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【兵庫】wine-bar nolac(神戸)

まさに奇跡のバーと呼んでも良いかもしれないですね。ここは神戸・三宮の北口側から山側に少し歩いた繁華街にあるワインバー、ノラック(NOLAC)さん。昔の店名はカロンセギュールであったようでありますが、兎にも角にもスゴイ!の一言に尽きるワインバーです。まずはお店のローケーションを先に示しておきます。神戸が初めての方は恐らく迷うかもしれませんので、googlemapでチェックしてから行くのがベターです、実際こちらのお店に何度も場所が分からない、という電話がかかってくるのをカウンター越しに漏れ聞いたことがあります。お店のホームページにもある通りですが、三宮駅(因みに神戸の繁華街の中心にあるのが三宮です)から北側に伸びる北野坂を上がりラーメン屋さんが目印になります。そこを左手に曲がり、二つ目の小さな通りを右手に。少し入った手前側がお店です。背の高い扉が目に入るかと思います。入るのに少し勇気がいる店構えですが着いたらとにかく扉を押してみましょう。後のことは考えなくて大丈夫です! ブラインドテースティングを楽しむの図 記憶を頼りにですが、写真のワインは右から順にカルフォルニア産ピノノワール、オーストラリアのカベルネ、イタリアトスカーナのサンジョベーゼ、フランスボルドー、フランスブルゴーニュのピノノワール、最後がチリのワイン。全部赤です。印象に残ったのはトスカーナとチリですかね、複雑で個性的な風味が自分は好きなので。 さて、凄いすごいといって何がそんなに?という話をします。まず、インテリア含めたお店の雰囲気が最高に素敵です。自分はミニマリスト系が好みなんで、あまりワサワサ置いてあるのは好きではないのですが、ここは本当にシンプル。そして店の雰囲気を盛り立てるアイテムもまた上品で落ち着いています。何気に飾られてある器だとか絵画だとか、カウンターや棚の感じも含めてすべてです。マスターはフラワーアレンジメントもご自分で手掛けているそうです。とにかくここではすべての面で大人の教養が問われるなと感じます。でも、肩ひじ張る必要は全くないんです。マスターは本当に気さくでフレンドリーな方。ワインの知識は恐ろしいほどに豊富で、さらに謙虚で勉強熱心な感じです。いやはや、毎回来るたびに恐れ入ります。この店のインテリアだとか内部の空間の写真はいくらでも挙げられるのですが、敢えてここには貼り付けません。どうかご自分の目で確かめに行ってほしいと思うからです。その楽しみを奪わないためにも、なるべく文章だけでお伝えしていきます。 お口直しに頼んだナッツの盛り合わせ 毎回こちらをお邪魔して自分が頼むのが写真のブラインドデースティングセットです。3種類で1セットのセット料金で頼めます。今回は2回挑戦をしてみました。結果は毎回そうなんですが、惨澹たるものだったのですが、初心者でも一つ一つを丁寧に解説をしてくださいます。割とフランスワインが多いのかなという印象はあります。あとオーセンティックなものが多いのかなと。(注:あくまで自分の印象ですm(__)m)それでもって価格が驚くほどリーズナブルなんです。これが本当に衝撃的です。自分は最初にこちらを訪問した時に店の雰囲気とかなどからして、相当ヤバいことになったとソワソワしてしまいました。座っただけでもう緊張してしまいまして、それでもカードOKということなんで、平然を必死に装っていくつかワインを頼んで、支払いのときに金額を見て驚きを隠せませんでした。どうしてなのかを実はマスターに伺ったことがあります。その理由としては、ワインのソムリエ資格に向けてなどワインの勉強をされている方のためであることをおっしゃられていました。ソムリエ資格にはテースティングの実技試験のようなものがあるらしく、そのために結構な量のワインを購入してティスティングの「実学」をしないといけないそうなんです。そうなると、やはり相当のお金がかかってしまうということで、ご自身でも苦労された経験からの価格体系なようです。これで納得してしまって良いものなのかどうか分からないのですが、とにかく高級ブティックのような空間に身を置きながら、一流のソムリエにアテンドしてもらい、ワインを楽しむという贅沢が、破格のお値段でできる、そういうワインバーであると理解してもらえれば良いのかなと思います。 本格的な赤ワイン、千曲川メルロー さて、最後に最近はまっているジャパニーズワインの赤でおススメを頼んでみました。そしてお出ましになったのがこちらの、千曲川メルロー。味わいの系統としては、ボトルの感じもそうなんですが、フランスボルドーのような品のある正統派ワインの感じ。甘さがあるのですが、いわゆる昔ながらのジャパニーズワインにあるようなベリー的な安っぽい甘さのそれではなくて、本当に上品な感じがします。この「ソラリス」というブランドはキッコーマンが手掛けるワイン作りの会社「マンズワイン」のブランドで、設立はなんと1962年とのこと。日本のワイン造りのパイオニアだったのですね。醤油もワインも発酵が原理であることを考えれば、特に不思議なことでもないのかもしれません。キッコーマンは海外でのマーケティングに成功している日本企業の一つなので、国内外で今後も益々注目されていくのでしょう。最近は小規模な醸造所でもワインの製造免許が取りやすくなったようで、ジャパニーズのクラフトワインのボトルも酒屋さんなどで少しづつ見かけるようになりました。ワインといえば、フランスやイタリアが古くからの定番で、アメリカやオーストラリアなどのニューワールド系もすでにその知名度を確立しています。ジャパニーズはワインの世界の中でどのような位置づけなのかは分かりませんが、豊かな自然とそれを生かした古くからの酒造りの歴史は国内のいたるところにあるので、個性的なジャパニーズワインの誕生にも期待をしていきたいところです。 さて、そんなこんなで2時間くらいでしょうか。カウンターの奥の席に陣取ってずっとワインを楽しむというこの上ない贅沢なひと時を楽しませてもらいました。お店はカウンター数席とテーブル席が少しなので、何組かが来ると割とにぎやかになります。二組目くらいが来たタイミングでチェックをお願いしました。おしゃれなお店なので、若者のお客さんが多い印象は受けました。もしかしたらソムリエの勉強とかを考えての方もいるのかもですね。ワイン通の方にも、初めての方にもおススメしたい、港町神戸にふさわしい!素敵なワインバーでした。ありがとうございます。 芸術的過ぎる盛り合わせ料理!!

【兵庫】BAR NISHINAKA西中(姫路)

姫路というとのは兵庫県の西部の一大都市で、地元では播州(ばんしゅう)とか言われたりします。この播州地方の方言に「播州弁」というのがあるのですが、これがもう凄い男気のある方言で、知っている方はわかると思うのですがちょっと怖い感じなんです。でもまあ、最近ではあまりそういう方言なんかも年配の方などを除いてはめったに聞かなくなった感じがします。寂しいといえば、それまでですけど、その土地臭さっていうのが今は日本全国どこに行っても薄れてきているような気がして方言フェチの自分としてはちょっと寂しいですね。話はそれますが、少し前に四国方面に行ったときに、自分は四国では必ずローカル線とかに乗るのですが、その土地の中学生軍団と出くわしまして、それはもう賑やかでその「はしゃぎぶり」みたいなのが妙に懐かしかったです。さて、話をもう一度戻しますが、この姫路というのは播州の中で最大都市であります。そして世界遺産の姫路城を有するこの町の繁華街は駅のお城側の左手に位置します。御幸通りとかのある方向とは少し違うので、初めての方は注意してください。地方の繁華街を探すときにキーワードはとにかくJRの駅ではなく、ローカル鉄道(この場合は山陽電車)の駅を目印に行くのがコツです。今でこそどこもJRが優位ですが、昔はやはり私鉄の駅が町の中心というケースが多かったのかと思います。姫路はヤマトヤシキなる地域デパートもあったのですが、2018年に閉店。更に山陽電車の子会社であった山陽百貨店も2021年に業績不振を受けて完全子会社化が決まるなど地場の商業施設は苦戦している模様。またその裏手にある歓楽街「魚町(うおまち)」も、夜の人通りは至って少なく残念ながら活気は感じられなかったです。もしくは、まだ早かったかな笑 とりあえずジャックのハイボールから。 姫路駅を降りて大手前通りをお城の方向に向かって歩き、魚町通に折れて繁華街の中心部を通るも、もしや今夜お目当てのバー、西中さんが開いてなければどうしたものかと不安になりながら、とにもかくにもここまで来たのだからということを言い聞かせて歩みを進めます。ビルの下まで来たところで、バーの店舗案内の明かりがついていたのでとりあえず一安心。エレベータで上がり、廊下を奥に進んだ右手に本日お目当てのモルトーバーがありました。結構どっぷりと夜が更けた時間帯にお伺いしたので、お店には先客の若い女性二人組しかいませんでした。とても落ち着いた店内の雰囲気ですが、カウンター裏のウイスキーボトルを見ればここが本格的なモルトバーであることは一目瞭然です。左右の棚にもぎっしりボトルが並んでいます。よく目を凝らしてみると、中にはハーフショットの値札のついたオールドボトルなども置いてあります。かなりのレアモノで、地方のバーの感覚で言うと結構な金額かなとお見受けしました。カウンターにはシガーとかも置かれていて、事前の調査も少ししてはいましたが、姫路でオーセンティックバーといえばこちらのお店が筆頭になるのではないでしょうか。マスターはバッチリと正装されていて、本格的な雰囲気です。 遊佐のシングルモルト さて自分が席を取ったのがカウンターの左隅のほうでした。右手には先の女性らが座っていたのですが、どうも緊張をしてしまって、真横に座るところを遠慮して左隅側に選びました(汗)。ダメですね、って何が笑?。さて、気を取り直してですが、左横の棚には新興のジャパニーズがずらりと並んでました。三郎丸のブレンド、ガイア静岡、嘉之助、さらには厚岸も6つ。はい、かなりヤバいことが一発で分かりました。その中でまだ飲んだことがないものを見つけました。それが、このYUZAシングルモルトです。たぶん、三郎丸と同じくらい地元以外ではかなりレアものでは無いでしょうか。遊佐はまだそこまでウイスキー界隈でも知られてないと思いますが、山形県の日本海側の酒田市の近く、遊佐町に位置する蒸留所です。母体は焼酎を製造する金龍という会社。典型的なクラフト蒸留所で、3名くらいのスタッフで運営されているようです。しかもそのうちの二人は女性。地元の山形大学のリケジョとのこと。あえて「未経験者」を一から教育して立ち上げているようです。この切り口で行くと、今自分が調べているウェールズのペンデリン蒸留所や、未経験者を含めて混成チームで運営するスカイ島のトラベイグ蒸留所なんかを彷彿させます。その味わいですが、まだ若くてフレッシュな感じですね、樽感というようなものがまだほんのりといった感じでまだ未熟な青りんごといったようなところでしょうか。お酒の質感はクリアでフルーティ、今後が楽しみです。 桜尾と戸河内のシングルモルトをハーフで。 そして、さらに進みます。まだまだヤバいものが並んでいます。じゃじゃん!中国醸造の桜尾と戸河内。こちらは同じクラフト蒸留所の部類でも先輩格だけあってかなり熟成感があると思いました。加えて、桜尾は純なスモーキーさが、また戸河内には完熟感のある甘さがあり対照的な味わいとなっています。どちらも素晴らしいお酒です。確かまだファーストリリースだと思うので、今後も引き続き楽しみです。そういえば、少し違うのですが、ここ姫路から新快速電車で20分ほどのところに子午線の町でしられる「明石」があります。タコとか明石海峡大橋とかでも有名なのですが、この明石には古くから知られる江井ヶ嶋蒸留所(ホワイトオーク蒸留所)と、海峡蒸留所という先のトラベイグの姉妹蒸留所のようなあまり表向きには知られていない二つのウイスキー蒸留所が存在しています。前者は「あかし」という名のブレンドウイスキーが割と広く知られているかと思います。後者は「波戸崎」という海外向けのブランドを作っているのですが、あまり国内では知られていないかと思います。たぶん、逆輸入とかしないとゲットできないと思います。ローカル繋がりということで、「あかし」も何か置いてあれば頂こうかとも思ったのですが棚には見当たらなかったので諦めました。とはいえ、明石はともかくとしても姫路という場所は交通の要所で、ここは関西地方と中国地方の分かれ目のような雰囲気があります。もっと言えば、ここからは播但線という路線が日本海側に向けて伸びていて、また姫新線という中国地方の山の中に向かう超ローカル路線もあったりで姫路というのは本当に何か独特の磁力のようなものを感じます。本当いうと、こういう立地だからこそ、ウイスキーの蒸留所なんかができると面白いと思うんですが、どうなんでしょうか?海側には日本製鉄さんの工場なんかもあったりして、製鉄業など産業の町としても知られてましたが最近はあまり元気が無い感じです。臨海地区のどこかの工場跡地でウイスキー造りとか面白そうですけどね。 さて写真を撮るのを忘れてしまったのですが、最後にマスターのご厚意で嘉之助のシングルカスクの味見をさせていただきました。嘉之助は最近に出たシングルモルトのファーストリリースは別のところで頂いたばかりでしたが、シングルカスクはそれを超えてやはり美味しかったです。本坊酒造の津貫もそうですが、鹿児島の温暖な気候がウイスキー造りのテロワールという意味で、ここまでマッチングするとは驚きですね。焼酎文化というイメージが強い九州の地で、世界にも十分通用するウイスキーの蒸留所が二つもあるというのはスゴイことだと思います。さてさて、シングルカスクの美味にすっかり酔いしれて、そろそろお暇する時間となりました。帰り際に少し店の中を見学したのですが、自分が座ったのと逆側にはキルホーマンのボトルがずらり。高松のシャムロックさんの影響のようです。いやはや凄いですね、ぜひ今度こそはシャムロックさんにもお伺いしたいです。何か香川に泊りの用事でも作らないとですね。扉口まで見送りをしてくださったマスターは本当に紳士な方でした。自分は礼儀作法とか随分いい加減なので、こうした方を見ると恥ずかしくなると共に気持ちがシャキッとした気分になります。次回は十分に観察ができなかった右側の棚を攻めに期待ですね。ありがとうございました!

【愛知】Bar Neatニート(名古屋)

今回は名古屋にやって参りました。「メーエキ」(=名駅)が分かればあなたも名古屋通です。名古屋はとにかく駅が意外に忙しいというか複雑です。新幹線、在来線だけでなく、名鉄や近鉄という私鉄が走っております。特に名古屋近郊は名鉄の路線網がとても広いです。さらに都心部は地下鉄網も充実しています。関西方面の方とかは名古屋は良く素通りするだけの駅ということがあったりして、あまり街中の印象とか薄いかもしれませんが、降りてみて街中歩けば大都会であることが肌感としてわかります。その中でも玄関口となる名古屋のメーエキというのはは曲者で、プラットフォームは京急品川みたいな感じで小さく狭いのですが、実に様々な方向に路線が走るわけです。(目的地となる駅名も聞いたことのないものも多くて土地勘がないと本当に難しいです。)自分は多少なりともノリテツを自任してるんですが、不覚にも目的と違う方向流されたことが二度くらいあります。(汗)今回は日帰りということもあり時間が限られていいたため、栄などの繁華街ではなく、すぐ新幹線に乗れる駅前近くをふらふら探してみました。最近では割に早くから営業されているバーも増えた印象です。訪問したのは駅の東側、バスターミナルから歩いて少しくらいの「Neat」(ニート)さん、外観から一目で良い感じのバーだと見て取れたので突撃してみました。(因みにメーエキってのは、名鉄名古屋駅を指すだけではなく、駅の東側地区も指します。実際に地名になっています。) ジェムソンのハイボール さて、ニートっていうのはいわゆるプーさん的な意味ではなくて、スコッチのニートの意ですね。要するに「ストレート」のことです。映画とかでたまに聞きます。007とか。本場のスコットランドなんですかね?あまり詳しくはないんですが、業界用語とかではなく英語の辞書にも載ってます。より正確な意味合いとは「水で薄めていない、混ぜ物がない」という感じです。(Oxford Dictionary) 主な意味としては「(室内が)整頓された、(形などが)整った、(服装などが)こざっぱりした」という様ですが、今回のニートさんの感じも、それにどことなく通じるところがあるかもしれません。店内は主としてシックなカウンター席、ボトルは棚に綺麗に並べられていて、店員さんも正装とまではいきませんが、きちんとした着こなしです。カジュアルとオーセンティックの間くらいでしょうか。品揃えはスコッチウイスキーと、ジンがメインでした。因みに、今回訪問したのはニートさんの名駅店で、本店は高岳(たかおか)の方に別にあるようです。後で知りました。まずは初めにバーボンのロックを頼んでみました。氷を包丁でカットするんですね。アイスピックで氷を割るのもたまに見ますけど久々に拝見いたしました。氷の準備はこうしたバーならではの気配りがあって気持ちの高揚感みたいなのがあります。 アードベッグのアンオーとコリーヴレッカン さて、お次は目当てのスコッチということで目の前当たりにあったアードベッグを頼むことにしました。「コリーヴレッカン」と「アンオー」、確か「アンオー」は終売という話も聞いていたいので、飲み比べという意味で分かりやすくキャラの違うこの二つを選んでみました。前者はフレンチオークでスパイシー、後者はシェリーで丸みのある味ですね。元の原酒がかなり個性的で有名なんですが、樽感ではっきりと味が分かれます。個人的にはアイラスモークのシェリー系はラガヴーリンが一番好きで、アードベッグはコリーヴレッカンみたいな感じが自分は好きですかね。勝手な飲み分けというか。アードベッグの激しさというか原酒の個性がより明確に出ている気がします。 スモーキーさが特徴のオクトモア 最後の〆に選んだのが「オクトモア」。スモーキーさで有名なアイラモルトの中でもとりわけ最高度のスモーキーさを誇ることでマニアに人気のブルックラディ蒸留所がプロデュースするブランドです。ピート感のあるアイラモルトで知られるラフロイグやアードベッグでもスモーキーさを測る指標であるフェノール値でだいたい40ppm~50ppmと言われているのですが、このオクトモアは100~300ppmくらいあります。しかし、純粋にフェノール値が高いからといっても実際のインパクト感は少し違っていて、アイラのヨードチンキのような特有な感じは逆に抑えられていて、スモーキーさを柔らかく包み込むような甘さも感じられるのがこのオクトモアの特徴かと思います。ただスモーキーなだけならここまで人気は出ないですよね。 まとめになりますが、駅近くにありながらも落ち着いた大人の空間。心地よい雰囲気の中でウイスキーが楽しめました。モルトウイスキーだけでなく、ジンやカクテルなども揃っているようなので、モルトバーほど敷居が高くはないと思います。価格もリーズナブルかと思いました。バーテンの方もフレンドリーな感じで、肩ひじ張らずに会話を楽しみながら久々にスコッチモルトを味わいながら楽しむことができました。店の雰囲気からするとまだ浅い時間であったので、ほとんど一人で空間を独占できたのも良かったかと思います。駅近ということもありこれからさらに忙しくはなってくるのかと思いますが、店内はカウンター席がメインのゆったりとした基調。また機会があればぜひとも伺わせて頂きたいと思いました!!

禿坂と桜とお酒

今回はのんびり週末の花見の話でもしようかと思います。どうかお気軽にお付き合いくださいまし。というわけでやってきたのは近所にあるかむろ坂。せっかくこうして書くので、そもそも「かむろ」って何?と思ってネットを調べたら、禿(禿)のことなんですね、というのは実は違って、江戸時代に遊女の手伝いをする女の子を言うそうです。周りに遊郭もなかった、おそらくただの田舎の村であったこのあたりにどうしてこんな名前がついたかというと、昔、あるお侍さんと契りを結んだ花魁がいたそうです。でも悪事を働いたその侍は鈴ヶ森で処刑され、この付近の寺に葬られたとか。そのことを聞いた花魁がその葬られた墓で自害すると、後を追って探しに来たかむろも悪い奴にからまれて近くの池で自害したそうです。それを忍んでかむろ坂というそうな。そんな話があるのだそうです。ふむふむ。さすが、江戸は東京。何事も由来があるのですなあ。そんなことを思いながら、桜のトンネルと化したかむろ坂をゆっくりと下ります。 かむろ坂の桜。車で通るのもまた一興です。 小山台から山手通りに下っていると、目黒川みたいにお店の表でシャンパンを提供している洒落たビストロを発見。民家の一階にキッチンとカウンターがあり、座席数も4席くらいのこじんまりとした感じ。たぶん二組くらいで一杯ではないでしょうか。男性二名がキッチンに立たれていて、フレンドリーな感じに招かれて、小雨も降り出して来たこともありなんと店の中で雨宿りをさせていただきました。ちょうどディナーに向けた開店準備の最中、キッチンでは若い男の子が仕込み中でした。話をお聞きすると、なんと旭川のご出身ということで、いやはや。ウイスキーのことに話が及んで、厚岸のことだとか、近くのおすすめのスコッチバーの話だとかついついペラペラと話しをしてきちんと仕事の邪魔をしてしまいましたm(__)mしかも、オーナーらしき男性からお代わりまで次いでいただく始末。これはまたどこかの機会にお詫びの印できちんと訪問したいですね、ところでお店の名前をメモするの忘れてました汗。googlemapeで調べてもみたんですが、載ってなくて、また近所に寄ったら調べてみようかと思います。 フレンチビストロのカウンター越しに楽しむシャンパンと桜。 さて、この界隈にはもうちょっと面白いお店があるんですよ。それが次にご紹介したいもう一つのフレンチ。こちらは本当に本格派というか、本場に近い現地の味という感じの場所。いわゆる格式ばったフレンチ!というのではなくて、本当に現地の味っていうか、これぞホンマモン、というのがこのお店の特徴です。名前はキャトル・アヴリールといいます。この間に店の前を通りかかったときにオーナーの方と話しをしていたら、フランス領マルティニーク島のラム酒があるという話を聞きまして、なにせ珍しいお酒には目が無いものでせっかくの料理目当てではなく、なんとラム酒目当てで来てしまいました。 仏領マルティニーク島の希少なラム酒。@quatre avril マルティニーク島のラムはおそらく国内ではまり知られていないかと思います。いわゆるハバナクラブのようなキューバラムとは違って、フランス領のマルティニーク島などで作られる「フレンチ・クレオール・ラム」という希少価値の高いラム酒で、アグリコール製法というオーガニックなクラフトスタイルのラム酒です。従って、いわゆる工業的に大量生産されている有名銘柄に比べると、生産量も少なく故に希少価値が高いということです。(→詳しくはこちらのページなどをご覧ください。)ラム酒はスコッチのシングルモルトのようにオーク樽で熟成もするので、粗原料の違いはあるもののスコッチと同じよう熟成による味の円熟味や風味の違いなどが楽しめます。丸ティーク島ではスコットランドのアイラ島のように7か所か8か所くらいの蒸留所があるようで、それぞれ個性的なお酒を造っているそうです。今回頂いたSaint Jamesはかなり濃厚なフレーバーで風味豊かな味わいでした。フルボディな味の輪郭というか深みはバーボンとも似ているのかもしれませんが、やっぱりちょっと違うんですよねえ。こういうのがまた面白いです。 絶品の自家製ソーセージ!@quatre avril さてフレンチシェフが作る料理の中で、自分が一押しなのは実はこのソーセージ。一度食べると病みつきになります。しかも、手作りなので毎回微妙に違います。中身も微妙にレシピが違うそうです。基本的に日本のソーセージと言われるものって、まがいモノなんですよね。そもそもソーセージなる文化が無かったので仕方ないと思うんですが、ソーセージとは何ぞや?を語るならぜひここでホンモノを味わってほしいです。小さなナゲッツみたいなのがコロコロしているのではなくて、ナイフとフォークで1本に向き合う、これぞ本場の味。あと、ソーセージっていうのはドイツのモノ、っていう固定概念があるような気がするんですけど、ヨーロッパに行けばだいたいどこの国も美味しいんですよね。もともとはドイツから製法を学んだとかあるかとは思うんですが、とにかくこのフレンチビストロのソーセージは自分は今まで食べてきた中では絶品です。(一応、ドイツもオーストリアも観光でですが行ったことありますし、現地のレストランで食したこともありますので断っておきますm(__)m)あ、そういうえば、今まだ営業されているかわかりませんが、あるドイツ人の方から行きつけのお店を教えてもらって市ヶ谷の日テレ近くの地下にあるドイツ料理屋さんに親父と一緒に食べに行ったことがあるのですがそこのソーセージも旨かった記憶あります。 西伊豆の神-GIN-「DEGIRU」@bar nargo さて、夜も更けてきたところで最後に立ち寄ったのが、Bar Nargoさん。ここはテキーラで知られるお店です。元ゴールデン街にいらした方が、こちらでお店を開かれたそうです。実はこの場所は個人的に少し思い出深い場所でして、それでたまに思い出したように足を運びます。とはいってもたぶん2回か、3回かくらいしか来たことはないのですが。やっぱりあまり家の近所とかのお店っていうのは、誰に見られているかも分からないし、なんかちょっと足が遠のいてしまいます。はい、小心者でございます。昔、もう辞めてしまったんですがある同僚と話をしていて、一人暮らしの時だったんですが、洗濯物をベランダで干しているときに通りを歩く通行人と目が合うと恥ずかしいよね、みたいなこといったら「そんなこと気にしてちゃだめですよ、山田君!(仮名)堂々としなきゃ」と、意味不明の励ましを受けて以来、とりあえず今でも洗濯物を干すときは堂々とすることを心がけています。って何の話?! Nargoさんの話に戻ります。内装は結構広々としていてカウンターのほかに、テーブル席もあり、おひとり様でもグループでも楽しめるのではないかと思います。カウンターの女性の方もとてもフレンドリーでアットホームな雰囲気。そういう意味ではゴールデン街チックともいえます。また、傍らデザイン関係のお仕事もされているらしく、ご自身でデザインされたTシャツやバッグなども販売をされていました。こういった感じもなんかゴールデン街に似てる?!。テキーラは正直ほとんどまだ攻めきれてないので、また今度お伺いするときはもう少ししっかりとお店の看板商品にチャレンジしてみようと思います。それでは、また次回まで!バイバイキーン! 注:小生は全く酔っていません。ヒック。

弘前にて、青荷温泉記

太宰治の故郷、五所川原。 2月のある日に、日経新聞を眺めていたら下に掲示するような面白い記事が出ていた。要は日ごろネットワーク付けの毎日から解放されるという空間を提供してくれる宿があるのだという。「デジタル断食」とでもいうのか。思えば、携帯などというものを皆が手にするようになってから、どこにフラフラしていようともすぐに追ってかけられるという事態になってしまった。これは仕事に限らずプライベートでも同じ、すなわち24時間365日、衛星(GPS)に追われる続ける現代人。しかし、この追及から解放を提供していくれる秘境がまだこのように存在していたいという知らせである。インターネットがつながらないならまだしも、ここは携帯の電波も届かないわけである。つまり、外界から連絡をする際は、この宿に電話をしてもらい、「おーい、○○さん!いますかあ!」という具合で呼び出してもわなければならいということ。ちなみに、ひねくれ者の諸君の中には、だったらあらかじめ映画をダウンロードしていけば良いではないか、と。まあ、そうかもしれないが、ここは電気も通らぬ秘境中の秘境、山小屋に来たようなものである。なので、十分にバッテリーを満タンにしていくくらいしか対策ができないだろう。部屋に貼るのは、おおよそ布団とストーブだけ。あかりはもちろん部屋に頼りなく灯る「ランプ」のみである。 新聞記事でデジタル断食の宿として紹介されていた。 さて、まずこの宿にどうやってたどり着けばよいのかということを知らせておきましょう。まず、場所は青森県の津軽地方にあります。太宰治の故郷として、もしくは、鉄道好きの方であれば「ストーブ電車」で知られる津軽鉄道の始発駅として知られる「五所川原駅」、は実はあまり関係ないのですが、ここから五能線、奥羽本線と上った弘前が旅の始まりになります。この弘前は「藩士の珈琲」でも知られるように、実は喫茶店とコーヒー文化が有名。(→詳しくはこちらの記事など参照)こうした歴史文化的な背景もあってか、弘前市内には城跡近くのレトロな文化財建築(その実は戦前弘前に拠点がった旧第八師団の長官舎であるとのこと)にスタバが入居してたりします。今回はこちらが気になってしまってスタバでいつものドリップを飲んでからその先へと進みます。この弘前には地方鉄道で「弘南鉄道」というのが運行されていて、ここからさらに内陸の黒石まで向かいます。いわゆるローカル鉄道というやつで、昔の東急の車両がリユースで使われています。二両編成で、乗客はほぼ学生。車内はみんなスマホに夢中の様子。いやはや、こうしたことは本当に都会も地方も同じになりました。地方だと学生は未だに赤本にかじりついているなんてのは偏見ですよ!って誰に対する叫び?!笑 ようや終着駅の黒石に到着。 黒石からはまだ先があります。ここからは路線バスで宿からの送迎バスが待つ虹の湖公園PAまで向かいます。天気が崩れていて外は強風、雪が降ってくるというのではなく、積もった雪が強風で下から舞い上がり視界は真っ白です。これがいわゆるホワイトアウトというやつなんでしょうか。昼間ですが対向車もライトを点灯するなど、とにかく何も見えません。しかし、やはり雪国の人はなれたもので、ハザードを点灯している車とかはまれ。特に混乱がある様子はありませんでした。ちなみに、東京を出る前は、「大雪暴風警報」なるものが発令されるという天気予報があり、かなり焦っていました。しかし、ここまでは問題なく飛行機も飛ぶし、電車も動く、バスも走る、雪国の生活とはこういうものなのかと実感しました。しかし、まだまだこれからなのです。山間の湖(虹の湖公園)の湖畔にあるパーキング施設で宿からの送迎車が迎えに来てくれることになっています。宿泊者は車でもこのパーキングに車を置いて、ここからは宿のマイクロバスに乗らなければなりません。そこまでのものか?と初めは思っていたいのですが、道の両端が除雪した雪の壁で塞がっており、車1台がようやく通れるようなスペースの、しかも山道を、しかもマイクロバス!で登っていきます。えっと、ひとつ間違えば崖から落ちるようなところです。これはかなりスリリングです。とにかく運転手に身を委ねて走ること20分くらい。ようやく、秘境の宿に到着しました。 路線バスと送迎バスが接続する虹の湖PA(施設は冬季閉鎖) 宿の建物は意外に大きかったです。どのくらいの人が収容可能か、おそらく100名くらいはいけるのではないか、そのくらいのサイズです。部屋数も20~30くらい、あるいはもっとあるように感じました。そのほか、離れのような建物も点在していました。そして、温泉は内風呂と外風呂、さらには露天風呂の合計で4か所。すべて、違った雰囲気なので、これらを一つ一つゆっくり回っているとそれだけで相当な時間がかかります。関西方面からの団体さんも一緒に来られていて、宿はかなりにぎわいがありました。皆さん、登山でもするかのうような恰好。電気もガスもないので、電気ストーブだけの暖でしたが、不思議と寒いとは感じませんでした。お湯に浸かってばかりいたからかもしれませんが。ただ、夜はやはり昏かった。電気の無い生活の何たるかが身をもって体験できます。食事も暗がりで食べるのでハッキリとはよく見えません。次第に目も慣れては来ますが、夕食後風呂に浸かった後はさすがに何にもすることがなく、布団を敷いて、そのまま寝ました。まだ夜の8時くらいだったかと思います。でも、不思議なもんで、旅路の疲れもあったと思うのですが、そのまま寝れました。普段の生活ではちょっと考えれらないですね。※因みに記事にもありますが、トイレは明かりがありました。一応、自家発電があるようで必要最小限の電力は使っているようです。あと、外も真っ暗で敷地内に小川のようなものも流れているのですが、危険!とか注意!とかそういうのは一切ありません。分かりきってることは自己責任で、ってことなんだと思いますが、こちらも非常になぜか新鮮に感じました。 ひたすら雪が降ったり止んだり、つららがすごい。 さて、完全な温泉日記になる前に、最後にスコッチウイスキーのネタを一つしておきます。こちらの宿に来る前にホワイトホースの小瓶を鞄に忍び込ませておいたのです。とりあえず、寝る前に雪見酒ならぬ、雪見ウイスキーでも興じようかと思っていたら、屋根の下に大きな氷柱を発見。そのうちの、ひとつを拝借して、天然のロックでホワイトホースをいただきました。少ししゃれたカップも持ってこればよかったのですが、そこは忘れていて仕方なく宿の湯飲みで代用しました。飲んでみての感想は、ううむ、実は特にありません。いくら天然のロックでも石油ストーブを前にして湯呑でのみもんじゃないですね、とうのが率直な感想でしょうか(笑)。 今夜はホワイトホースを天然ロックで! 今回はちょっと温泉の旅の日記のようなものになってしまいました。ウイスキーの楽しみ方というのはそれぞれにあって、飲む場所とか、飲むシチュエーションなんかもいろいろあって良いのかなとは思います。でも、自分の場合はやはりバーで一人チビチビとやるのが性に合っているなと改めて思いました。そうはいっても、こうした山の中の自然にあふれた中でウイスキーを味わうというのも、また違った味わいがあるというものです。今度は弘南鉄道みたいなローカル線の車内で電車に揺れながらの一杯というのもまたよいかもしれません。ではでは、失礼いたします。この宿に興味のある方はぜひ調べて実際に訪問いただければと思います。関西からでも、関東からでも、アクセスにはかなり時間を要しますが、行ってみる価値は十分にあるのかと思いました! 源泉かけながしのお湯で体の芯まで温まる

Ken’s Bar新宿店

バーボンが専門のウイスキー・バーというのはあまり無いのかなと思うのですが、その中でこのKen’s Barさんはバーボン愛好家の界隈で知られているということで以前から名前はうかがっておりました。本店は八丁堀の近くにある京橋店なのですが、その2号店が新宿のゴールデン街にあるということで、いつものようにフラっと訪問しました。実はちょくちょく界隈を通るので、気にはなっていたのですが空いている様子がなく、今回ライトがついていたのでもしや、ということで地下にある店舗の扉を開けたという次第なのです。こじんまりとしたお店には、カウンター席と後ろに小さなテーブル席という感じ、5人か6人も入れば満席というような感じでしょうか。でもカウンターとの距離感も近く、カジュアルでフレンドリーな場所といった雰囲気です。 バーカウンター後ろの棚 まずは一杯目を何にするかということで、とりあえずテネシーウイスキーの雄、ジャックをソーダ割で。バーボンは主に、ジムビームなどのケンタッキー・ウイスキーと、ジャックなどのテネシー・ウイスキーに分かれます。もちろんほかにも生産地はあるのですが、主にこの二つが日本では主流と思って間違いないです。その中でも、ジャックを除けば、ほとんどがケンタッキー・ウイスキーと考えて間違いないです。要はバーボンはケンタッキーと覚えておけば、最初は間違いないです。(別にテスト対策とかではないんですが笑)で、ケンタッキーとテネシーが分かれている理由ですが、これも簡単に言うと、テネシーはお酒をろ過してます。スコッチでいうところのチル(ろ過)、ノンチル(無濾過)と考えておけばよいのかなと思います。詳しい説明(「チャコール・メローイング製法」)もネットとか検索すれば出てきますが、読んだだけではなんともわからないのでここでは触れません。m(__)m さて、そもそもバーボンってなん?という話に戻ります。とりあえず、以下のような規定があります(https://tanoshiiosake.jp/4485から引用します)。まず(1)はいいですよね。ただし、先ほども述べたように、主な蒸留所の産地はほぼケンタッキー州になります。特にルイビル(Louisville)という町が有名です。ちなみにこのルイビルですが、ケンタッキーのフライドチキンやピザハット、タコベルなどのオーナー企業であるヤム・ブランズ社の本社があるなどケンタッキー州の最大都市です(ただし州都ではない)。次の(2)です。そう、実はトウモロコシが主原料なんですよね、でも細かくいうと確か比率に上限があって、コーンの割合が高くなるとそれは更に「コーンウイスキー」という分類になります。バーボンの中で、とりわけコーンの比率が高いものはコーンウイスキーだと思っておけば良いのかと思います。100%コーンのウイスキーもあるようですが、正直一度も飲んだことがないです。(3)はスコッチだと、蒸留液で94.8パーセント未満、瓶詰で40%以上、ということかと思うので、同じ感じです。(4)がかなり違います。「新品」のオーク樽というところがミソです。要するに樽をチャー(焦がす)した後のフレッシュな樽を使用するということで、スコッチに比べると熟成期間は短いものの、バーボン独特の甘みのあるスパイシーで輪郭のある風味が形成されるのかと思います。       「バーボンウイスキー」と名乗るためには、次の4つの条件を満たす必要があります。(1)アメリカ合衆国内で造られている(2)原料となるトウモロコシの比率が51%以上(3)アルコール度数は蒸溜時で80%以下、瓶詰め時で40%以上(4)中身を焦がした新品のオーク樽で2年以上熟成 さて、バーボン目当てで扉を開けたのですが、スコッチも割と充実しております。場所柄もあってか、そこまでバーボンに徹底しているワケではないとのことで、スコッチのほかにもジャパニーズなんかも置いてありました。いろんな方に楽しんでもらうというのが基本コンセプトのようです。スコッチの棚をざっと見渡していたのですが、表に見える数はそれほど多くはないものの、かなりレアと思しきものが並んでます。期間限定?でウェルカムドリンクなるのをやっているとのことで、自分はこちらを選びました。廃蒸留所シリーズ、「インペリアル」、ってドヒャ。初めてお目にかかりますよ、こんなの。普通のショット価格がいくらするのかは敢えて聞きませんでしたが、滅多におめにかかれるものでは無いと思ったのでありがたく頂きました。これともうひとつボトルがあったのですが、23年熟成の1995年モノをチョイスしました。割と最近にボトリングされたってことですが、まだどこかに原酒が相当残ってるんですかね。さらにエゲツナイものが出てきそうな感じです。お味は?というと、これがまたしっかりとしたモルト風味で23年の時を感じさせません。とても素晴らしいお酒です。インペリアルはハイランドにかつて存在した蒸留所ですが、1998年に閉鎖。ブレンド向け主体で運営していたようで、シングルモルトそのものが希少と思われます。その後ペルノリカールが買い取り、その跡地には新たな蒸留所「ダルムナック」(Dalmunach)が2015年に誕生。 ダルムナックのボトル(Chivas社サイトより) ジョージディッケルを飲み比べ テネシーウイスキー、ジョージディッケル さて、肝心のバーボンの話の戻ります。まさかのレアウイスキーを頂いた後ではありますが、とりあえず棚に並べてあった「ジョージディッケル」を頼んでみました。これもテネシーウイスキーなのですが、ジャックダニエルに比べえるとあまり世間的には知られてないような気がします。「12」とか「8」とかの数字があるのですが、これは熟成年数とは関係なく、スコッチ的な熟成年数は不明、いろんな樽のブレンドのようです。レシピは両方ともコーンが84%、ライ麦が8%、モルトが8%。違いは、白のラベルの№12がアルコール45度、黒の№8が40度、というところ以外はわかりませんでした。なのでエントリーレベルは№8で、より楽しみたい人は№12というような棲み分けでしょうか。色も、そんなに違いはなかったです。さて、これらは実はすべて後で調べたことなので、この記事を書いている時点でどっちかどうだったか忘れてしまいましたm(__)m。どちらもおいしかったです。ただ、片方がよりスパイシーな感じであったので、たぶんそれが№12の方かなと思います。もう片方は少しまろやかで飲みやすかったイメージです。 さて、今回はこれくらいにて切り上げました。カウンターに置いてあった山崎と響も気になったのですが、久々のバー巡りで明日も朝から仕事で早めに切り上げた次第です。もう少しじっくりと楽しみたかったのですが、またの機会の預けすることに。カウンターのマスターはとても気さくな方で、スコッチにもお詳しく非常に楽しかったです。やはり、どんなに良いお酒もアットホームで落ち着いた感じで飲めてナンボかと思うんですよね。落ち着かない肩ひじ張るような雰囲気だと、どうしても集中ができません。でもどういった雰囲気が合うかはまたこれも各人それぞれかと思うので、自分にあったバーで飲むというのが一番大切なことかなと思います。自分は基本的にはバーでしか飲まないのですが、これもやはり酔うために飲んでるのではなくて、やっぱりどういう酒がおいしかったとか感想を交換しながら飲むのが面白いからです。こうした感覚を共有できる方と一緒に楽しめるというのは最高です。来月からは4月、新たな年度の始まりとなります、そしてコロナでもう3年目になるでしょうか。まずは健康に気を付けて、お酒もしっかりと楽しめるように体調管理を怠らないようにしたいと思います。それでは、引き続きよろしくお願いいたします。

№502(ナンバーゴーマルニ)🍷

新興系の国産ワインがたくさんズラリと。 最近の週末に小田急線で世田谷の界隈を散策することが多くなって、ちょっと実は世田谷ブラブラにはまっている今日この頃です。この世田谷なんですが、東京23区で一番人口が多いそうなんですが(※)、とにかくデカいんですよね。とりあえず今回ふらふらしているのは小田急線の千歳船橋界隈です。この千歳船橋から少しのところにすごく洒落た、面白いワイン屋さんを発見しましたので、今回はちょっとウイスキーから話題はそれるんですが、そちらの話をしてみようかと思います。 ※調べてみたら90万人近くもあるそうですね。これってもう「区」とかのレベルじゃないですね。参考ですが二番目は練馬、三番目が大田、70万前後です、地方だと中核都市並ですかね。東京はすごいとこです。 さて、こちらのお店。初めは何のお店なのかよくわからなかったのですが、外観からなんとなく酒屋さんかなと思って入ってみたら、1階がワインショップで2階がイートインになっているようです。1階の調理スペースはオープンキッチンでその脇にはカウンターがあり、そこでワインの角打ちみたいなこともできるそうです。最初に訪問したときも思ったのですが、若いスタッフさんが多いですよね、しかも結構積極的にコミュニケーションをとってきます。まるでスタバみたい。でも元気が良くていいと思います。(ほんとはデレデレしてるだけですが笑)とにかく、自然派というかオーガニックなワインがメインのようです。ワールド系のものやら、国産のものも手広くしっかり厳選したものがおいている感じ。どこそこの有名どころというよりかは、生産者の顔が見えるようなクラフト系というのでしょうか、なにかこだわりが感じられるセレクションと思います。 ジョージア(グルジア)のオレンジワワイン。 お店の話を伺ってみると、どうも本店は表参道とかその辺りにあるようで、そこが501を名乗っているようです。ここが502(ゴーマルニ)で二番店という訳。なるほど、それでこんなにあか抜けて洒落た空間なのですね、と妙に納得。でも、そんなに敷居が高い感じもしなくて、アットホームな雰囲気です。スタッフの方もみなフレンドリーな感じ。うまく周囲と調和していてよいですよね、こういうお店が近くにあるというのは。さすが、世田谷です。 広島竹原のお酒だそうです。ネーミングが斬新ww すでに何度かこちらのお店でワインを購入させていただいたのですが、特筆すべきは国産ワインでしょうか。それもいわゆる甲州ワインとか長野の塩尻ワインだとかいう有名どころではなくて、地方のあまり(一般的にはm(__)m)名の知られていないような産地のものが主流のようです。試したのは岡山のdomaine tetta。これは他のワインショップでも見かけたことがあります。もう一つは広島の瀬戸内蒸留所。   両方ともオレンジワインで、さっぱりとした泡立ちのあるフレッシュなワインでした。とても飲みごごちがよく、アルコール度数も低めでグビグビと飲んでしまいました。安っぽいわけではなく、ブドウのおいしさが本当に伝わってくるというか、岡山や広島という瀬戸内の地域でこれほどまでに上質なワインができるとは正直信じられないほどの出来栄えでした。直近で購入したdomaine tettaは写真はないのですが、結構面白いです。なんとラベルが無くて、代わりに手紙が着いてあります。障がい者施設の方が育ててくれたブドウをもとにワインが作られたらしく、この手紙にワインの感想を書いてショップに持っていけば、それが生産者のもとに返信されるという仕組みなのだそうです。まだ返信の手紙は書けてないのですが、感謝の気持ちを書いて今度お店に持ち込みたいと思います。行くたびに必ずボトルを買ってしまうので、少し間を開けてから訪問できればなと思っています。またまだ試してはいないのですが、ワインの角打ちっていうのもぜひトライしてみたいですね!そういえば、経堂にも3号店ができたとかいう話で、隣の駅なので今度はそっちのお店にも顔出してみようかなと思っています! こちらはパンフレットカードみたいなの。 no.502さんのお店に関する記事は以下も参照ください。 ・【千歳船橋】『no.502』はテイクアウト&デリの楽園!自然派ワインと惣菜を飲めて買える超人気店 ・自然派ワイン角打ち「no.502」が千歳船橋にオープン。外苑前の「no.501」の2号店で、コロナ禍で住宅地立地に着目、サスティナブルな視点を意識した店づくりに注目 ・世田谷エリアに自然派ワインの角打ち酒屋「no.502」がオープン アクセス情報はこちら↓

モルトウイスキー年鑑(2022年版)

編集中ですm(__)m モルトウイスキーイヤーブック2022 2022年明けましてよろしくお願いいたします。さて、早速ですがこちらの本「モルトウイスキーイヤーブック2022」を新年挨拶代わりに購入しました。スコッチのトレンドリサーチには必携。毎年出ていて、実は10月くらいには発刊されているみたいです。年が新しくなったのでアマゾンで調べてたらすでに入手できる状態になっていたのでオーダー。即ゲットできました。 スコッチウイスキーに興味があって、まだ読んだことが無ければ一度は目を通してみると良いと思います。英語で書かれていてちょっと難解ですけれども、そこまで複雑な内容でもないのでだいたいの単語とトレンドが頭に入っていれば要点は消化できると思います。そうでなくてもこちらのホームページを読んでらっしゃる方であれば、より分かりやすいと思います。(自分は編集者の誰も知りませんが)このページで紹介していることととかでシンクロしてるところもいくつかありました。そうしたことも含めて新年の感動を先ず報告していきたいと思います。 おおまかにですが、まずはこのイヤーブックのメインライターの特集記事から始まります。各方面のトレンド記事のようなもので、昨年(2021年度版)はスコッチの新興蒸留所の動向や、アメリカン・シングルモルトの潮流、ウイスキーのテイスティング(味わい)の哲学などのトピックが並びました。 あ 2022年の最新版はざっと次のようなテーマです。(また詳細は別途じっくり読んだ後にでも紹介できればと思っています)。まずはIan Wisniewskiによる記事。注目したのは「チョコーレート・モルト」などと呼ばれる深煎りのモルト(チョコレートのような色味という意味合い)。スコッチのフレーバーは樽が決めるとよく言われますが、最近は樽以外の要素も注目されてきていると思います。その中で、ウイスキーの粗原料でもあるモルト(発芽大麦)を改めて見直そうという動きを追っています。深煎りのモルトを使うと何となく味わいも渋みとか増しそうなイメージがありますが、どうも逆なようですね。まだ一度も飲んだことがないので、まず一つ目の宿題になりそうです。 次はチャールズ・マクリーン氏とArthur Motleyによるスコッチウイスキーと租税に関する歴史的な話。こちらの話題は自分は疎いのでパッと読んだだけではさっぱり分かりませんでした。また読み直します。次はJoel Harrisonによるウイスキーの将来に関する話。ややマーケティング的な話かもしれません。現在ブームにもなりつつあるスコッチですが歴史的に見れば幾度かのアップダウンを経験してきました。そのたびに新たな蒸留所が出来て、衰退するとまた閉鎖して、の繰り返しをたどってきました。それが今後はどう推移していくのか、そのためにはどういうストックを準備しておかねばならないのか、こうした商品としてのウイスキーを考える最前線の様子を伝えているようです。私見になりますが、今日の蒸留所は量よりも質、もっといえば個性を純粋に追い求めているところが増えてきている気がします。というのは、やはり消費する側のレベルも上がってきてることを生産者側もよく理解している。きちんとしたモノづくりをすれば、かならずその商品を喜んでくれる人がいる、そういうウィンウィンの関係性(これはウイスキーに限ったことではないと思いますが)が形作られているように思います。m(__)m 特集ページ さて、いよいよやってきました。ここからがこのホームページでカバーしている内容とシンクロしてくる部分です。Neil Ridleyによる「コミュニティ・スピリット ~ローカリズムを読み解く」(原題は”Community Spirit – where localism is the key”)。表紙を飾るのは「ナクニアン蒸留所」でも紹介したアナベル・トーマス女史です。いやあ、やっぱりこの方が来たかという感じです。純粋にうれしいですね。というのは本家のスコッチ業界からすれば、やっぱりあまり面白くはないとも思うんです。バックグランドが違う新参者、女性、そして樽いうよりかはフィールドに帰る作り方。老舗で男性、そして高級稀少樽の長期熟成がチャンピオンのような伝統的スコッチの牙城とは全く対照的。正直評価されるのはもうちょっと時間がかかるのではないかと思っていました。この度量!素晴らしいですね。 そしてこの評価を得た伏線にNeil Ridleyはコロナ禍による行動抑制と地元主義(”Localism”=自らが住む地域を見直そうと言う視点・動き)を挙げています。もっと自分の身の回りを知ろうということです。つまりウイスキーの生産家において、(売れる商品を作る視点という事ではなく)例えば蒸留所の周りで採取できる原料を活用したり、またそれを通じで地元の産業や雇用に直接的または間接的に支えてたり、あるいは地元のコミュニティの活性化に貢献したりという活動に蒸留所が関わっていくことを意味します。これはいわゆる土地の味を表現するという意味の「テロワール」とはまた次元が異なる思想なのかなと思います。 そしてこれは本来は小さな家内工業の延長であったスコッチウイスキーの蒸留所がグローバル資本の傘下に次々と編入され(上位二社でグローバルシェアの半分くらいを占める)即行でグローバルブランドが展開される現状との対比でもあります。つまりファーストフードに対する、スローフードの哲学とでもいいましょうか。自然の流れに合わせてやりましょうよ、ということかなと思います。そのままの引用になりますが、「Grain to Glass」を標榜するイングランド・ケントのコッパーリベット蒸留所の創業者ステファン・ラッセル氏がうまくその想いを要約しています。まだ紹介できていなので、こちらも今年の目標にしたいと思います。 “In a globalized world, with global brands and multinationals, conglomerate brand owners have the ability to create instant international “success”. Often those products fade quickly and are repackaged or […]

【静岡】三島の大将(三島)

三島の大将のお店。場所は東海道線三島駅の南口を出てすぐの飲み屋街の一角。大将は伊豆の出身で、東京に出て修行し、この地に戻って10年くらいだそうです。夜の早めの時間帯に伺うと、御年92歳の大将のお母さまがカウンター奥の席にいらっしゃって静かな笑顔をこちらに向けてくれます。お食事とともに頼まれるのは、なんとウイスキー(確かブラックニッカ)のお湯割り!そうなのです。ウイスキーも適度に楽しめば長寿の秘訣となるのです! 店内カウンターの眺め さて、話が大きく脱線する前に、もう一度店内に戻りましょう。まずはカウンターを見てください。いろんな煮物料理が盛られた鉢がずらっと並びます。台所の雰囲気が好きな自分にはたまりません。お祖母ちゃん子だと言われて来ましたが、台所に生まれ育った気がします。学校の宿題とかも勉強机に座ってやるタイプではなくて、台所のテーブルが作業場でした。料理は食べるのも好きですが、その前段階が特に好きです。いわゆる「仕込み」ってやつでしょうか。料理の達人って、キャベツの千切りが高速とか魚を三枚におろせるとかテクニック的な面もあると思うのですが、自分は「仕込み」だと思っています。ジーっと火を見つながら時々火加減を調整したり、微妙な匙加減で絶妙の出汁を作ってたり。ここで既に出来上がっている訳で、包丁使い始める段階では既に勝負は終わっているワケです、自分からすると。(って何の話?!) 一押しの盛り合わせ 「仕込み」はその過程を見なくても、その産物を見れば想像もできるというものです。大将の店の和鉢に盛られた料理を見ながらその過程を想像するといつもワクワクします。何を食べるかは全て「お任せ」です。その時々の旬の魚や野菜を仕込んだ料理が勝手に手元に並んでいきます。皆さんもありますか?カウンターの席からメニューや黒板を見ずに「お任せで!」と頼める場所。これは本当に人生を生きていく上で一軒は必要です。もちろん、好みは人それぞれなので、各人で探さないといけません。自分はたまたまこちらのお店がその一軒だということだと思います。 お刺身 今回お邪魔したのは歳の暮れの最後の営業日。普段はあまり食べないのですが、大将がお刺身を用意してくれていました。とても美味しかったです。伊豆はワサビの産地なので、すりおろしのワサビも絶品です。お酒も久々に日本酒と合わせて頂きました。日本酒は悪酔いしてしまうので、あまり飲まないようにしているのですが、盆や暮れの時期は特別なのでありがたく頂きました。静岡といえば焼津の「磯自慢」とかが最近では有名かと思いますが、不覚にも何を飲んだのかメモ取るのを忘れていました。お店にいるときは料理を食べるのに夢中で、ブログ記事にまとめようとかも全く考えておらず、後に現像された写真を見て書くことを思いついた次第。常に準備はしておくものだと反省。 黒板メニュー 三島の繁華街はJRの駅から離れた「広小路」という場所が中心になるので、駅前の飲み屋街はとてもこじんまりしています。たぶん全部合わせても十数件程度かなと思います。北口側にはそもそも飲食店街が無いので、駅前は新幹線駅の割に閑散としているかと思います。それでも学生や若者、通勤客などで多少の人通りはある感じです。そういった意味では落ち着いて飲める雰囲気かと思います。大将のお店は何度か近辺を巡った後に偶然「発掘」しました。4、5年前くらいだったかと記憶しています。初めて入った時に、玄関手前側に立派な相撲取りの写真が掲げてあって、由来をお伺いすると大将の祖父だとのこと。撮られたのは大正時代だそうです。(因みにご出身は富山だそうです。お世話になった昔の上司も富山出身だったので何か縁を感じます。)昭和ノスタルジー的なお店の雰囲気と大将の人柄に惹かれ、近くに寄った際は尋ねるようにしています。次にお会いするときは今回の写真をお届けしようと思っています。別れ際に大将とお母様お二人の写真も撮らせていただきました。いつまでもお元気でいて欲しいと願うばかりです。 ありがとうございます! photos by @vikmakau

【京都】ラッケンブースLUCKENBOOTH(京都)

ラッケンブース(sakedori.com) 久しぶりに京都を巡りました。皆さんは京都に出向かれたことはあるでしょうか?京都は本当にすごいところです。バーを巡る目的以外でも、街の探索が好きです。趣味と言っても良いかもしれません。(因みに大学では歴史先行しました。日本史は苦手でセンターも受けてないのですが(汗)) 京都というのは地図なしでも迷子になりません。これは、例えば札幌の市街が碁盤目なので迷わないとか、いう意味ではないんです。(京都も中心はそうですがこちらは中国に由来しての碁盤目なんでしょうね) 要するに、どう歩いても京都から外れることが無いという意味においてです。京都は北と東に山があり、西は川(桂川)が流れていて、南はJRがあります。要は歩いていてこれらに突き当たれば、外れに来ていることが分かります。この範囲内はざっくり京都だと思います。 もちろん、祇園や河原町なんかの繁華街やら、金閣銀閣清水寺などの名所旧跡ばかりではありません。それでも、古都京都のすごみはぶらぶらすることによってじわじわと輪郭が現れるはずです。 シンプルに歴史の重みが違います。東京などにいると、この何とかは何十年の歴史がある、とかいうと「へぇー」、百年以上だとかいうと「ひょえー」となるかと思いますが、京都はそうなりません。スタートは明治維新以後は「若い」んです。歴史を何十年とかで数えるのではなく、何百年で数える、ここに京都のすごみがあります。そして、そうした歴史を積んだ寺社やお店などがゴロゴロしている。これが生きた歴史博物館、京都の正体です。(拙者は京都の者ではありませんがm(__)m) マルス津貫蒸留所のシングルモルト さて、夜が更けて、阪急の河原町駅から少し歩いてところにある先斗町(ぽんとちょう)に向かいました。とりあえず夜のお店探しはここが一番のお気に入りです。いわゆる「花街」のひとつです。祇園界隈は一見さんお断りの格式高いところが多くて、庶民にはハードル高く、駅にも近いこの界隈が便利。実際に「先斗町」という町があるわけではなく、鴨川沿いに走る小さな路地とその一帯が先斗町です。ウイスキーバーも結構沢山見かけます。 バー巡りにも自分なりに流儀が実はあって、もちろんお目当ての店があれば地図検索で調べていくのですが、そうでない場合は繁華街の外れやメインストリートから脇にでる小径を攻めます。繁華街のお店はだいたいどのジャンルもそうだと思うのですが、駅前とか中心は人の流れがあるので、忙しないことが多いです。外れや小径にポツンとあるのは、何かしらそこを目指すものがあってこそだと思うので、発掘する甲斐があります。 今回お邪魔したモルトバー「ラッケンブース」さんも、先斗町の繁華街の中に位置しますが、場所的にはちょっと小径にそれたところという感じでしょうか。1軒目のおでん屋さんで軽く飲んでからフラッと歩いて見つけました。まだ時間的にも早かったからか、お客さんは誰もいらっしゃらずゆっくりと楽しむことが出来ました。 店内はカウンターメインで5人か6人程度な感じでしょうか。とてもこじんまりとしたお店に見えました。カウンターを囲むようにして棚にはずらっとウイスキーボトルが並んでいます。若干カウンターにも溢れていました。面白そうなボトルもたくさんあって、正直何を頼もうか、かなり迷ってしまったのですが、とりあえずジャンルをジャパニーズに決めて、まずは津貫のシングルモルトから。 これは本坊酒造のマルス津貫蒸留所からリリースされた初のシングルモルト「THE FIRST」です。本坊酒造というのは鹿児島にはる芋焼酎のメーカ。焼酎メーカがなぜウイスキー造りに携わっているかと言うと、本坊酒造の元会長である本坊蔵吉氏が戦前に大阪帝大で学んでいた時に師事したのが、「国産ウイスキーの父」として知られる竹鶴政孝をスコットランドに送り出した元摂津酒造の岩井喜一郎氏。戦後に岩井は本坊酒造の常務として招聘され、山梨でウイスキー事業の立ち上げを指揮。その後、山梨蒸留所は現在の信州マルス蒸留所に移り、更に2016年には本坊酒造の本拠地である鹿児島の地に新たな蒸留所を開設。それが、マルス津貫蒸留所。(因みにwikipedia情報ですが、「マルス」というのは、本坊蒸留所の芋焼酎ブランド「宝星」から引いて「火星」(マルス)としたそとのこと。) そしてTHE FIRSTは津貫で造られた初のシングルモルトというワケです。ジャパニーズウイスキーと名を売って販売されていても、実際は海外の原酒を使っていたり、単純にボトリングだけしても実はOKなので、巷で数千円クラスと言うのはだいたいそういうパータンが多いのですが、こちらはいわゆる「ホンマモン」、正真正銘のジャパニーズウイスキーなのです。そして、ホンマモンは、間違いなく旨い!。合掌。 幻の軽井沢蒸留所 さて、次に頂いたのが軽井沢蒸留所、こちらは幻の蒸留所になります。どういうことかというと、蒸留所が既に閉鎖されてしまって、今は生産されていないのです。昨今クラフトウイスキーブームで少し想像がつかないのですが、ウイスキーは本場のスコットランドを含めて流行の波が結構あるようなのです。そして、その直近の底といわれるのが80年代~90年代。現在、サントリーの山崎や響の年代物が稀少であるのも、この時代の余波を受けています。つまり、当時の販売量が低迷したために、仕込む量が少なく、時代が遅れて人気が出始めると過去に熟成したストックが足りずに、限られた量を奪い合い価格高騰、品薄、そして品切れになると言う展開。山崎などはまだ蒸留所が稼働しているので、今後に期待するということもできますが、蒸留所が閉鎖されてしまったところは当時の熟成樽分しかこの世に存在しないという事になり、後の時代になって再評価されて注目を浴びれば偉いことになるのは容易に想像できるかと思います。つまり、田舎のばあちゃん家の押し入れからホコリかぶって出てきた箱から、お宝発見なんていうのも全然あり得る話なわけでして。。。 実はリアルにそんな話を信州松本のフラッと立ち寄ったバーでお伺いして、このボトルしかないんですけど、、と言われていた頂いたのが「軽井沢」を初めて知ったきっかけでした。後でそのバーがどこにあったのか記憶をたどってみたのですが、地図だけではどうしても想い出せず、また現地を訪問することがあれば再度訪ね歩きせねばとは思っています。 さて、この軽井沢のブランドですが、実は今、日本の実業家と元台湾カヴァランのマスターディスティラーが小諸で再興しようとしているそうです。(→台湾カヴァランとマスターディスティラーはこちらの記事を参照) さて、結構アレコレと話を進めてきました。毎度のことですが、何が本題だったのかも分からなくなってきましたが、マスターも気さくな方で久しぶりゆっくりと貴重なウイスキーを愉しむことができました。まだまだ他にもいろいろと試してみたいボトルなどもあったのですが、如何せんコロナ禍でほとんどのバーが営業休止をされたりで、本格ウイスキーから少し遠ざかっていたので、徐々にまた勉強含めて再開していければなと思っています。 お店の名前「ラッケンブース」はスコットランドのお守りのようですね。詳しい記事はsakedoriさんに掲載のお店のブログ記事より。後で知ったのですが、近くの有名バーwhisky&rumさんとオーナーさんが師弟関係で深い交友関係にあるとのことで、独自セレクトの限定ボトルをリリースしたりされているようです。全くの勉強不足でした。 BAR Luckenbooth 〒604-8017 京都市中京区先斗町通三条下ル材木町187-2 TEL075-251-0407

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