韓国とウイスキー、フォーシーズンズホテルのバーでの想い出。

韓国とウイスキーについて今回は少し書いてみようかと思います。韓国でお酒といえば地酒というかソジュやマッコリなど向こうの料理に合うお酒が主流なイメージです。ビールやワイン、ウイスキーなどの印象はあまり無いように思えます。しかし、一人当たりのGDPなどの経済的指標によれば、韓国も昔と比べて日本と同じかもしくはそれ以上に豊かになってきているようですし、中間層が増えてくれば高級なお酒の需要も増えてくるというのは自然の摂理。日本でも最近はあちこちでテロワールを追求した本場ヨーロッパと同じくらいに美味しいワインも出てきています。ウイスキーでいえばクラフトディスティラリー的な小規模の個性的なメーカがたくさん誕生してまだ年数が浅いにも関わらず高評価を経て入手が難しいものも少なくなりません。北海道の厚岸や九州の津貫など産地も北から南まで全国に渡ります。また、その他にもジンやウォッカなど例を挙げれば切りがないほどです。となれば、同世に経済的な成長を遂げた韓国でも同じような動きが起こっているのでないかと考えたりします。

https://www.instagram.com/three_societies/より

南隣の台湾では一足先にその動きが出ています。ご存じの方も多いですが、例えばスコッチウイスキーのカバランが世界的にも高評価を得ています。まだ韓国ではウイスキーの蒸留所でそこまで有名になっているものはありませんが、このホームページでも以前に紹介したスリーソサエティーズが自社ブランドの「キウォン」をリリースしてきてまして、韓国国内では人気が出てきているようです。アメリカなど海外向けにも出荷を始めようとしているようで、近い将来日本にも上陸してくる日も近いと思います。オーナーは米系韓国人で製造責任者としてはスコットランドで経験のある職人を招聘していることから本格的な味わいを追求しています。(→詳しくはこちらのページへ)

2019年に韓国のソウルにいったときに現地のモルトバーを探してみたのですが、日本のような路地裏とかにポツリとある個人経営のお店が見つけられず、googlemapで探し出したフォーシーズンズホテル地下のバーに行ったことがあります。いわゆるホテルバーといいますか、本格的なオーセンチックバーでした。品揃え的にはスコッチからジャパニーズ、バーボンなどを取り揃えていましたが、カウンターに座っていたお客さんは(たまたまかもしれませんが)皆女性で皆さんカクテル系のものを楽しんでおられました。その中で自分らはスコッチウイスキーのをストレートで頼むというガチ硬派的なことをやっていたのですが、バーテンダーの方もすごく親切でフレンドリーだったのでとても楽しい時間を過ごせた記憶です。現時点でどのように変わっているのかは分かりませんが、日本でいうところの「モルトバー」というか「オーセンチックバー」のようなところ、特にスコッチウイスキーだけを集めてお客さんに提供しているお店はまだまだ少ないのかなと想像しています。日本のバー巡りに続いて海外版もできたらなあと思っているので、韓国に再訪することがあればもう一度探してみたいなあと思っています。

Bar CHARLES H. at FourSeansSeoul

Youtubeのチャンネルなどで拝見するところでは、酒屋さんレベルではスコッチウイスキーは出回っているようですし、レアウイスキーやオールドボトルのようなものを取り扱うマニアック好きの生態系が日本のようにあるのか含めて興味深いところです。東京・新大久保のコリアン街にいくと韓国系のバーの棚には結構な頻度でスコッチのシーバスが置いてあることが多いです。あるバーでオーナーの人にそのことを尋ねたら、朴正煕大統領暗殺事件(1979年)の現場にあったウイスキーということで広く知られるようになったそうです。元々大統領はシーバスが好きだったようで事件現場は宴会場であったことから、いつものお酒を楽しんでいたのでしょう。仮にそれがバランタインとかジョニーウォーカーだとか、他のブランドであったらまた別な話になっていたかもしれません。今ではスコッチウイスキーといってもそこまで高級なイメージはないと思いますが、昔はかなりステータスシンボル的なものがあったのかなと想像します。

リーカーマウンテン銀座にて

イギリスのサッチャー元首相(在任:1979-1990)も愛飲していたグレンファークラスの「105」が、いまだに鉄の宰相の愛したウイスキーということで紹介されていたりします。朴正煕もサッチャー首相も1970年代~1980年代に活躍した人たちですが、今でもその時のイメージや影響力があるというのは、こうしたブランドが確立したイメージの力強さは大きいものだと改めて感じます。街中でも最近は韓国のものを扱っているお店が増えてきて現地の最新のものが手に入りやすくなりました。ビールやマッコリもオシャレなデザインやポップな味わいのモノが出てきています。恐らく現地だともっと進化しているものと思います。K-popではないですが韓国は日本に比べて海外マーケットをより強く意識している傾向があると思うので商品設計のアプローチも斬新というか垢抜けているなあと感じることが多いです。お酒の話題でも新たなアップデートがあれば随時ご紹介していければと思いますし、何よりも現地取材が早くできればなあと思います。

プリバイオマッコリ
コムピョ・ビール
韓国とウイスキー、フォーシーズンズホテルのバーでの想い出。

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