【品川】クエンチ・ワインQUENCH WINE(西小山)

【品川】クエンチ・ワインQUENCH WINE(西小山)

東急目黒線で目黒から三つ先の西小山の商店街にオレゴン州のワインを独自に扱っているお店があると聞いて駆けつけました。お店はオープンしてまだ1年も経っておらず、まだ店内も少し始められて間もない感じもありましたが、いわゆる立ち飲み系のお店でお酒の販売と併せて営業されているようでした。営業時間的には基本的には土日の夕方からの営業という風にお聞きしましたが、今後もアップデートがあると思うのでSNSなどお店のページ(→インスタページはこちら)から最新情報は確認されたほうが良いかと思います。それでは初めての訪問の記録を残しておきたいと思います。まずお伝えしておきたいのですが、本当におススメです。(もちろんサクラではないですヨm(__)m)オレゴンのワインとクラフトービールがメインなのですが、本当に美味しかったです。 ところで、「オレゴン州」とは何か、というか、どこにあるのか、的な話から始めるべきだと思っています。自分はアメリカに何度か行ったことがあるのですが、それでもオレゴンと言われてもパッと思いつかないです。スミマセンm(__)m。日本に住んでいると馴染みがないというか、キャンピングとかDIYとかアウトドア系の趣味のある方ならご存じの方もいらっしゃるのかなと思いますが。。簡単にいうと、アメリカ西海岸の北寄りで、シアトルのあるワシントン州とカルフォルニアの間にある州です。西海岸といえば、上からワシントン州、オレゴン州、カルフォルニア州の三つなんですが、両隣の州がスター的存在感を放ちすぎて、あまり目立ってないといったところでしょうか。州都のあるポートランドは全米でも住みやすい都市として評価が高く、人口は60万人強。地方都市の部類にありますが、住民のコミュニティ意識が高く地産地消などローカルファーストが根付く街としても知られています。もちろん、こうした意識があってのことかと思いますが、お酒に関してもローカリズムを生かした小規模なマイクロブルワリーや、ウィラメット渓谷でのワイン造りが有名です。 オレゴン州のクラフトビール さて、前置きはこれくらいにしてテイスティングに入りたいと思います。なにせオレゴン州専門という珍しい響きで訪問しただけなので、まったくと言って良いほど知識の持ち合わせはありません。あばよくばバーボンなんかのウイスキーでもないかと棚を隅から隅まで見たのですが、残念ながらまだ?発見できませんでした(注:これについては後にアップデートがありましたので別に紹介しますm(__)m→→コチラ、記事の下の方の編集後記をご覧ください)。とりあえずは、ビールからいただきたいと思います。まずはジャケ買いというか、缶の外観だけで選びました。宇宙の絵をあしらった感じです。SUNRAYというのは「太陽光」?なんだかダイナミックなネーミングです。オレンジ色なんで、とりあえず柑橘系のフルーティさをイメージしてみましたが、これまたその通りというか、とてもフレッシュでフルーティさがはじけます。グラスもドイツ的なジョッキじゃなくて軽やかなグラスが用意されましたが、すばらしいマッチングです。また缶ビールとは思えないくらいの樽生感にびっくりしました。これは一杯目から贅沢です。 さて、こちらのお店は店名にもある通りワインが本命。という訳で、ワインも頼んでみました。オレゴン州には内陸部にウィラメット渓谷というビールのホップやワインぶどうの生産で有名な場所があります。この土地は、気候的にフランスのブルゴーニュ地方にも似ているそうで、ぶどうの生育に適していることからオーガニック系のワイン造りが盛んなようです。アメリカンのワインというのはスーパーで売っているような値段も手ごろのカルフォルニアワインとかしか知らないのですが、このオレゴンワインというのは実は大変知名度もあるようで、オバマ大統領の時代に中国の国家主席を招いた晩餐会にも提供されたことで一躍脚光を浴びるようになったそうです。2015年の話ですが、ワイン初心者の私はまったく知りませんでした。そういえば伊勢志摩サミットの時に三重の地酒が注目を浴びましたが、あれと同じ感じなのでしょうか。通の間で元々知られているようなブランドが何かのイベントをきっかけにいきなり大化けするっているのは結構お酒界隈ではよくあることなのかなと思います。逆を言えば、どこもそれなりのクオリティを造ってらっしゃるんですよね。モノづくりですごいです。 オレゴン、ピノノワール オレゴン、ピノノワール 詳しい話はぜひこちらのお店に来ていただいて、オーナーから直接お伺いするのがよろしいかと思います。自分はあまりクラフトビールやナチュラルワインについては語るほどの知識も持ち合わせていないので、たぶんググったほうが早いかと思いますm(__)m。さて、その代わりというか、オレゴンのウイスキー事情については少し触れておかないといけませんよね。オレゴン州は先にも述べたように、クラフトビールやナチュラルワインの盛んな地。加えて意識高い系の住民や、DIYの土地柄がある。ここまでくればもう文脈的には一択でして、「クラフトウイスキー」です。それが、ウエストワード蒸留所になります。(ちなみに似た名前でお隣のワシントン州で有名なアメリカン・スコッチの蒸留所は「ウエストランド蒸留所」です。) https://westwardwhiskey.com/ ウエストワード蒸留所の特徴はアメリカン・シングルモルトウイスキーの第一人者であることを自任する、アメリカンスタイルのモルトウイスキーメーカーである点です。注意していほしいのは基本的にアメリカでウイスキーといえばトウモロコシ由来のバーボンウイスキーです。アメリカンなモルトウイスキーというのは、スコッチのように自家栽培の大麦を使い、醸造、蒸留、樽熟成をすべて自前で行う。つまり、アメリカンテロワール&メイド・イン・アメリカなモルトウイスキーであることです。スコッチに比べれば歴史はまだ浅いですが、原料のテロワールや発酵などの工程に関するこだわりは本家にまったく負けてはいません。クラフトビールなどで培った知見を活かし、今後どのような成長を遂げていくのかがとても楽しみです。ウエストワードでは国内でも入手ができるようですが、他にも多くの蒸留所が今後誕生することが予想されます。こちらのお店でもぜひともアメリカンウイスキーが紹介される日が来るのではないでしょうか。 https://www.hrdspirits.com/mccarthys-oregon-single-malt オレゴン州でもう一つ有名な蒸留所がクリアクリーク蒸留所。アメリカで初めてのシングルモルトをリリースしたことで知られる。創業者はスティーブ・マッカーシーで、オリジナルのモルトウイスキーはピートタイプのこちらのボトルのみ。2014年にフッドリバー蒸留所に吸収され、蒸留所も元のポートランドから更に内陸のフッドリバーに移設。(『モルトウイスキー年鑑2022年』より) ポートランドの「カスケード・ブルーイング」のクラフトビール。ホッピーなビールとは一線を画す「サワーエール」が特徴。こちらのはウイスキー樽で熟成した上に、レモンとオレンジ風味を添加しているとのこと。その名の通り、柑橘系の爽やかさのある軽やかな仕上がりのビール。 こちらはワインで有名なご当地のグレープを使用し、オーク樽で熟成するなどした「タンニン」をしっかり感じるワインのようなビール。非常にうまく味が馴染んでいて、驚くほど飲みやすいです。 もはや秀逸という言葉しか浮かびません。日本で一般的なピルスナースタイルのクラフトビールなのですが、樽生でもないただの缶ビールなのに、すべてが吹き飛ぶほどの爽快感。ここまでくると神懸っているとさえ思えてきます。一体全体この缶の中はどうなっているんだ!という極上のうまさ。これがビールなんですね! これはIPAスタイルの「ゲームオン」。昔のテレビゲームを思い起こさせる遊び心のあるパッケージです。以前に頂いた樽熟成のカスケードビールは柑橘系のリキュール感ある甘みが特徴でしたが、こちらは柑橘系のシトラス感がボディとしてあるのは似ているのですが、ホップが適度に効いていてそのままスッと軽やかに抜けていくような感じ。こちらもとても缶ビールと思えないようなインパクトがあります。この樽生のようなフレッシュさを輸入ビールで再現できるって本当にどうかしてます!! カベルネ・フラン メインはオレゴンワインのお店なので、ワインも少し勉強させてもらいました。味わいはニューワールド系な感じですが、とっても美味しかったです!残念というか、ちょっと高めなんですね~。もっとオレゴンが盛り上がってくれば、安くなってくる予感です。 渋谷の神宮前にあるPDX TAPROOM Level Beerについて調べていたら、渋谷の神宮前にもオレゴン州のクラフトビールを楽しむことができるバーがあるようです。今度行ってみよう。と言って、実際に訪問したのがこちらです。↓↓↓ これぞアメリカン・クラフト!!

東欧のシングルモルト、ルーマニアより

東ヨーロッパ発のウイスキーでまず自分が思い出すのはこの「ハマーヘッド30年」というものです。確か、ウイスキーキャストのオンライン飲みでMCのマーク・ギレスピー氏がダルモアのリチャード・パターソン氏と、グレンモーレンジのビル・ラムズデン氏と対談している回があり、その時に各自が自分の飲んでいるウイスキーを紹介するときにでてきたのがこの「ハマーヘッド30年」で、それ以来、「東欧」と「ウイスキー」というとまずはコレが頭に来ます。恐らく、モルト好きの方でもこのボトルをご存じの方はいらっしゃらないのでしょうか。あまり詳細なことは記憶にないのですが、確かソビエトの崩壊(チェコでいうベルベット革命(1989年))とその後の混乱で倉庫に置き去りにされていたウイスキーの樽が、何かの拍子で発見されて革命30年を記念してリリースされたのがこのボトルでした。ソビエト時代にどのようにウイスキーが作ら得ていたのかはわかりませんが、大麦や樽などの材料は自前で調達できたものの「ピート」だけが入手できず、かなり苦労してスコットランドから調達をしていたのだとか。ハマーヘッドという名前は、ソ連国旗の「鎌と槌」に因んだ命名。こうした経緯があって本数限定のリリース品で、どんな味であったか気になるところですが、かなり高評価モノだったと記憶しています。 ハマーヘッド30年(https://www.glassrev.com/blog) さて、今回また同じようにウイスキーキャストを聴いていて紹介されたのが「ルーマニア初のシングルモルト」でした。名前はカルパチアン・シングルモルトというようです。製造元はルーマニアで有数のリカー・メーカー「アレクサンドリオン・グループ」。ウイスキー事業を始める前から、ブランデーやウォッカなどの製造をしており東欧では有数の規模の事業者のようで、最近ではアメリカなどの海外向けのマーケティングにも注力をしているようです。ルーマニアといえば、ワインや高級ブランデーの他、「ツイカ」とか「ホリンカ」と呼ばれる果実由来の蒸留酒などで知られています。(と書いては見たもののまだ自分はどれも実際に飲んだことは無いですm(__)m) Brâncoveanu vinars(https://alexandriongroup.com/) 今回どのような経緯からスコッチウイスキーへの挑戦を始めたのか等は分かりませんが、一応情報では4年半くらい寝かした樽のものを瓶詰してリリースしたとのことなので、逆算すると2018年くらいに樽詰めを開始したとして、なんやかんやで2015年とかそんなくらいからプロジェクトとしては着手していたということなのでしょうか。(ホームページを見ると2017年から操業をなっていました。)親会社であるアレクサンドリオン・グループの計画に沿って立ち上げられたようで、ブランドイメージもしっかりとしたものを感じます。それはやはり何といってもメイド・イン・ルーマニアの(スコッチ流)モルトウイスキーを世界に展開したいという野望なのかなという印象です。 シングルモルトのラインナップ(https://www.youtube.com/watch?v=xLL3-HX8DCc) 蒸留設備はグラッパの蒸留器を改造したものだとかhttps://www.diffordsguide.com/ 原料となる大麦は穀倉地である東欧らしくすべて自前のものを使うようです。また、水源は東欧のアルプスとでもいうべきカルパチア山脈の良質な水を使うことができます。樽は自前のワイン樽やブランデー樽などの他にもバーボンやシェリー系などいろいろ取りそろえているようです。自前のオークがあるのかは分かりませんでした。ピートは自前が難しいようで、ベルギーから調達するとなっています。どのような味わいなのか楽しみです。初リリースとなるラインアップは基本はバーボン熟成で、その後にウッドフィニッシュなどをしているラインアップのようです。気候的にはスコットランドよりも温暖で、且つ寒暖の差もあるようで熟成スピードは速めのようです。 アラン・アンダーソン氏(https://carpathian-singlemalt.com/our-story) スコッチ造りのスペシャリストとして招聘したのがアラン・アンダーソン氏。スコットランドやアイルランドの蒸留所を渡り歩いたエキスパートです。キャリアスタートはロッホローモンド蒸留所。スコットランド最古のリトルミル蒸留所の第二工場として稼働を始めたことで知られるハイランドに区分されるが位置的にはギリギリ。その後、ホワイト&マッカイでしばらく勤務した後、アイルランドのスレーン蒸留所の立ち上げや、モリソン家の新たな蒸留所であるアベラルギー蒸留所で製造現場の管理責任者を務めた後、アイルランド時代の知人の紹介でルーマニアでのシングルモルトウイスキー造りにチャレンジしているようです。 クリックでホームページにとびます。 更なる展開として計画が進行しているのが、アレクサンドリオン・グループによるアメリカのニューヨーク郊外での蒸留所新設計画。Gleneida Distilleryと呼ばれるそうで、ニューヨークのアッパーステート、パットナム群のカーメルに位置するとのこと。2018年くらいから建設計画が立ち上がっていたようであるが、実際のところこのプロジェクトがどのような進行状態であるかは確認ができませんでした。イメージとしては、この蒸留所でウォッカやジン、さらにはバーボンなどのウイスキーを作る計画のようですね。かなり壮大な計画です。現地の建築事務所とコラボして設計されたという蒸留所の外観はかなりモダン。シングルモルトウイスキーのお披露目式もアメリカの大使館で開催するなど、まずはアメリカ市場を攻めている感じでしょうか。今後の展開が楽しみです。

【名古屋】バーンズBar Barns(伏見)

名古屋・伏見でみつけた極上のバー 今回は久々の出張ということで名古屋方面に出てきました。名古屋駅に戻ってきたのが夜の7時を過ぎたところであったのですが、もう街の賑わいは相当なもので、前回来た時はいわゆる「禁酒」の期間であったので、正直こんなに店があったのか!という感じです。ゴーストタウンだっところとか、あちこちに灯りがともり、中から盛り上がっている声が聞こえてきます。やっぱり繁華街はこうでなくてはなりませんよね。さて、今回は帰るまでの時間で回れるところということで、伏見近辺をターゲットを見据えてフラフラしてみました。当初、目的とした名だたるバーとかも一応控えてはいたのですが、やはり自分の目で見て発見するということに醍醐味を感じていまして、こちらのバーの灯りにいざなわれ階段を下りていきました。 まず最初の一杯目は前々からきになっていたアメリカ・シカゴ発のクラフトウイスキー、コヴァル(KOVAL)。特に気になっていたのはライウイスキーなのですが、こちらで用意のあったのは東京の信濃屋さんぷろーデュースのモルト&ライ。一口飲んでですが、結構甘い。かなりバーボンウイスキーに近い感じです。お店においてあるボトルなんかを見ていても手ごろな価格帯なので、家に一本置いたりするのには良いかなと思っていたのですが本当においしいですね。 コーヴァルのモルト&ライ このコーヴァル蒸留所についてですが、日本にもブランドアンバサダーのような方もいたりするので詳しくはグーグル検索にお任せしたいと思うのですが、スコッチ本流とは別のアメリカン・スピリッツという感じかと思います。創業者はそれぞれ大学や大使館で勤務された経歴をもつご夫婦で、ユダヤ系の方と思います。旦那さんがオーストリアの方でご実家がお酒造りをしている(た)そうです。特徴は原料と製法に対するこだわり。原料は有機栽培のものを使用し、蒸留器も独自の設計デザインをもとにカスタムで用意。コーヴァルというのは(ユダヤ人の言語ともいわれる)イディッシュ語で「鍛冶屋」を意味し、転じて「開拓する」(forge ahead)などの意があるそうですが、これはまさにコーヴァル蒸留所の成り立ちと深く関係していて、2008年に同蒸留所ができる前の歴史(シカゴ)をたどると19世紀後半までさかのぼります。 バンクを背景に上品なナッツ スイスのチーズと、ベリーにクラッカー さてと、なんですが、コーヴァルの次に何を飲もうかと裏の棚とかを暗がりに必死で目をこらしながら見ていたいのですが、一人で悩んでいても仕方がないのでおススメをリクエストしてみました。そしたら、なんとというか、やはりというか、出現したのがこちらのプライべートボトル。なんでもこちらのオーナーの方が台湾のボトラーズ「ウイスキーファインド(Whisky Find)」のオーディン・チョウさんと仲が良いらしく、コラボでリリースされたのがこちらのボトルだそうです。この素敵なラベルはチョウさんがご自身でデザインされたものだというのですが、素晴らしいですね。ウイスキーの味わいを絵でズバリ表現したもののようです。(話変わりますが、東京の恵比寿にバー・オーディンという超高級バーがあると聞いたことありますが、何か関係あるのでしょうかねえ。) さて、ボトルの中身なのですが、右手に見えるのがポートシャーロットでバーボン樽熟成、最後に貴腐ワインでフィニッシュしているだったかだと思います。左はディーンストンのシェリー熟成。フルーティさが特徴ということでいただいたいのですが、原酒が良すぎるのか自分はとにかくモルト感のパンチ力に圧倒されました。どちらともです。特にポートシャーロットのほうは度数が63度くらいあり、もうここまでの度数でいくとフルーティとかどうのってレベルではないような気がしました。ピートも結構効いているし炎のかたまりだった印象ですm(__)m。なので、思わず申し上げたのですが、これは夜も浅い今の時間帯ではなく、日が回ったくらいでないと舌がついていかないです、と。やっぱり良いウイスキーは真夜中くらいでないといけませんよね。1軒目でいただくにはあまりにももったいなかったかもです。 最後にマスターと話しをしながら、〆にご用意いただいたのがこちら。目黒マッシュタンさんのプライベートボトルとのことです。アードモアの控えめのピート感はオフィシャルものとかでも結構好きなのですが、こちらも本当に上品な仕上がりです。ピートは爆発しているのも好きなのですが、慎ましいピートも色気があって良いですね。貴重なお酒をたくさんいただいて十二分に満足できました。また、最後になりますが、こちらのバーの接客術は今まで自分が通ったことのある中で、おそらく最も秀逸なものでした。マスターと、若手の男性が交代で、また絶妙のタイミングで対応して頂いたのですが、間の取り方というか会話の仕方とかサービスの仕方とか含めてすべてが完璧でした。なんというか、本当にストレスフリーで、初めての訪問だったのですがまるで何度も来ていたかのような感覚で、リラックスして味わうことができました。スコッチのモルトバーだとやはり準備してあるお酒も確かに重要なのですが、それを楽しむインテリアだったり、あとはやはりそれらをサービスする「ヒト」の部分でも印象は大きく変わってきます。やはり、良い空間と素晴らしいバーテンダーの人にサービスをしてもらえると安心して良いお酒を頼むことができるというもの。そういった意味でこちらのバーは「極上の」バーであると思いました。ありがとうございました!

恵比寿のミュージックバー

東京の恵比寿界隈は芸能関係やら音楽関係の人が飲みに行くことでも知られていてとにかく、おしゃれな街の雰囲気とその中でもとにかくクオリティの高いミュージックを聴きながら、お酒が飲める大人のバーが散在しています。これらはいわゆるタウン系の雑誌などでもレビューされているので特にこれが良いとかあれが良いとかはないのですが、やはり恵比寿界隈というのは街の雰囲気が少し他と違うなというのはあります。なんとうか、少し奥ゆかしい大人の街という雰囲気なんです。なので、女性の前で格好つけたい男性諸君にとってはここら辺のバーの一つや二つを開拓しておいて、いざというデートのときのためにさらりとこの界隈の店を案内できるとしたら、それはさぞかし得点が上がるのでないかと予想されます。笑ただ、どのバーが良いのかというのはここでも紹介はできません。やはり何でもそうかと思うのでのですが、個々の個性もあるので一様にどの人にもこれが良いというのはあまり無いかなと思います。あとその時のタイミングとかによってもバーとかの雰囲気は大分違ったりするものかと思います。これは本当に運の要素も大きいです。異常に盛り上がっていたかと思えば、波が引いたように静まりかえることもある。どのタイミングでどういうお客さんがいるときにその店に出くわすかは、これは本当に分からないわけで良い思いをしても、そうでなくでも、これは一期一会だと見切るしかないかなと思います。一応、そういう断りをした上で、恵比寿のミュージックバーのいくつかを語りたいと思います。簡単に言うと、有名どころだと、東口のTRACKかMARTHAか、みたいなことを聞いていました。そこで、今回はとりあえず渋谷寄りのTRACKのほうを訪れてみました。恵比寿から歩いて結構すぐで、東口からだとほんの数分だと思います。路面店ではありますが、繁華街ではないのでどちらかというと隠れ家的な雰囲気。たぶん、普通に歩いていると見過ごしてしまうかもしれません。通りに「BAR」という灯りがともっている程度です。とにかく、東京ではこういう感じのバーが大当たりなことが多いんですよね。確か雑誌でも紹介をされていたので、ある程度店内の感じとかは分かっていたのですが、やはり本物は違いますね。店内は割と広い空間になっていていバーカウンターと後ろにはテーブル席がいくつかあります。レコードとお酒のボトルがずらりとあって、中央のカウンター内のテーブルにはきれいに並べられたグラスが置いてありました。カウンターの中は男性が三名いるのですが、皆さん音楽関係という感じです。音楽のほうはあまり深くは良くわかりませんが、音響というか普通のプレーヤーでないなということぐらいはわかります。凄く良い音色です。お酒のほうも結構しっかりしていて、ウイスキーからラムとかジン、テキーラにコニャックと一通りそろえている感じで、特に文句のつけようもありません。自分はとりあえずカウンターに座って、軽くアメリカンのライウイスキーと、コニャックをチョイスして、音楽を聴きながら恵比寿の夜を楽しんでみました。ただ、なんとなくこちらのバーは結構有名店なのか、少し敷居が高い感じはしました。写真とかも少し取りずらかったので文章だけです。というわけで、今回少しおすすめしたいのは西口のこらちの店です。 恵比寿西口を少し歩いたところにある雑居ビルの3階。中は開放的な雰囲気で、開店間もない時間帯であったこともあり、店内はまだ明るいくらいでした。でも雰囲気はこの通りバッチリでしっかりとしたミュージックバーという感じ。店内はさきほどのトラックさんと比べればかなり小さめですが、それでもとにかく広々と感じる余裕があり、席数は少な目ですがゆっくりと落ち着いて音楽とお酒を楽しむことができます。 この隣には昭和の黒電話がありました。(現役だそうです) オーナーさんはアメリカ東海岸に留学とかもされたことがあるようで、落ち着いてはいますがフレンドリーでした。恵比寿のこういったバーは結構敷居が高いんで緊張しますよねー、的なことを思わず口走ってしまいましたが、まだお店の中には自分ひとりだったこともあってマイペースを取り戻して落ち着いた感じで楽しめました。ドリンクはスコッチウイスキーとラムが中心のようでした。スコッチは普段から飲むので、ここは敢えてラムを頼んでみました。特にスコッチのボトラーでも知られるイタリアのサマローリ(SAMAROLI)のラムが気になってしまいました。ラムはあまり飲まないんですが、サマローリがラムもプロデュースしていたとは知りませんでした。実のところサマローリのスコッチ自体も一度か二度くらいしか飲んだことがないんですけど、特徴的なラベルはラムも同じなんですね。パッと見なんのお酒なんだか分からないくらいです。 サマローリとケイデンヘッドのラム酒 もう一つ試したのはこれまたスコッチの名門ボトラーズ、ケイデンヘッドのプロデュースしたカリビアンラム。グリーンラベルというシリーズでカリブ海のいろいろな島の味わいを楽しめるというもの。お店にあったこのボトルは「トリニダード」の18年。スコッチでは珍しくない年数かもしれませんが、ラムで18年というのは相当貴重な感じがします。円熟味のあるトロピカルな味わいに酔いしれます。ラムはそれほど詳しくは無いのですが、さらっと出てきたにしてはちょっとスゴすぎやしませんかね。(汗)まさに音楽と酒にどっぶりつかるにうってつけです。無事に帰ってこれるのでしょうか。笑 スコッチのボトルもこの通りずらりと。 「B-10」(ビーテン)さんのお店の場所ですが、JR山手線であれば西口広場を出て中目黒・代官山方面に向かい、恵比寿南の交差点を斜め左に行く小道を行けばすぐです。ビルの三階にあります。
【長野】摩幌美 Whisky Bar(松本)

【長野】摩幌美 Whisky Bar(松本)

松本でウイスキーのモルトバーといえばやはり摩幌美さんではないでしょうか。松本の駅を降りて繁華街の入り口のようなところの角地にドンと店を構えていらっしゃいます。いままでモルトバーというと少し離れたところにあったり、雑居ビルの2階だったり、立地的には分かりにくいケースが多いイメージですが、こちらは本当に喫茶店のような構えというか地図を見るまでもなくすぐに分かりました。以前に松本に来た時にも立ち寄ろうとした記憶があるのですが、確か定休日かでお休みをされており残念ながらそのときはお店の中に入ることができませんでした。今回はちょうどお店が開いたくらいのタイミングで念願の訪問がかないました。実は今回の記事なのですが、訪問直後に執筆したのですがアップロードに失敗していたようで、それを最近になって気づいて書き直しております。したがって、ウイスキーのテイスティングなど細かなところは正直うろ覚えになっておりまして、とりあえず再度執筆したものであることをあらかじめご了承ください。いずれにせよ、素晴らしいモルトーバーです。盛岡にスコッチハウスさんいうオールドボトルで有名なスコッチバーを訪ねたことがありますが、雰囲気的にはそちらと似たような感じかなというのが個人的な印象です。モルトバーは大都会の真ん中だけでなく、地方都市でも本当に素晴らしいバーがたくさんあります。ウイスキーの蒸留所も基本的には交通的に不便なところにあったりするケースがほとんどだと思いますが、モルトバーも同じように都会から離れたところにポツンとあるケースがあります。ウイスキー好きの方が全国からそこを目指してやってくるようなお店も珍しくはありません。摩幌美さんもそうしたモルトバーの一つなのかという認識です。マスターの話ですと、遠くは海外からもやってくるケースもあるとのこと。やはり魅力があればどこからでも人は来るものなのですね。 お店のなかですがスペース的には喫茶店のようなかんじというかゆったりとした広々とした空間が広がります。カウンターに数席あるほかはテーブル席などがいくつかあります。あとは、なんというか書斎に入ったような感じというか、ログハウス調のゆったりしたインテリアで肩肘張らずにゆっくりとお酒が楽しめます。お店が開くと同時に入店したのですが、後からお一人で来られる方やグループで来られる方などが続いて、それほどお酒に詳しくなくても丁寧に接客をされていました。貴重なウイスキーのボトルの棚に眠っているように見えましたが、スタンダードなラインアップを充実していて、モルトウイスキーがメインではありますが初心者から通の方までアットホームな雰囲気で楽しめます。 ダグラスレイン社の「ダブルバレル」 まず頂いたのはボトラーズ・ダグラスレイン社の「ダブルバレル」。スコットランドの中でそれぞれ違う地域にある蒸留所のモルト同士をブレンドした、いわゆる「ヴァッティッドモルト」です。左のグリフィンが描かれているものは、スぺイサイドとローランド。人魚の絵の方はアイラとハイランドであるとのこと。具体的にどこの蒸留所なのかについての情報はありませんでしたが、ともにとても上品な味わいでした。後でボトルの値段も調べてみたのですが、1万円しないような価格で(入手性がどうなっているかは分かりませんが)さすが老舗のボトラーズの商品だという印象です。 地理的にはローランドにも近い、グレンゴイン蒸留所 何か普段飲まないオフィシャルのシングルモルトがないかと棚に目をやっていたところ気になったのがあったので出してもらいました。グレンゴインです。シェリー熟成に定評があります。グレンゴインは区分けとしてはハイランドになりますが、地理的にはグラスゴーから車で30分程度の距離に位置します。(実際に行ったわけではなく、googlemapの検索でしらべましたm(__)m)自分はスコットランドには行ったことがないので、蒸留所などの情報はネットで調べたりが中心なのですが、どこに一番行ってみたいかというならグレンゴイン蒸留所が一番気になります。どこの蒸留所もそうだとは思うのですが、風光明媚な大地にポツンと佇んでいる様子をyoutubeの空撮ビデオで見たことがあり、その美しさに惚れたことが要因です。もちろん、アイラ島なども興味はあるのですが、現実的には非常に遠い。やはりグラスゴーからも近くて手軽にいけそうなグレンゴインとかはグラスゴーまで行けばもう少し足を延ばす程度の距離なので、いつか訪問してみたい蒸留所の一つです。 https://www.youtube.com/watch?v=DPuZcL8EX5c マスターは相当なベテランの方でウイスキー界の事情にも詳しかったので、以前に群馬太田のバーを訪ねたときのことをお話ししました。その店はスコッチやバーボンをズラリと揃えていたのですが、ジャパニーズはほとんどなく、特にサントリーのボトルが一つも無かったのです。その理由を店のマスターに聞いてみたところ、若いころは憧れだったがある時期に変わったという話をされていました。今では山崎や白州などで海外でも非常に高い評価を得ていますが、やはりひと昔前(1980年代とか、それ以前です)はいろんなお酒があったようで、あまり良くない印象を持たれている方も特に年齢層の高い方にいらっしゃるのですね、というようなことを勝手にしゃべっていました。すると、こんなのがありますということで出てきたのがこちらのオールドボトル。サントリーさんのピュアモルトで、7年とあります。二つ種類があって、それぞれなんであったか忘れましたが、樽違いかだったと思います。詳しくはこちらのページなどに書かれていますが、まさにその1980年代のウイスキーのようです。要は自分で味わってみろ、ということかと理解するとともに、まるで古文書館のように歴史が目の前で紐解かれてポンと出てきたことにビックリしました。(しかも、とても良心的な価格であったことも付け加えておきます。40年以上も前のボトルだと思うのですが。)味わいは、特にここではコメントは控えておきたいと思いますが、あまり普段ジャパニーズは飲まないので、分からないというのが正直なところです。いずれにせよ、お酒は究極を言うとそれはその人の個人の問題。味覚も人それぞれ。いろんな蘊蓄(うんちく)はあると思いますが、自分が美味しいと思えば、だれが何と言おうと美味しいわけで、それを否定することには何の意味もないです。ただ、とにかくこうして実際に「確かめることができあ」ということにただただ驚き感動した次第。そうこうしているうちに帰りの時間がやってきたので足早に店を去りました。また今度はゆっくりと泊りで訪れることができればなと思います。ありがとうございました。
【静岡】Caribbean Bar OKUIZUMI(浜松)

【静岡】Caribbean Bar OKUIZUMI(浜松)

本日は浜松。カリビアンバーのオクイズミさんというテキーラバーにやって参りました。駅から歩いて10分くらいでしょうか、繁華街の少しはずれにお店を見つけました。最近は「勉強」と称して、ウイスキー以外のお酒にもチャレンジ中。蒸留所の世界でいえば、ラムやブランデー、テキーラ、ジン、焼酎などがウイスキーと並んで有名です。「テキーラ」についてですが、原料は穀物ではなくて、リュウゼツランという植物、もう少し細かくいうとサボテンのような多肉植物の一種になります。現地の言葉ではAGAVE「アガベー」というそうです。この茎の部分(といっても下の写真のようにかなりデカい。重いものだと50kgくらいになるそうです)が酒造りの原料の元になります。 リュウゼツラン(https://www.mundocuervo.com/eng) 「テキーラ」という名前についてですが、これは実は地名だとのことです。ブランデーに「コニャック」や「アルマニャック」などの原産地呼称がありますが、あれと同じ考え方のようです。つまりテキーラは原則としてテキーラ地方で作られたお酒でないと「テキーラ」を名乗れないという規定があり、原料や蒸留場所、その回数、アルコール度数、添加物の上限などかなり細かく指定されています。この要件をクリアしたものだけが「テキーラ」を名乗れるということで、これはスコッチウイスキーなどと同様にかなり厳格な仕組みで管理がなされているようです。 テキーラ市(https://www.mobilemaplets.com/showplace/14083) 以上が「テキーラ」の要件ですが、もう少し予備知識として細かく見ておきたいと思います。ポイントは原料と熟成年数です。原料についてですが、要件としては主原料としてアガベが51以上含まれていればOKです。その中でもアガベ100%使用のものがあり、プレミアム価値がつきます。また熟成年数(クラス)にも違いがあります。まず、「ブランコ」というのは熟成させずにすぐに瓶詰をしたもの。その次に1年未満樽で熟成したものが「レポサド(reposado)」。さらに3年未満の熟成をしたものが「アネホ(anejo)」と呼ばれます。ほかにもゴールドとかエクストラアネホとかありますが、とりあえず上記3つくらいを知っていれば大丈夫かと思います。ざっくりとですが、樽熟成しているものと、そうでないもの、の2種類があるのだと分かっていれば、あとは中身の液体の色で見分けが着くかと思います。 世界ではじめて日本人がプロデュースしたテキーラ そんなわけでまずは目についたのが「雫」の文字。なんだろうということですがエルボラーチョという福岡発祥のメキシカンレストランがプロデュースしたテキーラのようです。原料はアガベ100%のプレミアムテキーラ。濾過なしと濾過ありのブランコの飲み比べをしてみました。原料100%ということで、特に無濾過のほうはかなり独特な味わいがありましたが、想像したよりはマイルドな味わいでストレートでも特に嫌な癖もなくおいしくいただけました。リュウゼツランの絵のイメージからするとだいぶ控えめというか、割とイケる感じです。笑 カサミゴスのレポサド お次には少しエイジングしたものと試してみたいということでcasamigosのreposadoを頼みました。グラスだと分かりづらいですが、ほんのり琥珀色をしていて樽熟成したことがわかります。アメリカンオークの樽を使っているようです。数か月程度かとは思うのですが樽感がやはり乗っかってきていて甘味が感じられます。ちなみにこちらも100%アガベのテキーラをベースにしているようですが、バランス良くまとまっていると思いました。やはり高温な気温ということもあるのか、熟成中に中のアルコールも相当飛んでしまうでしょうし、アネホやエクストラアネホというのはレアなんですかね。途中でマスターが出かけてしまって、ボーイ君と棚を探しましたが、主にはブランコかレポサドか、という感じでした。 カウンター後ろの棚の様子 さて、こちらのお店ですが、テキーラ以外にもラムなども充実した品揃えとのことです。恐らく浜松では随一のラインアップになるのかと思います。一階は主にカウンター席で、二階にグループ用のテーブル席があるようでした。料理のメニューもありダイニングバーとしても活用できます。一人でふらりと来ても落ち着いた大人の雰囲気でゆっくりとした時間を楽しめます。繁華街から少し外れたところにあるので、浅い時間であれば割と入りやすいのかもしれません。どちらかとうと二軒目からのお店かなという印象でした。マスターは気さくな方で、ヘルプで入っていたボーイさんとのコンビでカウンターを回していました。店を開けたくらいの時間に訪問したため、まだ仕込み作業をしたりなど準備中という感じでしたが、楽しく会話をしながらゆっくりとテキーラの味に浸ることができました。ありがとうございます!今度はラムのほうも勉強ができればなあと思います。
bar nolac

【兵庫】wine-bar nolac(神戸)

まさに奇跡のバーと呼んでも良いかもしれないですね。ここは神戸・三宮の北口側から山側に少し歩いた繁華街にあるワインバー、ノラック(NOLAC)さん。昔の店名はカロンセギュールであったようでありますが、兎にも角にもスゴイ!の一言に尽きるワインバーです。まずはお店のローケーションを先に示しておきます。神戸が初めての方は恐らく迷うかもしれませんので、googlemapでチェックしてから行くのがベターです、実際こちらのお店に何度も場所が分からない、という電話がかかってくるのをカウンター越しに漏れ聞いたことがあります。お店のホームページにもある通りですが、三宮駅(因みに神戸の繁華街の中心にあるのが三宮です)から北側に伸びる北野坂を上がりラーメン屋さんが目印になります。そこを左手に曲がり、二つ目の小さな通りを右手に。少し入った手前側がお店です。背の高い扉が目に入るかと思います。入るのに少し勇気がいる店構えですが着いたらとにかく扉を押してみましょう。後のことは考えなくて大丈夫です! ブラインドテースティングを楽しむの図 記憶を頼りにですが、写真のワインは右から順にカルフォルニア産ピノノワール、オーストラリアのカベルネ、イタリアトスカーナのサンジョベーゼ、フランスボルドー、フランスブルゴーニュのピノノワール、最後がチリのワイン。全部赤です。印象に残ったのはトスカーナとチリですかね、複雑で個性的な風味が自分は好きなので。さて、凄いすごいといって何がそんなに?という話をします。まず、インテリア含めたお店の雰囲気が最高に素敵です。自分はミニマリスト系が好みなんで、あまりワサワサ置いてあるのは好きではないのですが、ここは本当にシンプル。そして店の雰囲気を盛り立てるアイテムもまた上品で落ち着いています。何気に飾られてある器だとか絵画だとか、カウンターや棚の感じも含めてすべてです。マスターはフラワーアレンジメントもご自分で手掛けているそうです。とにかくここではすべての面で大人の教養が問われるなと感じます。でも、肩ひじ張る必要は全くないんです。マスターは本当に気さくでフレンドリーな方。ワインの知識は恐ろしいほどに豊富で、さらに謙虚で勉強熱心な感じです。いやはや、毎回来るたびに恐れ入ります。この店のインテリアだとか内部の空間の写真はいくらでも挙げられるのですが、敢えてここには貼り付けません。どうかご自分の目で確かめに行ってほしいと思うからです。その楽しみを奪わないためにも、なるべく文章だけでお伝えしていきます。 お口直しに頼んだナッツの盛り合わせ 毎回こちらをお邪魔して自分が頼むのが写真のブラインドデースティングセットです。3種類で1セットのセット料金で頼めます。今回は2回挑戦をしてみました。結果は毎回そうなんですが、惨澹たるものだったのですが、初心者でも一つ一つを丁寧に解説をしてくださいます。割とフランスワインが多いのかなという印象はあります。あとオーセンティックなものが多いのかなと。(注:あくまで自分の印象ですm(__)m)それでもって価格が驚くほどリーズナブルなんです。これが本当に衝撃的です。自分は最初にこちらを訪問した時に店の雰囲気とかなどからして、相当ヤバいことになったとソワソワしてしまいました。座っただけでもう緊張してしまいまして、それでもカードOKということなんで、平然を必死に装っていくつかワインを頼んで、支払いのときに金額を見て驚きを隠せませんでした。どうしてなのかを実はマスターに伺ったことがあります。その理由としては、ワインのソムリエ資格に向けてなどワインの勉強をされている方のためであることをおっしゃられていました。ソムリエ資格にはテースティングの実技試験のようなものがあるらしく、そのために結構な量のワインを購入してティスティングの「実学」をしないといけないそうなんです。そうなると、やはり相当のお金がかかってしまうということで、ご自身でも苦労された経験からの価格体系なようです。これで納得してしまって良いものなのかどうか分からないのですが、とにかく高級ブティックのような空間に身を置きながら、一流のソムリエにアテンドしてもらい、ワインを楽しむという贅沢が、破格のお値段でできる、そういうワインバーであると理解してもらえれば良いのかなと思います。 本格的な赤ワイン、千曲川メルロー さて、最後に最近はまっているジャパニーズワインの赤でおススメを頼んでみました。そしてお出ましになったのがこちらの、千曲川メルロー。味わいの系統としては、ボトルの感じもそうなんですが、フランスボルドーのような品のある正統派ワインの感じ。甘さがあるのですが、いわゆる昔ながらのジャパニーズワインにあるようなベリー的な安っぽい甘さのそれではなくて、本当に上品な感じがします。この「ソラリス」というブランドはキッコーマンが手掛けるワイン作りの会社「マンズワイン」のブランドで、設立はなんと1962年とのこと。日本のワイン造りのパイオニアだったのですね。醤油もワインも発酵が原理であることを考えれば、特に不思議なことでもないのかもしれません。キッコーマンは海外でのマーケティングに成功している日本企業の一つなので、国内外で今後も益々注目されていくのでしょう。最近は小規模な醸造所でもワインの製造免許が取りやすくなったようで、ジャパニーズのクラフトワインのボトルも酒屋さんなどで少しづつ見かけるようになりました。ワインといえば、フランスやイタリアが古くからの定番で、アメリカやオーストラリアなどのニューワールド系もすでにその知名度を確立しています。ジャパニーズはワインの世界の中でどのような位置づけなのかは分かりませんが、豊かな自然とそれを生かした古くからの酒造りの歴史は国内のいたるところにあるので、個性的なジャパニーズワインの誕生にも期待をしていきたいところです。さて、そんなこんなで2時間くらいでしょうか。カウンターの奥の席に陣取ってずっとワインを楽しむというこの上ない贅沢なひと時を楽しませてもらいました。お店はカウンター数席とテーブル席が少しなので、何組かが来ると割とにぎやかになります。二組目くらいが来たタイミングでチェックをお願いしました。おしゃれなお店なので、若者のお客さんが多い印象は受けました。もしかしたらソムリエの勉強とかを考えての方もいるのかもですね。ワイン通の方にも、初めての方にもおススメしたい、港町神戸にふさわしい!素敵なワインバーでした。ありがとうございます。 芸術的過ぎる盛り合わせ料理!!
【兵庫】BAR NISHINAKA西中(姫路)

【兵庫】BAR NISHINAKA西中(姫路)

姫路というとのは兵庫県の西部の一大都市で、地元では播州(ばんしゅう)とか言われたりします。この播州地方の方言に「播州弁」というのがあるのですが、これがもう凄い男気のある方言で、知っている方はわかると思うのですがちょっと怖い感じなんです。でもまあ、最近ではあまりそういう方言なんかも年配の方などを除いてはめったに聞かなくなった感じがします。寂しいといえば、それまでですけど、その土地臭さっていうのが今は日本全国どこに行っても薄れてきているような気がして方言フェチの自分としてはちょっと寂しいですね。話はそれますが、少し前に四国方面に行ったときに、自分は四国では必ずローカル線とかに乗るのですが、その土地の中学生軍団と出くわしまして、それはもう賑やかでその「はしゃぎぶり」みたいなのが妙に懐かしかったです。さて、話をもう一度戻しますが、この姫路というのは播州の中で最大都市であります。そして世界遺産の姫路城を有するこの町の繁華街は駅のお城側の左手に位置します。御幸通りとかのある方向とは少し違うので、初めての方は注意してください。地方の繁華街を探すときにキーワードはとにかくJRの駅ではなく、ローカル鉄道(この場合は山陽電車)の駅を目印に行くのがコツです。今でこそどこもJRが優位ですが、昔はやはり私鉄の駅が町の中心というケースが多かったのかと思います。姫路はヤマトヤシキなる地域デパートもあったのですが、2018年に閉店。更に山陽電車の子会社であった山陽百貨店も2021年に業績不振を受けて完全子会社化が決まるなど地場の商業施設は苦戦している模様。またその裏手にある歓楽街「魚町(うおまち)」も、夜の人通りは至って少なく残念ながら活気は感じられなかったです。もしくは、まだ早かったかな笑 とりあえずジャックのハイボールから。 姫路駅を降りて大手前通りをお城の方向に向かって歩き、魚町通に折れて繁華街の中心部を通るも、もしや今夜お目当てのバー、西中さんが開いてなければどうしたものかと不安になりながら、とにもかくにもここまで来たのだからということを言い聞かせて歩みを進めます。ビルの下まで来たところで、バーの店舗案内の明かりがついていたのでとりあえず一安心。エレベータで上がり、廊下を奥に進んだ右手に本日お目当てのモルトーバーがありました。結構どっぷりと夜が更けた時間帯にお伺いしたので、お店には先客の若い女性二人組しかいませんでした。とても落ち着いた店内の雰囲気ですが、カウンター裏のウイスキーボトルを見ればここが本格的なモルトバーであることは一目瞭然です。左右の棚にもぎっしりボトルが並んでいます。よく目を凝らしてみると、中にはハーフショットの値札のついたオールドボトルなども置いてあります。かなりのレアモノで、地方のバーの感覚で言うと結構な金額かなとお見受けしました。カウンターにはシガーとかも置かれていて、事前の調査も少ししてはいましたが、姫路でオーセンティックバーといえばこちらのお店が筆頭になるのではないでしょうか。マスターはバッチリと正装されていて、本格的な雰囲気です。 遊佐のシングルモルト さて自分が席を取ったのがカウンターの左隅のほうでした。右手には先の女性らが座っていたのですが、どうも緊張をしてしまって、真横に座るところを遠慮して左隅側に選びました(汗)。ダメですね、って何が笑?。さて、気を取り直してですが、左横の棚には新興のジャパニーズがずらりと並んでました。三郎丸のブレンド、ガイア静岡、嘉之助、さらには厚岸も6つ。はい、かなりヤバいことが一発で分かりました。その中でまだ飲んだことがないものを見つけました。それが、このYUZAシングルモルトです。たぶん、三郎丸と同じくらい地元以外ではかなりレアものでは無いでしょうか。遊佐はまだそこまでウイスキー界隈でも知られてないと思いますが、山形県の日本海側の酒田市の近く、遊佐町に位置する蒸留所です。母体は焼酎を製造する金龍という会社。典型的なクラフト蒸留所で、3名くらいのスタッフで運営されているようです。しかもそのうちの二人は女性。地元の山形大学のリケジョとのこと。あえて「未経験者」を一から教育して立ち上げているようです。この切り口で行くと、今自分が調べているウェールズのペンデリン蒸留所や、未経験者を含めて混成チームで運営するスカイ島のトラベイグ蒸留所なんかを彷彿させます。その味わいですが、まだ若くてフレッシュな感じですね、樽感というようなものがまだほんのりといった感じでまだ未熟な青りんごといったようなところでしょうか。お酒の質感はクリアでフルーティ、今後が楽しみです。 桜尾と戸河内のシングルモルトをハーフで。 そして、さらに進みます。まだまだヤバいものが並んでいます。じゃじゃん!中国醸造の桜尾と戸河内。こちらは同じクラフト蒸留所の部類でも先輩格だけあってかなり熟成感があると思いました。加えて、桜尾は純なスモーキーさが、また戸河内には完熟感のある甘さがあり対照的な味わいとなっています。どちらも素晴らしいお酒です。確かまだファーストリリースだと思うので、今後も引き続き楽しみです。そういえば、少し違うのですが、ここ姫路から新快速電車で20分ほどのところに子午線の町でしられる「明石」があります。タコとか明石海峡大橋とかでも有名なのですが、この明石には古くから知られる江井ヶ嶋蒸留所(ホワイトオーク蒸留所)と、海峡蒸留所という先のトラベイグの姉妹蒸留所のようなあまり表向きには知られていない二つのウイスキー蒸留所が存在しています。前者は「あかし」という名のブレンドウイスキーが割と広く知られているかと思います。後者は「波戸崎」という海外向けのブランドを作っているのですが、あまり国内では知られていないかと思います。たぶん、逆輸入とかしないとゲットできないと思います。ローカル繋がりということで、「あかし」も何か置いてあれば頂こうかとも思ったのですが棚には見当たらなかったので諦めました。とはいえ、明石はともかくとしても姫路という場所は交通の要所で、ここは関西地方と中国地方の分かれ目のような雰囲気があります。もっと言えば、ここからは播但線という路線が日本海側に向けて伸びていて、また姫新線という中国地方の山の中に向かう超ローカル路線もあったりで姫路というのは本当に何か独特の磁力のようなものを感じます。本当いうと、こういう立地だからこそ、ウイスキーの蒸留所なんかができると面白いと思うんですが、どうなんでしょうか?海側には日本製鉄さんの工場なんかもあったりして、製鉄業など産業の町としても知られてましたが最近はあまり元気が無い感じです。臨海地区のどこかの工場跡地でウイスキー造りとか面白そうですけどね。 さて写真を撮るのを忘れてしまったのですが、最後にマスターのご厚意で嘉之助のシングルカスクの味見をさせていただきました。嘉之助は最近に出たシングルモルトのファーストリリースは別のところで頂いたばかりでしたが、シングルカスクはそれを超えてやはり美味しかったです。本坊酒造の津貫もそうですが、鹿児島の温暖な気候がウイスキー造りのテロワールという意味で、ここまでマッチングするとは驚きですね。焼酎文化というイメージが強い九州の地で、世界にも十分通用するウイスキーの蒸留所が二つもあるというのはスゴイことだと思います。さてさて、シングルカスクの美味にすっかり酔いしれて、そろそろお暇する時間となりました。帰り際に少し店の中を見学したのですが、自分が座ったのと逆側にはキルホーマンのボトルがずらり。高松のシャムロックさんの影響のようです。いやはや凄いですね、ぜひ今度こそはシャムロックさんにもお伺いしたいです。何か香川に泊りの用事でも作らないとですね。扉口まで見送りをしてくださったマスターは本当に紳士な方でした。自分は礼儀作法とか随分いい加減なので、こうした方を見ると恥ずかしくなると共に気持ちがシャキッとした気分になります。次回は十分に観察ができなかった右側の棚を攻めに期待ですね。ありがとうございました!
【愛知】Bar Neatニート(名古屋)

【愛知】Bar Neatニート(名古屋)

今回は名古屋にやって参りました。「メーエキ」(=名駅)が分かればあなたも名古屋通です。名古屋はとにかく駅が意外に忙しいというか複雑です。新幹線、在来線だけでなく、名鉄や近鉄という私鉄が走っております。特に名古屋近郊は名鉄の路線網がとても広いです。さらに都心部は地下鉄網も充実しています。関西方面の方とかは名古屋は良く素通りするだけの駅ということがあったりして、あまり街中の印象とか薄いかもしれませんが、降りてみて街中歩けば大都会であることが肌感としてわかります。その中でも玄関口となる名古屋のメーエキというのはは曲者で、プラットフォームは京急品川みたいな感じで小さく狭いのですが、実に様々な方向に路線が走るわけです。(目的地となる駅名も聞いたことのないものも多くて土地勘がないと本当に難しいです。)自分は多少なりともノリテツを自任してるんですが、不覚にも目的と違う方向流されたことが二度くらいあります。(汗)今回は日帰りということもあり時間が限られていいたため、栄などの繁華街ではなく、すぐ新幹線に乗れる駅前近くをふらふら探してみました。最近では割に早くから営業されているバーも増えた印象です。訪問したのは駅の東側、バスターミナルから歩いて少しくらいの「Neat」(ニート)さん、外観から一目で良い感じのバーだと見て取れたので突撃してみました。(因みにメーエキってのは、名鉄名古屋駅を指すだけではなく、駅の東側地区も指します。実際に地名になっています。) ジェムソンのハイボール さて、ニートっていうのはいわゆるプーさん的な意味ではなくて、スコッチのニートの意ですね。要するに「ストレート」のことです。映画とかでたまに聞きます。007とか。本場のスコットランドなんですかね?あまり詳しくはないんですが、業界用語とかではなく英語の辞書にも載ってます。より正確な意味合いとは「水で薄めていない、混ぜ物がない」という感じです。(Oxford Dictionary)主な意味としては「(室内が)整頓された、(形などが)整った、(服装などが)こざっぱりした」という様ですが、今回のニートさんの感じも、それにどことなく通じるところがあるかもしれません。店内は主としてシックなカウンター席、ボトルは棚に綺麗に並べられていて、店員さんも正装とまではいきませんが、きちんとした着こなしです。カジュアルとオーセンティックの間くらいでしょうか。品揃えはスコッチウイスキーと、ジンがメインでした。因みに、今回訪問したのはニートさんの名駅店で、本店は高岳(たかおか)の方に別にあるようです。後で知りました。まずは初めにバーボンのロックを頼んでみました。氷を包丁でカットするんですね。アイスピックで氷を割るのもたまに見ますけど久々に拝見いたしました。氷の準備はこうしたバーならではの気配りがあって気持ちの高揚感みたいなのがあります。 アードベッグのアンオーとコリーヴレッカン さて、お次は目当てのスコッチということで目の前当たりにあったアードベッグを頼むことにしました。「コリーヴレッカン」と「アンオー」、確か「アンオー」は終売という話も聞いていたいので、飲み比べという意味で分かりやすくキャラの違うこの二つを選んでみました。前者はフレンチオークでスパイシー、後者はシェリーで丸みのある味ですね。元の原酒がかなり個性的で有名なんですが、樽感ではっきりと味が分かれます。個人的にはアイラスモークのシェリー系はラガヴーリンが一番好きで、アードベッグはコリーヴレッカンみたいな感じが自分は好きですかね。勝手な飲み分けというか。アードベッグの激しさというか原酒の個性がより明確に出ている気がします。 スモーキーさが特徴のオクトモア 最後の〆に選んだのが「オクトモア」。スモーキーさで有名なアイラモルトの中でもとりわけ最高度のスモーキーさを誇ることでマニアに人気のブルックラディ蒸留所がプロデュースするブランドです。ピート感のあるアイラモルトで知られるラフロイグやアードベッグでもスモーキーさを測る指標であるフェノール値でだいたい40ppm~50ppmと言われているのですが、このオクトモアは100~300ppmくらいあります。しかし、純粋にフェノール値が高いからといっても実際のインパクト感は少し違っていて、アイラのヨードチンキのような特有な感じは逆に抑えられていて、スモーキーさを柔らかく包み込むような甘さも感じられるのがこのオクトモアの特徴かと思います。ただスモーキーなだけならここまで人気は出ないですよね。まとめになりますが、駅近くにありながらも落ち着いた大人の空間。心地よい雰囲気の中でウイスキーが楽しめました。モルトウイスキーだけでなく、ジンやカクテルなども揃っているようなので、モルトバーほど敷居が高くはないと思います。価格もリーズナブルかと思いました。バーテンの方もフレンドリーな感じで、肩ひじ張らずに会話を楽しみながら久々にスコッチモルトを味わいながら楽しむことができました。店の雰囲気からするとまだ浅い時間であったので、ほとんど一人で空間を独占できたのも良かったかと思います。駅近ということもありこれからさらに忙しくはなってくるのかと思いますが、店内はカウンター席がメインのゆったりとした基調。また機会があればぜひとも伺わせて頂きたいと思いました!!