スコッチウイスキーの楽しみ方

スコッチウイスキーの楽しみ方についての初心者編です。

初心者編というのは、スコッチウイスキーをまだ飲んだことが無い方、聞いたことあるけど何?って方、を

対象に簡単に分かりやすく説明してみたいと思います。

まず、スコッチは「お酒」になります。ココはさすがに、大丈夫ですかね。

でも「スコッチ」といったり、「ウイスキー」といったり、そういえば「バーボン」とかもあったような、

日本もウイスキー作ってるけど山崎って「スコッチ」なワケ?とか色々あると思います。

このあたりを少し整理していきたいと思います。

スコットランドの場所(https://www.tokyo-np.co.jp/article/102009)

そもそもスコッチというのは、イギリスのスコットランド地方で造られるお酒のことです。

ただ、スコットランドで造られるお酒が全て「スコッチ」かというとそういう訳ではありません。

世の中的にいう「スコッチ」というのは、「スコットランドで造られているウイスキー」のことです。

なので、「スコッチウイスキー」です。

そこで、もう一つ、「ウイスキー」とはそもそもなんだ?という話です。

これもざっくりいると、(大麦などの)穀物を主原料として造られたお酒を「樽詰め」して熟成したもの、となります。

おおまかにですが、ウイスキーというのは「産地」」(アメリカとかスコットランドとか日本とか)、と「穀物の種類」(大麦、ライ麦、とうもろこし、など)でいくつかに枝分かれします。

ウイスキーの原料は穀物だ。(https://distilling.com/distillermagazine/)

穀物の種類で分類すると大麦を原料としてものは「モルトウイスキー」、その他は「グレーンウイスキー」となります。

「グレーンウイスキー」は更に細かく分かれて、「バーボン」はトウモロコシが主原料、ライ麦をメインにしたものは「ライウイスキー」と言われたりします。

また、モルトとグレーンを掛け合わせたものが、いわゆる「ブレンド」(ブレンドウイスキー)です。

穀物の糖分を発酵させてアルコールを作った後に、その液体(醪)を加熱してよりピュアなアルコール分を取り出すことを「蒸留」(英語で”distill”(ディスティル))と言います。蒸留所は「蒸留」する所と書きますが、英語のDistilleryをそのまま訳したものなのでしょうね。

この蒸留工程そのものはウイスキーのフレーバーに大きな影響をおよぼす工程ではありませんが、下の写真にあるような特徴的な形をしています。ただし、この「蒸留器」はモルトとグレーンでは少し違います。

モルトウイスキーに使われるポットスチル(https://australianbartender.com.au/)

モルトウイスキーには通常「ポットスチル」という上の写真のような玉ねぎのような形をした釜が使われます。毎回仕込むので単式蒸留器とも言われたりします。この釜の形状も蒸留所によってさまざまで、長くのっぽのものやずんぐりしたものまで様々です。この形によって蒸留される液体の抽出成分が微妙に異なるため、原酒の味わいに変化がもたらされます。

またポットスチルは昔の密造時代から継承された伝統的な方式で、より個性的な味わいの成分が抽出できますが、生産効率は次に紹介する連続式に比べて劣ります。

バーボンなどを含むグレーンウイスキーに使われるのは「カラムスチル」(orパテントスチル)と言われる連続式蒸留器になります。

これはその名の通り連続で純度の高いアルコールを取り出すことができます。生産効率に優れますが、その分だけ抽出するアルコール分の個性はかなり弱くなります。

カラムスチル(https://www.grapesandgrains.org/)

さて、これまでポットスチルからできる「モルトウイスキー」と、カラムスチルからできる「グレーンウイスキー」の話をしてきましたが、一般的に「ウイスキー」といえば、ほぼブレンドと思って間違いないと思います。

ブレンド、というのは要するにモルトとグレーンを割った作ったものです。味わいがあっさりしているけど大量に効率よく生産できる「グレーンウイスキー」をベースにして、少し個性的でクセのある味わいの「ブレンド」を混ぜ合わせたものです。

こうするこで、よりお手頃な価格で、またより多くの人の口に合う味わいのお酒が生まれるというカラクリです。

サントリーの角や、シーバスリーガルジョニーウォーカー、など全てブレンドです。コンビニで売っているお酒もほとんどがブレンドです。また、ウイスキーは度数が高いので割って飲むことが多いと思いますが、そうした「飲まれ方」も意識して作られているのかなと感じます。

そこで、実際にコンビニやスーパーで販売されているウイスキーをそのまま(ストレート)で飲んだ時に、美味しくないな、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。実はある意味それは当然だと思っていて、お手頃な値段で広く流通するために作られたものなわけですから、味のクオリティはそこまで高くはないのかなと思っています。

ですが、勘違いしないで欲しいのは、手抜きをしているとか、味をゴマ化しているというのではないのです。そうしたものもきちんとした原料と作り方でつくられているワケなのですが、手間暇やこだわり、稀少性などの面においては「ホンマモン」のウイスキーに比べるとどうしても標準的であることは否めません。

だいたい世の中の全ての物はそういう感じですよね。大衆ブランドと高級ブランドの違いとか、市販品とヴィンテージものの違いとか。ウイスキーもそれとほぼ同じだと思っています。

コンビニなどでよく見かけるウイスキーは、だいたいブレンドが多い。

実際の所、ホンマモンというか、本当に美味しいウイスキーというのは中々出会えないものです。

何が美味しいかというのは人それぞれですが、高級と言われるウイスキーはそもそも生産量や流通量が限られているので、

購入するなら専門店、実際に飲んでみるならウイスキー専門のバーなどに行くしかありません。(もちろん今の世の中ですと、ネットで直接買い付けることもできたりしますが)

つまり、一方には割って飲むように作られたお手頃価格の「ウイスキー」があるのですが、本来の意味で最もクオリティの高いものは

マニア向けのお店にでも行かないといけない、でもそこは余りにも敷居が高い、こうした二分化されたような状況があるのではないかと思います。

価格的な話をすると、ブレンドウイスキーの定番品なら1000円前後でも購入可能です。本格的なスコッチの「シングルモルト」、つまり3年以上熟成したモルトウイスキーであれば、おおよそ4000円ぐらいからといったことでしょうか。

酒屋さんにいけば、たいていはお酒の種類ごとにコーナーが分けられているかと思いますが、ウイスキーのコーナーであれば、だいたい「スコッチ」と「バーボン」で区分けされているかと思います。その「スコッチ」の棚っていうのは、だいたいこんな感じのところです。

スコッチ」と「バーボン」の簡単な見分け方としては「年数表記」の有無です。ラベルの表に堂々と書いてある「年数」というのは樽の中で熟成した「年数」のことで、例えば「12年」と表記されていれば、そのウイスキーは「12年以上」樽の中で保管された後に、瓶詰めされたモノということです。

スコットランドは寒冷な気候なので熟成期間が長く、またスコッチは法律で3年以上の熟成を経ないと「スコッチ」と名乗れない決まりになっています。これに対して、「バーボン」の産地であるアメリカのケンタッキー州やテネシー州は温暖な気候であるため、熟成のスピードが速く、バーボンを中をチャーリングした新樽しか使わないため熟成期間が一般的に短いものが多いです。

そのため、あまり熟成年数についての表記が無いモノが多いです。10年以上の熟成モノというのはスコッチでは普通ですが、バーボンでは滅多にないかと思います。

因みに、ウイスキーの熟成期間中に樽の中のお酒が揮発していくことを「エンジェルシェア(天使の分け前)」といったりしますが、温暖な気候の地域ではこれが年間で10%以上にものなるので、長期間保管すると樽の中が空っぽになってしまう計算になります。

スコッチウイスキーの地域区分(https://www.barrel365.com/scotch_charts/)

スコッチのシングルモルトで有名な銘柄では、オーソドックスなところでいうと「グレンフィディック」や「グレンリベット」というスペイサイド地方のシングルモルト。

この地方はスコットランドの蒸留所が特に集中していて、軽やかでフルーティなフレーバーが特徴です。

初めてスコッチウイスキーのシングルモルトを飲まれる方なら、とりあえずはこちらをお勧めします。(高級ウイスキーで良く知られる「マッカラン」もこの地方にあります)

その他、燻製したような独特なスモーキーなフレーバが特徴なのが、スコッチの聖地とも言われる「アイラ島」で作られるウイスキー。

代表的な銘柄としては「ラフロイグ」や「アードベッグ」、「ボウモア」などがあります。

このフレーバーはモルトを作る乾燥工程で、ピートという泥の石炭のようなものを使うことに由来しています。

スコットランドを含むヨーロッパ北部では、こうした泥炭が採れる沼地が結構あって(日本にも北海道にあります)、昔は家庭の暖房用燃料としても使われていたそうです。

このほかにも、スコットランドの北部の「ハイランド」や、塩っ気のある味が特徴の「キャンベルタウン」、イングランド寄りの「ローランド」など

いくつかの地域的なカテゴリーがあります。

とりあえずは、スペイサイドのどれか、興味があれば「アイラ」を試してみるのが丁度良いかと思います。

スコッチウイスキーの蒸留所(https://hiconsumption.com/best-whisky-distilleries-in-scotland/)

最後にですが、スコッチウイスキーをちょっと試しに飲んでみたいと思ったら、とりあえずはバーとかで飲むことをお勧めします。もちろんボトルを買って飲むこともできますが、日本酒やワインと違って度数が高いので試しに飲むには恐らく量が多すぎると思います。またウイスキーはお酒の香りを楽しむことから始まるので、ワイングラスと同じように専用のグラスがあります。(→詳しい作法についてはこちらのページを参照「リチャード・パターソンに会おう!」)そうした意味でも、とりあえずはウイスキーバーのようなところを探して見るのが、一番コスパが良いと思います。

大まかにですが、一般的なシングルモルトで上記に挙げたようなブランドであれば、飲む場所にもよりますが、ワンショットで1000円くらい(~1500円)ではないでしょうか。

飲むときには、バーのマスターに自分の好みを伝えて選定してもらうという方法も全然ありかなと思います。

ウイスキー専門のモルトーバーなどであれば、マスターはその道の専門家ですので、予算などに応じてセッティングしてくれるはずです!