ミルクアンドハニー蒸留所

ミルクアンドハニー(M&H)蒸留所は、イスラエルの経済都市、テルアビブの都心に位置するスコッチウイスキーの蒸留所。気候が温暖な中東に位置する同蒸留所は、台湾のカバランと同じく早熟の樽熟成が特徴。2012年にITエンジニアのガル・カルクスタイン氏(Gal Kalkstein)らにより創立、2014年から操業を開始。故ジム・スワン博士が初代のマスターディスティラーとして蒸留所立ち上げとスコッチの製造に貢献。ミルクとハニー(蜂蜜)は聖書にも記載されるほど、イスラエルが古来より誇る産物。長く誇る伝統の名産品を冠して、新たなスコッチウイスキーの文化を聖地で創出する。イスラエル初めてのスコッチ蒸留所。

THE M&H DISTILLERY TOUR@youtube

都会に位置する蒸留所のため、水源は一般の水道水を利用している。ただし、逆浸透膜で不純物を完全に濾過した後に、塩分やミネラルを「レシピ」を元に作り出している。

ウイスキー造りはスコッチウイスキーのルールに則り、蒸留はポットスチルで二回行う。初溜を行うスチルはネットの中古サイトで見つけたもので、ルーマニアの倉庫に眠っていたものを修理して使用、再溜の釜はドイツのカール社製。特徴的な形状の蒸留器から下向きのラインアームを通り抽出される原酒は、ヘビーでオイリーなスピリット。

蒸留所の貯蔵庫は空調を一切設けず温暖な気候をそのまま利用し、寒冷なスコットランドに比べてスピーディな熟成を可能とする。エンジェルシェア(熟成中のアルコール分の揮発量)も寒冷地の3~4倍のスピードで、台湾のカバラン同様に10%前後になるという。また、イスラエルは小さな国でありながら、国内に5つの気候区分を持っており、地中海に面するテルアビブや海抜がマイナス438mの死海など、気候条件の異なる場所に貯蔵庫を持ち熟成を大なっている。(因みに世界で最も高温で乾燥した地域として知られる死海での熟成スピードはテルアビブの更に倍以上で、25%にも達する。つまりは、2年で樽の半分が無くなる計算!)樽の種類も豊富でジム・スワン博士の開発したSTR樽や、ラム樽、ビール樽、アイラ樽など多種多様なカスクによる熟成を行っている。ピートに関しては、樽熟成に使用するだけではなく、半年に1回はピート・モルトを使った原酒造りも実施している。

クラシック

バーボンとレッドワインのSTRカスク熟成。溢れんばかりのフレーバーが特徴な3年熟成のイスラエル初、スコッチウイスキー。

“糖蜜、カラメル、ペストリー、バニラ、マシュマロの香り。しっかりとしたジューシーで甘い味わい。フィニッシュは甘い余韻と少しスパイシーな味わいが残る。”

「エレメンツ」シリーズ
  • レッドワインカスク
  • ピートカスク
  • シェリーカスク

因みに、これらウイスキーの製造やカスクは全てカーシェール(kosher)というユダヤ教徒の戒律に則り造られたものであることを基本としているという。

APEXシリーズ

APEXシリーズのモットーは、度肝を抜く、奇抜な、遊び心に富んだイノベーション!熟成の樽や場所をクリエーティブに選びブレンド。マスターディスティラーのトマー・ゴレン氏が厳選した樽を使ったウッドフィニッシュが、イスラエルのテロワールを表現する。