中国語表記では「百富」(バイフーと発音)という縁起の良い表記のされ方もするスコットランドのスぺイサイド地方、ダフタウンにある蒸留所。グレンフィディック蒸留所などを経営する独立系のウィリアム・グラント&サンズ社傘下にあります。元々はグレンフィディックの第二工場として操業を開始しました。今でも大麦や酵母は同じものを使用しているそうです。バルヴェニーの特徴は何と言ってもクラフトマンシップ(職人魂)。多くの蒸留所が機械化したモルティングの工程も、人手を使い昔ながらのフロアモルトを続けていることで知られます。熟成の樽にもこだわりがあり、様々なヴァリエーションの樽を駆使したウイスキーを作ります。

DAVID STEWART氏は1962年に入社後、50年以上BALVENIE一筋で勤務。

この蒸留所が輩出したスコッチウイスキーの業界でも最も有名な人と言えば、2016年に大英帝国勲章を受章したデイヴィッド・スチュワート氏です。彼は「ウッドフィニッシュのパイオニア」とも呼ばれ、1980年代の当時に、初めて複数の樽で熟成したシングルモルトに挑戦。1993年にリリースした「DOUBLE WOOD」を皮切りに、数々のウッドフィニッシュを送り出し好評を獲得。今日の業界のスタンダードを確立しました。

オロロソ・バーボンとピート系のトリプルカスク12年

THE BALVENIE STORIES

“この蒸留所には長年にわたり勤務してきた職人たちがおり、彼らはそれぞれ素晴らしい思い出を持っています。我々がそれらを語る時、その思い出は皆さま方の前で輝き始めるのです。”(グローバルアンバサダー・ジェマ・パターソンさん)

個人的な注目は、最近にリリースの「バルヴェニー・ストーリーズ」。これは、蒸留所で働く職人たちの昔話やインスピレーションなどを、ウイスキーの中に具現化したものです。スコットランドに花咲くヘザーの花の香りを閉じ込めた「BURNHEAD WOOD」や、蒸留所が過去に使っていたピート感のあるモルトを復刻させた「WEEK OF PEET」などがあります。それぞれのボトルには誕生秘話を語るオーディオブックもつくのだとか。職人の技術と「想い」が詰まった作品シリーズです。