スキンダー・シン氏(スキンダー兄弟)

スキンダー・シン氏は弟のラジ氏と共にWhisky Exchangeという(今でいうところの)オンラインのリカーショップをインターネットの黎明期である1999年に立ち上げました。その後、モルトウイスキーのセレクトショップをロンドンに出店し、自らのブランドであるELIXIR DISTILLERS(エリクサー・ディスティラーズ)を立ち上げ独自の特色あるモルトウイスキーを展開。目下、アイラ島に自前の蒸留所開設に向けて準備を進めているようです。

蒸留所構想図 (thespiritsbusinessより)
"There are just so many different expressions, styles, methods... nothing comes close to it." 自宅に保有するウイスキーのボトルはなんと1万本を超えるという。
両親の店 THE NEST(TWEサイトより)

お酒との関わりの原点はインドからの移民である両親が1960年代にロンドン近郊で開業した酒屋「ネスト」(”THE NEST”)でした。アジア系で初めて酒類販売の免許を取得した初めてのリカーショップだったそうです。自身は大学で建築を専攻しましたが、当時は不況で希望する就職口が見つからず。しばらくの間、「親孝行」のために店の手伝いを始めたのがこの業界で働き始めたきっかけだったようです。片手間に始めたお手伝いでしたが、これをきっかけにリカービジネスの可能性に目覚めます。

転機が訪れたのは2000年前後のdot.comブーム。一早くオンライン販売の強化に乗り出しました。ウイスキーのシングルモルトやヴィンテージ品への理解が一般的に少なかった時代、無名に近い蒸留所や閉鎖された蒸留所など希少性の高いボトルの紹介などをインターネットを介した情報の拡散に力を入れます。

"Lost in translation"(2003)のワンシーン

日本との関係も深く、90年代末から00年初頭にかけて日本各地のバーを巡りコレクターとして多くのことを学んだそうです。サントリー山崎が海外展開する起点も作りました。サントリーがイギリスでの販売を計画した時、12年のミニボトル2000本の提供を受け、その拡販をサポートしたのだそうです。ジャパニーズ・ウイスキーが海外でも注目を浴びるきっかけとなりました。

スキンダー・シン氏が最近好んで飲んでいるボトル(TWEサイトより)