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カリラ12年

カリラ12年

ヘビーピートなラフロイグを紹介した後に、もう一つ、ソーダ割りで飲みたいシングルモルトを紹介させてください。それは、このカリラです。CAOL ILAと書きます。スコッチウイスキーの名前はほとんどすべてが現地のゲール語由来のものが多く、アルファベットだけで発音が非常に難しいものが沢山ありますが、コレはたぶんその中でも一番厄介なものかと思います。自分も最初は「カオル・イラ」と注文してしまいました。(でもご安心ください、バーや酒屋さんで注文する分には分かってくださると思います。日本酒や焼酎とかでも難しい読みの銘柄がありますよね。)

さて、カリラの意味ですがゲール語で「アイラの音」(SOUND OF ISLAY)という意味だそうです。これが具体的に何かと言うと、カリラ蒸留所が面する「アイラ海峡」のこと(何という美しい命名!)で、カリラ蒸留所からはアイラ海峡を通して、隣の「ジュラ島」が望めるという風光明媚な地にあります。

カリラ蒸留所の場所とアイラ海峡
https://en.wikipedia.org/wiki/Sound_of_Islay
アイラ海峡を通してジュラ島を望む

アイラ海峡を通して、隣のジュラ島を望む。面前に見える山は、ジュラ島のパップス山。蒸留所の南にあるポートアスケイグ(PORT ASKAIG)はジュラ島やスコットランド本島を結ぶ船が往来する交通の要所。

さて、ウイスキー味わいはということであるが、このカリラ12年はアイラウイスキーの中では軽やかで、ライトピートなフレーバーを感じる飲みやさが特徴。ピートスモークが特徴的な荒々しさの対比として、「女性的」とも表現される。こちらもソーダ割りのハイボールで楽しめるシングルモルトとしておススメ。感じとしては、これまでに紹介したタリスカーとラフロイグの中間くらいなボディに、且つ少し柑橘系とフローラルなニュアンスが加わった感じでしょうか。シングルモルトはどれも基本的には個性があるので、それぞれを飲み比べながら自分の好きな味わいを見つけてくのが最大の醍醐味でもあります。

少し細かな話ですが、アイラ島の中でカリラ蒸留所とラガヴーリン蒸留所は同じオーナーDIAGEO社の傘下で、ポートエレンにある同社の精麦工場から麦芽(モルト)を調達しています。ウイスキーのスモーキーさを測る指標としてPPM(フェノール値)がよく参照されますが、両方とも同じ35ppmというヘビーピートなレシピ。ところが、飲み比べてみると分かるのですが、ラガブーリンに比べてカリラは軽やかです。

この違いがどこから来ているのかと言うと、蒸留工程のようです。カリラではラガブーリンに比べて蒸留時に軽やかでフルーティな質感のアルコールの抽出を高めているのだそう。麦芽の時のフェノール値というのは、蒸留工程でその半分くらいが飛んでしまうのだそうですが、特にカリラはその割合が高く、結果的にラガブーリンに比べて軽やかなピート感に仕上がるのだそうです。スコッチウイスキーは、このように原料や製造工程、熟成樽などの違いを元に、様々なフレーバーを形作っていきます。こうした細かなニュアンスの違いなどが分かるようになってくると、尚面白いです。

カリラ蒸留所

さて、このカリラを生産する「カリラ蒸留所」についても話をしておきたいと思います。アイラ島のシングルモルトとしての存在感はラフロイグやラガブーリン、ボウモアなどのビッグネームに比べれば余りその名は知られていないかと思います。ですが、この蒸留所で造られたお酒は実は我々にとても馴染みのあるスコッチウイスキーと深いつながりがあります。

それはブレンドスコッチの「ジョニーウォーカー」です。カリラはジョニーウォーカーの製造元であるDIAGEO(ディアジオ)社の傘下にある蒸留所で、ジョニーウォーカーの他にもJ&Bなどのブレンド向けに原酒を提供しています。

特筆すべきはその生産量です。アイラ島の蒸留所の中で最も高い(アルコール)生産能力を誇ります。因みに、上表でも分かるように、アイラ島の蒸留所は現在「スコッチウイスキーの聖地」として世界中から観光客を集める人気観光スポットとなっていますが、そのほとんどの蒸留所はDIAGEO社を含めた国内外のグローバル資本が運営を支えている構造となっています。

カリラ蒸留所は直近では新たなビジターセンターを設け、アイラ島の蒸留所の中でのプレゼンスを高めると共に、ブレンド向けの供給と合わせて新たにシングルモルトとしての市場へのリリースも増強中であると言います。将来的には、定番の「12年」等の他に、更なるラインアップの拡充が見込まれそうです。