余市のフィールドワイン、ピノタージュがとても美味しかった。

余市のフィールドワイン、ピノタージュがとても美味しかった。

ようやく桜の季節がやってきました。今年はどこも人出が多く、中目黒近辺の目黒川沿いもすごいヒトでした。駅の出口から人の波がドバドバと出ていて、目黒川にまで桜を見る気も無くなってしまいました。そんなわけで、山手通り沿いのザ・ワイン・ストアさんに寄ってきました。こちらのワインはナチュールワイン系がメインで、とにかくどれを飲んでも美味しい。値段もだいたい4,000円~6,000円くらいのボトルが中心なんですけども、どれを飲んでも大正解で、失敗しないワイン選びするならココと決めてます。今日は夜に魚料理という情報を得ていたので、何か軽やかな白ワインを1本買って帰ろうかと思いました。とりあえず箱のワインを見るんですけども、余市のワインが置いてありました。なんだろうと思って手に取ってみると「モンガク谷」というフィールドワインのようです。フィールドワインというのは正直初めて聞いたんですが、調べてみたら同じ畑で育てた異なるブドウをブレンドして作ったワインのことのようです。中身を見るとピノタージュがメインで、他にピノノワールとピノグリなどが入っているようです。ラベルもオシャレな感じであったので迷わずこちらに決めました。飲んでみての感想ですが、色合いがまず面白かったです。写真は無いんですけど、オレンジワインみたいな色目です。ピノタージュというのは南アフリカとかで主に栽培されている希少品種らしく、質感としてはスパイシーで芳醇な感じということでしたが、想像していたより軽やかで、でも確かに面白いニュアンス(あまりうまく説明できなくてスミマセンm(__)m)があり、とても美味しかったです。アッサリというワケでもなく、ドッシリした深みというワケでもなく、その中間くらいでしょうか。香りの立ち方がとても品があって個性的なんですけど、飲んでみると柔らかく飲みやすいので気づいたらほとんど無くなってた、という感じです(汗)。余市といえばウイスキーですけれども最近はワインでも注目されていますね。こちらのワイナリーは家族経営でフィールドワインに特化しているようです。ボトルデザインも下の写真の通りですがとてもおしゃれです。ラインアップはすべてブレンドタイプとなっており、ここにもこだわりがあるようです。詳しくは下のイメージクリックでモンガク谷さんのホームページに飛びますので、見ていただければと思います。 モンガク谷さんのワイン(ホームページより)クリックで飛びます 最後にですが今回ワインを購入した「ザ・ワイン・ストア」さんの場所は以下になります。不定期営業のイメージですが、週末の昼下がりは営業されてる確率が高い印象です。
池尻のタコスショップ2号店でメスカルを楽しむ。

池尻のタコスショップ2号店でメスカルを楽しむ。

池尻大橋から玉川通り沿いに歩いていると、面白そうなバーが結構並んでいることに気づきます。上は首都高が、下は東急田園都市線が走っていて、交通量も多いので、あまり歩くのに快適というワケではなく殺風景な気もするのですが、発見の多い場所です。玉川通は渋谷から二子玉川までの区間のことを指しますが、通りに沿って池尻大橋や三宿、三軒茶屋、駒川大学、更に二子玉川と世田谷区の東部を突き抜けて多摩川に出る感じです。渋谷へのアクセスも良いので、夜の〆とかに近隣にお住いの方らが立ち寄っていくスタイルなのでしょうか。華やかな渋谷とか二子玉の感じとは違って、高速道路の高架下のどんよりした雰囲気であるんですが、さすがにそこは垢抜けた世田谷の感じがあります。今回立ち寄ったのは、その中のオシャレな1軒、「TACOS SHOP」池尻大橋店です。店内はカウンターとこじんまりとした空間、スタンドバーちっくで若者向きかなという感じ。ミニマリスティックな店内ですが、フードは本格的なモノが提供されていました。ちょっと立ち寄って軽く飲んでいくサッパリとした感じ。渋谷とか目黒とかに比べて、客層も若い印象です。 タコスやトルティーヤなどのフードが本格派であったことや、お店の名前がタコスショップであることは後で知りました。スタンドバーかなあ、と思ったのですがその根拠がこちらに並んでいたボトル。ウイスキーとかワインではないことはパッと見て分かったのですが、銘柄がよく見えなかったので凸撃入店した次第です。中に入って商品のラベルをもう一度よく観察したのですが、聞いたことない名前ばかりで良く分かりませんでした。ただ、どうもテキーラらしいのかなあと思ってメニューを見たら「メスカル」の文字が。なるほどです、メスカルはほとんど分かりません。昔、蒲田の若林さんというところでちょっと嗜んだことありましたが、その時以来の挑戦になります。テキーラ、ジン、ラム、こういうのは最近になってようやく理解してきましたけど、それまでは全くといってよいほど知識がありませんでした。メスカルは簡単にいうとテキーラの仲間のようなものです、同じ原料(アガヴェ)を使っていますが、産地によって名称が異なり、テキーラとメスカルは産地の違いと考えれば良いかと思います。ここからはほとんど後付けの知識ですが、写真の左端にあるカラフルなボトルは「コスナル」というクラフトメスカルのようです。伝統的な製法と素焼き粘土器などを使って手作りに近い手法で作られているようで、国内流通のボトル価格も調べたところでは2万円くらいするようです。メスカルというとちょっとテキーラに比べて何となくですが大衆酒のイメージがありましたが、他のお酒もそうですがクラフトスピリッツのごとく高価なブランド価値をもつ銘柄も出てきているようです。右隣りのグルグルしたラベルですが、こちらも貴重なボトルなようで、ライシージャというテキーラやメスカルとは少し違うタイプの原料を使っているお酒のようです。野生のアガベを使うことが特徴らしく、生産量も限られていることからかなり希少でもるとのこと。こんなわけで、実はすごいボトルが並んでいたのですが、訪問した時にはそういう知識が全くなく、とりあえず一般的なモノをお願いします、ということで頂いたのがこちらです! 「アビタンテ」というメスカル。家族経営の老舗ブランドのようです。ストレートにチェイサーを頼んでいただきました。無色透明ですが、しっかりとした味わいで、率直にはボタニカルな印象でした。これも帰ってから後で説明書きをみたら「甘い香りとスモーキーさのバランスが良く余韻が心地よく続きます」ということで書いてあったんですが、まあ感じ方は人それぞれということでm(__)m。いずれにせよ、割って飲むにはもったいない質感がありました、ロックかストレートがおススメかと思います。隣では若いカップルがタコスにトッピングを色々のせながら楽しんでいましたが、まさにこれが醍醐味なんでしょう。ちょうど軽く食事をしたばかりであまりお腹が空いていなかったのと、外にはすでに列を為して待っていらっしゃるお客さんもチラッと見えたので、この一杯でサッと飲んで帰りました。また機会を設けて来たいと思いました。今度はタコスと一緒に楽しみたいですね。〆の一軒としてこんな素敵なお店があると最高でしょうね、さすがにここから帰宅するとなるとかなり大変なので、ちょっとご縁は無さそうですけど、近くに住んでる方はうらやましいです。まだ開店はしていませんでしたが、他にも面白そうな雰囲気のバーがいくつかあって、池尻エリアは大人の印象があったのですが意外に若さのあるところだなあと感じた次第。こういうところを歩いていると、高齢化とかそういう話がまったく別世界のように聞こえてしまいます。外国人観光客とかにはまだまだノーマークの穴場的なエリアかと思うので、そういう意味でもゆっくりと落ち着いた雰囲気で楽しむことができそうです。
カナディアンウイスキーの彗星、サンズ・オブ・バンクーバー

カナディアンウイスキーの彗星、サンズ・オブ・バンクーバー

今回はカナディアンウイスキーの話題をお伝えします。Whisky Cast(Episode988号)を聴いていたら、毎年1月にカナダの西海岸、ビクトリアで開催されているウイスキーフェスティバルの模様が紹介されていました(ビクトリアの位置は以下の地図を参考ください)。その目玉は最優秀賞であるウイスキー・オブ・ザ・イヤーに「サンズ・オブ・バンクーバー」というまったく無名の蒸留所が選ばれたことにあります。今回はその話題について紹介していこうかと思いますが、とりあえずその前にサラリとカナディアンウイスキーについて復習をしておこうかと思います。カナディアンウイスキーとは何か?という問いなんですが、「カナダで作られたウイスキー?」。まあ、たぶん正解には違いないのですが、もう少しだけ教科書的な定義の確認をしておきたいと思います。 https://www.travel-zentech.jp/world/map/Canada/Victoria.htmlより 「カナディアン・ウィスキーは、カナダの法律によって縛りがかけられている。それによれば、カナディアン・ウィスキーは、穀類のみを原料とし、これを麦芽の持つデンプン分解酵素によって糖化し、酵母によって醗酵させ、カナダ国内で蒸留し、容量700リットル以下の樽を用いて熟成を行い、最低でも3年以上の熟成期間を経たものである。」 wikipedia 簡単に特徴を要約すると、スコッチと違い原料はモルトというよりライ麦とかコーンが使われます。Barrel365さんのページからの引用ですが、「ライ麦主体のフレーバリングウイスキーと、トウモロコシ主体のベースウイスキーの2つをブレンドするという、一般的なカナディアンウイスキーの製法でつくられています。」とのことです。バーボンはメインがコーンなので、バーボンともちょっと違う感じで、ドライでさっぱりした感じが特徴なのかと思います。有名ブランドとして、カナディアンクラブとクラウンローヤルの2強でしょう。どちらも発祥は東部オンタリオ州で、五大湖の対岸のあたりになります。カナディアンウイスキーはもともとは米東部の影響を受けて誕生し、アメリカの禁酒法(1920~33年)の時代に、その代替需要として発展したというのがざっくりとした経緯になります。 主に東部で発展してきたカナディアンウイスキーの歴史から見て、西海岸のバンクーバーにある新しいクラフト蒸留所が、カナディアンウイスキーの最優秀賞を獲得したというのは、地理的なことを考えると非常に面白いのでないかと思います。カナディアンクラブやクラウンローヤルに期待するような、ライ麦をベースとしたスパイシーさのあるオーソドックスなウイスキーが定番のイメージですが、西海岸の遊び心にあふれるクラフトウイスキーによって多面的な、新しい展開を迎えようとしているのでないかということです。アメリカの西海岸にはすでにいくつかのチャレンジ精神に溢れるクラフト蒸留所が誕生し、成功を収めています。ウエストランド蒸留所やウエストワード蒸留所(→リカマンさんの紹介記事)などです。特に興味深い流れとして、「アメリカン・シングルモルト」という独自のブランドを確立しようとしている動きは特筆に値します。(→詳しくはこちらの記事など参照)今回、最優秀賞を受賞した「パームツリー&トロピカルブリーズ」はその名前から想像できるようにラムカスクのウッドフィニッシュで味わいの深いカスクストレングスの仕上がりになっているとのことです。1樽分のみの販売のため、受賞時にはすでに完売していたということです。これ以前に商品化されたボトルもピートウイスキー樽や自社で製造しているアマレット樽などを使用し独自のフレーバーを追求している、職人(アルチザン)気質が特徴。ジェンナ・デュバルド(Jenna Diubaldo)さんという女性の方がいわゆるマスターディスティラーのようです。他にジェームズ・ラスター氏(James Lester)と、マックス・スミス氏(Max Smith)を含めた若い3名が経営陣として運営をしているようです。ホームページを確認すると以下の写真があったので、おそらくその3名かと思います。ウイスキー造りのほかに、アマレットやウォッカ、ジンなども製造をしているようです。 https://sonsofvancouver.ca/aboutより 同社ホームページの商品販売のページを確認してみましたが、半分くらいはすでに売り切れとなっていました。クラフト蒸留所なので、生産量が多くない事情もあるとは思いますが、注目を受けて受注が殺到しているものと思われます。ウイスキーもすべて売り切れ。すでに新しいバッヂ「SUMMER ROAD TRIP ACROSS THE MIDWEST」のボトルが紹介されていましたが、今月(2023年3月)発売予定となりながら、すでに「SOLD OUT」の文字が。187本の限定販売なので、これもシングルカスク品でしょうか。もはや、プレミアムウイスキーのような感じですね。レシピを見ると基本はブレンドで、熟成も3~5年くらいとのことなので、まだまだ若いウイスキーなのかとは思います。蓋を開けてみないと分からない段階にもかかわらず、これだけの注目を受けるというのは、期待値の高さを証明しています。カナディアンウイスキーは他にも注目を受けているクラフト蒸留所が出来てきていますので、今後も話題が出てきたら着目をしていきたいと思います。今までの定番品と違うという意味では老舗ブランドではありますがサントリーさんが扱っている「アルバータライ」とか(→サントリーさん紹介記事)が手ごろな価格でかつ面白いのかなと思います。「スムースで軽快な飲み口に、リッチで複雑な味わいとバニラのような甘みの中にほのかなスパイシーさを感じられ」るとのことです。作り手がどのような経緯で酒造りを学び、どのようなウイスキーを目指して行くのかというのも非常に面白いかなと思っています。ウイスキー造りの中心では無いけれど、辺境でもない、ある意味適度な距離感にあることでユニークな発想が今後も出てくることに引き続き期待していきたいと思います。! もうちょっと他の記事も読んでみたい方へ、 >>クリックでウエストランド蒸留所の記事へ
モルトウイスキーイヤーブック2023年版をしっかり読んでみる(1)

モルトウイスキーイヤーブック2023年版をしっかり読んでみる(1)

モルトウイスキーのイヤーブック、その名も「Whisky Yearbook」。毎年、スコッチウイスキーに関する新たな情報がまとめてアップデートされており、最近の動向や注目の人、最新ニュースや背後のストーリーなどが細かく紹介されています。スコッチウイスキーの蒸留所はほぼ網羅して紹介されていて、スコットランドの主要な蒸留所は1ページを使って丁寧にその特徴や歴史、ブランドが写真付きで紹介されています。またその他の蒸留所についても新興蒸留所から世界各国のモルトウイスキーの蒸留所について幅広く紹介されています。そのほか、スコッチウイスキー業界の動向であったり、作り手の話であったりマーケットの情報などが簡潔にまとめてられていて、今年の趨勢を見極めるには最高の本だといえます。このスコッチウイスキーの楽しみ方ブログでは、昨年に初めてこの本をアマゾンで購入して記事を書いたのですが、1回限りの紹介で終わってしまいました。今年はもう少し掘り下げていきたいと思いますので、よろしくお願いします。(因みにページヒット数が最高記録をしたことでもうれしい記憶となっています。ありがとうございます。)このホームページで扱っている蒸留所の紹介記事についてはこちらのアップデート情報をもとにグーグルで検索をして調べています。このイヤーブックから受けている影響はかなり大きいです、感謝しかありません。日本語版とかもでれば良いと思うのですが、いまのところ自分が知る限りはこの英語版のみです。アマゾンでも頼めば普通に購入できるので、興味があれば一度手に取ってみてほしいです。値段も3,000円くらいなので、内容を考慮するならかなりお買い得かと思います。とにかく情報量が半端無いです。https://www.amazon.co.jp/Malt-Whisky-Yearbook-Ingvar-Ronde/dp/0957655398まずウイスキー業界の英仏二強を紹介します。あまり表立ってこれらの会社の名前が出てくることはないですが、イギリスの「ディアジオ(DIAGEO)」社とフランスの「ペルノリカール(PERNOD RICARD」社です。どちらもウイスキー以外に様々なアルコールブランドをグローバルに展開しており、ディアジオ社傘下のブランドとしてはスコッチならジョニーウォーカー、バーボンのハーパー、他にビールのギネス、ウォッカのスミノフ、ジンのタンカレーなどを保有しています。ペルノリカー社はフランスの老舗スピリッツメーカ2社が合併して誕生したのですが、それ以後各地のブランドを取り入れて成長してきました。アイリッシュのジェムソン、ラムのハバナクラブ、スコッチではシーバスブラザーズ社を傘下にして多数のブランドを保有しています。この2社が保有する銘柄をまずは以下に列挙していきます。(個人的な主観で、スーパーのリカーコーナーでも比較的良く見かけるかなというブランドは特に太文字にしています。特に理由も根拠もありませんm(__)m) DAIGEO- オフロイスクベンリネスブレアアソールブローラカリラカーデュークライヌリシュクラガンモアダルユーインダルウィニーダフタウングレンデュラングレンエルギングレンキンチーグレンロッシーグレンオルドグレンスペイインチガワーノッカンドゥーラガブーリンリンクウッドマノックモアモートラックオーバンローズアイルロイヤルロッホナガーストラスミルタリスカーティーニニック PERNOD RICARD- アベラワーアルタベーンブレイヴァルダルムナックグレンバーギーグレンキースグレンリベットグレントファースロングモーンミルトンダフスキャパストラスアイラこれだけのブランドを保有していることの特徴として、一つ挙げるとするならより良いスコッチを作るための戦略といえるかもしれません。シングルモルトに特化するだけであれば、これだけのブランドを傘下に持つ必要もありませんが、安定した品質のブレンドスコッチを世界規模のマーケットに大量に作ることを考えるなら、そのレシピの元となるブランドと供給キャパを確保することは至上命題になることは容易に想像がつきます。下の写真はとあるスーパーのリカーコーナーですが、下段にスコッチブレンドが並んでいます。ブレンドの方が、モルトよりもお手頃な価格で購入できるので、数量的には圧倒的にブレンドウイスキーを身近に見かけることが多いかと思うのですが、高級スーパー、酒屋さん、スピリッツなどの専門店とグレードが上がっていくにつれてその重心は大衆向けブレンドから、シングルモルト、更にはボトラーズなど高価なものになっていくイメージです。さて、その中でブレンドスコッチの有名銘柄として「ジョニーウォーカー」や「ホワイトホース」はディアジオ社、「シーバスリーガル」はペルノリカール社のブランドです。他にも、「ティーチャーズ」はビーム・サントリー社、「デュワーズ」はジョン・デュワー&サンズ社のブレンドウイスキーになります。 スーパープレッセのリカーコーナーに並ぶスコッチウイスキー さて、ここからは先に紹介した二大巨頭ほどのブランドを保有していないもの、複数のブランドを傘下に収めている企業となります。まずはブレンドウイスキーで名前の挙がった、ビーム・サントリー社と、ジョン・デュワー&サンズ社を手掛かりに紹介していきたいと思います。まずはビーム・サントリー社です。ビームはジムビームで知られるアメリカのバーボンメーカですが、サントリーが2014年にこれを買収したことでサントリーの子会社となりました。この傘下のブランドでもっとも有名なのはなんといってもアイラモルトのラフロイグでしょう。もとを遡ればラフロイグが今は亡きアライドドメク社(英)がフランスのペルノリカール社に買収され(2005年)、その結果傘下にあったブランドがアメリカのフォーチュンブランドや、先のディアジオ社などに分散してしまったことに端を発します。ララフロイグはジムビームなどを擁する米フォーチュンブランドの傘下になったのですが、それがサントリー社に買収されたことで、現在に至ります。他にもアードモア、ローランドのオーヘントシャン、ボウモア、グレンギリーがあります。次にジョン・デュワー&サンズ社です。調べてみたのですが、実はラムなどで知られるバカルディ社の傘下のようです。バカルディは他にもスコッチブレンドのデュワーズや日本ではほとんど出回っていないですが同じくブレンドのウィリアム・ローソンや、アイリッシュのティーリング、イタリアのスパークリングワイン、マティーニなどのブランドを有しています。スコッチの蒸留所としては、アバフェルディ、アルトモア、クレイゲラヒ、グレンデベロン(マクダフ)、ロイヤルブラックラが傘下にあります。さて、先のペルノリカール社や、ビームサントリー社、バカルディ社のように本場スコットランドではない資本が実はたくさんあるスコッチ業界。ディアジオも元はグランドメトロポリタンとギネスが合併したもので、スコットランドというようりはイングランドとアイルランドの連合のようなもの。こうして考えると酒造りとしてのスコッチはスコットランドの領土内で今も盛んにおこなわれているものの、その運営資本は外部から集めているという構造です。ある意味、伝統的な産業でありながらすごく国際化が進んでいるというか、日本の日本酒とかとは表向き似たような様相であっても実はすごくグローバルな国際的商品としての顔をもっているとも言えそうです。外資系企業の傘下になったブランドを挙げていきましょう。まずはタイビバレッジ傘下になったインバーハウス社のブランド群です。ハイランドのプルトニーを筆頭に、バルブレア、バルメナック、ノックドゥー、スぺイバーンがあります。ダルモアなどで知られるホワイト・マッカイはフィリピンのエンペラドール社の傘下になっています。ダルモアの他に、フェッターケイン、ジュラ、タムナブーリンがあります。南アフリカの飲料大手ディスティル社は、ブナハーブン、ディーンストン、トバモリーを保有。バーボンの国アメリカでオールドフォレスターやジャックダニエル、ウッドフォードリザーブなどで知られる巨大資本ブラウンフォーマン社の傘下にあるスコッチとして、ベンリアック社の傘下にあるベンリアック、グレンドロナック、グレングラッソーがあります。更にはロッホローモンドやグレンスコシアを有するロッホローモンドグループは中華系の投資会社ヒルハウス・キャピタル・マネジメント社によって2019年に買収され、その傘下にあります。他にもルイヴィトンで知られる世界的コングロマリットであるLVMH(モエヘネシー・ルイヴィトン)社は傘下に多数のアルコールブランドを抱えており、その中にグレンモーレンジ社のスコッチブランド、グレンモーレンジとアードベッグがあります。さて外資の傘下にあるスコッチモルトウイスキーのブランド名を続々と書き連ねてきましたが、ここからはようやくスコッチ資本によるスコッチウイスキーになります。まずはエドリントングループ。スコッチのロールスロイスとも呼ばれるマッカランを擁します。他に、グレンロセスやハイランドパーク、ブレンドのフェイマスグラウスなどがあります。家族経営の伝統を有する蒸留所は非常に少なくなりましたが、今でも生き残っているところがあります。もっとも有名なものとしてはウィリアムグラント&サンズでしょう。スコッチのシングルモルトで販売量のトップをグレンリベットと争うグレンフィディクが有名です。他に、アイルサベイ、バルベニー、キニンヴィーを有します。今では昔の勢いを失いましたが、キャンベルタウンのJ&Aミッチェルとスプリングバンクもあまりにも有名です。スプリングバンクの他に、キルケランのブランドで知られるグレンガイル蒸留所があります。家族経営で言えば、グラント家のグレンファークラスも有名です。他にもボトラーズの傘下にある蒸留所としては、エドラダワー(シグナトリー社)、ベンロマック(ゴードン・マックファイル社)、アードナホー(ハンターレイン社)、ストラスアーン(ダグラスレーン社)といったところでしょうか。他にクラフトディスティラリーとして、いくつかこのホームページで個別に紹介している蒸留所があります。メニューのDistillery(ディスティラリー)からプルダウンで見ることができますので、そちらで確認して頂ければと思います。

2023年初投稿

2023年、新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。 スコッチウイスキーの楽しみ方では、スコッチウイスキーをメインテーマとして、注目している蒸留所の記事や、国内のバーの訪問ブログなど、さまざまな観点からスコッチーウイスキーの魅力を掘り起こしていきたいと思っています。 まだ同時に、スコッチウイスキーだけに限らず、バーボンなどの他のウイスキーや、他のジャンルのお酒についても色々と見聞きしたことや体験したことを書いていこうと思っています。「スコッチウイスキー」をタイトルに掲げてはいますが、お酒をテーマに広く全体的にカバーができればと思っています。そんな方向性で本年も頑張っていこうかなと思っているので、何卒よろしくお願いいたします。 年初はカサーシャで!@お酒の美術館中野店にて さて、年初初の投稿ということでのんびりと書いていこうかと思います。昨年は結構いろんなお酒にチャレンジした一年でした。今まではスコッチウイスキーがメインだったので、スコッチ専門を自任していて、オーセンチックなバーを中心に雑誌やネットで情報を拾いながら訪ね歩いてきました。その中で、最近のスコッチウイスキー界隈の流行としてある「ウッドフィニッシュ」をもう少し詳しく知りたくて、樽作りに使われていた実際のお酒を飲んでみたいなと思ったことがそもそもの初めでした。 ご承知の通りですが、スコッチウイスキーの味わいの多くは、熟成に使われていた「樽」に由来するといわれています。中には、穀物や発酵、蒸留設備の中にその特徴を求めることも無くはないですが、やはり「樽」のインパクトが大きいことは否めないかと思います。「ウッドフィニッシュ」というのは、熟成期間の最後の段階に、少し特別な樽の中でフレーバーに特徴づけをすることを言います。スコッチは主にバーボンの空き樽(バーボン樽)か、シェリー樽を使用しますが、このウッドフィニッシュに使われるのはそれらと違うよりフレーバーにインパクトのあるものが多いです。メインはシェリー樽が多いかなとは思いますが、バーボン樽も使われることがあります、また、ラムやテキーラなど変わった樽も使用されることがあります。熟成に使用される樽はリユース品も可能なのですが、リユース品は元のお酒のフレーバがすでに無くなっています。逆にウッドフィニッシュで使われる樽は、元のお酒の特徴が引き出せるようなものが多く使われています。中には少し前のお酒そのものが残っていることもあります。ただし、あまり前のお酒のインパクトが強くなりすぎるとウイスキーの微妙なニュアンスが壊れてしまうため、通常は短期間、数か月程度、最後の調整に使われるイメージです。こうすることで繊細なスコッチウイスキーの味わいに更に奥行きが出て、深みのある立体的な味わいに仕上がります。 とまあ、このように理屈ではある程度分かっているんですが、実際にバーボンもシェリーもあまり飲んだことが無く、ラムやテキーラなどもほとんど飲む機会がありませんでした。モルトバーに行って、わざわざウイスキー以外のお酒を頼むことも無いですから、当たり前といえばそうなのです。その反省を踏まえて?昨年は少し意識していろんな酒場に繰り出してみました。なので、少しスコッチウイスキーの話題から外れることが多かったかと思います。しかし、発見も多かったです。今まではモルトバーばかりしかお邪魔したことがなかったのですが、他のジャンルでもたくさん良いバーがあることを知りました。 ひとつひとつ語りだせば切が無いので、テーマ別にまとめていきたいと思います。まず、ちょっと上の写真で紹介した「カサーシャ」から先に紹介しておきたいと思います。これは、中野のお酒の美術館さんです。「カサーシャ」ってそもそもなかなか見ることもないお酒かなと思うのですが、ほぼラムだと思ってもらえれば大丈夫かなと。ブラジルのお酒です。原料はさとうきびのしぼり汁です。写真は熟成した樽別で、ブラジルにはウイスキーの熟成に使われるオークが無いので、オーク以外の木を使った樽で熟成しているそうです。ただ、基本はホワイトリカーで、熟成といっても短期間、数か月から数年といったところ。テキーラのアネホとかに近いのかなと思いました。味わいも甘いのかなと思ったのですが、意外にドライ、どちらかというとボタニカルなフレーバーが強いです。ロックくらいがちょうど良いかなと思いました。現地ではコーラとかで割って飲むみたいです。 さて、「ラム」ですが、思い返してみて一番印象に残ったのは神戸のムーンライトーバーさんで頂いた「オールドモンク」というインドのラムでしょうか。ラムといえばキューバとかカリビアンなイメージですが、インドでも古くから作られていることを知りました。実は「ウイスキー」の生産量でもインドが世界で実は一番なのです。なんとなくインド人というとあまりお酒を飲んでいるイメージは無いのですが、実は結構お酒を作っているんですよね。恐らくは昔、イギリスの植民地であった影響もあるのかとは思いますが、仏教とかヒンズー教とか信心深いイメージがあるので意外ではあります。インドのお酒事情みたいなのも何か調べてみたいナと思っています。 「テキーラ」では、浜松のOKUIZUMIさんでしょうか。ラムとテキーラを専門とするカジュアルなバーでしたが、こちらで頂いたジャパニーズ・プロデュースの「雫」がいまでも印象的です。テキーラはホワイトリカーの印象がありますが、熟成したレポサドやアネホも面白い味わいでした。あと、番外編ではありませんが、新宿歌舞伎町のカリビアン・バーは糞医的にとても面白かったです。 カリビアンバー、メヒコにてテキーラを。 さて、昨年に特に自分が興味を持ったのがワインとクラフトビールであることは間違いないです。なぜか?というのはとても簡単で、良いバーに巡り会えたことがすべてです。こちらのブログを見ている方であればすでに想像がつくかと思いますが、ワインは神戸のノラックさん、クラフトビールは品川・西小山のクエンチワインさんです。昨年の発見という意味ではこの二つのバーが自分の中では大きな出会いであったかと思います。詳細については、それぞれのブログ記事に譲りますが、簡単になぜそこまで気に入ったのかを紹介いたします。まずノラックさんですが、取り揃えているワインが本格派で、プロデュースする空間美とオーナーのパーソナリティーがすべてを語ります。これだけのサービスがあって、価格はとてもリーズナブル。毎回、感動の一言です。とくに最近ナチュールワインなどのオーガニック系のワイン、そして軽やかで華やかなソフトな口当たりのすっきりしたワインが着目されるなかで、従来の正当派ワインをしっかりとリーズナブルに楽しめるというのが一番大きいです。ワイン好きの方、特にワインを最近飲み始めた方に特におススメしたいお店です。 昨年飲んだお酒のMVPはずばりコレ!@クエンチワインさん クエンチワインさんですがこちらはオレゴン州推しのお店です。業態はどちらかというとインポーターさんで、お酒の販売とともに立ち飲みもできるといった感じです。まだ出来たばかりのお店でオーナーさんが一人で切り盛りをされているので、お店の営業も不定期です。基本的には土曜日のみに空いているイメージですが、とにかく営業日は事前チェックしてから訪問されることをお勧めします。あとは運頼みでしょう。ワインとありますが、クラフトビールもおいてあって、自分はこのクラフトビールに強烈なインパクトを受けました。とにかく、ビールでは無いんです!、でもビールです!。と、こんな感じです。ビールの原料が穀物であることを忘れ去るようなフルーティで軽やかなフレーバーの開き方が半端無いです。しかもそれが缶ビールで出てきます。低温輸送で入荷されているようなので、こちらで飲むのを特におススメします。 さて、あれこれ振り返ってきましたが、意外にも色々と発見の多い1年であったことに今更のように気づかされます。本年も、更に色々と見聞を広げながら、継続してブログ記事をアップしていければと思います。また蒸留所紹介記事についても、最近ほとんどアップができていないのですが、何かトピックを見つけてリサーチできればなと思います。少なくとももう一度見返してみて、アップデートが無いかなどの点検はしてみたいと思っています。最後にですが、今後さらにジャパニーズウイスキーや国内のバーが海外からも注目されるであろう動きに備えて英語でのブログ発信も細々と開始しています。こちらも少しづつ、英語の勉強とも合わせて、深みを持たせていければと思っています。そんなこんなですが、また今年も頑張ってやっていきますので、よろしくお願いいたしますm(__)m
都立大学近くのアメリカンクラフトビール酒屋、ザ・スロップショップ(The Slop Shop)には世界中のクラフトビールが集まります。

都立大学近くのアメリカンクラフトビール酒屋、ザ・スロップショップ(The Slop Shop)には世界中のクラフトビールが集まります。

最近のマイブームはクラフトビール。クラフトビールというと、最近はスーパーとかでも様々なパッケージで販売されていています。普段だとキリンやアサヒ、サッポロの定番ビールだけで語られ、生ビールか瓶ビールかくらいの違いにしか気を使わないことが多いのではないでしょうか。生で飲むにしても、泡の比率がどうとか。自分もそのくらいな意識でいましたが、本場アメリカのクラフトビールの味を発見してから革命が起こりました。(→ちなみに最初にその感動を味わったのが西小山のクエンチワインさんですm(__)m)アメリカのクラフトビールをもっと知りたいと思って情報を探していたところ、雑誌の紹介記事を見つけて訪ねたのがこちらのスロップショップさん。東横線の都立大学から少し歩いた住宅街に位置します。基本は酒屋さんのイメージですが、小さなバーカウンターもあり、店内で飲むこともできます。ジャパニーズを中心としてクラフトビールをタップで飲むことも可能です。こじんまりとした店ですが、駅から少し離れていることもあり、落ち着いた雰囲気です。 クラフトビールがずらり。 まず驚いたのは販売されているクラフトビールのボリューム。すごい数がおいてあります。規模の大きい酒屋さんでもここまでの数量をみたことはありません。先日、八重洲に新しくできたアンテナ・アメリカもボリュームはすごかったですけど、インパクトとしてはこちらの方が圧倒されました。写真の冷蔵庫が3台並んでいて、フレーバーカテゴリー別になっているようです。主にはIPA系、サワー系、その他(スタウトやポーターなどのダーク系)という感じでした。産地は北欧やヨーロッパからジャパニーズまで。お値段的には高めですが、ワイン樽熟成の瓶詰めビールなどもありました。缶ビールですがどれもパッケージデザインが素敵で見ているだけでも楽しいです。フレーバーのコメントも一つ一つに細かく記載されていてわかりやすいです。店員さんも商品に詳しく、自分の好みがはっきりとしていれば相談にのってもらえるかと思います。自分はそこまではっきりと味の好みがあるわけではないので、パッケージを見て「ジャケ買い」しました。ひとつはワシントン州シアトルのものと、もう一つは以下に紹介している静岡のウエストコーストブルーイングのもの。他にもいろいろ興味あったのですが、またの機会にしようと思います。 タップでも楽しめます。 酒屋さんではありますが、店内で飲めるスペースもあり店内で試飲も可能です(ただし抜栓料がかかるとのこと)。ジャパニーズを中心に、タップビールも楽しめます。小さなスペースなのであまり大人数には向かないかもしれませんが、買い出しに来たついでに軽く一杯とかぐらいなイメージでしょうか。酒屋さんなので昼間もお店を開けられているとのこと。もうすっかり秋になりましたが、夏とか最高でしょうね。周りは住宅街になっているのでワイワイした喧騒感もなく、落ち着いてゆっくりと楽しむことができます。最寄り駅からちょっと歩きますが、通り一本なので場所的には分かりやすいです。アメリカンクラフトビールを深堀りしたい方には特におススメをしたいお店です。 商品の切り替えも結構早そうな感じ! シアトル出身の建築家が立ち上げたという本場クラフトビール工場・ウエストコーストブルーイングのクラフトビールを購入。パーケージもイギリスのイラストレーターが手掛けているらしくすべてがエキゾチックだが、なんと場所は静岡県の用宗(小さな漁村のイメージ)にあるという。昔ドライブ旅行で近くの中華屋さんに立ち寄った記憶あるくらいだが、今度通ったときはぜひ訪ねてみたい! クリックでウエストコーストブルーイングさんのホームページに クリックでスロップショップさんお店のページへ移動します! BRUTUS誌の紹介記事へ BACK TO HOME (スコッチウイスキーの楽しみ方)>>