このブログはバーとウイスキーに焦点を当てることを目的としていますが、 あまりにもの珍事に、今回はゲストにもフォーカスをさせてもらいます。 なんと20代の女性、しかも美人さん。本ブログではこれを「三拍子揃う」といいます。笑 実のところ、こうしたウイスキー・バーに女性が来られること自体は珍しくはありません。 全員が美人じゃない?いえいえ、そういうことではないのです、皆さまお美しいです! 今回珍しいと大騒ぎしたのは、「ウイスキーが好きで、且、知識量も豊富で、しかも実際に行動されている」ところ。 行動している、というのは自分で蒸溜所を訪問したり、酒屋さんに行ったり、バー巡りしたりという意味です。 しかも、フレンドリーに取材許可までいただきました。もう感謝しかありません! お名前は、「さくら」さんということです。さくら様、とお呼びしたいところですが、変なバーと混同するといけないので、とりあえず「さくらさん」で本ブログは通します。 さて、まずは一杯いきましょう。 とりあえず、取材に入る前にコレをハイボールで。そう、ホワイトホースです。キーモルトはラガブーリン。 個人的に好きな銘柄なので、先ずはテンションを上げていきたいところでしたが、いきなりシングルモルトをストレートというのも飛ばし過ぎ。 そういう訳で、まずはやさしめに軽く一杯ということでホワイトホースを、ハイボールで頼見ました。気持ちを落ち着かせます。 さて「ホワイトホース」について、少し補足しておきましょう。名前の通りボトルの中央に白馬が描かれています。 このブランドは1881年、ピーター・マッキーにより立ち上げられました。 ホワイトホースの名前は、マッキー氏の近所にあった酒場兼宿場 「白馬亭(The White Horse Cellar)」に由来します。 ラベルの白馬は、白馬亭の看板を描いたもので、1742年というのは白馬亭の創業年になります。 この「白馬亭」ですが、普通の宿ではなく、18世紀にスコットランドの独立を図った「ジャコバイトの反乱」の際の拠点。 単純に良さげな宿があるから、という理由ではなく、スコットランド人の誇りの源に肖(あやか)ったというところでしょうか。 また、キーモルトがラガヴーリンというのもちゃんと理由があります。 マッキー氏の叔父ローガン・マッキーは同蒸留所のオーナー!若かりし頃にウイスキー造りを学んだのがラガヴーリンだったというワケ。 (なんと贅沢な!)ローガン氏が亡くなってからは蒸溜所の経路も引き継ぎます。 さて、もう一度バーに戻ります。さくらさんのストーリーです。あれだけ騒いでホワイトホースに脱線しかかりました。 さて、私が興味があったのは、どうしてそんなに若くしてウイスキーに興味を持ってしまったの?ということです。 男性諸君でアルコール好きな人なら、ウイスキーは「男の酒」みたいな感じで入り口付近に連れていかれます。 同僚やお客さんとの飲み会、友達とのバカ騒ぎとかで、一度や二度はウイスキーのボトルに触れる機会はあるのでは無いでしょうか? 女性の方も当然にそういった席はあると思うのですが、そこでウイスキーなどの蒸留酒が出てくるケースは少ないのでは?と。偏見ですかね? すみません、女子会とかお呼ばれしたことが無いので。もし違うよ!っていうことでしたらぜひ取材にいかせてください!交通費は払います。笑 さて、さくらさんの場合ですが、学生の頃にフランスのノルマンディー地方での体験がひとつのきっかけだったようです。 皆さんは「サイダー」をご存じでしょうか?日本でサイダーというと三ツ矢サイダーとかを想像されるかもしれませんが、 向こう(ヨーロッパ)でサイダーといえば、リンゴ酒です。フランス語ではシードルと発音します。 フランス北部のノルマンディー地方は、南仏のようにブドウが育ちにくいため、代わりにリンゴの栽培で有名。(日本の青森みたいなもんですかね) そのリンゴを使って作る醸造酒が「サイダー」。さらに、それを蒸留したリンゴの蒸留酒を「カルヴァドス」と言います。リンゴのブランディーのようなものです。 ノルマンディを学生時代に旅された時に、このカルヴァドスに惹かれ、それをきっかけに蒸溜酒に興味を持ち、そしてウイスキーに至ったようです。 社会人になってからはバーなどで勤務された後、アイルランド(※)にワーキングホリデーを使って1年ほど滞在されたとのこと。 ※アイルランドは言わずと知れたウイスキーの聖地として有名、ウイスキー発祥の地とも言われかつては(1920年より前)最大の生産量を誇りました。 その間に現地の蒸溜所やバーを巡られたそうです。因みに、ジャパニーズにも造詣が深く、山崎、白州、余市、宮城狭などすべて回られたそうです。すごい!汗 小生から見ると、もう完全に大先輩の域です。そういう訳で、次に大先輩の一杯をいただきました。それがコレ。 「美味しいウヰスキー」。マンマじゃないですか?! それもそのはず。これもウイスキー好きの間では聖地とも言われるスコットランド・スペイサイドの有名なバー&ホテル「ハイランダーイン」のオリジナルボトル。 このホテルの支配人はなんと日本の方で、皆川さんという京都出身の方です。 中身は36年熟成のスペイサイド系ぶブレンドのようです。クレイゲラヒと小さく書いているのは、このハイランダーインがある村の名前です。 因みに同村にはクレイゲラヒ蒸留所があります。実はこの蒸留所は、先のマッキー氏と関係があり、ホワイトホースにブレンドする原酒確保のために1891年に設立されました。 ホワイトホースはブレンドなので、キーモルトのラガブーリンのほかに、クレイゲラヒを始めとしたスペイサイド系原酒がブレンドされています。 さて、「美味しいウヰスキー」。 飲んだ印象ですが、まずシェリー系かなと。それと、スパイシーですっきりした感じ。 原酒はスペイサイド系ということなのですが、テイストした後の直感はハイランドかなと思ってしまいました。 36年の熟成期間でしかもブレンドというと、かなり複雑な味わいを想像してしまいますが、なぜか若さを感じさせます。 玄人好みの一杯ということなのでしょうか。正直、ボトラーズのブレンドでこれほど熟成期間の長いものは、自分からは選ばない、というか選べないですね。予期せぬ出会いというのは貴重です! さて、最後に私からの感謝の気持ちということで、大先輩に一杯おごろうかと思い勢いよくボーイ君に注文。 […]

【東京】バー恵(中野)

そういう訳でやってきました「バー恵(めぐみ)」さん。 先ほどの「美術館」から歩いて5分くらいでした。 先ほどの彼によると仕事が終わって店長さんとこちらのバーで飲まれることもあるようです。 店に入っての印象は昭和のノスタルジックな秘密基地という感じでしょうか。細長い店内にカウンター席が8席くらい。 うちらが入った時には先客の方が3名おられて、うちらが入店した時点で結構がっつりという感じでした。 店の中の移動もカウンターに座ってる人の協力なしには後ろの壁とのスペースがカツカツで通れない感じ。 そんなわけで、なんとなく居合わせた者同士親近感を感じてしまうお店です。 語り合いバーみたいな感じでしょうか。 気さくな女性のマスターさんが店を切り盛りされてます。 この辺に住まれてる方には憩いの場みたいな感じかと思います。現にお一人で来られてた方は常連さんのようでした。 さて、席についてから「初めてですか?」と先ほどの女性マスター。 先ほどの経緯をお伝えすると「ワサビは終わったんですよねー」とのこと。 「あの子(件の美術館の彼)まだ宣伝してるのね」と笑っておっしゃってました。 どうやら彼は宣伝部長のようですね。我々の前にもこうしてワサビ杯を求めて来たものがいるようです。(笑) 何を飲もうかなぁと思い棚をキョロキョロ。 オススメで頂いたのがコチラ。 小学館さんのデビルマンシリーズ。 中身はアードモアの10年。ラフロイグカスクとのことです。 飲んでみたんですが、第一印象は思いっ切りラフロイグですね。笑 アードモアは飲んだことがないんですが、10年熟成なのにラフロイグに染まってる感じがします。 もちろんオフィシャルのラフロイグの様にブアッと煙が出る感じではありません。カスク越しなんで、上品に香るラフロイグという感じ。 このくらいだとアイラ系苦手なヒトとかでもイケそうな感じですね。 さて、これは後付けの知識なのですが、アードモアを調べてみました。アードモアはブレンドのティチャーズのキーモルトとして知られているようですが、ズバリその特徴はピート。 しかし、いわゆるアイラのピートでは無くハイランドのピートです。このピートの特長はアイランズのような磯の香りではなく、炭っぽい香りだとのこと。 ということは、先ほどのアードモアはアイラモルトとハイランドモルトの競演だったという訳ですね。知識が無くて追いつきませんでしたが、次はアードモアもぜひ試してみたいと思いました。 さて、次に試したのがコレ。 この中野には実はとても有名なバーがありました。 現在は残念ながら閉店されていますが、駅南に方に「サウスパーク」と言われるウイスキー好きの聖地がありました。 自分も行きたかったのですが、残念ながらそのバーを初めて知った時には、すでに閉店報だったのです。 本当は「聖地巡礼」もしようかと思ったのですが、繁華街と反対方向であったので今回は結局断念。 しかしながら、幸運にもそのバーがボトリングされたボトルにこちらで巡る会えました。まさに恵さん。笑 ボトルにはサウスパーク5周年記念とあります。設立は2012年12月29日だったようです。 ボトラーはアスタモリス。輸入元はガイアフローとあります。 中身はグレントファース。2009年に蒸留された8年モノで、PXシェリー熟成。 ここからは後日談になりますが、実はこのボトルについての感想を後で書こうとしたのですが、どうしても思い出すことができませんでした。 記念ボトルのため、オフィシャルものとかと違ってネットで他の方の感想とかも「参照」することは不可能。 また適当なコトを書いて、親愛なる読者の方々を欺く訳にも参りません。 そんな訳で、もう一度飲みに恵さんを訪問してしまいました。汗 ここからはその時の感想です。 改めてですが、PXシェリーは香りから伝わってきます。 テイスティングですが、スペイサイドのグレンファークラスのような感じでしょうか。グレントファースそのものはあまりオフィシャルでは出回っていないので何とも言えませんが、結構シャープで余韻もキレがあるような気がしました。 どうですか?と恵さんから聞かれたにですが「難しいですね」汗、としか答えられませんでした。スミマセン! 因みにこの日のお通しが「鰻」で、意外にもウナギとウイスキーが合いました。より正確にはこのボトルのキレと鰻の脂がうまくマッチングした感じです。 さて、最後に余談になりますが実は再訪して経緯をお伝えした時に誤ってアスターモリスさんの別のボトルが出て来たんです。 コレです。 ボトルの記載を見たら5年もののアードモアになっていたので、え?と思って確認して発覚。 因みにこちらはサービスで頂かせてもらいました!ありがとうございます!誠に恐縮です。 こちらは先ほど飲んだモノに比べると味に柔らかさがあり、シェリーも感じます。5年という割には結構ボディが熟成しているように思いました。 アードモアといえば先ほどいただいたデビルマンのベースもアードモアで、ピートが特徴的であるコトを書きましたが、帰宅してから知ったため意識が及びませんでした。 いずれにせよアイラほどの個性的で主張するピート臭では無かったと思います。次回は意識してみようと思います。 因みにですが、こうした個人などが手配するオリジナルボトルというのは、基本的にはシングルカスク由来であるコトが多いように思います。いわゆる樽買いというものです。 樽は大きさにもよりますが普通のバレルですと180リットル、1/4のクォーターで110リットルくらいと言われます。 細かい算数の話になりますが、シングルバレルorシングルカスク(要は1つの樽)を1バッヂとした場合、 ウイスキー1瓶の容量が700ミリリットルなので 200本強のロットであればバレル。100本前後ならクォーターカスクかなあ、と想像ができます。 […]

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